水俣病慰霊式 「私たちの努力で解決して、教訓に」と患者・遺族代表

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 水俣病の公式確認から5月1日で70年を迎えた。熊本県水俣市では犠牲者慰霊式が営まれ、石原宏高環境相が参列。「終わった問題」と誤解されがちだが、今なお患者・被害者は痛みやしびれなどの症状に苦しみ、救済を求める声を上げている。

 水俣市などが主催する「水俣病犠牲者慰霊式」が午後1時半、エコパーク水俣親水緑地「水俣病慰霊の碑」の前で始まった。

 水俣市の高岡利治市長は式辞で、「70年という歳月は非常に長い時間でありながら、ご遺族や被害に遭われた方の深い悲しみ、苦しみが癒えることはありません」と強調した。

 地域の再生と融和の促進への思いを語り、「過去の教訓を胸に刻み、形にすることが私たちの責務です。官民一体となった地域作りを進めることで互いに支え合う『もやい直し』がさらに進むことを切に願っております」と述べた。

祈りの言葉

 献花の後、各団体の代表者から「祈りの言葉」が捧げられた。

 冒頭に前に立ったのは、患者・遺族代表の緒方正実さん(68)。自身がこれまでの人生で家族の水俣病で苦しんだこと、自身が差別や偏見を恐れて認定申請できなかったことなどを語った。

 「水俣病が解決した」といえるのは、水俣病を起こしたことを心から反省し、教訓につなげる時だと指摘。「水俣病問題は人間が起こしてしまった出来事なので、私たちの努力で解決し、次世代の子どもたちに、教訓として伝えたいと思う」と述べた。

 石原環境相は「祈りの言葉」で、「高度経済成長を背景に生じた水俣病は、健康被害だけでなく地域に亀裂をもたらした。政府を代表して、水俣病の拡大を防げなかったことを、改めて衷心よりおわびを申し上げます」と謝罪した。

 その上で、水俣病の原因である水銀を包括的に規制する国際ルールの水俣条約に触れ、「水俣病のような悲惨な公害は、世界のいかなる国においても繰り返されてはなりません。国際社会の先頭に立って、水銀による環境汚染や健康被害のない世界の実現に向けて積極的に取り組んでまいります」と語った。

 木村敬・熊本県知事は、長年にわたって水俣病への偏見や差別が人を苦しめてきたことに触れ、「公式確認70年を契機に、水俣病の教訓を国内外、次の世代に継承する1年としたい」と述べた。知事として、「水俣病問題に真摯(しんし)に向き合い、解決に向けて全力をつくすことを誓う」と話した。

 水俣病の原因企業チッソの山田敬三社長は「廃水で多くの方が犠牲になり、地域にご迷惑をおかけしたことは痛恨の極み。改めて心から深くおわび申し上げ、二度と同じ過ちを繰り返さないことを心からお誓いする」と陳謝した。

 再生可能エネルギーをつかった発電やカーボンニュートラルにつながる製品開発など同社の取り組みに言及し、「社会課題の解決に邁進(まいしん)していくことで経営基盤を安定させる」と語った。

 水俣市立久木野小学校6年生の吉田泰さんは「過去の過ちを僕たちは決して忘れてはならないと強く感じた」と述べた。

 水俣病について学んだことを紹介し、「豊かさは時に命を奪う。豊かさは人と人とのつながりを断ってしまう。豊かさのおかげで今もなお、つらい思いをしている人がいる」と強調。差別や偏見のない社会の実現とともに自然を大切にしながら、「水俣の良さを発信します」と誓った。

 その後、式典は終了した。

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