新型出生前診断(NIPT)の陽性率は年齢で変わる? 結果を正しく理解するための3つの判断基準を医師が解説
出生前診断の陽性率について医師が解説!
編集部: NIPTは「99%以上の精度」と説明されることがありますが、どう理解すればよいですか? 仲田先生: 「99%以上の精度」という言葉は、一見するととても安心感がありますが、実は誤解されやすい表現でもあります。この数値が示しているのは、「検査を受けた人全体の中で、結果が正しく判定されている割合」です。 NIPTを受ける方の多くは、もともと染色体異常のない妊娠であるため、結果の大半は「陰性」となります。 そのため、全体で見ると検査の正確性は非常に高く見えます。しかし、重要なのは陽性と判定された場合に、その結果がどの程度実際の異常を反映しているかという点です。これは、「99%以上の精度」という数値とは別に考える必要があります。 編集部: 高リスクと判定された場合、その結果が正しい確率も99%なのでしょうか? 仲田先生: いいえ、そうではありません。高リスク結果が実際に染色体異常を示している割合は、陽性的中率(PPV)で考える必要があります。 編集部: 陽性的中率(PPV)とは何ですか? 仲田先生: PPVとは、陽性と判定された結果のうち、実際に異常がある割合を指します。 感度や特異度に加えて、その状態がどの程度起こりやすいかという事前リスク(もともとのリスク)に大きく左右され、もともとのリスクが高いほど陽性の結果が実際の異常を示している可能性も高くなります。 知っておいていただきたいのは、「NIPTは確定診断ではないということ」です。陽性はあくまで可能性を示す結果であり、実際に染色体異常があるかどうかは確定検査で確認する必要があります。結果の意味を正しく理解していただくことが重要です。
高齢妊娠だと陽性率が上がるのか
編集部: 妊娠年齢が高くなると、NIPTの結果にはどのような影響がありますか? 仲田先生: 妊娠年齢が高くなると、染色体異常の事前リスク(もともとその異常が起こりやすい状況)が上昇します。そのため、同じ検査精度でも、陽性的中率は年齢が高い方ほど高くなる傾向があります。 編集部: それが「高齢だと陽性率が上がる」と言われる理由でしょうか? 仲田先生: そうですね。検査そのものが変わるのではなく、もともとのリスク(事前リスク)が変わることで、結果の出方や意味合いが変わってくるためです。 数字だけを切り取らず、検査の位置づけや次の選択肢まで含めて考えることが重要です。結果は判断材料の一つとして整理する必要があります。 編集部: ほかに、出生前診断について、知っておいた方が良いことはありますか? 仲田先生: 「検査を受けること」を目的とするのではなく、結果の捉え方などについても理解を深めておくことが大事です。また、検査は保険適用ではなく自費診療となるため、費用の面でも事前に説明を聞き、納得した上で検査を受けることが大事です。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 仲田先生: 妊娠年齢が高くなるとリスクの数字が変化することは事実ですが、それは「不安を煽るための情報」ではありません。数字はあくまで判断材料の一つです。 私は医師として30年以上、多くのご家族の意思決定に関わってきましたが、大切なのは数字に振り回されることではなく、ご自身の状況や価値観に照らして納得できる選択をすることだと感じています。 不安や疑問があれば、一人で抱え込まず専門家に相談していただきたいと思います。