職場の男女差別解消、「不十分」61% 均等法施行40年 朝日世論

山下龍一

 男女雇用機会均等法の施行から、今年で40年。朝日新聞社の全国世論調査(郵送)で、賃金・昇格など職場での男女差別はかなり解消されたと思うかを聞くと、「まだ十分でない」が61%で、「かなり解消された」の34%を上回った。「まだ十分でない」は男性51%に対し、女性は70%にのぼった。

 1986年の均等法施行から10年余りが経った、99年8月の全国電話世論調査で同じ質問をした時は、「まだ十分でない」59%、「かなり解消された」24%だった。調査方法が異なるので単純に比べられないが、職場での男女差別解消が十分に進んでいないとみる世論がいまだに多数を占めた。

 今回の結果を男女別にみると、女性の「まだ十分でない」は全体より多めの70%に達し、「かなり解消された」の26%を上回った。一方、男性の「まだ十分でない」は全体より少なめの51%にとどまり、「かなり解消された」が45%だった。

 年代別では、「まだ十分でない」は60代の70%が最も多く、18~29歳の45%が最も少なかった。職業別で「まだ十分でない」が最も多かったのは主婦・主夫層の74%だった。「かなり解消された」は、自営業者層の44%が最も多かった。

妊娠や出産、育児が理由の不利益な扱いは…

 調査では、妊娠や出産、育児を理由とする不利益な扱いが日本の企業でどの程度残っているか4択で聞いた。

 「残っている」は、「大いに」25%、「ある程度」59%を合わせて84%で、「残っていない」の「あまり」12%、「まったく」1%を合わせて13%を大きく上回った。

理工系入試の「女性枠」 賛否割れる

 理工系の大学入試で、女性を優先する「女性枠」を設けることに納得できるか尋ねると、「納得できる」43%、「納得できない」49%だった。

 年代別にみると、50代以下で「納得できない」は半数を超えた。60代では、「納得できない」43%、「納得できる」49%だった。一方、70歳以上では、「納得できる」が53%で多数派だった。

 調査は「いまの政治や憲法」などをテーマに、全国の有権者から3千人を無作為に選び、3~4月に郵送法で行った。有効回答は1827で、回収率は61%だった。

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 調査の詳報や質問と回答は5月3日付朝刊に掲載します。

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ミニ解説 若手世代は異なる意識 今後に注目

 政治・経済など様々な分野で女性が昇進し、組織の意思決定を担う場面が増えている。ただ、今回の結果は、職場での男女差別解消が「まだ十分でない」という意識の根強さを明らかにした。「男女平等」への道はなお遠そうだ。

 一方、18~29歳の回答に目をこらすと、別の見方もできる。この世代の意識は、「まだ十分でない」45%、「かなり解消された」42%と割れた。「まだ十分でない」が大勢の年長世代には見られない傾向を示していた。しかも、「まだ十分でない」と答えた人が全体よりかなり少なめだった。

 18~29歳というと、社会に出たばかりの若手世代。今後、キャリアアップするなかで厳しい現実に直面した場合、考えが変わるかもしれない。この世代の意識がどうなるか、注目したい。

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この記事を書いた人
山下龍一
世論調査部
専門・関心分野
国政、地方自治、トライアスロン
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    益尾知佐子
    九州大学大学院教授=中国研究
    視点

    いま大学生の娘がいます。彼女は関東と九州で二つの保育園に行きました。当時はどちらの送迎もまだ女性の方が圧倒的でした。うちの夫はやっていたのですが、彼曰く、関東の方では園内に男性がいてもそう違和感がなかったのが、九州では完全に浮いてしまい、ママさんたちが話しかけてくれることもなくてかなり孤独だったようです。関東では男性と同じように働いているママはもう多かったのですが、当時九州ではママさんはほぼパートでした。 それから10数年。その間に日本経済は、共働きでなければ成り立ちにくいものに変化。先日、友人のヘルプで久しぶりに関東で保育園の送迎をしました。送迎してた親の性別はもう半々でした! 朝、子供を園に送った後、パパさんたちが入り口のところで寝かしつけの相談をしあっているのを目撃して驚愕。夫に言うととても羨ましがってました。 子育てするパパたちに育てられた子供たちは、当然ですが男女平等が当然と思うでしょう。最後に効いてくるのは、私たちの頭の中にどういう「常識」がインプットされているか。それを変えていかねば本質は変わりませんが、変化はもう起きていると思います。(でも、九州などの地方ではやっぱりゆっくりですね...。1-2世代違うかな? はあ。)

    2026年4月27日 06:00
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    長島美紀
    国際NGOプラン・インターナショナル
    視点

    今回の調査で、「まだ十分でない」とする回答が多数を占め、さらに男女差や年代差が明確に表れている点は、より丁寧に読み解く必要があると感じます。単に「差別が残っている」という結論にとどまらず、誰が・なぜそう感じているのかを分析しなければ、実効的な対策にはつながりません。 私は、昨年の内閣府男女共同参画局の調査「未来をつくるジェンダー意識」(https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/team/WEPs/pdf/20250806_01.pdf)に関わりましたが、そこでは若年層の意識は性別だけでなく、学歴や階層意識、親世代の経歴といった複合的な要因に影響されることが示されました。また、学生時代と就業後とでジェンダー認識が変化する傾向も確認されています。今回の調査も、背景要因を踏まえた分析が求められます。 一方で、年代が上がるほど「解消されていない」と感じる割合が高い点は、日本の雇用慣行の歴史的な影響を考慮する必要があります。単なる世代差としてではなく、経験の蓄積として捉える視点が必要です。 さらに、理工系入試における「女性枠」については賛否が拮抗していますが、男女別の回答が示されていない点は議論としてやや不十分に感じられます。政策的な議論を深めるためには、少なくとも性別や年代などのクロス集計を提示することが重要ではないでしょうか。

    2026年4月27日 06:00

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