義務教育学校、活性化へ期待背に船出 海運で栄えた町、少子化 岡山
岡山県倉敷市下津井地区にある市立の中学校と二つの小学校を統合した義務教育学校「下津井学園」が誕生した。古くは海運で栄え、今は瀬戸大橋のふもとの港町。2千人を超える子どもを抱えた時期もあったが、産業構造の変化などにより少子化が加速。地域ぐるみの小中一貫教育で活性化の一翼にと期待がかかる。 【写真】開校式では、6、7年が地域で歌い継がれている「正調下津井節」を披露した=2026年4月17日午前10時8分、倉敷市下津井吹上、小沢邦男撮影 下津井中と下津井東小、下津井西小の3校を、地元からの要望に基づき再編。今年度は小学1~6年相当の前期課程95人、中学1~3年相当の後期課程(7~9年)36人の131人で迎えた。下津井中の校舎を改修して活用する。 開校式は17日にあった。6、7年の児童生徒が、江戸時代から歌い継がれている民謡「正調下津井節」を披露。4、5、8、9年も下津井節の踊りで式を彩った。 児童生徒代表のあいさつでは、山崎一護さん(6年)が「私たちは新たな学校の歴史の一歩を踏み出す。後輩を支え、先輩の力を借りながらよりよい学園にしたい」。津田優輝さん(9年)は「前期生に『かっこいい』と思われる、常に皆を引っ張れる先輩になる」と誓った。 開校に伴い、鉄筋2、3階建ての3棟の外壁を塗り直し、床や天井を新調。瀬戸大橋を一望できる技術室の一部は地域住民に開放する多目的室とした。また廊下の手すりや手洗い場は、低学年が使いやすいよう付け替えるなどしている。 半島部の先端という立地柄、通学路には高低差が激しい場所がある。野犬の出没などもあり、通学路のあり方をめぐっては保護者らから懸念の声が上がっていた。市が新たにスクールバスを運行するほか、地元の福祉団体がボランティアで送迎を担うなど、地域ぐるみで安心な登下校を支える。 下津井地区はかつての瀬戸内海の海運の要衝。江戸~明治期には全国を巡った商船「北前船」の寄港地として栄えた。さらには漁業や周辺の繊維産業でうるおい、高度経済成長期には人口1万人余り、小中学生は2200人を超えたという。 しかし次第に海運は陸運に取って代わられ、水島コンビナートへの労働力流出、1988年の瀬戸大橋開通で地域は縮小の一途をたどる。現在の人口は4千人弱、高齢化率は4割を超えるとされ、空き家対策や地域活性化は喫緊の課題として迫る。 歴史的なまち並みが残る一角として、ゲストハウスやお試し住宅の開業などが進んでいるという明るい側面もある。「物言いはキツイが正直で温かいのが下津井の人情」とは荻野正樹校長。前年度に約20年ぶりに旧下津井中に戻ってきた。「児童生徒全員で地域の人とさらに関わり、地域に受け入れられる学校を築きたい」(小沢邦男)
朝日新聞社