リアル西遊記(2)〜俺たちの行くところが天竺になる編〜
こちらの記事の続編です。
早朝会議の結果「なぜ生まれて来て、なぜここにいるのか。それは、遊ぶためだと思います。楽しむこと。そのために私たちは生まれて来て、ここにいるのだと思います」と言う結論に達した三蔵法師と三匹の猿は、波動高めな場所には留まり、波動低めの場所からは離れることを誓った。世界遺産だろうがなんだろうが「せっかく来たのだから」的なことを断じて思わない。用事が済んだらさっさと離れる。また来たくなったら、また来ればいい。観光に対するスピード感がエゲツない。
パリを離れ、電車を乗り継ぎバスク地方に来た。車内では幽体離脱をテーマに盛り上がった。臨死体験の経験者は同じような感想を語る。死後の世界は恐るるに足りない。そのことを腹の底から実感するために、生に対する執着を手放し、軽やかに、軽やかに、タンポポの綿毛のようなフットワークで欧州を旅する。奇跡の出会いを果たし、現地を案内してくれるドライバーを獲得した。ドライバーから「君は背が高いから前の席に乗って」と言われたベースの孫悟空は威風堂々と運転席に座ってドライバーの爆笑をかっさらった。ジャパニーズギャグが炸裂して、絆は急速に深まった。
食事は全部三蔵法師の手作りになる。地元の市場で旬の食材を買い、家に帰って適当に捌く。これがまたべらぼうに美味い。肉も魚も野菜もチーズもハムもサラミもバターもワインも何もかも美味い。三匹の猿は「本当にありがとうございます」と御礼だけは丁寧に言うが、一切の調理を手伝わない。ベースの孫悟空に限っては「これは味付けが少ししょっぱいね」などと、恐ろしいことを口にする。三蔵法師は人間界でも相当に上の立場の人なのに、それをアゴで使うベースの孫悟空に復讐するは我にありの榎津巌を感じた。俺はとんでもない人とバンドを組んでいるのだなと震えた。
南フランスにはパリの緊張感がない。港街特有のオープンエアーな雰囲気が心地よく、自分がどの国にいるのかがわからなくなる。東洋人がまったくいない。街行く人が興味津々にこちらを見てくる。その眼差しは決して嫌なものではなく、一人で来ていたら「あれがこうしてこれがこうなり、今夜はワンナイトカーニバルです」みたいなことになるのだろうと思った。最寄りの海はヌーディストビーチであり、何もかもが開放的であった。
家に帰り映画を見ようと言うことになった。三蔵法師は映画の造詣が深い。三蔵法師に好かれたいがために、三匹の猿は必死で映画に喰らいつく。諸事情が爆発して、日本映画の鬼畜を見るか楢山節考を見るかで揉めた。本当は誰も楢山節考なんて見たくなかったのに、ベースの孫悟空が「楢山節考はパルムドール賞を獲ったからフランス滞在にぴったり」とゴリ押しして、楢山節考を見た。その晩、ギターの孫悟空(私)は悪夢にうなされた。こんなことをしている場合ではない。いい加減、神秘体験を重ねなければならないと焦った。
ら、奇跡が起きた。
(つづけ・・・)
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ばっちこい人類!!うおおおおおおおおお!!


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