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「日本は通過できたのに韓国は何故できないのか」ホルムズ海峡封鎖を巡り韓国内で高まる不満

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
韓国の石油タンカー(「JPニュース」)

 韓国の経済紙が一様に指摘していることだが、ホルムズ海峡の封鎖で韓国の生産者物価は上昇し、4年ぶりの最大の上昇幅を記録した。石炭と石油製品の価格は1997年の「IMF危機(通貨危機)」以降で最大となる31.9%に上昇した。特に「産業の米」と呼ばれるナフサは68%も急騰しているが、これは1974年の第1次オイルショック以降で最大の上昇率と言われている、

 国民は経済が壊滅的な打撃を受ける前にホルムズ海峡の解放を一日千秋の思いで待望しているが、国際紛争だけに韓国政府としても打つ手がないのが実状である。

 ホルムズ海峡には2000隻以上の船舶と2万人以上の船員が足止めされている。海運業界の統計では4月26日現在、韓国の船舶は27隻が孤立状態に置かれている。船員は外国の船舶に乗船している韓国人を含めると161人となる。

 船舶の種類別では、原油タンカーが半数以上を占めている。原油(石油製品)タンカーが17隻で最も多く、そのほかガス運搬船が2隻、バルク船が2隻、コンテナ船/貨物船が5隻、自動車運搬船が1隻となっている。また、27隻はそのほとんどがペルシャ湾内のサウジアラビア、カタール、UAEなど西側に位置しており、イランが主張する領海とは距離を置いて停泊しているようだ。

 ホルムズ海峡封鎖以降、韓国に到着した船舶はサウジアラビアのヤンブー港で原油を積載した船舶が4月17日に初めて紅海を「迂回路」として抜け出した船舶1隻のみである。

 そうした最中、日本の出光興産が管理するパナマ船籍の大型石油タンカー「IDEMITSU MARU」が4月29日にホルムズ海峡を無事抜け出し、名古屋に向かっているとのニュースは韓国を多いに刺激している。

 日本も韓国よりも10数隻多い約40隻がホルムズ海峡に封じ込められているようだが、それでも韓国と違い、これまでに数隻が「脱出」に成功している。

 日本からの「イランに通行料を支払っていない」「政府がイラン政府と交渉した結果である」「米国からも事前に了解を得ていた」などのニュースに「なぜ、韓国も日本と同じことができないのか」と、国民の間では不満の声が上がっている。

 韓国の外交部報道官は「それぞれの船舶と船会社の状況が異なるため我々の船舶の状況と同一視することはできないと考える」(4月30日)と、「船会社の判断や立場を考慮せざるを得ない」説明しているが、▲在韓イラン大使が3月26日に「韓国は非敵対国であり、事前に合意すればホルムズ海峡の通過が可能だ」と発言していたこと▲韓国がイラン爆撃後もテヘランに大使館をまだ維持している数少ない国の一つであること▲軍艦派遣などの米国の協力要請を拒否していること▲国際赤十字社を通じて50万ドルの人道支援を行なったこと▲4月11日に外相特使を派遣していることなどを挙げ、「日本ができて韓国ができないはずはない」と、野党などは韓国政府を突き上げている。

 韓国のメディアも「日本やフランスの船舶はホルムズ海峡を通過しているのに韓国はなぜできないのか」(中央日報)「日本とフランスはホルムズ海峡を突破した、我々も積極的に対応を」(韓国日報)の見出しに見られるようにこぞって李政権の「無策」を批判している。

 一説ではイランは事前協議の後に指定航路を通過すること及び海峡通過のための「通行料」の支払いを主張していることに対して韓国政府がすべての船舶の自由な航行の原則に基づき、通行料を支払うことはできないとの姿勢を取っていることが交渉が膠着状態に陥っている原因とも言われている。

 要は、イランが提示した指定航路がイラン本土に隣接する領海であるためここを通過する場合、安全上の問題だけでなく、米国の制裁対象となる可能性があるとの懸念があることが最大の理由のようだ。特に、仮に航路案内費用の名目で金銭のやり取りが行われた場合、米国に通行料の支払いと誤解され、制裁の口実にされかねない点を警戒していることにある。

 どうやら韓国はイランの妨害ではなく、米国の「報復」が怖いようだ。

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ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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