「細い糸を通してキャッチャーに意識を飛ばす」――阪神の「変人」大竹耕太郎の投球イメージ
合気道トレーニングで自分の体に起きていることを感じる
2022年オフ、阪神への移籍直前に福岡で合気道に基づいたトレーニングに出合いました。それから今日まで、シーズン中は毎週1回、必ずマンツーマンレッスンを受けています。合気道トレーニング? どんなことをするのか、大半の方はまったくイメージが湧かないかと思いますが、基本概念は「自分の身体に起きていることを感じる」ことです。 大まかに分けると、脱力、骨の感覚、意識の方向などなどを意識しながら、身体を動かします。マットの上に立ち、木刀を握って先生と押し合ったり、互いの体を持ち上げたり、回転させたり。足元から手の指先まで、神経を研ぎ澄ませながら、さまざまな動きに挑戦しています。体を動かしながら、肉体、意識、環境の関係性を感じ取り、それらが統合されていくことが目的です。 それぞれの動きや意識は相関しているので、一つひとつを切り取って考えるのは難しいですが、ここでは特に大切にしている合気道トレーニングから学んだことを一つ紹介したいと思います。
意識の矢印を自分ではなくキャッチャーやバッターに向ける
まずは意識を外に飛ばす、自分から外すというものです。「打たれたらどうしよう……」「投球フォームが気になるな……」。これらは意識の矢印が内側に向いている状態です。 僕は内側に入ってくる矢印を同じだけ外側に飛ばすイメージを常に持っています。球を受けてくれているキャッチャーへ、相手のバッターへ意識を飛ばす。そして、その意識を切ることなく、毎球投げています。わかりやすく言えば、細い糸がキャッチャーとつながっていて、集中が切れたらその糸もプツッと切れてしまうようなイメージです。この感覚がピッチングにおいてはかなり大切です。 この感覚はあらゆる場面で養うことができます。自分で何かターゲットを決めて、そこから意識を外さずにいることです。これは身体を動かさなくてもできることで、あいさつを口にするときにちゃんと相手に意識を向ける、お辞儀をするときも相手に対して気持ちを向ける。そんなことを積み重ねることでトレーニングになります。 写真=BBM
週刊ベースボール