最高点だった学力の国別スコアが…
2000年ごろは、読解力などは欧州でも最高点だったが、2012年にはPISA(国際学習到達度調査)のスコアがOECD平均を大きく下回った。ほかの先生も、「生徒の学力が年々、明らかに落ちている」と嘆いていた。
この頃、新聞に「所定の学力に達しないまま卒業する中学生が増えている」という記事が載っていたほか、「卒業生の3割は、読み書きに難がある」とも言われていた。
同時に指摘されていたのは、「地域による大きな学力格差」だ。「所定の学力に達しないまま卒業する中学生」は、移民が多い地域に集中していた。そして、移民が多く住むようになった地域から、元から居住していたスウェーデン人がどんどん流出していった。
実はデジタル教材が、この「学力の二極化」に寄与したという指摘もある。
デジタルデバイスは、自律的に学べる生徒には有効だが、学習習慣が身についていない生徒や、家庭環境に課題がある生徒にとっては、単なる「遊び道具」や「放置」に近い状態になりやすく、結果として学力の二極化を招いたという。
生徒の学力低下の要因が、「過度なデジタル化による弊害」なのかどうか、私には断言できない。「デジタル教育そのものがすべての原因」という単純な話ではないだろう。
だが、多くの研究が、過度なスクリーン依存と教育のデジタル化が、単なる学力低下にとどまらず、若者の睡眠不足、不安、うつ病、孤立感の増加と密接に関連していることを指摘している。そして、この「行き過ぎたデジタル教育」の弊害が、子どもたちの脳と心の健康に影響を与えたのが、「デジタル教育先進国」として知られたスウェーデンだったのではないだろうか。