子どもやその保護者に無料、もしくは安価で食事を提供する「子ども食堂」。貧困家庭への支援だけでなく、地域住民の交流の場としても需要が広がり、現在では全国に1万ヵ所以上が設置されているという。自治体からの支援があるとはいえ、基本的に運営はボランティアであり、地域の主婦などが運営を担っていることが多いようだ。
北関東に住む、小谷野真美さん(仮名・52歳)もそのひとり。3年前、夫が定年退職したことをきっかけに念願だった子ども食堂(以下・A店)をオープンさせた。
当初は順調だったA店だが、次々と予期せぬ出来事が起こるように。ボランティアスタッフの給与問題に続き真美さんの頭を悩ませたのは、「予期せぬ利用者」の存在だった。
前編記事『「子ども食堂なんてやるんじゃなかった…」閉店を余儀なくされた大人気店、ボランティアスタッフからの「予想外の不満」』より続く。
夫が猛反発するように
「最初はスタッフの家族でした。A店を手伝っているせいで『自宅で料理するヒマがない』と言われたら追い返せないですよね。まさか、この人たちからだけお金をもらうわけには行かないので、無償提供です」
スタッフの家族の利用が「当たり前」になると、友人や知人まで連れて来るようになり、かつての食材の提供者までも同様に利用するようになる。
「そのせいで席が足りなくなり、本来の利用者が入って来られないという本末転倒なことにもなりました」
そのため、真美さんは「部外者」の利用者を自宅のダイニングに誘導するのだが、「プライベートを侵害されている気分になる」と夫が猛反発。当初は応援してくれていた夫が子ども食堂の運営に難色を示すようになる。
「それだけでも頭が痛いのに、今度は家の周りに不審者がやって来るようになったんです。家の周りを車でグルグル回ったり、出入り口の前で待ち伏せするようなこともありました。子どもが集まっていることがわかってたんでしょうね」
真美さん宅は周りに民家が少なく、道路に防犯カメラなども設置していない。「子どもたちに何かあってはいけない」と、真美さんは日が暮れてから出入りする子どもたちの送迎まで始めるようになるのだが、これがさらなる負担になったのは言うまでもない。
「労力がかかるだけでなく、ガソリン代もきつかったです。すべて私が勝手にやっていることなので、有料にもできませんでした」