【のあ的簡単バリュー株投資】中級者向け
前回の記事が好評だったので中級者編も作りました。
前回は
簡単スクリーニング
↓
罠銘柄回避法
↓
利益と純資産の推移
という内容で超簡単なバリュー株投資について解説しました。今回はそこから少し踏み込んでバリュー株投資を解説してみます。
ただし、あまり投資で”高み”を目指すと、毎日が苦しくなるので程々に😂
この辺の考え方はインデックス投資とイメージが近いです。あまり投資に真剣になると毎日投資のことで頭がいっぱいになりますから。
インデックス投資は「市場平均」を取りに行く投資であって、決して”素晴らしいパフォーマンス”を目指すものではありません。バリュー投資も同じで、インデックスよりリスクが低くなるだけで、決して素晴らしいパフォーマンスが出せるわけじゃないんです。
ただ、低リスクなのは良いことです。これは暴落を経験した人ほど実感するのではないでしょうか。指数に連動しにくい銘柄に投資すれば下落相場でも持ち堪えることができますし、多くの場合、配当利回りが高いので株価が上がらなくても辛抱することが可能です。
それに「リスクの割にリターンは良い」ので、長期投資に向いています。あのウォーレンバフェットもバリュー投資家ですから、リターンが悪いわけでもないんですよね。
今回の簡単バリュー株投資(中級者編)では、リスクを変えずにリターンを少しでも上げるための深掘りとして、次の3つを意識します。
① 企業財務の内訳
② 株主還元方針の確認
③ バリュー投資の心構え
では、それぞれ解説していきます。
① 企業財務の内訳
前回の記事、『簡単バリュー株投資(初心者編)』では…
① 簡単スクリーニング
↓
② 罠銘柄回避
↓
③ 営業利益と純資産と配当が増えてる企業
と選んできましたね。
今回はそこからさらに深掘りして見ていきます。中級者編①は企業財務です。
ここでは、企業がどれくらいの純資産を持っているのか?
またどれくらいの負債を抱えていて、合わせてどれくらいの資金力があるのか?を知ることが目的です。
まず、IRバンクというサイトを活用します。ここで調べたい企業を検索します。今回は「武田薬品」と「昭和真空」を比較してみましょう。
IRバンクを下までスクロールすると、財務状況という欄があります。ここをクリック!
ここからさらに下にスクロールすると、バランスシート(BS)が出てきます。2024年度最新版を見てみましょう。
武田薬品の場合は流動資産2.55兆円に対して、流動負債と固定負債が合わせて7.83兆円あります。借金を返済するには5.28兆円足りませんね。
しかし武田薬品のPBRは0.9倍です。つまり保有純資産に対して、時価総額の方が安いバリュー株なんです。それなのになぜお金が足りないのでしょうか?
それは12.5兆円の固定資産があるからです。企業によってその内訳は異なりますが、固定資産のほとんどは適正価格で売れないと覚えてください😇
なぜなら固定資産は、保有不動産や工場の機械、あるいは買収した企業の「のれん」など、適正価格で他の会社が買ってくれるとは限らないからです。
だから大事なのは流動資産−(流動負債+固定負債)なのです!借金を払っても残る現金こそがその会社の本当の資産です。
それに対して「昭和真空」という会社を見てみましょう。この会社はPBR0.8倍で武田薬品とほとんど同じバリュエーションです。
しかし流動資産−総負債をやってみると、約76億円も残ります。
そしてこの会社の時価総額は87億円です。もし87億円で買収できたら、87億円払って76億円の現金が入った会社が手に入ります。つまり実質の買収額は11億円というわけです。
同じようなPBRでも、財務を見ると全然違うことがわかりますよね。
もし自社株買いや増配という株主還元をやろうと思っても、武田薬品は現金が少ないため、やりたくてもできないんです。しかし昭和真空のような会社はやろうと思えば自己資金で会社を買収することもだって可能なのです。
流動資産−総負債 > 時価総額になっている会社を見つけたら”” 超割安 ””と考えてください。
⭐️ 結論 ⭐️
流動資産−総負債をやって、大きく現金が残る会社を見つける!
② 株主還元方針の確認
この確認はとても簡単ですが、非常に重要です。
株主還元方針を確認するには、企業の「適時開示」というページを見ます。これは企業HPから見てもいいし、証券会社から見ることも可能です。
その適時開示の中で、次の3つの見出しを探します。
1.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
2.新中期経営計画のの査定に関するお知らせ
3.配当方針の変更に関するお知らせ
とにかく適時開示の中で、決算資料よりも何よりもこの3つを先に見ます。これらの適時開示が無い会社は〝まだ〟買うのを控えた方がベターです。
還元方針が明確化された後から買ってもバリュー株投資は遅くないので。こういう地味な確認も罠銘柄回避に役立ちます。
それぞれ見ていきましょう。
1.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
東リという会社を例に挙げます。
ここにはPBR1倍割れ解消のために、企業が株価を上げる具体的な取り組みについて書いてあります。
その中で、「株主還元方針」という項目を見つけましょう!
こういう株主還元方針が決まっているところは配当の計算がやりやすいだけでなく、株価も下がりにくくなります。狙うならこういう還元方針が明確な会社が良いですね!
東リの場合は、配当性向を30→50%に引き上げ、DOEを2.0%→3.5%に引き上げ、さらに配当の下限を19円に設定するという記載まであります。
配当金19円下限ということは、19÷492円(その日の株価)=配当利回り3.9%がほぼ確定しています。
東リに投資すれば高確率で配当利回り3.9%が約束されているので、還元方針が書かれていない同じようなバリュエーションの会社(PER10倍以下/PBR0.6倍以下)に投資する価値が無くなるということです。
〝同じバリュエーションで同じ配当利回り〟なら、配当下限を設定している東リの方がリスクが低いという考え方です。
バリュー株投資ではリターンを高めるだけでなく、リスクを下げることも考えます。これがかなり大切。
これは東リの日足チャートです。黄色の日経平均株価と比べて、トランプ関税ショックがあった4/7からの回復が早いですよね。高値からの落ち幅も指数と比べて小さく、回復も早い=低リスクということです。
2.新中期経営計画の査定に関するお知らせ
次に大倉工業という会社の中期経営計画を見てみましょう。
ここの株主還元方針を見ます。大体下の方に書いてあるのでスクロールしてください♪
中期経営計画には肝心の株主還元よりも、「SDG's」だとか「環境に配慮した〜」とか「持続可能な社会の実現のための〜」に長いページが割かれていることがありますが、こんなところは1文字も読まなくて大丈夫です。上場企業なので、クリーンなイメージを出すための建前が必要なんです。※余談でした😣
ここでもDOE(純資産配当率)の引き上げについて記載がありますね。配当性向よりもDOEの方が還元意識が高く、市場で好感されやすいです。こういう還元方針が明確になった会社は投資家から注目が集まりやすくなります。
3.配当方針の変更に関するお知らせ
これも、テンションが上がる開示の一つです!内容次第ではストップ高になる可能性を秘めています。
中身を見ると、配当方針にDOEを導入していますね。このような変更があったらすぐに監視リストに入れることをお勧めします!
株主還元方針でインパクトのある順に並べると
1位 DOE導入
2位 累進配当の導入
3位 配当性向の引き上げ
4位 自社株買い(規模次第)
こんなイメージです。ただ、インパクトがあまり大きくない配当性向の引き上げであっても、10%→50%のような大きな変更があった場合には株価は大幅に上昇します。
⭐️そもそもDOEってなに?って人向けに簡単解説!
配当性向は「純利益に対して⚪︎⚪︎%の配当を支払う」というものでした。だから利益が減ってしまったら配当も少なくなってしまいます。
一方DOEは「純資産に対して⚪︎⚪︎%の配当を支払う」という配当方針です。つまりBPS(=1株あたり純資産)が増えている限り、配当も増え続けるし、減益になったからといってすぐに減配ということにはなりにくいのです。
前回の記事の③でBPSが右肩上がりになってる銘柄を選びましたよね?そういう銘柄がDOEを導入すれば、自然と配当が増え続けます。さらに増配に合わせて株価も上がっていくので、インカムもキャピタルも狙える美味しい投資になるのです。
だから増配の予測はとても簡単なんです!
③ バリュー投資の心構え
中級編最後はバリュー投資の考え方についてです。
なぜこれを最後に持ってきたのかというと、時間軸が他の投資と全然違うからです。バリュー株投資では時間軸が一番大切と言っても過言ではないくらい。
普通、個別株投資というと「1ヶ月で⚪︎⚪︎倍になった!」みたいな夢物語をイメージしませんか?
でも、実際そんな投機は非常に危険な仕手株や、レバレッジをかけたギャンブルじゃないと達成できません。最近だとメタプラネットや、米国株のコアウィーブみたいな銘柄です。
しかしそういう投機は大幅なマイナスというリスクも上がるため、持続可能じゃないんです。信用取引をしていれば破産のリスクもあります。才能と運に恵まれている人以外にはお勧めできない投資法なんです。
対照的に、バリュー投資はそんな投機とは全く違い、企業の価値に株価が追いつくのを待つ投資です。しかしその間に倒産や企業価値の下落になってしまっては困るので、財務健全で景気に左右されにくいバリュー株を選別するんです。
だから時間軸は短くても年単位、長く見ると10年以上かけて企業を見守っていく必要があります。
実際、バリュー株というのは長期で見るとTOPIXをアウトパフォームしてるんです。
こちらをご覧ください。
私が実際に買っているバリュー株の超長期の株価推移です。リーマンショックや東日本大地震を経て、TOPIXを大幅に上回っていますよね?
さらに3〜5%の配当も毎年入ってきています。しかも増配されて。このチャートには配当は加味されていないので、実際はもっと大きな差がつきます。
逆に、キラッキラのグロース株はどうなのかというと、初期に買った人は良い思いが出来ていますが、高い時に買った人は大損しています。
グロース株というのは、将来の利益を先取りして株価に織り込んでいくため、時間が経つと正しい価値に戻されて暴落していくことが多いです。こういうリスクを背負って投資するのは非常にストレスフルですよ🥺
グロース株は「待つ投資」ではなくて、「逃げ切る投資」なんです。期待が高まっているうちに他の人に高値で売り渡すのが正しい投資法。だからバリュー株投資に比べて難易度が高いのです。
〝PBR5倍〟みたいなグロース株は純利益の2〜5倍程度の純資産しか持っていません。だから利益が半分になったら、純資産に対して25%〜40%の影響があります。”資産”ではなく、”利益”に依存しているため、少しでも成長率が鈍化したり、成長率が変わらなくても景気見通しが悪化するだけで大暴落してしまうんです。
一方、〝PBR0.5倍〟のバリュー株投資は大体20年分程度の純利益が純資産に蓄積されています。つまり純利益が半分になっても、純資産に与える影響はたったのは「たったの2.5%」です。逆に純利益が2倍になっても純資産に与える影響は10%なんですね。だからそんなに早く企業価値なんて変わりません。企業ファンダメンタルズというのは最低でも数年かけて変化していくものです。
バリュー株を安い位置で買って10年以上持ち続ければほとんどの場合、報われます。これはインデックス投資も近い考え方ですね。しかしバリュー株投資は指数をアウトパフォームしてくれることが多いです。
インデックス投資は安心安全という信仰が強いですが、実はグロース株が多かったり為替に左右されたりと値動きはバリュー株よりも遥かに大きいですから、安全に資産運用するならバリュー投資はとってもおすすめです。
個別株もぜひ長期で見てください✨
⭐️ まとめ ⭐️
① 流動資産−総負債をやって大きく現金が残る会社を見つける!
② DOEや累進配当宣言など、株主還元方針が明確な銘柄に絞る!
③ バリュー株こそ長期視点で。1ヶ月で⚪︎⚪︎倍なんて狙わない!



コメント
2トンカチで頭叩かれるくらい
めちゃくちゃハッとしました
自分は配当が主目的PF構築が目標なのに
調子にのって
決算書速読系書籍を買い集めて
キャピタル狙いなど余計なことを考えはじめてた週末でした。
大ブレしそうになってました
たすかりました
良質すぎる記事ありがとうございます
>なつたそさん
いろんな投資法に挑戦することは悪いことじゃないんですが、軸がブレると下落相場になった時に失敗してしまいます。
資産の10%以内で常に新しい投資を試すのは面白いですよ✨