「なあ、和也。改めて鏡見て思うんだけどさ……」
隆史が、自分の長い黒髪を指でくるくると弄びながら、ベッドの上に広げられた荷物を見やった。
「俺ら、マジでとんでもない美少女になってんな。これ、街歩いたらナンパ止まらないだろ」
「他人事みたいに言うなよ。俺はまだこの、胸のあたりのスースーする感じに慣れないんだよ……」
俺は鏡の前で、自分の体のラインを確かめるように抱きしめた。
指先に触れる肌は驚くほど柔らかく、さっきまで生えていたはずの脛毛一本すら残っていない。
「ま、そう言うな。集合は明日の昼に都内のオフィスだ。そこでレクチャーを受けてから、前乗りでサーキット近くのホテルに移動。……つまりだ、和也。今夜はフリーだ。この姿で好き放題できるってわけ」
隆史がニヤリと笑って、買ってきたばかりの紙袋をひっくり返した。
中から出てきたのは、数種類のレディースの服と、それから――。
「おい、隆史。この、布面積が極端に少ないひらひらしたやつは何だ?」
「下着だよ。フリーサイズの服はいいとして、下着はサイズが分からなかったからな。いくつか違うサイズを用意しておいた。……ほら、和也の今の体なら、このDカップくらいがちょうどいいんじゃないか?」
「デカすぎんだろ! いや、でも、確かにこの張り具合だとそれくらいあるのか……?」
俺はおそる恐る、レースのついたブラジャーを手に取った。人生で一度も触れたことのない繊細な生地が、指先にまとわりつく。
「そもそもさ、なんでこんな怪しい薬を隆史が持ってるんだよ。出所はどこなんだ?」
「ああ、これ? 実は俺の兄貴だよ。あいつ、製薬会社で最先端の臨床研究やっててさ。今回はその『効果確認』のモニターが必要だったんだ。副作用がないのは確認済みだし、二十四時間で元に戻る。兄貴に言わせれば、最高の臨床実験になるってさ」
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