政府は21日、防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷・破壊能力のある武器の輸出を事実上、全面的に解禁した。今回の改定について武器輸出三原則や平和主義の研究に取り組む学習院大の青井未帆教授(憲法学)に聞いた。青井氏は被害を受ける側の視点と、国民的な議論を欠いたままの改定に疑問を投げかけた。(坂田奈央)
◆「どんな歴史の上に築かれた平和か考えて」
──殺傷武器を含む防衛装備品の輸出が事実上、全面解禁されます。
日本は長らく、防衛装備品の輸出をほぼ全面的に禁じてきました。背景には、かつて朝鮮戦争やベトナム戦争に日本製の武器が使われ、多くの人が亡くなった歴史があります。国民に共有された「それでいいのか」といった倫理的な問題意識が背景となって「武器輸出三原則」が打ち出され、定着しました。
「日本は平和ボケだ」と言う人もいますが、私たちがどんな歴史の上に平和を享受してきたのかを思い出さなければなりません。被害を受ける側の視点を持ち、武力で紛争を解決するのはやめよう──それが原点だったはずです。
それが今、殺傷兵器の輸出まで解禁することになりました。国民が本当にそれでいいと考えるのかが問われています。
◆国民も慣れてしまったのか
──高市早苗首相は、武器輸出を認める「5類型(救難・輸送・警戒・監視・掃海)」の制約が国内防衛産業の空洞化を招いているとして、解禁によって「デュアルユース(軍民両用)技術を含めて日本経済の成長にもつながる」と主張しています。
デュアルユースの議論を持ち出したのは、ごまかしに見えます。確かに軍民の線引きは難しいところがありますが、「難しいから全面解禁もやむを得ない」というのはいかがなものでしょうか。
──今回の政策変更は、政府内の国家安全保障会議(NSC)で決まりました。
自公連立政権の時代から、閉ざ...
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