コナン映画エンドロールの実写映像 白バイを操る女性の正体を探ると
10日から全国公開されて大ヒット中のアニメ映画「名探偵コナン ハイウェイの堕天使」では、神奈川県警交通機動隊の女性白バイ隊員が活躍する。映画のエンドロールでは、登場人物をほうふつとさせる白バイの実写走行シーンがある。ハンドルを握るのは、実際の女性隊員だ。
キャラに「寄せる」ため髪カットも我慢
「スタイリッシュに、なるべくスマートに、を意識しました」
撮影を振り返るのは、県警交通総務課の女性白バイ隊「ホワイトエンジェルス」の草間恵海(めぐみ)巡査長(28)。本作のキーパーソンの白バイ隊員・萩原千速と髪の長さや背丈が似ていると抜擢(ばってき)された。
撮影は数日に分けて行われ、山下ふ頭(横浜市中区)やターンパイク箱根など、神奈川県内の複数のロケ地で白バイを走らせたという。
スピード感を出すため、乗車姿勢は前傾を意識し、萩原のイメージに近づけようと髪も切らないようにした。事前にアニメで萩原の登場回を見て予習を重ねた。
「壁を走ったりジャンプしたりはできなかったけど、映画に登場する場所を巡る様子を楽しんでもらえたら」と笑顔を見せる。
間近で見て憧れた箱根駅伝の白バイ
刑事ドラマ「相棒」を見て、警察官を志した。中高大と陸上競技に打ち込み、大学時代、陸上部の先輩に勧められたのがきっかけで、オートバイに乗り始めた。「色々な走り方ができるし、自分の思い通りに乗れるものではなく、奥が深い」と魅力を語る。
大学では箱根駅伝の補助員を経験し、レースを先導する白バイ隊員を間近で目にした。「かっこいい、乗ってみたい」と憧れを強め、白バイ隊員を目指すようになった。
2020年に県警に入り交通課員を志したが、講習直前に右足を骨折した。約1年間、走ることもバイクに乗ることもできなかった。
「もう治らないかも」と不安にさいなまれたが、リハビリを経て再挑戦。23年秋に交通指導係に配属され、24年から現部署に。県内に6人だけという女性白バイ隊員の夢をかなえた。
仕事に欠かせない「相棒」
重量約300キロの白バイは、転倒時に自力で起こしたり、エンジンをかけずに押して移動したりする必要があり、体力が求められる。安全運転講習で見本を見せたり、安全に違反車両を取り締まったりするには、高度な技術力も欠かせない。
人命がかかる分練習は厳しいが、「姿を見せるだけで運転手の気が引き締まり、交通ルールに気をつけてくれる」とやりがいを語る。白バイは仕事に欠かせない「相棒」だという。
「映画を見て、オートバイに興味を持った人もいると思う。安全運転講習で色々な知識や技術を学んで、事故なく安全に乗っていただきたい」
「コナン特需」ねらいコラボ次々
映画特需にあやかろうと、劇中で描かれる神奈川県内の各エリアでは、自治体だけではなく企業も続々とコラボ商品を発売している。
横浜市と市観光協会などは同作と連携協定を結び、みなとみらい地区を中心にコラボ施策を始めた。特別デザインのラッピングの連節バス「ベイサイドブルー」を運行し、謎解きをしながらスタンプが設置された10カ所を巡るスタンプラリーなどもある。
クイーンズスクエア横浜では、みなとみらい駅改札がある地下から地上までを結ぶ3基のエスカレーターの約82メートルの手すりに劇場版と原作漫画のイラストがデザインされている。
JR東日本も、首都圏中心に各駅でスタンプラリーを開催する。「崎陽軒」や菓子ブランド「横浜バニラ」はコラボ商品を販売。書店「有隣堂」も「横浜駅西口コミック王国」でコナンストアを開催するなど、地元企業のコラボ企画が目白押しだ。
各地に恩恵「聖地巡礼」
箱根エリアでは箱根町と小田原市、湯河原町などが映画公開に合わせ、原作漫画「名探偵コナン」と連携して周遊キャンペーンを始めた。3市町を巡るスタンプ企画で、小田原市観光交流センターや箱根関所(箱根町)など6施設にある、それぞれ色の違う六つのスタンプを、1枚の台紙に押すとイラストが完成する。
小学館コミック事業室で原作漫画の宣伝担当をしている杉中実さんによると、以前からアニメの舞台の「聖地巡礼」は盛んだが、ここ数年はコナン映画の舞台にも多くのファンが訪れているという。
昨年の「隻眼の残像(フラッシュバック)」の舞台となった長野県南牧村の「国立天文台野辺山」は、公開後から多くのファンが詰めかけ昨年度は前年度比約3.5倍の来場があった。
一昨年の「100万ドルの五稜星(みちしるべ)」の舞台の函館市では昨年6月、市議会で前年度の「コナン関連予算」が議題にあがり、「103億1千万円が直接的な消費効果だったと推測している」との答弁があるなど、「コナン特需」の影響は大きい。
今作のメインは箱根町で、小田原市や湯河原町は実は「素通り」だ。しかし、小田原駅ではコンコースや近くの地下街にコナンの横断幕やパネルを置くなど、ファンの取り込みを図る。周遊キャンペーンも、小田原市と湯河原町に「ファンが訪れる機会になれば」と考えた杉中さんの提案だった。
小田原市の担当者は「名探偵コナンは誰もが知る作品。小田原に立ち寄ってもらえる機会になれば」と話す。
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