原油市場他: 米国の対イラン大規模攻撃の警告、そしてその後のイランとの停戦合意等により、乱高下する原油価格

概要

  1. 米国では装置の不具合等の発生により製油所の原油精製処理量が抑制される格好となったこと等もあり、原油在庫が増加、平年幅上限を超過する水準となった一方、石油製品製造活動がもたつき気味となったこともあり、ガソリン及び留出油両在庫は減少傾向となったが、ガソリン在庫は平年幅上限を超過する、留出油在庫は平年並みの、それぞれ量となっている。
  2. 2026年3月末のOECD諸国推定石油在庫の対前月末比での増減は、原油については、米国においては増加した他、欧州でも装置の不具合の発生等に伴い製油所の原油精製処理活動が不活発化したこともあり、原油在庫は増加した。このため、日本においては、輸入が減少したものと見られることもあり原油在庫は減少したものの、OECD諸国全体では原油在庫は増加となり、平年幅上限を超過する状況は維持されている。石油製品については、米国においては、ガソリン、留出油、及びその他の石油製品の各在庫が減少したことから、石油製品全体の在庫は減少した。また、欧州及び日本においては、一部装置に不具合が発生したこと等もあり製油所の稼働が低下したことに伴い石油製品製造活動が不活発化したことにより、石油製品在庫は減少した。このため、OECD諸国全体の石油製品在庫は減少した他、平年幅上方付近に位置する量となっている。
  3. 2026年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場においては、米国により提示された戦闘停止条件をイランが拒否した一方、米国がイランに対し大規模攻撃を実施する意向を示したこと等が、3月中旬から4月上旬にかけての原油相場に上方圧力を加えたこともあり、同時期原油価格は上昇傾向となり、4月7日には1バレル当たり112.95ドルの終値と2022年6月16日以来の高水準に到達した。しかしながら、4月7日に米国とイランが2週間の停戦に合意した他、4月17日にはホルムズ海峡の封鎖を解除する旨イランのアラグチ外相が表明したこと等が、4月上旬から中旬にかけての原油相場に下方圧力を加えた結果、同時期原油価格は下落傾向となり4月17日の終値は83.85ドルと3月10日以来の低水準となっている。
  4. 今後、北半球の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が接近することにより季節的な石油需給の引き締まり感が市場で増大することが、原油相場に上方圧力を加える可能性があるものと見られる。また、米国等とイランとの間での戦闘が停止することに伴いホルムズ海峡の事実上の封鎖が解除されるとともに同海峡における船舶の航行が回復する兆候が見られるまでは、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念が市場関係者間で継続することにより、原油相場が下支えされやすいものと考えられる。そのような中、米国とイランとの間での和平計画等を巡る両国等の動き、イスラエルとヒズボラ等との戦闘状態、ウクライナによるロシアの石油供給関連施設等への攻撃状況、米国及び中国の経済及び金融政策等の動向等が原油相場に影響を与えうるものと考えられる。

(出所 IEA、OPEC、米国DOE/EIA他)

1. 石油市場等を巡るファンダメンタルズ

2026年1月の米国ガソリン需要(確定値)は日量826万バレル、前年同月比2.7%程度の減少と2025年12月の当該需要(同)である日量878万バレル(前年同月比0.1%程度の増加)から需要量が相当程度減少した他前年同月比では増加から相当程度の減少(2025年5月(この時は前年同月比3.6%の減少であった)以来の大幅な減少)に転じた(図1参照)。また、当該需要は速報値(前年同月比2.6%程度減少の日量826万バレル)から若干ながら下方修正されている。2026年1月は下旬を中心として米国の広い範囲に厳しい寒波「ファーン(Fern)」(「歴史的な」大寒波であったとされる)が来襲するとともに気温の低下及び大雪をもたらしたことにより、乗用車を利用した個人の外出が不活発化した(2026年1月の米国推定自動車運転距離数は1日当たり81.5億マイルと前月(同85.8億マイル)比で相当程度減少した他、前年同月(同81.5億マイル)比では同ほぼ横這いであったが、2025年12月は前年同月(同85.2億マイル)比で0.6%の増加となっていた)ことが、同月のガソリン需要の前月比及び前年同月比での減少となって現れたものと考えられる。なお、2026年1月の米国ガソリン需要は世界的な新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月の当該需要(日量872万バレル)(確定値)を5.3%程度下回っている。他方、2026年3月の米国ガソリン需要(速報値)は日量882万バレル、前年同月比0.6%の増加と2月の当該需要(速報値)である日量859万バレル(前年同月比1.1%程度の減少)から需要量は増加した他前年同月比では減少から増加に転じた。2026年3月は前月比及び前年同月比で温暖であったことから、乗用車を利用した個人の外出が促されたものと見られることが、同月のガソリン需要の前月比及び前年同月比での増加に寄与しているものと考えられる。ただ、同月の全米平均ガソリン小売価格が1ガロン当たり3.771ドルと前月(同3.039ドル)及び前年同月(同3.223ドル)から相当程度上昇していることにより、ガソリン小売価格の割高感を消費者が感じる結果、乗用車を利用した個人の外出が敬遠されるとともにガソリン需要が押し下げされている可能性があることから、当該需要は速報値から確定値に移行する段階で下方修正される(もしくは4月以降にガソリン小売価格上昇の影響が需要に織り込まれる)可能性があるので注意する必要があろう。なお、2026年3月の米国ガソリン需要は新型コロナウイルス感染拡大前である2019年3月の当該需要(日量918万バレル)(確定値)を3.7%程度下回っている。他方、春場のメンテナンス作業や一部装置で発生した不具合の改修が完了しつつあったことに伴い、製油所の稼働が上昇するとともに原油精製処理量が増加した(図2参照)。それでもなお、米国の一部製油所において装置の不具合が発生したこともあり石油製品製造活動がもたつき気味となったことに加え、2026年2月28日に開始された米国及びイスラエルによるイランに対する攻撃に伴う、イランの報復措置としてのホルムズ海峡の事実上の封鎖により、中東産油国からの原油とともに、欧州方面への軽油等の石油製品の供給が相当程度削減される格好となったこともあり、大西洋圏では軽油価格がガソリン価格に比べ堅調となったこともあり、米国においても軽油製造利幅が拡大したことから軽油製造が優先された反面ガソリン製造が劣後する形となった(ガソリン最終製品生産量は図3参照)。このため、2026年3月上旬から4月上旬にかけ米国ガソリン在庫は混合基材を中心として減少傾向となったが、平年幅上限を超過する量となっている(図4参照)。

図1 米国ガソリン需要の伸び(2015~26年)、図2 米国の原油精製処理量(2009~26年)、図3 米国のガソリン(最終製品)生産量(2009~26年)、図4 米国ガソリン在庫推移(2003~26年)

2026年1月の米国留出油(軽油及び暖房油)需要(速報値)は日量403万バレル、前年同月比で1.0%程度の減少となり、2025年12月の当該需要(同)である同381万バレル(前年同月比1.8%程度の増加)から、需要量は増加したものの、前年同月比では増加から減少に転じた(図5参照)。ただ、当該需要は速報値(前年同月比1.5%程度減少の日量400万バレル)から上方修正されている。1月は下旬を中心として米国の暖房油の消費中心地である北東部においても厳しい寒波「ファーン」が来襲した結果、暖房機器稼働のための暖房油需要が喚起されたことが、留出油需要を前月比及び前年同月比で増加させる形で作用しているものと見られる一方、2025年を通じ原油価格が下落傾向となったこともあり、テキサス州等の米国メキシコ湾岸地域においてシェールオイル開発のための掘削活動等が不活発化したことにより、掘削機器稼働等のための軽油需要がもたつき気味となったことが、留出油需要を前年同月比で減少させる形となったことから、同月の米国留出油需要全体としては前月比では増加したものの前年同月比では減少することになったものと考えられる。なお、1月の米国留出油需要は2020年同月の当該需要(日量402万バレル)(確定値)からほぼ横這いとなっている。他方、2026年3月の米国留出油需要(速報値)は日量402万バレル、前年同月比で3.3%程度の増加となり、2026年2月の当該需要(速報値)である同417万バレル(前年同月比4.4%程度の増加)から需要量は減少した他前年同月比の増加率も縮小した。3月は2月に比べ同国北東部は相対的に温暖となったことから、3月の米国留出油需要が前月比で減少した一方、2026年3月は前年同月比では寒冷であったものの、2026年2月の方が前年同月比でより寒冷であったものと見られることから、2026年2月の米国留出油需要の前年同月比での増加幅が同年3月のそれよりも大きくなったものと考えられる。なお、3月の米国留出油需要は2019年同月の当該需要(日量418万バレル)(確定値)を3.9%程度下回っている。そして、米国北東部の気温低下に伴い暖房機器稼働のための留出油需要が堅調であった反面、春場のメンテナンス作業及び不具合が発生した装置の改修が完了しつつあったことに伴い、製油所の稼働が上昇するとともに留出油生産は増加傾向となった(図6参照)ものの、それでもなお、米国の一部製油所における装置不具合の発生もあり石油製品製造活動がもたつき気味となったことに加え、2月28日に開始された米国及びイスラエルによるイランに対する攻撃とイランによる報復措置としてのホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う、中東からの原油及び留出油供給の減少に伴い、特に中東方面から留出油を輸入していた欧州等において留出油需給の引き締まり感が強まったこともあり、米国から欧州方面への留出油輸出が拡大傾向となったものと見られることが影響する格好となったことで、3月上旬から4月上旬にかけての米国の留出油在庫は減少傾向となった他、平年並みの量となっている(図7参照)。

図5 米国留出油需要の伸び(2015~26年)、図6 米国の留出油生産量(2009~26年)、図7 米国留出油在庫推移(2003~26年)

2026年1月の米国石油需要(確定値)は日量2,065万バレル(前年同月比で0.4%程度の減少)となり、2025年12月の同国石油需要(同)である日量2,085バレル(前年同月比1.1%程度の増加)から需要量は減少した他前年同月比では増加から減少に転換した(図8参照)。また、その他石油製品の需要が速報値(日量506万バレル)から確定値(同475万バレル)に移行する際に下方修正されたことから、米国石油需要も速報値(前年同月比0.2%程度増加の日量2,077万バレル)から下方修正されている。ガソリン需要が前月比で減少した他、ガソリン及び留出油両需要が前年同月比で減少したことが、1月の米国石油需要の前月比及び前年同月比での減少の一因となっている。なお、2026年1月の米国石油需要は2020年1月の当該需要(日量1,993万バレル)(確定値)を3.6%程度上回っている。他方、2026年3月の米国石油需要(速報値)は日量2,088万バレル(前年同月比で4.6%程度の増加)となり、2月の同国石油需要(速報値)である日量2,103万バレル(前年同月比4.0%程度の増加)から需要量は減少した反面前年同月比での増加率は拡大した。留出油及びLPG需要(米国の気候が温暖になったことにより暖房機器稼働のための需要が減少したものと見られる)が前月比で減少したことが、当該需要の前月比での減少に影響している他、ガソリン、留出油及びその他石油製品(2025年後半を中心とする時期を通じて米国天然ガス価格が堅調であったこともあり、米国天然ガス開発及び生産活動が活発化するとともに、天然ガス生産に随伴して生産される天然ガス液(NGL)の供給が増加したことが、かえってNGL価格を抑制する格好となったこともあり、石油化学部門等でのNGL購入が喚起されたことによるものと推測される)等の需要が前年同月比で増加したことが、同国石油需要の前年同月比での増加率を拡大させる形で作用したものと考えられる。ただ、同月のその他石油製品需要は日量510万バレルと、2025年2月~2026年1月の当該需要(確定値)である日量416~513万バレルに比べても高水準の部類に入ることから、当該需要が速報値から確定値に移行する段階で下方修正される可能性があるので注意が必要であろう。なお、2026年3月の米国石油需要は2019年3月の当該需要(日量2,018万バレル)(確定値)を3.6%程度上回っている。また、3月は米国国内原油生産量が概ね横這いとなった反面、春場のメンテナンス作業及び一部装置で発生した不具合の改修が完了しつつあったことにより、製油所における原油精製処理量は増加傾向となったものの、なお、一部の製油所で装置の不具合が発生したこともあり、なお比較的抑制された水準であった他、2月28日に開始された米国及びイスラエルによる対イラン攻撃とイランによる報復措置としてのホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴い、世界的に石油需給の引き締まり感が強まったこともあり、米国の戦略石油備蓄(SPR: Strategic Petroleum Reserves)が放出された(1.72億バレルの備蓄石油を放出する旨3月11日に米国エネルギー省のライト長官が発表した)ことにより、SPRから放出された原油が民間在庫に繰り入れられたこともあり、3月上旬から4月上旬にかけての米国原油在庫は増加傾向となるとともに平年幅上限を超過する状態が継続した他、4月3日の同国原油在庫は4.65億バレルと2023年6月9日(この時の原油在庫は4.67億バレル)以来の高水準に到達した(図9参照)。そして、留出油在庫が平年並みの量となっている反面、原油及びガソリン在庫が平年幅上限を超過する量となっていることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅上限を超過する状態となっている(図10及び11参照)。

図8 米国石油需要の伸び(2015~26年)、図9 米国原油在庫推移(2003~26年)、図10 米国原油+ガソリン在庫推移(2003~26年)、図11 米国原油+ガソリン+留出油在庫推移(2003~26年)

2026年3月末のOECD諸国推定石油在庫の対前月末比での増減は、原油については、米国においては増加した他、欧州でも装置の不具合の発生等に伴い製油所の原油精製処理活動が不活発化したこともあり、原油在庫は増加した。このため、日本においては、輸入が減少したものと見られることもあり原油在庫は減少したものの、OECD諸国全体では原油在庫は増加となり、平年幅上限を超過する状況は維持されている(図12参照)。石油製品については、米国においては、ガソリン、留出油、及びその他の石油製品(冬用ガソリンに混入するブタンの需要が増加しつつあることに伴うものと見られる)の各製品在庫が減少したことから、石油製品全体の在庫は減少した。また、欧州及び日本においては、一部装置に不具合が発生したこと等もあり製油所の稼働が低下したことに伴い石油製品製造活動が不活発化したことにより、石油製品在庫は減少した。このため、OECD諸国全体の石油製品在庫は減少した他、平年幅上方付近に位置する量となっている(図13参照)。そして、原油在庫が平年幅上限を超過しつつ前月末から増加した一方、石油製品在庫が平年幅上方付近に位置しつつ前月末から減少した結果、原油と石油製品を合計した在庫は前月末から減少したものの、平年幅上限を超過する状態となっている(図14参照)。また、2026年3月末時点のOECD諸国推定石油在庫日数は61.1日と2月末の推定在庫日数(62.7日)から減少している。

図12 OECD諸国原油在庫推移(2005~26年)、図13 OECD諸国石油製品在庫推移(2005~26年)、図14 OECD諸国石油在庫(原油+石油製品)推移(2005~26年)

3月11日に1,800バレル台半ば程度の水準であった、シンガポールにおける、ガソリンを含む軽質留分在庫は、3月18日には1,800万バレル弱程度の量へと減少した。3月25日には1,800万バレル台半ば程度の水準へと回復したものの、4月1日には1,600万バレル後半程度、4月8日には1,600万バレル台半ば程度の、それぞれ量へと減少した。しかしながら、4月15日には1,800万バレル強の水準へと回復しており、3月11日の水準を下回っているものの、当該在庫は概ね限られた範囲で変動している。2月28日に開始された米国及びイスラエルによる対イラン攻撃に対し、報復措置としてイランがホルムズ海峡を事実上封鎖したり、中東湾岸産油国の油田、パイプライン及び製油所等の石油供給関連施設を攻撃した結果それら施設において被害が発生したりしたこと等により、中東で生産される原油や同地域の製油所において製造されるナフサ等の供給がもたつき気味となったことから、中東産原油の主な輸出先であるアジアの製油所において原油の入荷に支障が発生した他、ナフサ等の供給も滞る格好となったことに加え、ウクライナ軍が発射した無人機等のロシアの製油所や石油ターミナル等への攻撃に伴いロシアからアジア方面へのナフサの供給が減少したものと見られること等より、製油所におけるガソリン及びナフサを含む石油製品製造活動が不活発化したことと併せ、アジアのガソリン及びナフサの供給が影響を受けた他、中国や韓国等アジアの一部諸国及び地域では国内需要に対応するために石油製品の輸出を制限したとされることが、シンガポールへの軽質留分の流入を減少させる格好になるとともに、同地での軽質留分在庫を抑制される形で作用したものと考えられる。ただ、アジアの一部諸国及び地域における、旧正月(春節)に伴う休暇シーズン(2026年は概ね2月15日~23日)及び断食月(ラマダン、2026年は概ね2月18日~3月20日)に伴う、個人の外出活動活発化時期が終了しつつあったことにより、乗用車向けのガソリン需要が喚起されなくなったことが、シンガポールからのガソリン輸出を抑制する格好となったことや、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖等に伴う中東からの石油供給面での支障発生もあり、3月前半を中心としてアジアのガソリン価格が欧州等のガソリン価格を上回ったこともあり、かえってアジアに軽質留分が流入したものと見られることが、シンガポールにおける軽質留分在庫を増加させる方向で作用したものと考えられる。そして、中東からの原油及びナフサ等の供給を巡る不透明感が増大しつつある中、米国等とイランとの間での対立が激化する兆候を示唆する展開(例えば、イランの発電所を含む施設に対する米国の攻撃実施の意向を示すトランプ大統領の発言等)により、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖の長期化やイランによる中東産油国等のさらなる石油供給関連施設への攻撃とそれら施設の被害拡大等に伴い、同地域からの原油及びナフサ等の供給途絶懸念が増大する場面が見られたことに加え、ウクライナ軍によるロシアの製油所及び石油ターミナル等の石油供給関連施設への攻撃継続に伴い、ロシアからのナフサ等の供給減少懸念が強まり続けたこともあり、3月中旬から4月上旬にかけアジア市場におけるガソリンとドバイ原油との価格差(この場合、ガソリン価格がドバイ原油価格を上回っている)は高止まる傾向を示した。しかしながら、それ以降は、原油価格の上昇にガソリン価格の上昇が追いつかない場面が見られた他、シンガポールにおける軽質留分在庫が増加する場面が見られたこともあり、4月中旬にかけガソリンとドバイ原油との価格差は多少なりとも縮小する傾向を示した。また、従来(2月下旬頃まで)、ドバイ原油価格を下回る状態がとなっていた、アジア市場におけるナフサ価格は、イランによる報復措置としてのホルムズ海峡の事実上の封鎖等により、3月を通じナフサ価格が持続的にドバイ原油価格を上回るようになるとともに、その幅が拡大する場面も見られた。しかしながら、ナフサ価格の上昇に伴い、アジア諸国及び地域における石油化学製品製造利幅が圧迫されるようになったこともあり、ナフサ分解装置の稼働が低下したことに伴い、ナフサ需要の下振れ観測が発生したことが、ナフサ価格に下方圧力を加えたこともあり、4月上旬から中旬にかけてのアジアのナフサとドバイ原油の価格差は縮小する傾向を示した。

3月11日には700万バレル弱程度の水準であったシンガポールにおける軽油、暖房油及びジェット燃料を含む中間留分在庫は、3月18日には800万バレル弱程度、3月25日には900万バレル強程度、4月1日には1,000万バレル弱程度の、それぞれ量へと増加した。4月8日には900万バレル弱程度の量へと減少したものの、4月15日には1,000万バレル台前半の水準へと回復した結果、3月11日の水準を上回る格好となっている。2月28日に開始された、米国及びイスラエルによる対イラン攻撃とイランの報復措置としてのホルムズ海峡の事実上の封鎖及びイランによる中東湾岸産油国等の石油供給関連施設への攻撃の実施等に伴い、中東からアジア方面への原油の輸出が影響を受けつつあったことにより、アジア諸国及び地域における製油所の稼働が低下する結果、軽油を含む石油製品製造活動が不活発化しつつあることが、シンガポールにおける中間留分在庫を減少させる方向で作用したものと見られる。しかしながら、北半球における冬場の暖房シーズンの終了が視野に入り始める中、特に大西洋圏においては気温の上昇とともに暖房機器稼働のための軽油需要が減退しつつあったことから、当該製品需給の緩和感が市場で意識されるとともに、それまで欧州方面に向かいがちであった、インドの製油所で製造された軽油がアジア方面に流入しやすくなったことに加え、中東方面から大量の原油を輸入しているアジアにおいて、イランのホルムズ海峡の事実上の封鎖等による、同地域からの原油供給上の支障発生に伴い、石油製品消費の中心である(そして、特にこれからの時期、春場の作付けシーズン到来に伴う農機具稼働、気温上昇に伴う空調機器稼働、東南アジア及び南アジア諸国及び地域の少雨期における灌漑のための電力供給に加え、製造及び輸送活動のため、幅広く利用される)軽油の需給引き締まり感が強まったこともあり、アジアの軽油価格が欧米諸国等の軽油価格を大幅に上回るようになったことにより、かえってシンガポールに軽油が流入したことが、同地における中間留分在庫を増加させる方向で作用したものと考えられる。そして、米国がイランに対し攻撃を強化する姿勢をしばしば示唆したこともあり、中東からの石油供給の動向を巡る不透明感が強まりつつあった3月中旬から4月初頭頃にかけては、アジアにおける軽油とドバイ原油の価格差(この場合軽油価格がドバイ原油価格を上回っている)は拡大傾向となったものの、米国とイランとの間で2週間の停戦につき合意がなされた4月初頭頃から中旬にかけては、中東情勢不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念が後退したこともあり、むしろ軽油とドバイ原油の価格差は縮小する傾向を示した。

3月11日に2,400万バレル台前半程度の水準であったシンガポールの重油在庫は、3月18日には2,400万バレル強程度の量へと減少したものの、3月25日には2,400万バレル台半ば程度の水準へと回復した。しかしながら、4月1日には2,300万バレル台半ば程度、4月8日には2,100万バレル台後半程度の、それぞれ量へと減少した。ただ、4月15日には2,300万バレル台後半程度の水準へと持ち直した結果、3月11日の量を下回ってはいるものの、3月中旬から4月中旬にかけてのシンガポールにおける重油在庫は比較的限られた範囲で推移した。イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖等により、中東産油国等からの中質及び重質を中心とする原油供給が減少するとともに、アジア諸国及び地域における製油所の稼働が低下、石油製品製造活動が不活発化したことが、重油等の供給に影響を及ぼしているものと見られることが、シンガポールにおける重油在庫を減少させる格好となった反面、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことに伴い船腹需給が引き締まったこともあり、傭船料が上昇するとともに原油、石油製品及び化学製品タンカー、そしてコンテナ船を含む貨物船等の往来が不活発化したこともあり、船舶向けの重油需要がもたつき気味となったことが、シンガポールにおける重油在庫を増加させる方向で作用したことが、同地における重油在庫の変動に影響しているものと考えられる。ただ、シンガポールの重油在庫が必ずしも明確な減少傾向とはならない中、船舶向けの重油需要が軟調であったことが、高硫黄及び低硫黄重油価格を抑制する格好となったことにより、3月中旬から4月中旬にかけての、アジアにおける重油とドバイ原油との価格差(3月に入ってからは高硫黄重油及び低硫黄重油の両製品価格は原油価格を上回る状態となっている)は縮小する傾向を示している。

2. 2026年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場等の状況

2026年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場においては、米国により提示された戦闘停止条件をイランが拒否した一方、米国が中東に向け軍備を増強しつつ、イランに対し大規模攻撃を実施する意向を示したことにより、中東情勢不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念が増大したこと等が、3月中旬から4月上旬にかけての原油相場に上方圧力を加えたこともあり、同時期原油価格は上昇傾向となり、4月7日には1バレル当たり112.95ドルの終値と2022年6月16日以来の高水準に到達した。しかしながら、4月7日に米国とイランが2週間の停戦に合意した他、4月17日にはホルムズ海峡の封鎖を解除する旨イランのアラグチ外相が表明したことにより、中東情勢不安定化に伴う石油供給途絶懸念が後退したこと等が、4月上旬から中旬にかけての原油相場に下方圧力を加えた結果、同時期原油価格は下落傾向となり4月17日の終値は83.85ドルと3月10日以来の低水準となっている(図15参照)。

図15 原油価格の推移(2003~26年)

3月16日は、これまでの原油価格上昇(原油価格は3月11日から13日にかけ合計で1バレル当たり15.26ドル上昇していた)に対する利益確定の動きが発生したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり5.21ドル下落し、終値は93.50ドルとなった。しかしながら、3月17日早朝(現地時間)に無人機がアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラにある港湾を(再び)攻撃した(4日間に3度目の攻撃となるとされる)結果同施設で火災が発生、石油出荷作業が中断したことにより、中東地域からの石油供給途絶を巡る懸念が増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり96.21ドルと前日終値比で2.71ドル上昇した。また、3月18日にイスラエルがイラン南部ブシェール(Bushehr)州にあるサウスパース(South Pars)ガス田関連施設及びアサルーイェ(Asaluyeh)天然ガス関連施設を攻撃した旨同日報じられるとともに、カタールのラス・ラファン製油所及びメサイード(Mesaieed)石油化学関連施設、サウジアラビアのサムレフ(SAMREF: Saudi Aramco Mobil Refinery Company Ltd.、サウジアラムコとエクソンモービルの折半出資)製油所(原油精製処理能力日量40万バレル)及びジュベイル(Jubail)石油化学関連施設、UAEのアル・ホスン(Al Hosn)天然ガス関連施設を含む施設に対し報復措置を実施する旨イラン革命防衛隊(IRGC: Islamic Revolutionary Guard Corps.)が表明したと3月18日にイラン準国営タスニム通信が報じたことにより、中東地域のエネルギー関連施設の攻撃合戦に伴う、同地域からのエネルギー供給途絶懸念が増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.11ドル上昇し、終値は96.32ドルとなった。

しかしながら、紛争の完全かつ全面的な解決を目指すべく、イランとの間で極めて生産的で良好な協議を実施したとして、イランの発電施設に対する攻撃を5日間延期する旨3月23日に米国のトランプ大統領が表明した他、両国は主要な事項につき意見が一致しており、近いうちに合意に到達するものと考えている旨同日トランプ大統領が明らかにしたことにより、中東情勢不安定化と同地域からの石油供給途絶懸念が後退したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり88.13ドルと、前日終値比で10.19ドル下落した。ただ、米国による対イラン攻撃を支援するため、中東に向け第82空挺師団の旅団戦闘団を同国国防省が派遣する意向である旨当局関係者が明らかにしたと3月24日にウォール・ストリート・ジャーナルが報じたことにより、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油需給途絶を巡る懸念が増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり4.22ドル上昇し、終値は92.35ドルとなった。それでも、米国等とイランを巡る戦争を終結させるため、核開発事業廃止と核兵器開発を実施しないとの約束、親イラン武装勢力への支援停止、ホルムズ海峡の事実上の封鎖解除、及びミサイル発射能力制限といった条件をイランに要求する反面、対イラン制裁の全面的な緩和、制裁復活の可能性の排除、イランの原子力の平和利用面での米国の支援等を含む15項目の提案を米国がイランに対し行った旨3月24日夕方(米国東部時間)にニューヨーク・タイムズが報じたことにより、中東情勢の不安定化と同地域からの石油供給途絶懸念が後退したことから、3月25日の原油価格の終値は1バレル当たり90.32ドルと、前日終値比で2.03ドル下落した。しかしながら、手遅れになる前に米国の提案につき真剣に検討すべきである旨3月26日早朝(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が表明した他、戦闘終結に向け合意する意志をイランが持ち合わせているかどうかにつき確信を持てない旨同日トランプ大統領が明らかにしたことに加え、戦闘停止のための米国のイランに対する15項目の要求をイランが事実上拒否したうえ、(1)敵対国等による攻撃及び暗殺の完全停止、(2)対イラン攻撃が二度と行われないようにするための具体的方策の確立、(3)対イラン攻撃に伴う賠償金及び補償金の支払い、(4)地域全域における全ての勢力に対する攻撃の終結、(5)現在及び将来に向けたホルムズ海峡におけるイランの合法的権利の国際的な承認と保証、といった事項を要求する旨3月25日夜から26日朝(現地時間)にかけイランが米国に対し正式に回答したと3月26日午前の早い時間(米国東部時間)にイランの準国営タスニム通信が伝えことから、3月26日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり4.16ドル上昇し、終値は94.48ドルとなった。さらに、イランに対する軍事作戦のため、最大1万人の地上部隊を中東に追加で派遣することを米国国防省が検討している旨3月26日夜(米国東部時間)のウォール・ストリート・ジャーナルが報じたことにより、米国等とイランとの間での戦闘激化に伴う中東情勢緊迫化と同地域からの石油供給途絶の拡大及び長期化を巡る懸念が増大したことから、3月27日の原油価格の終値は1バレル当たり99.64ドルと前日終値比で5.16ドル上昇した。

また、米国とイランとの戦闘終結に向けた米国の15項目の提案に対し、非現実的で不合理な要求であると評価している旨イラン外務省がエスマイル・バガイ(Esmaeil Baghaei)報道官が明らかにしたと3月30日に国営イラン通信(IRNA)が報じた後、戦闘終結に向けたイランとの間での協議に大きな進展はあったものの、早期に合意に到達せず、イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖を解除しないようであれば、米国はイランの発電施設、油田、カーグ島(及び恐らくイランの全ての海水淡水化施設)を攻撃し完全に破壊する意向である旨3月30日朝(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が表明したことにより、両国間の緊張が高まることに伴う中東情勢のさらなる不安定化と同地域からの石油供給途絶拡大及び長期化に対する懸念が増大したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり3.24ドル上昇し、終値は102.88ドルとなった。この結果原油価格は3月26~30日の3取引日合計で1バレル当たり12.56ドル上昇した。ただ、再侵略を回避するための保証を含む条件を満たすのであれば、米国との戦闘を終結させる意志はある旨3月30日に実施された欧州連合(EU)のコスタ大統領との電話会談においてイランのペゼシュキアン大統領が述べた旨3月31日に国営イラン通信(IRNA)が報じたことにより、米国とイランとの戦闘終了に伴うホルムズ海峡封鎖解除と石油供給の正常化に対する期待が市場で増大したことから、3月31日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.50ドル下落し、終値は101.38ドルとなった。また、4月1日午後9時(米国東部時間)より、米国のトランプ大統領がイランとの戦闘に関し演説を行う旨3月31日夜(同)にトランプ大統領の報道官であるレビット氏が明らかにしたことにより、米国とイランとの戦闘終結に伴い中東産油国等における石油関連施設のさらなる損傷発生による石油供給の長期停止が食い止められるとの期待が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり100.12ドルと前日終値比で1.26ドル下落した。この結果原油価格は3月31日~4月1日の2日間合計で1バレル当たり2.76ドルの下落となった。しかしながら、今後2~3週間はイランに対し猛烈な攻撃を加えるとともに交渉が不調であればイランの発電施設を攻撃する意向である旨4月1日夜(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が発言したことに対し、米国等が降伏するまで抗戦を続ける方針である旨4月2日にイラン軍中央司令部が発表したことより、米国等の対イラン攻撃強化とイランによる中東諸国等の石油関連施設等への報復攻撃の拡大、及びホルムズ海峡の事実上の封鎖状態の長期化を巡る懸念が増大したことから、4月2日の原油価格の終値は1バレル当たり111.54ドルと2022年6月28日(この日の終値は同111.76ドル)以来の高水準に到達した他、前日終値比で11.42ドル上昇した。なお、4月3日は、米国聖金曜日(グッド・フライデー)の休日に伴い米国原油先物市場は休場であった。

ただ、4月6日には、パキスタン、エジプト及びトルコが提示した、米国とイランとの間での45日間の停戦につき、イラン側が受け入れを拒否したうえ、戦闘の終結、ホルムズ海峡の安全な船舶航行を巡る協定の締結、イランに対する制裁の解除を含む10項目の提案を提出したことに対し、米国のトランプ大統領が、(イランの提案は)若干進展しているものの十分なものではないとして、4月7日午後8時(米国東部時間)のイランの停戦合意期限を延長する可能性は低く、もし合意できなければその後4時間以内にイランの全ての発電所及び橋梁を破壊する意向である旨4月6日に表明したことにより、中東情勢のさらなる混乱と同地域からの石油供給途絶状態の拡大及び長期化を巡る懸念が増大したことから、4月6日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.87ドル上昇し、終値は112.41ドルと2022年6月16日(この日の終値は117.59ドル)以来の高水準となった。また、今夜文明の一つが滅びる可能性がある旨4月7日に米国のトランプ大統領が表明したことに対し、停戦等に向けた米国等との交渉を打ち切る旨イランが警告したと同日ニューヨーク・タイムズが報じたことにより、4月7日午後8時(米国東部時間)を前にして、両国の戦闘激化と中東産油国との石油関連施設等の被害拡大、及びホルムズ海峡の事実上の封鎖の長期化を巡る懸念が増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり112.95ドルと、前日終値比で0.54ドル上昇した。しかしながら、米国とイランが2週間の停戦を実施することで合意した旨両国が明らかにしたと4月7日夜(米国東部時間)に伝えられたことにより、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念が後退したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり18.54ドル下落し、終値は94.41ドルとなった。それでも、米国とイランとの間での停戦合意にレバノンは含まれないとして、イスラエルは戦闘を続行する旨4月7日にイスラエルのネタニヤフ首相が表明したことに対し、レバノンに対する攻撃をイスラエルが継続するのであればイランは停戦を破棄する旨4月8日にイランの準国営タスニム通信が明らかにする中、4月9日もイスラエルがレバノン南部を中心とする地域への攻撃を継続したことにより、米国とイランとの間での停戦が崩壊するのではないかとの懸念が市場で発生したことに加え、イランが船舶通航を制限しているため、ホルムズ海峡は依然として事実上開放されていない旨4月9日にアラブ首長国連邦のアブダビ国営石油会社(ADNOC)のスルタン・アル・ジャベル(Sultan Al Jaber)最高経営責任者(CEO)が示唆したことにより、中東からの石油供給途絶継続懸念が増大したことから、4月9日の原油価格の終値は1バレル当たり97.87ドルと前日終値比で3.46ドル上昇した。そして、4月10日には、パキスタンの首都イスラマバードにおいて4月11日に予定されている米国とイランとの間での和平計画等を巡る協議を前にした持ち高調整が発生したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.30ドル下落し終値は96.57ドルとなった。

しかしながら、4月11日にパキスタンの首都イスラマバードにおいて実施された米国とイランとの間での和平計画等を巡る協議において、イランの核開発断念の意志が感じられない等を理由として、交渉が事実上決裂、両国の代表団が帰国する(この時点では次回協議日程は未定とされた)とともに、協議継続を巡る条件で両国が合意するまでホルムズ海峡の状況は不変である旨イラン側関係者が明らかにした一方、4月13日午前10時(米国東部時間)を以て全てのイランの港湾に発着する船舶等を対象として封鎖を実施する旨4月12日に米中央軍が表明、米国のトランプ大統領も4月13日午前(同)に、イランの軍艦等が封鎖海域に接近すれば、直ちに排除する意向である旨表明した(許可なく侵入する船舶は捜索、進路変更及び拿捕の対象となる可能性がある旨別途米中央軍も警告したと4月13日に伝えられる)ことで、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶規模拡大懸念が増大したことから、4月13日の原油価格の終値は1バレル当たり99.08ドルと前週末終値比で2.51ドル上昇した。それでも、米国とイランが和平計画等に関し2回目の協議を検討している旨4月13日夜(同)に報じられた(また、2日以内にパキスタンの首都イスラマバードにおいて当該協議が実施される可能性がある旨米国のトランプ大統領が明らかにしたと4月14日に伝えられた)ことにより、中東情勢不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶長期化を巡る懸念が後退したことから、4月14日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり7.80ドル下落し、終値は91.28ドルとなった。また、4月15日は、この日EIAから発表された米国石油統計(4月10日の週分)において、原油在庫が前週比91万バレル、ガソリン在庫が同633万バレル、留出在庫同312万バレルの、それぞれ減少と市場の事前予想(原油在庫同15万バレル程度の増加、ガソリン同210万バレル程度、留出在庫同240万バレル程度の、それぞれ減少)に反し、もしくは事前予想を上回って減少している旨判明したことが、原油相場に上方圧力を加えた反面、米国とイランとの間での2週間の停戦につき、両国の和平計画等に関する交渉の時間を確保すべく、2週間延長する方向で検討している(但し停戦で合意する保証はない)と4月15日に報じられたことにより、中東情勢のさらなる不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶拡大もしくは長期化を巡る懸念が後退したことが、原油相場に下方圧力を加えたことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり91.29ドルと、前日終値比0.01ドルの上昇にとどまった。ただ、イランの核開発等を巡り米国との間で相当程度の意見の乖離が存在することにより、包括的な和平計画ではなく戦闘再開を回避するための暫定的な合意とする方向で検討している旨4月16日にイラン政府幹部が明らかにした一方、指示があればイランの発電所及びエネルギー供給関連施設を米軍が攻撃する準備が整っている旨米国国防省のヘグセス長官が発言するとともに、ペルシャ湾等の中東地域以外においても、イランが関与するいわゆる「影の船団」を追跡する意向である旨4月16日に米国のケイン統合参謀本部議長が表明したことにより、米国とイランとの間での和平計画等を巡る合意の可能性に対する期待が後退したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり3.40ドル上昇し、終値は94.69ドルとなった。それでも、4月17日午前0時(米国東部時間)にイスラエルとレバノンが10日間の停戦を実施したことを受け、米国とイランとの停戦期間中(現時点では4月21日までとされる)ホルムズ海峡は全面的に開放される旨4月17日朝(同)にイランのアラグチ外相が表明したことにより、中東からの石油供給回復期待が増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり83.85ドルと前日終値比で10.84ドル下落した他、この日の原油価格の終値は3月10日(この日の終値は83.45ドル)以来の低水準に到達した。

3. 原油市場における主な注目点等

2月28日の米国及びイスラエルによる対イラン攻撃の開始とイランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖、及び中東産油国等への無人機及びミサイル等による攻撃は実質的に継続する格好となっている。3月14日には、イランは取引を希望しているものの、(現時点では)条件が十分整備されていないので米国は取引を希望していないとして米国のトランプ大統領が対イラン攻撃続行を示唆した一方、米国が勝利する見込みのない違法な戦闘を実施している旨トランプ大統領が認めるまでイランは自衛を継続する旨3月15日にイランのアラグチ外相が発言した。また、ホルムズ海峡の船舶の安全な通航のために、日本、中国、韓国、英国及びフランスを含む多くの国に軍艦を派遣することを期待する旨3月14日にトランプ大統領が表明したことに対し、今週中にも複数の国が合意した旨発表する予定である(但し戦闘中に実施するか戦闘終結後に実施するかは明らかではなかった)旨3月15日夕方(米国東部時間)にウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。そのような中、アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラにある石油積出港が3月14日に続き再び無人機により攻撃を受け火災が発生したこともあり石油積み出し作業が中断(その後再開)した他、UAEのアブダビにあるシャー(Shah)油田及びイラクのマジュヌーン(Majnoon)油田が無人機により攻撃された旨3月16日に伝えられた。ただ、足元の数日間において米国とイランが直接的な対話を行なっている旨3月16日に米国報道機関アクシオスが報じた(これに対し、米国及びアラグチ外相は否定した)。また、インド船籍の液化石油ガス(LPG)タンカー2隻がホルムズ海峡を通過した旨3月15日にフィナンシャル・タイムズが報じた他、パキスタン船籍の石油タンカー1隻が3月15日にホルムズ海峡を通過した旨3月16日に伝えられた。3月16日には、米国のトランプ大統領が、イランへの攻撃実施のため、3月末に予定されていた同大統領の中国訪問を1ヶ月延期するよう中国に要請した旨明らかにした一方、同日トランプ大統領が、ホルムズ海峡通航船舶護衛の要請に対し同盟国の中に消極的な姿勢を見せているところがあるとして批判した(どの国かは明言しなかったが、欧州連合(EU)等が消極的な姿勢を示している旨3月16日に報じられていた)。また、3月16日にトランプ大統領は、イランのカーグ島にある石油積出港の攻撃は依然として選択肢にある旨明らかにした。そして、3月16日深夜から3月17日未明にかけて(現地時間)の戦闘により、イラン最高安全保障委員会(SNSC: Supreme National Security Council)のラリジャニ(Larijani)事務局長を殺害した旨3月17日にイスラエル軍が発表した他、同日国営イラン通信(IRNA)もその旨報じた。3月17日には、仲介2ヶ国を通じ米国から戦闘停止案が提示されたが、まず米国とイスラエルが(イランに)屈服、敗北を受け入れ、賠償金を支払うべきである旨イランの最高指導者モジダバ師が明らかにしたと伝えられた。そのような中、3月18日にはイスラエルがイラン南部ブシェール(Bushehr)州にあるサウスパースガス田関連施設及びアサルーイェ(Asaluyeh)天然ガス関連施設を攻撃した旨同日報じられた一方、カタールのラス・ラファン製油所(第1期及び第2期)及びメサイード(Mesaieed)石油化学関連施設、サウジアラビアのサムレフ(SAMREF)製油所及びジュベイル(Jubail)石油化学関連施設、UAEのアル・ホスン(Al Hosn)天然ガス関連施設を含む施設に対し報復措置を実施する意向である旨イランのイスラム革命防衛隊(IRGC: Islamic Revolutionary Guard Corps.)が表明した旨3月18日にイラン準国営タスニム通信が報じた。他方、洋上に事実上貯蔵されているイラン産原油(1.4億バレルと言われる)に対する制裁を今後数日のうちに解除する可能性がある旨3月19日に米国財務省のベッセント長官が明らかにした。また、イランが再びカタールを攻撃しない限り米国はイランのサウスパースガス田関連施設を攻撃することは無いであろう他、イスラエルに対しイランの天然ガス施設を攻撃しないよう強く要求した旨3月19日に米国のトランプ大統領が説明(同日イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ氏の要求を受け入れイランのエネルギー関連施設に対する攻撃を見送っている旨明らかにしたが、イランがカタールを攻撃すれば、反撃を行なう旨明らかに)した。他方、3月19日にはカタールのアル・カービ(Al Kaabi)エネルギー担当国務相が、3月18日に同国のラス・ラファン工業地帯がミサイルによる攻撃されたことにより、同国のパール(Pearl)GTL施設、カタールLNG施設等において甚大な被害が発生(第4及び第6液化施設が損傷した結果、同国のLNG液化能力の17%(1,280万トン)が喪失しており、復旧までに3~5年程度が必要になる他、今回の攻撃で同国コンデンセート生産の約24%、液化石油ガス(LPG)の約13%、ヘリウムの約14%、ナフサ及び硫黄の約6%の生産が減少する見込みである旨明らかに)した他、サウジアラビアの首都リヤドにおいて弾道ミサイル4発が迎撃された旨3月18日午後遅く(米国東部時間)に伝えられた(別途UAEのハブシャン(Habshan)の天然ガス施設の操業が(攻撃により)停止している旨3月18日夜に報じられた)ことに加え、サウジアラビアのサムレフ(SAMREF)製油所が3月19日に無人機により攻撃されたことにより、近隣のヤンブー港における石油積み出し作業が短時間停止したうえ、クウェートのミナ・アル・アマディ(Mina Al-Amadi)製油所(操業者: KNPC(Kuwait National Petroleum Company)、原油精製処理能力日量34.6万バレル)及びミナ・アブドゥラ(Mina Abdullah)(操業者: 同、同45.4万バレル)が3月19日に無人機により攻撃され、小規模な火災が発生された(双方とも消火済、製油所のうち一方は操業中、もう一方は停止中(どちらかは明らかにされず))と報告された。また、イランのサウスパースガス田関連施設等へのイスラエルによる攻撃に対する報復攻撃は進行中であり完了していない旨同国軍事関係者が3月19日に明らかにしたとイラン準国営イラン学生通信(ISNA)が報じた。さらに、イスラエル北部ハイファ(Haifa)にある製油所を標的として弾道ミサイルを発射した旨イラン軍事当局が発表したと3月19日にイラン報道機関が伝えた。そして、(イスラエル等の攻撃により)イランは壊滅的な打撃を受けており、イランにはウラン濃縮活動及び弾道ミサイル製造能力は残っていない旨3月19日にイスラエルのネタニヤフ首相が発言した一方、イランはミサイル製造を継続しておりミサイル製造及び貯蔵面で問題は無い旨イランのイスラム革命防衛隊報道官が明らかにした旨3月20日にイランの準国営ファルス通信が伝えた。3月19日には、米国のトランプ大統領及び同国国防省のヘグセス長官が、米国連邦議会に対し対イラン攻撃のための追加予算要求を行なう意向である旨明らかに(その前にワシントン・ポストが金額2,000億ドルの追加予算要求を行なう旨報じていたが、その金額は変動するかもしれないとヘグセス長官は指摘)した。そのような中、クウェートのミナ・アル・アバディ製油所が3月20日に(再び)攻撃された他、事実上封鎖状態となっているホルムズ海峡における船舶の通航再開につき議論することさえ回避する姿勢をイランが強めつつある旨同国政府関係者が明らかにしたと3月20日に伝えられた。また、イランのカーグ島を封鎖もしくは占拠する計画を米国のトランプ政権が検討している旨関係者が明らかにしたと3月20日米国報道機関アクシオスが伝えた他、海軍強襲揚陸艦「ボクサー(Boxer)」の水陸両用即応群及び第11海兵隊部隊2,200~2,500人規模の追加部隊を中東に派遣しつつある旨3月20日に報じられた。ただ、(米国が)目標達成に非常に接近しつつあることから、イランのテロ政権に対する中東での大規模な軍事行動を縮小すること検討している(併せてホルムズ海峡は同海峡を利用する米国以外の諸国等により警備及び治安維持を行なうべきである)旨3月20日夕方(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が表明するとともに、3月20日午前0時1分(米国東部時間)時点及びそれ以前に船積みされたイラン産原油及び石油製品の取引を4月19日午前0時1分(同)まで承認する旨3月20日夜(同)に米国財務省外国資産管理局(OFAC: Office of Foreign Assets Control)が発表したが、これに対し世界市場に供給できるような、余剰となっている、もしくは売れ残っているイラン産石油はない旨イラン石油省のゴドシ(Ghodousi)報道官が主張したと3月21日に伝えられた。他方、イラン中部の都市であるナタンズにあるウラン濃縮関連施設が攻撃された旨3月21日にイラン準国営タスニム通信が報じた一方、核開発関連施設のあるイスラエル南部ディモナ(Dimona)がイランのミサイルにより攻撃された旨3月21日にイランが発表した。また、イランのカーグ島が脅かされた場合には、バブエルマンデブ海峡や紅海を含む他の地域の不安定化も選択肢に入りうる旨3月21日にイラン軍事関係者が明らかにしたとイランの準国営タスニム通信が報じた。さらに、今後48時間以内にホルムズ海峡を完全に脅威なく開放しなければ、イランにおける様々な発電施設を最大規模のものから攻撃し完全に破壊する意向である旨3月21日夜(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が表明したことに対し、イランのエネルギー関連施設が攻撃されれば、中東地域において米国が関与するエネルギー、情報技術(IT)及び海水淡水化施設を攻撃の対象とする旨の声明をイラン軍が発表した旨3月22日にイランの準国営タスニム通信が伝えた。また、米国がイランの発電所を破壊した場合には、発電所が再建されるまでホルムズ海峡を完全に封鎖する他、中東地域の米国及びその同盟国の石油を含むエネルギー及び産業インフラを破壊する意向である旨3月22日にイラン軍当局者(中央司令部報道官他)が表明したうえ、クウェート、UAE、サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン及びカタールにある11箇所の発電所と海水淡水化施設をイランが重要な施設であると見做している旨、3月23日にイラン国営ヌール通信を通じ明らかにしたことにより、これら施設がイランによる攻撃の標的とされる旨示唆された。ただ、イラン側との紛争の完全かつ全面的な解決を目指し、極めて生産的で良好な協議を実施したとして、イランの発電施設に対する攻撃を5日間延期する旨3月23日に米国のトランプ大統領が表明した(イランは米国とは協議は実施していない旨イラン外務省が明らかにしたと3月23日に国営イラン通信(IRNA)が伝えた他、イランの準国営タスニム通信及びファルス通信も同趣を報じた一方、米国とイランとの協議は3月22~23日に実施され、米国はウィトコフ中東担当特使(及びトランプ大統領の娘婿のクシュナー氏)が協議に参加、イラン側はガリバフ国会議長が参加したとされるとイスラエル当局関係者は明らかにしたが、ガリバフ議長はそれを偽情報として否定したと3月23日に伝えられた)。そのような中、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコが3月に続き4月もアジア顧客向けの原油供給を削減した旨関係者が3月23日に明らかにしたと報じられた。そして、米国による対イラン攻撃を支援するために、中東に向け第82空挺師団の旅団戦闘団を同国国防省が派遣する意向である旨当局関係者が明らかにしたと3月24日に伝えられた。また、トランプ大統領によるイラン発電関連施設攻撃延期の数時間後にイラン中部の都市イスファハンにあるガスの圧力調整所、ガス管理関係の建造物及び同国南西部ホラムシャハル(Khorramshahr)にあるパイプラインが米国とイスラエルの軍隊により攻撃された旨3月24日にイランの準国営ファルス通信が報じたが、米国とイランが仲介国とともに戦闘終結に向けた協議を3月26日に実施する提案を行っており、イラン側の回答待ちとなっている旨3月24日の午後の早い時間(米国東部時間)に伝えられた他、米国がイランとの戦闘終結を巡る交渉のため、1ヶ月間の停戦を目指している旨3月24日午後の遅い時間(米国東部時間)にイスラエル報道機関から報じられた。そのような中、サウジアラビア西部にあるヤンブー石油ターミナル(石油出荷能力日量500万バレル)からの原油出荷が3月20日の週に日量400万バレル弱に到達した旨3月24日に伝えられた(1~2月平均は同77万バレルであった)。また、米国等とイランを巡る戦争を終結させるための15項目の提案(イスラエル報道機関によれば、(1)イランの全ての既存核能力の解体、(2)イランの核兵器開発禁止、(3)イラン領土内でのウラン濃縮禁止、(4)合意された日程による、全ての濃縮ウラン等の国際原子力機関(IAEA)への引き渡し、(5)イランのナタンズ、イスファハン及びフォルドゥにある核開発関連施設の廃止及び破壊、(6)IAEAによる、イランの全ての(核関連)施設及び情報への完全アクセス、(7)イラン地域代理勢力網の廃止、(8)イランによるヒズボラやハマスといった代理勢力への資金援助と武器供与の停止、(9)ホルムズ海峡の自由海域としての持続的開放、(10)数量と射程距離を限定したイランのミサイル開発計画(詳細は後日確定予定)、(11)自衛用に限定されたイランの将来のミサイル使用、(12)全てのイランに対する国際制裁の解除、(13)米国によるイラン民生用原子力プロジェクトへの支援(例えば、ブーシェルにおける発電事業)、(14)対イラン制裁再発動の脅威の解消、(15)その他(合意の遵守と実施の監視に関するものと見られる)とされるが、内容は流動的である可能性がある)を米国がイランに対し実施している(もののイランがこの提案を受諾する可能性は低い)旨3月24日夕方(米国東部時間)に報じられた。他方、米国のイランとの協議に関する提案は論理的ではないとして、イランは停戦を受諾する意向はない旨3月25日朝(米国東部時間)にイランの準国営ファルス通信が報じた他、米国等とイランとの戦闘終結には、(1)敵対国等による攻撃及び暗殺の完全停止、(2)対イラン攻撃が二度と行われないようにするための具体的方策の確立、(3)対イラン攻撃に伴う賠償及び補償金の確実な支払い、(4)地域全域における全ての(親イラン武装勢力に対する)戦闘の終結、(5)ホルムズ海峡に対するイランの主権の国際的な承認と保証の5条件が必要となる他、イランは条件が充足された時に自ら終戦を決定するが、そうなる前には交渉を実施することはない旨3月25日午前半ば頃(米国東部時間)にイラン国営プレスTVが報じた。併せて、中東に駐留する米軍基地の撤退、ホルムズ海峡の通航料賦課、及び対イラン制裁の全面解除を、米国との交渉再開の条件としてイランが要求している旨3月25日にウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。ただ、この3日間米国は生産的な協議を実施してきており、戦争終結に向けイランが模索する兆候が見られ始めているものの、イランが現状を認めないのであれば、トランプ大統領はこれまでにない規模で攻撃を行う用意がある旨3月25日にトランプ大統領の報道官であるレビット氏が明らかにした他、(戦争終結に向け)米国とイランは協議中である旨米国のトランプ大統領が改めて主張したと3月25日夜(米国東部時間)に報じられた。さらに、イエメン沖のバブエルマンデブ海峡の封鎖もしくは支配権の確立に向け攻撃を実施すべくイエメンのフーシ派武装勢力の準備が整っている旨3月25日にイランの準国営タスニム通信が報じた。他方、手遅れになる前に米国の提案につき真剣に検討すべきである旨3月26日早朝(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が表明した他、イランは合意を希望しているか、それが実現できるかどうか不明である旨同日トランプ大統領が明らかにした。そのような中、戦闘停止のための米国のイランに対する15項目の要求に対し、イランが事実上拒否したうえ、自国の戦闘停止のための条件(前述の5項目を含む)を要求する旨3月25日夜から26日朝(現地時間)にかけ正式に回答したと3月26日午前の早い時間(米国東部時間)にイランの準国営タスニム通信が伝えた(但し後日イランは米国に対する回答は行っていない旨明らかにしたと報じられた)。また、イランに対する軍事作戦のため、最大1万人の地上部隊を中東に追加で派遣することを米国国防省が検討している旨3月26日夜(米国東部時間)のウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。ただ、イラン政府が要請したとして、米国のイラン発電関連施設攻撃を4月6日午後8時(米国東部時間)まで延期する旨3月26日夕方(同)に米国のトランプ大統領が表明した(イラン政府が7日間の猶予を要請したと3月26日にトランプ大統領は説明したが、イランは猶予を要請していない旨3月26日にウォール・ストリート・ジャーナルが報じている)。また、米国の対イラン軍事作戦は2~4週間程度継続するものの、地上部隊を投入することなしに米国はイランに対する軍事作戦上の目的を達成できる旨米国のルビオ国務長官が明らかにした(地上部隊派遣は予想外の展開に備えて準備するためである旨ルビオ長官は説明した)。他方、イラン攻撃をきっかけとしたイラン国民による抗議活動により体制転換が引き起こされる可能性がある旨米国の対イラン攻撃開始前にイスラエルのネタニヤフ首相が米国のトランプ大統領に対し説明していた一方、そのような見方に否定的であった米国のバンス副大統領が3月23日に実施した電話会談において見通しが甘かったとしてネタニヤフ首相に対し苦言を呈した旨3月27日に米国報道機関アクシオスが伝えた。また、米国及びイスラエルがイランに対する攻撃を継続した場合には、軍事介入を行う意向である旨3月27日にイエメンのフーシ派勢力が声明を発表した。さらに、ホルムズ海峡は封鎖されているとして、同海峡を通過しようとする船舶に対し厳格な措置を講じる旨3月27日にイランのイスラム革命防衛隊が表明する一方、3月27日にホルムズ海峡に向け航行していた中国遠洋運輸集団(コスコ(Cosco)グループ)のコンテナ船2隻が同海峡を通過せず折り返した旨伝えられた(併せて、3月27日にイスラム革命防衛隊がホルムズ海峡を通過しようとした外国籍タンカー3隻に対し引き返すよう指示した旨イラン最高安全保障委員会(SNSC: Supreme National Security Council)系のヌール通信が報じた)。さらに、米国がイランに対し攻撃を継続している中での協議提案は受け入れられないとして、米国の提案に対する回答を事実上見合わせている状態である旨イラン政府幹部が明らかにしたと3月27日午後遅く(米国東部時間)に報じられた。また、イスラエルに向け弾道ミサイルを発射した旨3月28日にイエメンのフーシ派武装勢力が声明を発表した(発射された弾道ミサイルは全て迎撃されたとイスラエル報道機関から報じられた)他、同日中に巡航ミサイル及び無人機を使用して再度イスラエルを攻撃した旨フーシ派武装勢力が発表した(ただ、この時点での攻撃対象はイスラエルの軍事施設等であり、紅海等を航行する船舶は攻撃の対象にはなっていない旨フーシ派武装勢力が同日説明した)ことに加え、米国海軍の強襲揚陸艦トリポリ(従来佐世保基地に配備)及び第31海兵遠征部隊(31MEU: Marine expeditionary unit)(従来沖縄に駐留)が3月27日に中東の作戦区域内に到着した旨3月28日に米国中央軍が発表した一方、今後米国が数週間に渡りイランでの地上作戦(特殊部隊等による奇襲作戦となる可能性がある旨指摘される)を展開すべく準備中である旨3月28日にワシントン・ポストが報じた。他方、米国とイランとの戦闘終結に向けた米国の15項目による提案に対し、その提案の大半は非現実的、不合理、及び過大な要求であると評価している旨イラン外務省のバガイ(Baghaei)報道官が明らかにしたと3月30日に国営イラン通信(IRNA)が報じた後、戦闘終結に向けたイランとの間での協議に大きな進展はあったものの、早期に合意に到達せず、イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖を解除しないようであれば、米国はイランの発電施設、油田、カーグ島(及び恐らくイランの全ての海水淡水化施設)を攻撃し完全に破壊する意向である旨3月30日朝(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が表明した。また、米国はイランの石油資源を掌握することを希望しており、軍隊を派遣することで、カーグ島の石油輸出基地を制圧する可能性がある、と3月29日に米国のトランプ大統領がフィナンシャル・タイムズに対し説明した一方、米国のイランに対する攻撃が拡大した場合のために、イエメンのフーシ派勢力に対し紅海を航行する船舶に対する攻撃の準備を行うようイランが要請している旨3月30日夕方(米国東部時間)に報じられた。そのような中、ドバイ港に停泊していたクウェートの原油タンカー「アル・サルミ(Al-Salmi)」(クウェート船籍)がイランの攻撃に伴い火災が発生するなどしたことにより損傷した旨3月30日夜(米国東部時間)に伝えられた一方、サウジアラビア西海岸にあるヤンブー石油ターミナルからの原油輸出量が3月27日の週時点で日量460万バレルと同ターミナルの輸出能力である日量500万バレルに接近しつつある旨3月30日に報じられた。また、イランから発射された弾道ミサイルがトルコ領空に侵入したことにより、北大西洋条約機構(NATO)の防空システムが作動し迎撃した旨3月30日にトルコ国防省が発表した(米国等とイランとの間での戦闘開始以降で4件目とされる)。ただ、特に再侵略を防止するための保証を含む条件を満たすのであれば、米国との戦闘を終結される意志はある旨、3月30日に実施された欧州連合(EU)のコスタ大統領との電話会談においてイランのペゼシュキアン大統領が述べたと3月31日に国営イラン通信(IRNA)が報じた一方、ホルムズ海峡が封鎖されたままとなっていても、米国はイランに対する攻撃を終了する意向である旨米国のトランプ大統領が側近に明らかにしたと3月30日夜(米国東部時間)に伝えられた。また、ホルムズ海峡の事実上の封鎖によりジェット燃料を入手できない国は、米国か購入するか、自らホルムズ海峡に向かってジェット燃料を入手すべきであり、米国はそれに対し支援することはない旨3月31日朝(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が表明した。さらに、今後数日間が米国の対イラン攻撃において重大な局面となる旨の見方を3月31日に米国のヘグセス国防長官が示した。そして、ホルムズ海峡付近に位置するイランのケシュム(Qeshm)島(ホルムズ海峡を通過する船舶を監視する機能を有しているとされる)が3月31日朝(現地時間と見られる)に米国とイスラエルにより攻撃された旨同日イラン政府系メヘル通信が報じた一方、米国の対イラン攻撃に報復すべく、イランは4月1日午後8時(現地時間)より中東地域の米国企業(マイクロソフト、グーグル、アップル、IBM、テスラ及びボーイングを含む18社)の拠点を攻撃する意向である旨3月31日にイランのイスラム革命防衛隊が発表した。他方、米国が中東に長期間とどまる必要はない(ものの実施すべき方策はまだある)他、米国が中東から撤退すればホルムズ海峡は自動的に開放される旨3月31日にトランプ大統領がニューヨーク・ポストに対し説明した他、今般のイラン攻撃においては極めて多大な成果を挙げた旨3月31日にイスラエルのネタニヤフ首相が主張した。また、目標を概ね達成したとして、イランとの間で合意に至らなくても2~3週間程度以内に対イラン攻撃を終了する他、ホルムズ海峡の開放に関しては他国等が手続きを行うべきである旨3月31日夕方(米国東部時間)にトランプ大統領が明らかにしたうえ、今回の米国等によるイランへの攻撃により、イランの弾道ミサイル及びその製造関連設備は破壊された他、海軍や親イラン武装勢力が無力化した一方、イランの核兵器開発能力排除の確保等、米国が掲げた軍事目標については、全てにつき目標通り、もしくは目標を上回って達成した旨4月1日夜(米国東部時間)に実施が予定される(3月31日夜(同)にトランプ大統領の報道官であるレビット氏が明らかにしていた)演説で米国のトランプ大統領が強調する見通しである旨4月1日に伝えられた。また、イランが米国に対し停戦を要請しており、ホルムズ海峡が開放され、自由で安全になった時点でそれを検討するが、それまではイランを跡形もなく破壊するか、あるいは石器時代に逆戻りさせる意向である旨4月1日朝(米国東部時間)にトランプ大統領が表明したことに対し、イランが停戦を要請したとのトランプ大統領の発言は根拠がなく、虚偽である旨イラン外務省のバガイ報道官が発表したと4月1日にイラン国営プレスTVが報じた他、米国は外交交渉に真剣ではないとして、イランは自国を防衛することに集中している旨イラン外務省のバガイ報道官が明らかにした旨4月1日に国営イラン通信(IRNA)が伝えたうえ、ホルムズ海峡は(イランにより)支配されており、トランプ大統領の馬鹿げた行動により敵に開放されることはない旨4月1日にイランのイスラム革命防衛隊が主張した。そのような中、イスラエル南部を弾道ミサイルで攻撃した旨イエメンのフーシ派武装勢力が明らかにした(3月28日のフーシ派武装勢力の攻撃開始以降3回目とされる)と4月1日に報じられた。また、カタール・エナジーが調達したタンカー「アクア1(Aqua1)」(パナマ船籍)が4月1日にイランが発射した巡航ミサイルにより攻撃された(3発中1発が着弾した)旨同日カタール国防省が明らかにした一方、クウェート国際空港の燃料タンクを4月1日にイランが発射した無人機が攻撃した結果、大規模な火災が発生した旨伝えられた。さらに、今後2~3週間イランに対し猛烈な攻撃を加えるとともに、交渉が不調であればイランの発電施設を攻撃する旨4月1日夜(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が演説で発言したことに対し、米国等が降伏するまで抗戦を続ける意向である旨4月2日にイラン軍中央司令部が発表した。また、イラン最大の橋梁(テヘランと近隣都市カラジ(Karaj)を結ぶB1橋とされ、軍事物資の補給経路を遮断することを目指したとされる)が(米軍の空爆により)崩壊するとともに、(同橋梁は)二度と使用不可能であり、これからも多くの展開が待っていることから、イランは手遅れになる前に合意を結ぶべきである旨4月2日正午過ぎ(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が表明した。他方、ホルムズ海峡の船舶航行を監視するための協定文書をオマーンとの間で作成中である旨イラン外務省のガリババディ(Gharibabadi)次官が明らかにしたと4月2日に国営イラン通信(IRNA)が報じた(別途ホルムズ海峡の通航料設定を検討中である旨ガリババディ次官が明らかにしたと4月2日に伝えられた)。また、イラン軍が米軍のF15戦闘機及びA10攻撃機を撃墜した旨4月3日にイラン軍が発表した(イランには防空能力が全くなく、反撃してこない旨3月31日に米国のトランプ大統領は主張していた)。さらに、米国が第三国経由で48時間の停戦を提案してきたが、イラン側はその提案を拒否し厳しい攻撃を行うことを通じて回答した旨4月3日にイランの準国営ファルス通信が報じた。そして、パキスタン等を仲介者とする米国とイランとの戦闘停止を巡る交渉(イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖を解除するのであれば停戦に応じる用意がある旨米国のトランプ大統領が示唆していたとされる)につき、イラン側は米国の要求は受け入れられないとして、当面パキスタンの首都イスラマバードにおいて米国政権幹部と協議する意向はない旨仲介者に正式に通知した旨4月3日に伝えられた。そのような中、イランがホルムズ海峡の事実上の封鎖を短期的に解除する可能性は低いと最近作成された米国情報機関の報告書(どの機関が作成したかについては関係者が明らかにせず)が指摘している旨4月3日に報じられた。また、4月2日夜から4月3日未明(現地時間)にかけ、イランの無人機がクウェートのミナ・アル・アマディ製油所を攻撃した結果火災が発生した(併せて同日早朝(同)に同国の発電及び海水淡水化施設が攻撃を受けた結果大きな被害が発生した旨クウェート電力・水・再生可能エネルギー省が明らかにした)他、4月3日にUAEのアブダビに飛来した飛翔体を迎撃したもののその残骸が落下した結果、同国のハブシャン(Habshan)のガス関連施設で火災が発生するとともに同施設が操業を停止したうえ、サウジアラビアでも4月3日早朝(同)に無人機を迎撃した旨4月3日に伝えられた。他方、2027会計年度(2026年10月~2027年9月)の米国政府予算において、国防関連支出を約4,450億ドル拡大し1.5兆ドルとする一方、電気自動車(EV)を含む非国防関連支出を10%削減(その後数年間でさらに削減)するよう4月3日にトランプ大統領が要求した。また、イラクの船舶のホルムズ海峡通峡を許可する旨4月4日にイラン軍司令部が発表した一方、バーレーンのハリファ・ビン・サルマン(Khalifa Bin Salman)港に停泊していたコンテナ船「MSC イシカ(MSC Ishyka)」(リベリア船籍とされる)をイスラエルが関与しているとして無人機で攻撃した旨4月4日にイランのイスラム革命防衛隊が発表した他、クウェート石油公社(KPC: Kuwait Petroleum Corp.)本社が入居する建物(石油省も入居しているとされる)をイランが発射した無人機が攻撃した結果火災が発生した旨4月4日に報じられた。さらに、イラン南西部フゼスタン(Khuzestan)州マフシャール(Mahshahr)にある石油化学関連施設が4月4日に米国とイルラエルにより攻撃された旨イラン学生通信(ISNA)が伝えた他、イラク南部のルマイラ(Remaila)油田を4月4日に無人機2機が攻撃した(また、その直前に同国南部の都市バスラ西部にある外資系石油会社の貯蔵関連施設が無人機により攻撃された)旨報じられた。そして、UAEのアブダビに飛来した飛翔体を迎撃した結果残骸が落下したことにより石油化学施設(ボルージュ(Borouge: アブダビ国営石油会社ADNOCとオーストリアのボレアリス(Borealis)の折半出資)で火災が発生し操業を停止したと4月5日にアブダビ政府が発表したうえ、同日バーレーンの石油貯蔵施設もイランの攻撃を受け火災が発生したと伝えられた。そして、4月6日までにイランとの間で合意に到達することは可能と米国のトランプ大統領は考える(ウィットコフ中東担当特使等が協議中である旨トランプ大統領が明らかにした)が、合意に到達しなければ、イランの全ての破壊し、同国の石油を支配することを検討している旨明らかにしたと4月5日に伝えられる。また、4月7日夜(米国東部時間と見られる)までに(従来4月6日とされていた)イラン政府当局がホルムズ海峡の事実上の解除に合意しなければイランの発電所(及び橋梁)を全て破壊する意向である旨4月5日に米国のトランプ大統領が改めて明らかにしたと報じられるが、これに対し米国が対イラン攻撃を激化すれば、中東全域が炎上するであろう旨4月5日にイランのガリバフ(Ghalibaf)国会議長が表明した。さらに、バブエルマンデブ海峡はホルムズ海峡と同様に重要である旨4月5日にベラヤチ(Velayati)元外相(現在はイランの最高指導者モジダバ師の上級顧問)が表明したとして、イラン軍が同海峡を航行する船舶を妨害する可能性があることを示唆した旨4月5日に報じられた。そして、4月5日夜(現地時間)に親イラン武装勢力(民兵組織)がイラク国内に所在する米国外交関連施設に対し2回の攻撃を実施した旨米国国務省幹部が明らかにしたと4月5日に伝えられた。他方、パキスタン、エジプト及びトルコの仲介により、米国とイランとの間で45日間の停戦案につき交渉が行われている旨4月5日夜(米国東部時間)に報じられた。また、イランのイスラム革命防衛隊、レバノン及びイラクの親イラン武装勢力と共同でイスラエルを攻撃した旨4月6日にイエメンのフーシ派武装勢力が発表した一方、イラン南部アサルーイェにあるサウスパース石油化学施設(同国石油化学製品生産の85%を占める)を攻撃した旨4月6日にイスラエルのカッツ国防相が明らかにした。さらに、パキスタン、エジプト及びトルコが提示した、米国とイランとの間での45日間の停戦案につき、イラン側が受け入れを拒否したうえ、イランは10項目の提案((1)米国のイランに対する敵対行為の終結、(2)ホルムズ海峡に対するイランの支配の維持、(3)イランと同盟関係にあるレバノンのヒズボラとの戦闘を含む、中東における全ての戦闘の終結、(4)中東の全ての基地及び拠点からの米軍部隊の撤退、(5)イランに対する損害賠償の支払い、(6)イランによるウラン濃縮の権利の承認、(7)全ての対イラン主要制裁の解除、(8)全ての対イラン二次制裁の解除、(9)IAEAによる全ての対イラン決議の終了、(10)国連安全保障理事会による全ての対イラン決議の終了、とされるが、これらの内容は流動的である可能性がある)を提出した(また、停戦の実施によりホルムズ海峡の事実上の封鎖を解除することはない旨4月6日にイラン政府高官は別途明らかにしている)ことに対し、米国のトランプ大統領が(イランの提案は)若干進展しているが十分なものではないとして、4月7日午後8時(米国東部時間)のイランの停戦合意期限を延長する可能性は低く、もし合意できなければその後4時間程度で以てイランの全ての発電所及び橋梁を破壊する意向である旨4月6日に米国のトランプ大統領が示唆した。4月7日には、米国のトランプ大統領が、今夜文明の一つが滅びる可能性がある旨表明したことに対し、同日イランが米国等の停戦等に向けた交渉を打ち切る旨警告したと同日報じられた。また、サウジアラビア東部ジュベイル工業地帯にある石油化学コンビナートを4月7日に攻撃した旨イラン準国営ファルス通信が伝えた(別途サウジアラビア東部に無人機18機が飛来、迎撃したものの残骸の落下で火災が発生した旨4月7日に報じられた)。さらに、イスラエルがイランのシラーズ(Shiraz)にある石油化学関連施設を攻撃した旨4月7日に伝えられた。そして、4月7日午後8時(米国東部時間)の交渉期限を前にしてイランのカーグ等にある軍事関連施設(レーダー関連設備及び弾薬庫)を米軍が攻撃した旨4月7日に報じられた他、イスラエルが、イラン各地の鉄道を攻撃した旨4月7日に報じられた(同日イスラエルのネタニヤフ首相が鉄道を攻撃した旨発表するとともに、(イランは)鉄道を利用して武器等の軍事用資機材を輸送していた旨主張した)。4月7日には、過去24時間で米国とイランとの間での(停戦等を巡る)交渉が進展している旨報じられたものの、米国がイランの発電施設を攻撃すれば、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設、同国西部ヤンブーの港湾関連施設、UAEのフジャイラにあるパイプラインを攻撃対象とする旨イランが警告したと4月7日にイランの準国営タスニム通信が報じた。また、米国とイランとの対立が激化した場合には、親イラン勢力がバブエルマンデブ海峡を封鎖する可能性がある旨イラン政府幹部が警告したと4月7日に伝えられた。さらに、4月7日に行ったトランプ大統領のイランに対する警告に対し、同日イランのアレフ(Aref)第一副大統領は、全てのシナリオに対し必要な対策を完了している旨表明した。

しかしながら、米国とイランが2週間の停戦を行うことで合意した旨両国が明らかにしたと4月7日夜(米国東部時間)に伝えられた(米国との停戦交渉の席にイランを着かせたのは中国であると聞いている旨4月7日に米国のトランプ大統領が明らかにしたとされる)。「イランがホルムズ海峡の即時かつ安全な開放に同意することを条件として、イランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに同意する。これは双方の停戦となる。イランから10項目の提案を受け取り、それが交渉の実現可能な基盤であると考える。」旨4月7日夜(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が声明を発表した一方、同日夜(同)にイランのアラグチ外相も声明を発表、「イランの10項目の提案の枠組みを交渉の基礎として受け入れるという米国大統領の発表を考慮し、イランに対する攻撃が停止すれば、我々の強力な軍隊は防衛作戦を停止するとともに、2週間の間、イラン軍との連携と技術的な制約を十分に考慮しつつ、ホルムズ海峡の安全な通過が可能になる。」旨表明した。そして、4月11日にパキスタンの首都イスラマバードにおいて米国とイランの和平計画等を巡る協議が実施される旨4月8日に米国トランプ大統領の報道官であるレビット氏が明らかにした。ただ、2週間の停戦を巡る米国とイランとの間での合意内容には、イランとオマーンによるホルムズ海峡を通航する船舶に対する通航料の賦課が含まれている(通航料により調達された資金をイランは自国の復興に充当する意向であるとされるが、オマーンが調達した資金の使途は不明であるとされる)旨4月7日夜(米国東部時間)に報じられた他、依然としてホルムズ海峡の通航には許可が必要である旨イランが明らかにしていると4月8日に伝えられた一方、ホルムズ海峡の事実上の封鎖解除具合につき船主が様子見となっていることから、同海峡の通航が活発化する兆しが見られない旨4月8日に別途報じられた。また、米国とイランとの停戦にはイスラエルとレバノンのシーア派武装勢力ヒズボラとの戦闘停止等あらゆる場所におけるものが含まれる旨4月7日にパキスタンのシャリフ首相が表明したことに対し、イスラエルは米国とイランの停戦合意を支持する旨4月7日夜(米国東部時間)に伝えられた(今後実施される交渉を通じてイランによる核及びミサイルによる脅威を排除する意向である旨米国から説明を受けた旨4月8日にイスラエル政府は明らかにしていた)ものの、米国とイランとの間での停戦合意にレバノンは含まれないとして、イスラエルは戦闘を続行する旨4月7日にイスラエルのネタニヤフ首相が示唆する一方、レバノンに対する攻撃を継続するのであれば、イランは停戦を破棄する旨4月8日にイランの準国営タスニム通信が明らかにした他、ホルムズ海峡をイランの許可なく通航しようとする船舶は破壊する意向である旨イラン海軍が警告したと4月8日に報じられた(また、イランが船舶通航を制限しているため、ホルムズ海峡は(実質的に)閉鎖されたままとなっている旨4月9日にUAEのアブダビ国営石油会社(ADNOC)のスルタン・アル・ジャベル(Sultan al Jaber)最高経営責任者(CEO)が明らかにした)一方、米国及びイスラエルとイランとの戦闘開始以降で最大規模の攻撃をヒズボラに対し実施した旨4月8日にイスラエルが表明した。そのような中、サウジアラビアの東西パイプラインの圧送基地が無人機により攻撃された結果損傷した旨同日フィナンシャル・タイムズ他が報じた(被害は限定的とされパイプラインの稼働は継続していると当初伝えられたが、日量70万バレルの原油輸送が停止した旨4月9日に国営サウジ通信から報じられた)。また、イランのラバン(Lavan)製油所(操業者: ラバン石油精製会社(LPRC: Lavan Oil Refining Company)、原油精製処理能力日量6万バレル)が4月8日に攻撃を受けた旨イラン石油省系シャナ(Shana)通信が伝えた一方、「イランに軍事兵器を供給する国に対し、直ちに米国に販売される全ての商品に50%の関税を課す。例外や免除はない。」旨4月8日朝(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が明らかにした。他方、イスラエルによるレバノン攻撃継続により、ホルムズ海峡の石油タンカー通航が停止された旨4月8日にイラン準国営ファルス通信が報じた他、ホルムズ海峡は完全に封鎖されている旨同日イランのプレスTVが伝えた。また、「ホルムズ海峡を通航するタンカーに対し通航料を賦課していると報じられているが、そのようなことはあってはならない。もし賦課しているのであれば、直ちに取りやめなければならない。」旨、及び「イランはホルムズ海峡を通過する石油に対する許可について、非常に貧相な、ある意味不名誉な対応をしている。これは我々の合意ではない。」旨4月9日夕方から夜にかけ(米国東部時間)米国のトランプ大統領が表明した。他方、4月8日に米国のトランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相との間で電話会談を実施するとともに、トランプ氏がネタニヤフ氏に対しレバノンへの攻撃抑制を要請した旨4月9日に米国NBCテレビが報じた他、できるだけ早い時期にレバノンとの間で直接協議を開始するよう内閣に指示した旨4月9日にネタニヤフ氏が表明した。そのような中、サウジアラビア東西パイプラインへの攻撃により日量70万バレル程度原油輸送が削減された(前述)他、マニファ(Manifa)油田の生産設備が攻撃され日量30万バレル程度の原油生産能力が減少したうえ、それ以前にクライス(Khurais)油田が攻撃を受けており同30万バレルの原油生産能力が減少したこともあり、合計日量60万バレル同国の原油生産能力が削減されたことに加え、ジュベイルにあるSATORP製油所(操業者: SATORP(サウジアラムコ(62.5%)と大手国際石油会社トタル(37.5%)の共同出資)、原油精製処理能力日量46.5万バレル)、ラス・タヌラ製油所(操業者: サウジアラムコ、原油精製処理能力日量55万バレル)、SAMREF製油所(操業者: SAMREF(サウジアラムコと大手国際石油会社エクソンモービルの折半出資)、原油精製処理能力日量40万バレル)、リヤド製油所(操業者: サウジアラムコ、原油精製処理能力日量12万バレル)等の精製設備が攻撃された結果石油製品輸出が影響を受けた他、ジュアイマ(Ju'aymah)の天然ガス処理施設が攻撃され火災が発生したことにより、LPG及びNGLの輸出に影響が生じている旨4月9日午後(米国東部時間)に国営サウジ通信が伝えた。また、4月11日の米国とイランとの間の和平計画等を巡る協議においてイラン側交渉団を率いるカリバフ国会議長が、(イスラエルによる)レバノン攻撃停止とイランの資産凍結解除が米国との協議に入る前提となる旨4月10日に表明した(なお、米国側交渉団を率いるのはバンス副大統領であるが、これはイラン側が希望したと4月10日に伝えられる)一方、ホルムズ海峡は国際海域であり、通航する船舶に対しイランが通航料を徴収することは認めない旨4月10日午後遅く(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が明らかにした。他方、4月10日においてもイスラエルはレバノンに対する攻撃を継続していたが、同日イスラエルとレバノン双方の駐米大使が電話会談を実施し、4月14日に米国の首都ワシントンの国務省において米国を仲介者として協議を実施する(準備会合となる旨指摘する向きもある一方、その場においてイスラエルのヒズボラへの戦闘停止は議論の範囲外とする旨イスラエルのライター(Leiter)駐米大使が声明を発表したと4月10日に伝えられる)ことで合意した(他方、協議開催に際し米国とレバノンはイスラエルに対しヒズボラへの攻撃の縮小もしくは停止を要求しているとされる)旨4月10日に報じられた。また、4月11日に実施される予定の米国とイランとの間での和平計画等を巡る協議が不調に終わった場合に備え、米国は対イラン攻撃再開に向け米軍艦船において最高の弾薬を充填しつつある旨4月10日に米国のトランプ大統領がニューヨーク・ポストに対し明らかにした。そして、中国石油会社が石油在庫を取り崩すことを同国政府が承認した(国家石油備蓄の取り崩しは行われないとされる)旨4月10日に伝えられた。

そのような中、4月11日に開催された米国とイランとの間での和平計画等を巡る協議(米国側代表はバンス副大統領、イラン側代表はガリバフ国会議長)が開催された(米国からイランへは、(1)ウラン濃縮活動の完全終結、(2)全ての核関連施設の解体、(3)高濃縮度濃縮ウランの回収及び搬出、(4)米国同盟国を含むより幅広い地域和平と緊張緩和枠組みの受諾、(5)ハマス、ヒズボラ及びフーシを含む中東地域のイラン代理勢力への資金供与の停止、及び(6)無料通航を保証したホルムズ海峡の完全開放、といった最低限(レッドライン)の「最終的」要求を行った一方、イラン関係者によると、当該協議における主要な論点は、ホルムズ海峡の開放、900ポンド(400キログラム程度)の高濃縮度濃縮ウランの取り扱い、イランの270億ドルの国外凍結資産の解除の要望であったとされる)が、イランの核開発断念の意志が感じられない等を理由として、交渉が事実上決裂、両国の代表団が帰国する(この時点では次回協議日程は未定とされた)とともに、協議継続を巡る条件で両国が合意するまでホルムズ海峡を巡る状況は不変である旨イラン側関係者が明らかにした一方、4月13日午前10時(米国東部時間)を以て全てのイランの港湾に発着する船舶等を対象として封鎖を実施する旨4月12日に米中央軍が表明、米国のトランプ大統領も4月13日朝(同)に、イランの軍艦等が封鎖海域に接近すれば、直ちに排除する意向である旨表明した(別途、米中央軍は、許可なく侵入する船舶は臨検、進路変更及び拿捕の対象となる可能性がある旨警告したと4月13日に伝えられる)。また、4月12日には、米国のトランプ大統領への、秋口まで原油及びガソリン価格が下落するかという質問に対し、若干上昇するかもしれないが、概ね同水準であるはずである一方、イランとの交渉は終了したわけではない旨同大統領は示唆した。他方、4月13日朝(米国東部時間と思われる)に、妥当で適切な者から電話連絡があり、彼らは取引を希望している旨米国のトランプ大統領が明らかにしたと4月13日正午過ぎ(同)に報じられた。また、米国とイランとの間で和平計画等に関する第2回の協議実施が検討されている4月13日に伝えられた他、4月11日に開催された米国とイランとの協議の場において、米国はイランに対し20年間のイラン濃縮活動停止を提案した(別途、20年間のイランのウラン濃縮活動停止案に対し米国のトランプ大統領は不満を持っていたものの、その案を完全に排除しているわけではない旨示唆したと4月14日に伝えられた)ことに対しイランは最長5年間のウラン濃縮活動停止を要望していた(加えて、米国はイランが保有する高濃度濃縮ウランの国外搬出を要望したが、これに対しイランはIAEAによる監視体制を整えたうえで国内での濃縮ウランの希釈を希望した旨4月13日に報じられた)。また、2日以内にパキスタンの首都イスラマバードにおいて第2回目の協議が実施される可能性がある旨米国のトランプ大統領が明らかにしたと4月14日に伝えられた。そのような中、米国は12隻超の艦艇、100機超の軍用機、1万人超の軍事関係者を派遣し、イランの港湾封鎖を実施している旨4月14日に伝えられた他、封鎖実施後24時間以内にイランからホルムズ海峡を通過した船舶は皆無である(6隻の商船がホルムズ海峡を通過しようとしたが米軍の指示により引き返した旨伝えられる)旨4月14日に米中央軍が発表した一方、米国との協議への悪影響を回避するため、イランはホルムズ海峡を通過する形での海上輸送を一時的に取りやめるべく検討している旨4月14日に報じられた。また、4月19日午前0時1分(米国東部時間)まで有効である、洋上に貯蔵される形になっているイラン産石油の引き取り容認措置を終了させる方針である旨4月14日に米国財務省が明らかにした。ただ、別途、米国とイランとの間での2週間の停戦につき、両国の和平計画等に関する交渉の時間を確保すべく、さらに2週間延長する方向で検討されている(但し停戦で合意する保証はない)と4月15日に報じられた。他方、米国による対ロシア制裁緩和(3月12日午前0時1分(米国東部時間)時点、もしくはそれ以前に船積みされたロシア産原油及び石油製品の取引を4月11日午前0時1分(同)まで承認する旨3月12日にOFACが発表していた)及びイラン産石油引き取り容認措置に関し、延長する意向はない旨4月15日に米国財務省のベッセント長官が表明した(ただ、4月17日午前0時1分(米国東部時間)時点もしくはそれ以前において船積みされているロシア産原油及び石油製品の取引を5月16日(米国東部時間)まで承認する旨4月17日にOFACが発表した)。また、イランの核開発等を巡り米国との間で意見の乖離が相当程度存在することにより、包括的な和平計画ではなく、戦闘再開を回避するための暫定的な合意を両国間で締結する方向で検討している旨4月16日にイラン政府幹部が明らかにした一方、指示があれば、イランの発電所及びエネルギー供給関連施設を米軍が攻撃する準備が整っている旨米国国防省のヘグセス長官が発言するとともに、ペルシャ湾等の中東地域以外においても、イランが関与するいわゆる「影の船団」を追跡する意向である旨4月16日に米国のケイン統合参謀本部議長が表明した。そして、長期に渡りイランが抵抗してきた核兵器開発及びウラン等の引き渡し、ホルムズ海峡の開放等につき、イランが合意した旨米国のトランプ大統領が明らかにした(証拠は示さなかったうえ、この時点ではイランも公式に言及しなかった)旨4月16日夜(米国東部時間)に伝えられた。また、4月19日にも米国とイランとの間で和平計画等を巡る第2回協議が開催される予定である旨4月17日に伝えられた(別途、4月20日に開催される可能性があるとも同日報じられる)。さらに、米国とイランとの間でまず覚書に署名した後60日以内に和平計画等に関する包括的な合意を行う段取りとなりつつある旨関係者が明らかにしたと4月17日に報じられた。ただ、今後数日間で暫定的な合意に到達する可能性はあるものの、イランのウラン濃縮の詳細については、米国との間で意見の相違が顕著である旨4月17日にイランの政府幹部が明らかにしたと伝えられた。また、イランがウラン濃縮活動を停止する代わりに、米国は200億ドル相当のイラン資産凍結解除を行う旨検討されていると4月17日に米国報道機関アクシオスが報じた。そのような中、4月17日午前0時(米国東部時間)にイスラエルとレバノンが10日間の停戦を実施したこと(後述)を受け、米国とイランとの停戦期間中(この時点では4月21日までとされた)、ホルムズ海峡は全面的に開放される旨4月17日朝(同)にイランのアラグチ外相が表明した。また、重要事項に関しては米国とイランとの間でほぼ合意に到達している旨4月17日に米国のトランプ大統領が表明した一方、イランの核開発活動は無期限で停止となる一方凍結されているイランの資金の解除は行われない他、イランは米国と共同でイラン国内の核物質を回収し米国に向け搬出する意向であるうえ、イランはホルムズ海峡を二度と封鎖しない方針であることに加え、ホルムズ海峡においては、イランが敷設した機雷を撤去する作業が進行しつつある(一部は撤去済である)(ただ、イランは自らが敷設した機雷の位置を把握し切れていない旨4月10日にニューヨーク・タイムズから伝えられていた)が、イランとの取引が完全に完了するまでは、イランの港湾等の封鎖は継続する意向である旨4月17日に米国のトランプ大統領が明らかにした(なお、トランプ大統領は核物質につき「核のゴミ(Nuclear Dust)」と発言しており、これが、イランが保有する濃縮ウランを指すと解釈できる反面、2025年6月22日に実施された米軍のイラン核関連施設の攻撃により破壊された核関連物質を指すと解釈することもできる旨指摘する向きもある)。

しかしながら、ホルムズ海峡は(事前に)許可された商業用船舶のみ(軍艦は排除される)とし、指定された航路を航行しなければならないとの新たな規則を策定した旨4月17日にイランのイスラム革命防衛隊が発表した他、ホルムズ海峡の船舶の通航に対し依然としてイランは通航料を徴収できるうえ、通航できる商業船舶は一部であり、イランは敵対国等の船舶によるホルムズ海峡の通航を防止できる一方、和平計画等で米国と最終的な合意に到達した後も、ホルムズ海峡を通航する船舶に対し通航料を徴収する方針である旨イランのイスラム革命防衛隊が主張したと4月17日に報じられた。また、イランの濃縮ウランの米国への搬出をイランは受け入れない他、本件については議論もしたことがないうえ、イランのウラン濃縮活動の無期限停止も否定する旨4月17日にイラン外務省のバガイ報道官が明らかにしたことに加え、引き続きホルムズ海峡はイランの支配下にあるとともに、米国がイランの港湾等の封鎖を継続するのであれば、然るべき対抗措置を実施する意向である旨同日同報道官が警告した一方、(米国とイランとの間での和平計画を巡る協議等に関し)米国のトランプ大統領は虚偽の説明を行っているとして、イランのガリバフ国会議長が批判した旨4月17日夜(米国東部時間)に伝えられた他、米国がイランの港湾等を封鎖し続けるのであれば、イランはホルムズ海峡の開放を継続しない旨4月18日にガリバフ国会議長が警告した。そして、ホルムズ海峡開放の発表後、ペルシャ湾から出峡すべくホルムズ海峡に向かいつつあった20隻程度の貨物船等が海峡手前で航行を停止、一部が折り返した旨4月17日に報じられた他、ドイツ海運会社ハパックロイドは、イランのアラグチ外相の(ホルムズ海峡開放の)発表等の内容を精査できるまでホルムズ海峡の通航は見合わせる方針である一方、イランが敷設した機雷の存在状況等が明確にされなければならない旨ノルウェー船主協会が考えている旨4月17日に伝えられた。また別途、イラクの親イラン武装勢力の指揮官等に対し制裁を発動する旨4月17日に米国財務省のベッセント長官が発表した他、イランが(和平計画等で)合意しない場合、停戦は延長しない旨4月17日に米国のトランプ大統領が明らかにした。他方、米国がイランの港湾の封鎖を継続する姿勢をトランプ大統領が示したとして、4月18日午後(現地時間と見られる)より、ホルムズ海峡を封鎖し厳格に管理するとともに、同海峡に接近する船舶に対しては攻撃の対象と見做される旨4月18日イランのイスラム革命防衛隊が警告した他、ホルムズ海峡付近では船舶がイランのイスラム革命防衛隊から攻撃を受けた(インド船籍の船舶2隻とされる)旨4月18日に伝えられた一方、数日以内に国際水域においてイランが関与する石油タンカー等の商業船舶に対し米軍が臨検もしくは接収を実施すべく準備中である旨4月18日に伝えられた。また、仲介国のパキスタンを通じてなされた、米国から戦闘終結に向けた新規の提案につきイランが検討中であるが、米国とイランとの間での次回の協議日程については目途が立っていない旨4月18日に報じられた。さらに、4月17日に行われたホルムズ海峡開放を巡るイランのアラグチ外相による表明に対し批判する向きもイラン国内で発生しているとされる(イラン準国営タスニム通信(イスラム革命防衛隊系とされる)はこの種の発信方法につき外務省は再検討すべきである旨4月18日に伝えている)。そして、4月19日には、オマーン湾において米国によるイラン港湾封鎖の突破を試みようとした貨物船「トウスカ(Touska)」(イラン船籍)を拿捕した旨米国のトランプ大統領が発表した。なお、別途米国のバンス副大統領、ウィットコフ中東担当特使、及びトランプ大統領の娘婿クシュナー氏がパキスタンの首都イスラマバードに向かうとともに4月21日にイランとの間で和平計画等を巡る協議を実施する意向を示している旨4月19日に報じられる一方、イラン側は出席を拒否している旨4月19日に国営イラン通信(IRNA)が示唆している。

他方、イスラエル北部にレバノンからロケット弾3発が発射された旨3月2日にイスラエル軍が発表した(レバノンを拠点とするシーア派武装勢力ヒズボラは2月28日の米国及びイスラエルによるイラン攻撃開始の際、イランと連帯する旨表明したが、このロケット弾の発射がヒズボラによるものかどうかについては明らかにではなかった)。これを受け、レバノン国内のヒズボラの軍事拠点等への攻撃を開始した(70箇所以上の拠点を攻撃したとされる)旨3月2日にイスラエル軍が発表した他、レバノンにおいて戦略的に重要であると見做される地点を掌握するよう3月3日にイスラエルのカッツ国防相が(同国軍に)指示した。これに対し、3月13日には、ヒズボラの最高指導者カセム(Qassem)師が、イスラエルとの間で長期間戦闘する用意があるとともに、最後まで戦い抜く意向である旨表明した。さらに、ヒズボラの拠点を標的として限定的な地上作戦を実施している旨イスラエル軍が明らかにしたと3月16日に報じられた。3月22日朝(現地時間)には、イスラエル北部がロケット弾の攻撃を受け1人が死亡した一方、イスラエルのカッツ国防相はレバノン南部の家屋及び南部のリタニ(Litani)川流域の橋梁を破壊するよう同国軍に指示した旨明らかにした。そして、レバノン南部においてイスラエルが主張するところの安全地帯を拡大するよう軍に指示した旨3月29日にイスラエルのネタニヤフ首相が発表した。3月30日には、イスラエル北部の都市ハイファにある製油所にミサイルが飛来、迎撃したものの、ガソリン貯蔵タンクに残骸が落下し火災が発生(製油所の操業自体には影響はない旨イスラエルのコーエン・エネルギー相が明らかに)した。他方、4月5日に巡航ミサイルを発射しレバノン沖でイスラエルの軍艦を攻撃した旨ヒズボラが発表した。また、4月6日には、イランのイスラム革命防衛隊、レバノン及びイラクの親イラン武装勢力と共同でイスラエルを攻撃した旨4月6日にイエメンのフーシ派武装勢力が発表した。4月7日には米国とイランが2週間の停戦で合意したが、イスラエルはヒズボラへの攻撃停止を拒否する旨4月7日にイスラエルのネタニヤフ首相が示唆するとともに、4月8日には米国及びイスラエルとイランとの戦闘開始以降で最大規模の攻撃をヒズボラに対し実施した旨同日イスラエルが表明した。4月10日においてもイスラエルはレバノンに対する攻撃を継続したが、同日イスラエルとレバノン双方の駐米大使が電話会談を実施し、4月14日に米国の首都ワシントンの国務省において米国を仲介者として協議を実施することで合意した旨同日伝えられた。そのような中、4月16日午後5時(米国東部時間)(現地時間4月17日午前0時)より、イスラエルとレバノンが10日間の停戦を実施することで4月16日に両国が合意(但し、4月16日に発表された声明においては、ヒズボラはイスラエルとの間での停戦に対応するかどうか明言しなかった)。停戦を巡る合意内容は、(1)4月16日午後5時(米国東部時間)から10日間を当初の期間として、イスラエルとレバノンが停戦、(2)交渉が進捗するとともに、レバノンが主権を行使できる旨実証されるのであれば、両国の合意に基づき停戦を当初期間から延長する可能性があること、(3)停戦期間中においても、計画されつつある、差し迫った、もしくは実施中である攻撃に対し、如何なる時点においても、自衛のために必要とされる如何なる措置も実施する権利をイスラエルは保有するが、それを除けば、レバノン領内の民間、軍、その他政府関連施設に対し、陸、海及び空からの如何なる軍事攻撃実施を停止すること、(4)停戦開始以降、ヒズボラ、もしくはその他のレバノン同国内における違法な民兵組織が、イスラエルの標的に対し、如何なる作戦や攻撃、もしくは敵対行為を実施することを防止すべく、レバノンが実質的な措置を講じること、(5)レバノン治安当局が同国の主権と国防を巡り単独で責任を負う旨他の全当事者が認識するとともに、他の如何なる国や集団も、レバノンの主権を保証する旨主張する権利を持たないこと、(6)イスラエルとレバノンのさらなる直接交渉を巡り、米国に対し支援を要請すること、とされる。さらに、4月17日に米国のトランプ大統領は、同国がイスラエルに対しレバノンの空爆を禁止した旨明らかにした(これに対し当該事項は停戦合意内容に含まれていない(イスラエルは自衛のために必要とされるあらゆる措置を実施することが可能である旨規定されている)としてイスラエル政府は米国に対し説明を要求したと4月17日に伝えられた他、4月17日にイスラエルのカッツ国防相は、停戦期間終了後はレバノン攻撃を再開する可能性がある旨明らかにしたうえ、同日イスラエル首相府も対ヒズボラ軍事作戦は完了していないとして、ヒズボラ解体を目指す旨示唆したことに加え、停戦合意後もイスラエルはレバノン南部を攻撃し続けた旨4月17日に伝えられた一方、それ以前の4月14日には、イスラエルの対外情報機関モサドのバルネア長官が、イランの体制転換を追求すべく秘密工作を講じ続ける意向である旨表明したと報じられている)。

このように、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を含む、米国とイランとの和平計画等を巡る交渉、及びイスラエルのレバノンにおける攻撃等については、米国、イスラエル及びイラン等の各当事者間相互もしくは当事者内部での意思決定もしくは意思の疎通状況が不安定であり、結果として、中東情勢を巡る展開が著しく流動的になっており、これが原油相場に影響する格好となっている。今後も、米国のトランプ大統領やトランプ政権及び米軍関係者、イランのペゼシュキアン大統領やアラグチ外相のみならず、イラン軍及びイスラム革命防衛隊幹部、イスラエルのネタニヤフ首相や同国政権幹部等の当事者による発言や行動が、時間の経過といった要素も含め、中東情勢に対し必ずしも一貫した意味合いをもたらさない可能性があるため、そのような展開が市場関係者の心理に織り込まれるとともに原油価格が乱高下する場面が見られる一方、例えば、ホルムズ海峡が開放されたという情報が流れたとしても、全当事者が同様な、もしくは一貫した認識を持っているか(時間の経過とともに当事者の発言や行動が変化しないか)市場関係者が確信を持つまでに時間を要することから、短期的には原油相場に持続的な上昇もしくは下落傾向が現れにくくなる側面もあるものと考えられる。また、米国等とイランとの間での戦闘が停止することに伴いホルムズ海峡の事実上の封鎖が解除されるとともに同海峡における船舶の航行が回復する兆候が見られるまでは、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念が市場関係者間で継続することにより、原油相場が下支えされやすいものと考えられる。

最近では、石油市場において、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念が注目される傾向があるが、ウクライナとロシアと巡る情勢の流動化とロシアからの石油供給面での影響にも注目しておく必要がある。3月14日には、米国のトランプ大統領が、ウクライナとロシアとの和平合意につきロシアのプーチン大統領は合意の用意があるのにウクライナのゼレンスキー大統領はその用意がないことから、ウクライナとの交渉は極めて困難であるとして、ウクライナを批判した一方、米国等とイランとの間での戦闘に伴いウクライナの立場が不利になりつつある旨3月14日にウクライナのゼレンスキー大統領が明らかにした。また、米国がウクライナに対する支援を停止すれば、無人機攻撃を行うイランに対する支援を停止する旨ロシアが提案した(米国(ウィットコフ中東担当特使他)は拒否したとされる)旨3月20日に伝えられた。そのような中、ロシア南西部バシコルトスタン(Bashkortostan)共和国にあるウファ(Ufa)製油所(操業者: バシネフチ(Bashneft)、原油精製処理能力日量47万バレル)が無人機により攻撃され、火災が発生したと3月21日に地方当局が、また、ロシア南西部サラトフ州中にあるサラトフ(Saratov)製油所(操業者: ロスネフチ、原油精製処理能力日量14万バレル)を攻撃した結果精製設備及び貯蔵タンクで被害が発生した旨3月21日にウクライナ軍が、それぞれ明らかにした。そのような中、3月21~22日に米国フロリダ州マイアミにおいて実施されたウクライナとロシアとの和平に関するウクライナと米国との協議が終了した旨3月22日にウクライナのゼレンスキー大統領が明らかにした(その際同大統領は次回協議日程には言及しなかったとされる)。そして、ロシア北西部バルト海沿岸のプリモルスク石油ターミナル(日量100万バレル超の原油及び軽油を輸出しているとされる)の燃料タンクがウクライナの発射した無人機による攻撃で炎上した旨3月23日に地元当局者が明らかにした。加えて、ロシア北西部レニングラード地域における無人機攻撃により3月22日にロシアのウスチ・ルーガ石油ターミナル(日量70万バレルの石油を出荷しているとされる)における石油出荷作業が中断したが、3月23日正午前後(現地時間)に操業が再開されたと同日伝えられた。また、ウクライナがバシコルトスタン共和国にあるウファネフチヒム(Ufaneftekhim)製油所(操業者: ロスネフチ、原油精製処理能力日量18万バレル)を無人機で攻撃した結果火災が発生した旨3月23日にウクライナ軍参謀本部が明らかにした。さらに、ロシアのバルト海沿岸のプリモルスク及びウスチ・ルーガの両石油ターミナルが3月24日深夜から25日早朝(現地時間)に行われたウクライナの389機の無人機による攻撃(2025年3月10日以来の多数の無人機であったとタス通信が伝える)に伴い原油及び石油製品の出荷が停止した。他方、戦闘終結後のウクライナに対するロシア再侵攻防止のための保証等への条件として、ウクライナ東部のドンバス地方(ドネツク州及びルハンスク州)全域をロシアに割譲することを、米国がウクライナに要求している旨ウクライナのゼレンスキー大統領が明らかに(併せて同地方の割譲はウクライナ及び欧州の安全保障を毀損することになる旨同大統領が警告)したと3月25日に報じられた。また、3月に行われたウクライナによるロシアにおける石油ターミナル及びパイプラインを含む石油関連施設への無人機等の攻撃により、3月25日時点でロシアの石油輸出能力の少なくとも40%が稼働停止に追い込まれている旨同日ロイター通信が伝えた。そして、3月22日にウクライナが発射した無人機の攻撃に伴う火災により停止していたロシアのプリモルスク石油ターミナルにおける原油及び石油製品の出荷作業は再開したものの、施設の損傷により能力以下での稼働となっている(一方ウスチ・ルーガ石油ターミナルは3月25日の無人機の攻撃以降操業を停止したままである)旨3月26日に報じられた(別途、ロシア国営石油輸送会社トランスネフチはバルト海の石油輸出の迂回を実施しようとしている旨3月26日に伝えられた)。また、ウクライナが発射した無人機の攻撃により火災が発生したとして、ロシア北西部レニングラード州のキリシ(Kirishi)製油所(操業者: スルグトネフチガス、原油精製処理能力日量35万バレル)の操業が3月26日に停止した。同日には、ボルポラス海峡に近い黒海沖合においてロシアの石油を積載したタンカー「アルトゥーラ(Altura)」(シエラレオネ船籍とされ、ロシアのノボロシイスクにおいて100万バレルの原油を積載したとされる)が無人艇により攻撃を受けたとされる。また、ロシアに圧力を加え続けるべく、同国のエネルギー関連インフラを標的として攻撃を実施している旨3月25日にウクライナのゼレンスキー大統領が明らかにした。さらに、ロシアのバルト海沿岸ウスチ・ルーガ石油ターミナル(ウクライナによる攻撃により3月25日より操業を停止中であった)を3月27~29日及び3月31日にウクライナの無人機が攻撃した(別途同ターミナルでガスコンデンセートを処理し、ナフサを輸出しているノバクテックは、これらに関する作業を中断したと関係者が明らかにした)旨3月27~29日及び31日に伝えられた。他方、ロシア西部ヤロスラブリ(Yaroslavl)州にあるヤロスラブリ製油所(操業者: スラブネフチ(ロスネフチ及びガスプロムネフチの折半出資)、原油精製処理能力日量30万バレル)が、ウクライナが発射した無人機の攻撃により損傷した旨ウクライナ軍参謀本部が明らかにしたと3月28日に伝えられた。4月2日朝(現地時間)には、ロシア南西部バシコルトスタン共和国にあるウファ(Ufa)製油所が無人機により攻撃され、火災が発生した結果常圧蒸留装置(CDU-5、原油精製処理能力日量約13万バレルと推定される)の操業が停止した旨同日及び4月4日に報じられた(4月3日にはウクライナ軍参参謀本部もその旨発表した)。また、夜間にロシアからトルコ方面に天然ガスを輸送するトルクストリームパイプライン向けの天然ガスを圧送する基地が無人機により攻撃された(迎撃されたとされる)旨4月2日にロシア大手天然ガス会社ガスプロムが明らかにした他、ウクライナが発射した無人機による攻撃により、ロシアのバルト海沿岸港であるプリモルスクとウスチ・ルーガからの石油の出荷が停止したままとなっている旨4月3日に報じられた。さらに、ロシアのバルト海沿岸にあるプリモルスク石油ターミナルの石油パイプラインが、ウクライナが発射した無人機により攻撃され、損傷した旨4月5日に地元当局関係者が明らかにしたが、同日パイプライン自体は損傷していなかったが、石油ターミナルの石油貯蔵タンクが迎撃された無人機の残骸の落下により損傷、石油漏洩が発生したと別途伝えられた。また、ロシア西部ニジニノブゴロド(Nizhny Novgorod)州にあるノルシ(Norsi)製油所(操業者: ルクオイル、原油精製処理能力日量34万バレル)が無人機により攻撃され火災が発生した旨4月5日に地元当局関係者が、ロシア黒海沿岸のノボロシイスクのシェスハリス(Sheskharis)石油ターミナルが無人機で攻撃された結果、原油出荷(通常日量70万バレルを出荷)が停止した旨4月7日に関係者が、それぞれ明らかにした。そして、夜間にロシアのバルト海沿岸にあるウスチ・ルーガ石油ターミナルを攻撃した結果、貯蔵タンク3基が損傷した旨ウクライナ参謀本部が明らかにしたと4月7日に伝えられたが、4月8日に原油輸出を再開した旨4月8日に報じられた。そのような中、ロシアとの戦闘終結を巡る協議が進展しつつある旨ウクライナのブダノフ大統領府長官が明らかにした旨4月10日に報じられた一方、最近数ヶ月間に渡りインドはロシア産原油を相当量調達している(2026年3月のロシアからの原油輸入量は2023年6月以来の高水準であるとされた)他、4月11日に期限切れとなる米国によるロシア産原油購入を巡る制裁免除は延長されるものと見込んでいるが、延長されなくても他に選択肢が限られることから、購入量が削減される可能性は低い旨インド大手石油精製会社幹部が明らかにしたと4月10日に伝えられた。他方、ロシアのカスピ海にある2ヶ所の掘削プラットフォームを攻撃した旨4月10日にウクライナ参謀本部が明らかにした。また、米国による対ロシア制裁緩和(3月12日午前0時1分(米国東部時間)時点、もしくはそれ以前において船積みされたロシア産原油及び石油製品の取引を4月11日午前0時1分(同)まで承認する旨3月12日にOFACが発表していた)に関し、当該措置を延長する意向はない旨4月15日に米国財務省のベッセント長官が表明したが、4月17日午前0時1分(米国東部時間)時点もしくはそれ以前において船積みされているロシア産原油及び石油製品の取引を5月16日(米国東部時間)まで承認する旨4月17日にOFACが発表した。また、別途、ロシアが事実上支配するクリミア地方にある2ヶ所の石油貯蔵基地及びロシア南西部クラスノダール地方にあるトゥアプセの港湾施設をウクライナ軍が攻撃した旨4月16日に伝えられた。さらに、ロシア南西部サマラ州のノボクイビシェフスク(Novokuibyshevsk)及びシズラニ(Syzran)にある製油所、黒海沿岸港であるチホレツク(Tihoretsk)の石油貯蔵タンク等が、ウクライナが発射した無人機により攻撃された旨4月18日に報じられた。

このように、米国及びイスラエルとイランとの間での戦闘状態継続に伴う石油需給引き締まり感の増大から、ウクライナを支援する一部諸国からはウクライナに対しロシアの石油供給関連施設の攻撃を抑制するようにとの要請があった旨同国のゼレンスキー大統領が明らかにしたと3月31日に伝えられているものの、なお、ウクライナはロシアの石油供給関連施設を攻撃し続けている。従って、中東情勢の不安定化による同地域からの石油供給途絶に加え、ウクライナの攻撃によるロシアからの石油供給途絶の可能性を巡る懸念が市場関係者間で増大する結果、少なくとも当面の間は原油相場に上方圧力が加わる場面が見られやすいため、注意する必要があろう。他方、4月12日にはハンガリー議会選挙が実施され、ロシア寄りとされたオルバン首相の率いる与党が敗北、より欧州連合(EU)寄りとされる中道右派政党が勝利した。このため、EU加盟国間での結束を乱すことにより、これまで対ロシア制裁等を巡る意思決定が遅延する場面が見られたものの、今後はロシアに対する政策につきより迅速な判断がなされる可能性があることから、ロシアからの石油及び天然ガス供給への影響がより早期に発生する(もしくは早期に発生する可能性があるとの観測が発生する)結果、それが原油相場により及びやすくなるものと考えられる。

米国及びイスラエルとイランとの間での戦闘が継続する中、米国金融当局関係者の考え方にも微妙な変化が見られる。3月17~18日に開催された米国連邦公開市場委員会(FOMC)においては、政策金利の据え置きが決定されるとともに2026年末及び2027年末にかけ各1回の政策金利引き下げが見込まれている旨(従来と同様)が明らかになったが、政策金利を引き下げるには米国物価上昇が沈静化していることを確認する必要がある旨3月18日のFOMC開催後の記者会見で米国連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長が表明した。また、米国のイラン攻撃の状況につき注目しているものの、併せて米国の労働市場を懸念しており、同市場を支援するためにも2026年末までに3回の政策金利引き下げ実施を見込んでいる旨3月20日にFRBのボウマン副議長が明らかにした。さらに、労働市場悪化を巡るリスクに対する懸念が増大しつつあるとして、2026年も4回の政策金利引き下げを支持する旨の認識を3月23日にFRBのミラン理事が示した。ただ、物価上昇が沈静化すれば、2026年末までに政策金利引き下げが実施される可能性があるが、物価上昇が加速する様であれば政策金利引き上げを行なわなければならない可能性もあり、現時点では労働市場よりも物価問題を優先させる必要があると考えている旨3月23日に米国シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁が発言した。また、イラン情勢及び原油価格上昇により、FRBが次に実施すべき政策は不明である旨3月23日に米国サンフランシスコ連邦準備銀行のデーリー総裁が明らかにした。さらに、目標を上回っている米国物価上昇の沈静化が図られなければ、政策金利の引き下げの支持は困難である旨3月24日にFRBのバー理事が説明した。それでも、足元の政策金利は適切な水準から1%高い旨3月25日にFRBのミラン理事が主張した。しかしながら、米国等とイランとの間での戦闘により、米国金融当局にとって労働市場よりも物価上昇長期化を巡るリスクが増大している旨3月26日にFRBのクック理事が示唆した。また、米国経済を巡る不透明感が強い中、3月17~18日に開催されたFOMCにおいて政策金利据え置きを決定したのは適切であった他、米国物価上昇及び労働市場双方を巡りリスクが存在するとともに展望が不透明である中では、政策金利を据え置くことが妥当であるとの考えを米国リッチモンド連邦準備銀行のバーキン総裁が示したと3月27日に伝えられた。さらに、従来から米国の物価上昇率が年率2%の目標を上回って推移していることもあり、イラン戦争に伴う米国ガソリン小売価格上昇の同国物価上昇期待への影響に対しより懸念するようになってきている旨3月27日に米国フィラデルフィア連邦準備銀行のポールソン総裁が示唆した。加えて、不透明感が強いため米国経済状況につき様子を見る必要があるものの、中東情勢緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇により、今後数ヶ月間で米国の物価上昇が加速する可能性が高いとの見解を3月30日に米国ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁が示した。他方、中東情勢緊迫化に伴う米国経済への影響及び金融政策については当面様子見とする姿勢である旨3月30日にFRBのパウエル議長が示唆した。ただ、物価上昇率を過小評価すべきでないとして、米国金融当局は同国の物価上昇を抑制すべく対応すべきである旨3月31日に米国カンザスシティー連邦準備銀行のシュミッド総裁が発言した一方、足元の金融政策は、物価上昇もしくは労働市場を巡るリスクに対応するうえで適切な状況にあるとして、現行の政策金利は景気を加速も減速もしない妥当な水準であり、当面変更する理由は見当たらない旨の考え方を、4月1日に米国セントルイス連邦準備銀行のムサレム総裁が示した他、米国等とイランとの戦闘状態が長期化すれば、米国の経済成長と物価上昇の両面に影響するリスクが高まる恐れがある旨4月1日にFRBのバー理事が明らかにした。4月2日は、米国ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁が、米国労働市場と物価上昇を巡るリスクは均衡状態にあるとして、当面政策金利を維持する方針を支持する旨の見解を示した。また、労働力が殆ど拡大しない状況下では、雇用者数よりも失業率の方が労働市場の状況を測定するより良い指標となる可能性が高い旨4月3日に米国サンフランシスコ連邦準備銀行のデーリー総裁が明らかにした。さらに、足元の金利は米国とイランとの戦闘による米国経済への影響に対応するには適切な状況にあり、政策金利のさらなる調整を行う必要はないものと考える旨4月7日に米国ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁が表明した。ただ、米国とイランとの戦闘に伴うエネルギー価格上昇は、米国に対し物価上昇と労働市場悪化双方のリスクを増大させることとなる恐れがある旨4月7日に米国シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁が警告した。そのような中、米国等とイランの戦闘状態により、米国の物価上昇率が目標の2%に戻るには一層の時間を要する可能性があるとの見方を極めて多数の金融当局者が示した一方、戦闘が米国労働市場を一層悪化させる恐れがあるとの懸念を多くの金融当局者が表明した旨4月8日に公表されたFOMC議事録(3月17~18日開催分)で示唆された。また、4月10日に米国労働省から発表された3月の同国消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.3%の上昇と2月の同2.4%の上昇から伸びが加速、2024年5月(この時は同3.3%の上昇)以来の高い伸びとなっている旨判明したが、足元米国労働市場と物価上昇を巡るリスクは均衡している旨4月9日に米国サンフランシスコ連邦準備銀行のデーリー総裁が明らかにした。他方、FRBが米国銀行に対しプライベートクレジット(高水準の金利等もあり収益が悪化するとともに、投資家が資金を引き揚げつつあるとされる)に対する資金拠出等の状況につき詳細の情報を要求している旨4月10日に伝えられた。また、米国の物価上昇率は1年後には目標としている2%に接近するものと考えている旨の見解を4月13日にFRBのミラン理事が示した一方、高水準の米国物価上昇率が維持されるようであれば、2026年の政策金利引き下げ期待は後退するであろう旨米国シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁が明らかにしたと4月14日に伝えられた。さらに、米国政策金利は妥当な水準であり、現状維持が適切であるものの、今後の経済状況によっては引き上げ及び引き下げ双方へ調整される可能性がある旨の認識を4月15日に米国クリーブランド連邦準備銀行のハマック総裁が示した。そして、最近の中東情勢の影響で、2026年末までに米国における基調的な物価上昇率が3%程度にまで到達するものと見込まれるうえ、さらに上振れする可能性があることもあり、当分の間政策金利は現状の水準で維持すべきである旨4月15日に米国セントルイス連邦準備銀行のムサレム総裁が発言した。4月15日には、原油価格の大幅上昇が物価上昇期待の増大に繋がる可能性があり、米国政府による関税賦課政策とともに、二重のリスクを米国金融当局は抱えている旨米国シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁が明らかにしたと伝えられた。また、足元の政策金利は米国物価上昇の沈静化と労働市場の安定の観点からは適切な水準にあると考えるものの、米国とイランとの戦闘に伴うエネルギー価格の上昇を含む不透明感の増大から今後の政策金利に関する方針を巡る考え方を示すことは合理的ではない旨4月16日に米国ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁が明らかにした。さらに、米国等とイランとの戦闘状態により、米国物価上昇が加速する恐れがあることから、少なくとも短期的には政策金利の引き下げには慎重でありたい旨4月17日にFRBのウォラー理事が表明した。そして、足元の政策金利水準はやや景気抑制的であるが、労働市場を顕著に悪化させるほどではない一方、このまま政策金利を維持しても、米国物価上昇は抑制されるものと考えるものの、米国とイランとの間での戦闘状態の推移につき様子を見てみたい旨米国サンフランシスコ連邦準備銀行のデーリー総裁が発言した。

このように、米国及びイスラエルによる対イラン攻撃とイランによる報復措置としてのホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う原油価格等の上昇もあり、米国のCPIの伸びが加速する一方、物価上昇を懸念する声が米国金融当局関係者間でより強くなっているように見受けられる。今後も米国の物価上昇が加速する(特に原油価格上昇がエネルギー及び食料を除くコアCPIの伸びの拡大に影響を及ぼす)ようであれば、米国金融当局関係者による政策金利引き下げ判断がより困難になるとともに、物価上昇の中での政策金利引き下げ抑制により米国経済が減速する可能性があるが、足元では米国等とイランとの間での戦闘に伴う中東情勢不安定化と同地域からの石油供給途絶懸念の増大が原油相場により大きな影響を与えていることもあり、短期的には米国の政策金利を含む金融政策が原油相場に持続的に大きな影響を与える可能性はそれほど高くないものと考えられる。ただ、4月28~29日には次回FOMCが開催される予定である。同FOMCにおいて政策金利が据え置かれる確率は4月19日時点で97.9%(0.25%の政策金利引き上げが行なわれる確率は2.1%)となるなど、概ね政策金利は据え置きとされる可能性が高く、もし、そのような決定がなされる(そしてその可能性はそれなりに高いものと考えられる)ようであれば、この面で米ドルや原油相場への影響は限定的なものとなるものと考えられる。しかしながら、米国及びイスラエルによる対イラン攻撃の実施により原油価格が上昇するとともに、米国でもガソリン小売価格も上昇しつつある(4月13日時点の全米平均ガソリン小売価格は1ガロン当たり4.254ドルと米国及びイスラエルによる対イラン攻撃開始前時点である2月23日の同3.072ドルから38%上昇している)ことから、この面でこの先米国金融当局関係者による政策金利を巡る判断が影響を受けると言った展開も想定されるとともに、4月29日のFOMC開催後のFRBのパウエル議長の米国物価展望を含めた発言により、米ドルとともに原油相場が変動する場面が見られるといった展開となることも否定し切れないので、注意する必要があろう。

また、4月に入り米国主要企業等の2026年1~3月等の業績が発表され始めているが、それら企業の業績もしくは2026年以降の業績見通し等の内容によっては米国株式相場を通じて原油相場に圧力が加わることもありうる。

3月16日に中国国家統計局から発表された、2026年1~2月の同国鉱工業生産は前年同期比6.3%の増加と2025年12月の同5.2%の増加から伸びが拡大した他、市場の事前予想(前年同期比5.3%増加)を上回ったうえ、1~2月の小売売上高は前年同期比2.8%増加と、12月の同0.9%の増加から伸びが拡大した他、市場の事前予想(同2.5%増加)を上回った。また、3月16日に中国国家統計局から発表された、1~2月の中国固定資産投資は前年同期比1.8%の増加と、1~12月の同3.8%の減少から増加に転じた他、市場の事前予想(同5.1%の減少)に反し増加となっていた旨判明した他、2月の中国新築住宅価格は前月比0.28%の下落と12月の同0.37%の下落から、2月の中国中古住宅価格は前月比0.43%の下落と1月の同0.54%下落から、それぞれ下落率が縮小、2026年1~2月の中国不動産開発投資は前年同期比11.1%減少と、2025年1~12月期の同17.2%の減少から減少率が縮小した他、市場の事前予想(同19.3%の減少)を下回って減少したものの、1~2月の新築住宅販売額は前年同期比21.8%減少と1~12月の同13.0%減少から減少率が拡大した他、1~2月の同国失業率は5.3%と12月の5.1%から上昇した他市場の事前予想(5.1%)を上回った。他方、3月16日に中国国家統計局から発表された2026年1~2月の同国原油精製処理量は1億2,263万トン(推定日量1,521バレル)と2025年12月(6,246万トン(同1,475万バレル))から日量ベースで増加した他、前年同期(1億1,917万トン(同1,479万バレル))を2.9%上回っている旨判明した。また、3月27日に中国国家統計局から発表された2026年1~2月の同国工業企業利益は前年同期比15.2%増加と2025年12月の前年同月比5.3%増加から伸びが拡大した他、市場の事前予想(同10.6%の増加)を上回った。さらに、3月31日に中国国家統計局から発表された3月の同国製造業購買担当者指数(PMI)(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)は50.4と2月の49.0から上昇、2025年3月(この時は50.5)以来の高水準に到達した他市場の事前予想(50.1)を上回ったうえ、同国非製造業PMIは50.1と2月の49.5から上昇、2025年12月(この時は50.2)以来の高水準に到達した他市場の事前予想(49.9)を上回った。しかしながら、3月31日に中国民間調査会社レーティングドッグから発表された3月の同国製造業PMIは50.8と2月の52.1から低下した他市場の事前予想(51.5)を下回ったうえ、4月3日にレーティングドッグから発表された3月の同国サービス部門PMIは52.1と2月の56.7から低下した他市場の事前予想(53.6)を下回った。また、4月10日に中国国家統計局から発表された3月の同国生産者物価指数(PPI)は前年同月比0.5%上昇と2月の同0.9%の下落から上昇に転じた他、市場の事前予想(同0.4%の上昇)を上回った一方、消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.0%の上昇と市場の事前予想(同1.1~1.2%上昇)を下回った。さらに、4月14日に中国税関総署から発表された3月の同国輸出は前年同月比2.5%の増加と2月の同39.6%の増加から伸びが大幅に鈍化、2025年10月(この時は前年同月比1.2%の減少)以来の低い増加率となった他、市場の事前予想(前年同月比8.6%の増加)を下回った一方、3月の輸入は前年同期比27.8%増加と2月の同13.8%から伸びが相当程度拡大、2021年11月(この時は同31.4%の増加)以来の高水準の伸び率となった他、市場の事前予想(前年同期比11.2%の増加)を上回った。ただ、併せて、4月14日に中国税関総署から発表された2026年3月の同国原油輸入は4,998万トン(推定日量1,180万バレル)と前年同月(5,141万トン(同1,213万バレル))比で2.8%の減少となっている旨判明した。また、4月16日に中国国家統計局から発表された、2026年1~3月の中国国内総生産(GDP)は前年同期比5.0%の増加と2025年10~12月の同4.5%の増加から伸びが拡大した他、市場の事前予想(同4.8%増加)を上回った他、同日中国国家統計局から発表された、3月の中国鉱工業生産は前年同月比5.7%の増加と1~2月の前年同期比6.3%の増加から伸びが縮小したものの、市場の事前予想(前年同期比5.3~5.5%増加)を上回ったものの、3月の同国小売売上高は前年同月比1.7%増加と、1~2月の前年同期比2.8%の増加から伸びが縮小した他、市場の事前予想(同1.9~2.3%増加)を下回った。また、4月16日に中国国家統計局から発表された、3月の中国固定資産投資は前年同月比1.7%の増加と、1~2月の前年同期比1.8%の増加から伸びが鈍化した他、市場の事前予想(同1.9%の増加)を下回った他、3月の中国新築住宅価格は前月比0.21%の下落と2月の同0.28%の下落から、3月の中国中古住宅価格は前月比0.24%の下落と2月の同0.43%の下落から、それぞれ下落率が縮小したうえ、3月の中国不動産開発投資は前年同期比11.1%減少と、1~2月期の前年同期比17.2%の減少から減少率が縮小した他、市場の事前予想(同19.3%の減少)を下回って減少している旨判明、1~3月の新築住宅販売額も前年同期比18.5%減少と1~2月の同21.8%減少から減少率が縮小した。しかしながら、3月の同国失業率は5.4%と1~2月の5.3%から上昇した他市場の事前予想(5.2%)を上回った。他方、3月16日に中国国家統計局から発表された3月の同国原油精製処理量は6,167万トン(推定日量1,456バレル)と1~2月の1億2,263万トン(推定日量1,521万バレル)を日量ベースで下回った他、前年同月(6,305万トン(同1,489万バレル))を2.2%下回っている旨判明した。

このように、1~2月及び3月の中国経済は依然まだら模様の様相を呈しつつも、多少なりとも持ち直す兆しが見られる側面もあった。しかしながら、2月28日に開始された米国及びイスラエルによる対イラン攻撃とイランによる報復措置としてのホルムズ海峡の事実上の封鎖等に伴う中東情勢の不安定化による同地域からの石油供給途絶懸念の増大と原油を含むエネルギー価格の上昇を含む経済混乱が、中国経済に影響を及ぼしつつあるように見受けられることから、この面では鉱工業生産や物流活動を抑制することを通じ同国の経済が減速するとともに石油需要の伸びの鈍化がもたらされる結果、原油相場に下方圧力を加える方向で作用する可能性はある。それでも、短期的には、中東情勢の安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念による原油相場への上方圧力により、中国経済減速に伴う同国の石油需要の伸びの鈍化懸念による原油相場への下方圧力は相殺されやすいものと考えられる。

米国では、今後夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期(2026年は米国戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)(5月25日)に伴う連休(5月23~25日)から労働者の日(レイバー・デー)(9月7日)に伴う連休(9月5~7日)までである)が接近するとともに、製油所が春場のメンテナンス作業を終了し稼働を上昇、原油精製処理量を増加させるとともに原油購入を活発化させることから、季節的に石油需給の引き締まり感が市場で強まるとともに、原油相場に上方圧力が加わりやすくなるものと考えられる。

また、大西洋圏では公式と目されるハリケーン等の暴風雨シーズン突入までにはなお若干の時間がある(暴風雨シーズンは例年6月1日~11月30日である)一方、現時点までに明らかになっている一部機関による2026年の暴風雨シーズンにおける暴風雨発生予想では、平年を若干下回る頻度でハリケーン等の暴風雨が発生する(表1参照)とされる。ただ、今後平年を上回る頻度でハリケーン等の暴風雨が発生するとの予報に修正されたり、予報に反しハリケーン等の暴風雨活動が活発化したりすることもありうるので注意する必要があろう。ハリケーン等の暴風雨は、進路やその勢力によっては、米国メキシコ湾沖合の油田関連施設に影響を与えたり、湾岸地域の石油受入及び積出港湾関連施設や製油所の操業に支障を発生させたり(実際に製油所が冠水し操業が停止することもあるが、そうでなくても周辺の送電網が暴風で切断されることにより、製油所への電力供給が途絶することを通じて操業が停止するといった事態も想定される)、さらには、メキシコの沖合油田や原油輸出港の操業を停止させたりすること等により米国のメキシコからの原油輸入に影響を与えたりする(2025年において米国メキシコ湾岸地域はメキシコから日量35万バレル程度の原油を輸入した)。また、最近では米国の原油生産に占める陸上の割合が大きくなってきているものの、それでも米国メキシコ湾沖合でもそれなりの量の原油が生産されている(2025年は当該地域で日量190万バレルの原油を生産しており、同年の米国の原油生産量全体(同1,359万バレル)の約14%を占めた)他、米国メキシコ湾岸は引き続き同国の精製活動中心地域である(2025年の当該地域の原油精製処理能力は日量984万バレルと米国原油精製処理能力全体(同1,817万バレル)の約54%を占めた)こともあり、今後のハリケーン等の実際の発生状況やその進路、そしてその予報等によっては市場関係者間で石油供給に対する懸念が強まるとともに、それが原油価格に織り込まれる場面が見られることもありうる。

表1 2026年の大西洋圏でのハリケーン等発生個数予想

4月5日にOPECプラス有志8産油国はテレビ会議形式で会合を開催し、石油市場安定を支援すべく、5月の原油生産量を4月比で日量20.6万バレル拡大することを決定した。併せて、有志8産油国は、(米国及びイスラエルとイランとの間での戦闘に伴う)エネルギー供給関連施設等への攻撃について懸念を表明し、損傷した施設等を完全に復旧するには費用と時間がかかり、供給全体の安定性に影響を与えるとして、エネルギー供給関連施設への攻撃や国際海域における船舶航行を含めエネルギー供給を不安定化させる行為は、エネルギー生産者及び消費者、そして世界経済にとって恩恵をもたらすような市場の安定化を支援するためのOPECプラス産油国間の取り組みを弱体化させる恐れがある旨強く指摘した。前月比日量20.6万バレルの増産は、これまで実施されてきた増産規模の中では、かなり低い水準(日量13.7万バレル程度の増産に次ぐ低い水準)に相当する。米国によるサウジアラビアへの武器売却を含む軍事支援を希望するサウジアラビアは、大幅な増産により原油価格を抑制することを通じ、米国のガソリン小売価格を含む物価を抑制するとともに政策金利を引き下げ消費者の負担を軽減させることを通じ経済を活性化させることにより、2026年11月に予定される中間選挙に向けた追い風の一部とすることを希望する米国のトランプ大統領に対し便宜供与を図ろうとしていたものと見られるが、ロシアと戦闘状態にあるウクライナに対する米国の支援と米国の対ロシア制裁実施に伴い、原油を含むエネルギー収入、そして対ウクライナ戦費が事実上削減されやすい状態となっているロシアは、自国の原油及び天然ガス販売量が制約を受けやすい中、原油価格を押し下げる方向で作用する供給量の拡大には消極的であったものと見られ、この結果、最低限の増産(日量13.7万バレル)を若干上回る水準で増産が決定されたものと考えられる。ただ、OPECプラス有志8産油国の中で従来増産余力のある産油国はサウジアラビアやUAE等限られているうえ、それら産油国の大半はホルムズ海峡の内側に位置しており、従って、米国等とイランとの間での戦闘に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖によって事実上供給の拡大は困難な状況となっていることから、今般の会合における決定を以てしても、実際にOPECプラス有志8産油国から持続的かつ有意な増産が図られる可能性はそれほど高くないものと考えられ、むしろ今回の会合においては、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が解除され、船舶の往来が回復した時点で増産を実施するとともに世界石油市場及び世界経済安定化に貢献することに対する意志が、サウジアラビアを含むOPECプラス有志8産油国にあることを表明したといった性質が強いものと考えられる。なお、次回のOPECプラス有志8産油国は5月3日に開催される予定である。

全体としては、北半球の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が接近することにより季節的な石油需給の引き締まり感が市場で増大することが、原油相場に上方圧力を加える可能性があるものと見られる。また、米国等とイランとの間での戦闘が停止することに伴いホルムズ海峡の事実上の封鎖が解除されるとともに同海峡における船舶の航行が回復する兆候が見られるまでは、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念が市場関係者間で継続することにより、原油相場が下支えされやすいものと考えられる。そのような中、米国とイランとの間での和平計画等を巡る両国等の動き、イスラエルとヒズボラ等との戦闘状態、ウクライナによるロシアの石油供給関連施設等への攻撃状況、米国及び中国の経済及び金融政策等の動向等が原油相場に影響を与えうるものと考えられる。

4. 2024年初頭から2026年初頭にかけての石油製品と原油の価格差を巡る一考察(ナフサ)

2022年2月24日に開始されたロシアのウクライナへの侵攻が2026年4月中旬時点においても継続する一方、2024年前半以降中国経済の減速感が強まりつつあるように見受けられるうえ、2025年1月20日には米国においてトランプ氏が大統領に就任し、貿易相手国及び地域に対する幅広い関税賦課を含む政策を実施し始めたが、これらを含む要因により、世界各地域の石油製品価格、そして製油所における石油製品製造利幅に影響を与える場面が見られることとなった。ここでは、2024年4月(4月15日掲載JOGMEC石油天然ガス資源情報「原油市場他:ウクライナによるロシアの製油所等に対する攻撃、及び中東における緊張の高まりに伴い、上昇を続ける原油価格」)に行った同様の分析の対象期間以降にほぼ該当する、2024年1月から2026年3月にかけての約2年間における、主要石油製品の一つであるナフサの価格動向につき主に考察を行うこととするが、特に石油製品価格はその原料となる原油の価格に左右される側面も強いため、ナフサと原油との価格差(そして、世界の石油精製の中心である米国(メキシコ湾岸)、欧州(ロッテルダム)、アジア(シンガポール)の各地域における当該価格差)を中心に説明することとしたい。なお、基準となる原油価格は、米国がWTI、欧州がブレント、シンガポールがドバイを、それぞれ採用するため、WTIの価格が、原油供給の流動性が限定される、米国内陸部に位置するオクラホマ州クッシングの石油需給を反映しやすい関係上、ブレント及びドバイの各価格に対して割安になりやすい分、米国におけるナフサ製造利幅が欧州及びシンガポールのそれに比べ大きくなりやすい点、及び2026年2月28日に開始された米国及びイスラエルによる対イラン攻撃と報復措置としてのイランによるホルムズ海峡封鎖等に伴い、特に中東の指標原油であるドバイの現物価格評価が顕著に変動した結果、一時的にせよナフサとドバイ原油との価格差等に大きな影響を及ぼしている側面があることに留意されたい。

米国では、2024年1月中旬を中心とする時期において、南部の精製の中心地を含む幅広い範囲に寒波が来襲したことから、気温低下(図16参照)等に伴い装置凍結を含む不具合発生により製油所の稼働が低下した他、2月にかけ春場のメンテナンス作業を実施したり、不具合発生に伴い装置の改修作業を実施したりしたこともあり、製油所の操業が停止した(特に2024年2月9日の週の米国製油所における原油精製処理力は日量1,454万バレルと2022年12月30日の週(この時は同1,382万バレル)以来の低水準に到達した)ことで、石油製品製造活動が不活発化した結果、ナフサ生産が減少したことにより、ナフサ製造利幅が拡大した(図17参照)。しかしながら、気温の低下による個人の外出の不活発化に伴い自動車運転距離数が低迷したこともあり、ガソリン需要が低迷したことに伴い原料となるナフサの消費も進まなくなったことが、同時期ナフサを含むガソリン混合基材在庫を上振れさせる形で作用した(図18参照)。加えて、2024年3月においては、製油所のメンテナンス作業実施及び装置の不具合の改修が完了し、製油所の稼働が上昇するとともに石油製品製造活動が活発化したこともあり、ナフサ供給が増加することに伴う当該製品需給緩和感が市場で意識されたこともあり、ナフサ製造利幅が縮小した。その後同年4~6月にかけては、気温の上昇及び夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期の突入(2024年は5月25~27日の戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー、5月27日)に伴う連休から8月31日~9月2日の労働者の日(レイバー・デー、9月2日)までであった)に伴う個人の外出の活発化によるガソリン、そしてガソリンの原料となるナフサ需要増加により需給引き締まり観測が増大したことが米国のナフサ価格に上方圧力を加えた反面、製油所の稼働上昇による石油製品製造活動の活発化に伴うナフサ供給の拡大による需給緩和観測の増大がナフサ価格の下方圧力を加えた結果、同時期米国のナフサ製造利幅は比較的限られた範囲で推移した。ただ、2024年7月から8月にかけては、米国の夏場のガソリン需要期のピーク到来(例年米国の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期のピークは7月4日の独立記念日前後と言われている)によりガソリンの原料としてのナフサの需要拡大に伴う当該製品需給引き締まり観測が増大したことからナフサ価格に上方圧力が加わるとともに当該製品製造利幅が拡大する場面が見られた。それでも2024年9月には米国の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が終了するとともにガソリン(及びガソリン製造の原料となるナフサ)不需要期に突入した一方、2024年10月にかけ秋場のメンテナンス作業実施に伴う製油所の稼働低下による石油製造活動の不活発化によるナフサ供給減少観測が発生したことにより、ナフサ価格に上方及び下方双方から圧力が加わった結果、ナフサ製造利幅は維持された。それでも、2024年11月から12月にかけては、秋場のメンテナンス作業や不具合の改修が完了するとともに、製油所の稼働が上昇、石油製品製造活動が活発化したことにより、ナフサ供給が拡大する一方、気温がさらに低下したことに伴う個人の外出活動の鈍化に伴うガソリン不需要期の到来もあり、ガソリンの原料となるナフサ需要が減少するとともにナフサ需給緩和するとの見方が広がったこともあり、当該製品製造利幅は低下した。

図16 米国(ヒューストン)気温(2023~24年)、図17 ナフサと原油の価格差(2024~26年)、図18 米国ガソリン混合基材在庫(2023~26年)

ただ、2025年1月から2月にかけては、米国の南部の精製の中心地を含む幅広い範囲に寒波がしばしば来襲したことにより、気温低下(図19参照)等に伴う装置凍結を含む不具合が発生したり、春場のメンテナンス作業を実施したりしたこと等により、製油所の稼働が低下したことで、石油製品製造活動が不活発化した結果、ナフサ生産が減少するとともに、当該製品需給の引き締まり観測が増大したことが、ナフサ価格に上方圧力を加えたことにより、ナフサ製造利幅が上昇したが、併せて気温の低下による個人の外出の不活発化に伴い自動車運転距離数が低迷したこともあり、ガソリン需要が低迷するとともに原料となるナフサの消費も進まなくなったことにより、同時期ナフサを含むガソリン混合基材在庫が増加した。そのような中、2025年3月から6月にかけては製油所のメンテナンス作業実施及び不具合が発生した装置の改修が完了し、製油所の稼働が上昇するとともにナフサの製造活動が活発化したこともあり、ナフサ需給の相対的な緩和感を市場が意識するとともにナフサ価格に下方圧力が加わったことにより、ナフサ製造利幅が低下した。そして、2025年7月から8月にかけては、米国の夏場のガソリン需要期のピーク到来によりガソリンの原料としてのナフサの需要拡大と同製品の需給引き締まり観測の増大がナフサ価格に上方圧力を加えことから、製油所におけるナフサ製造活動が活発化したことに伴う同製品供給拡大に対する見方がナフサ価格に下方圧力を加えたものの、ナフサの製造利幅は拡大した。それでも、2025年9月から10月にかけては米国の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が終了するととともに、気温が低下したこともあり個人の外出が不活発化したことが同国のガソリン需要を抑制し始めた一方、特に10月においては秋場のメンテナンス作業実施に伴う製油所の稼働低下により石油製品製造活動が不活発化するとともにナフサ等の供給が減少するとともにナフサ等のガソリン混合基材在庫が減少した(この結果、2025年11月7日の米国ガソリン混合基材在庫は1.90億バレルと2022年9月30日(この時は1.90億バレル)以来の低水準に到達した)ことから、ナフサ価格に上方及び下方双方から圧力が加わったことにより、10月から11月にかけて同製品製造利幅は維持された。2025年12月においては、秋場のメンテナンス作業や不具合の改修が完了するとともに、製油所の稼働が上昇、ナフサ製造活動が活発化したことにより、ナフサ供給が増加する一方、気温が低下してきたことにより、個人の外出が不活発化するとともにガソリン及びその原料となるナフサの需要が減少した結果、ナフサ需給緩和感が醸成されるとともに同製品価格に下方圧力が加わった結果、ナフサの製造利幅は低下した。また、2026年1月下旬を中心として米国の南部の精製の中心地を含む幅広い範囲に寒波(「ファーン(Fern)」)が来襲したことにより、気温低下(図20参照)等に伴う装置凍結を含む不具合が発生した他、春場のメンテナンスが実施された結果、製油所の稼働が低下するとともに石油製品製造活動が不活発化したこともあり、2月にかけナフサ供給の減少及びナフサ需給の相対的な引き締まり観測が強まったことが、ナフサ価格に上方圧力を加えた結果、同製品製造利幅が上昇した。さらに、2026年2月28日に開始された米国及びイスラエルによる対イラン攻撃とイランによる中東諸国の製油所を含む石油供給関連施設への攻撃に伴う石油製品供給上の支障発生とイランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う同海峡を通じた石油製品輸送の停止により、特に同地域からのナフサ供給が減少したことに加え、2025年8月以降、ウクライナによるロシアの製油所等への無人機等を利用した攻撃が活発化しつつあったが、時間が経過するにつれ、ウクライナがロシアの製油所のみならず石油ターミナルやパイプライン関連施設等へと攻撃範囲を拡大したことにより、ロシアのナフサ輸出が減少したものと見られることにより、ロシア産及び中東産ナフサの主な輸出先であるアジアにおけるナフサ需給の引き締まり感が強まるとともに、アジアのナフサ価格が欧州のナフサ価格に比べ割高になる場面が見られるようになったことにより、欧州方面からアジア方面に向けナフサの輸出が活発化したことから、大西洋圏におけるナフサ需給が引き締まるとともに米国のナフサ価格にも上方圧力が加わったことから、米国におけるナフサと原油の価格差が上昇する場面が見られた。

図19 米国(ヒューストン)気温(2024~25年)、図20 米国(ヒューストン)気温(2025~26年)

他方、2024年1月から3月にかけては欧米諸国及び地域の製油所において春場のメンテナンス作業もしくは不具合が発生した装置の改修が実施されたこともあり、石油製品製造活動が不活発化した結果、ナフサ供給が減少することに伴い同製品需給の引き締まり感が意識されるとともにナフサ価格に上方圧力を加えたこともあり、2024年第1四半期は欧州におけるナフサの製造利幅は多少なりとも上昇した。しかしながら、2024年4月には欧米諸国の春場のメンテナンスが少なくとも一時的に一服したこともあり、石油製品製造活動が活発化するとともにナフサ供給拡大に伴う同製品需給緩和観測が市場で増大したものと見られることが、ナフサ価格に下方圧力を加えた結果、同地域におけるナフサ製造利幅が落ち込む場面が見られた。その後は米国の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期突入に伴うガソリン混合基材向けのナフサ需要の拡大による欧州から米国方面へのナフサ輸出拡大に加え、欧州においても夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期接近による原料としてのナフサ需要の増加を巡る観測が拡大したこともあり、ナフサ需給の引き締まり感が強まるとともに、ナフサ価格に上方圧力を加えた。併せて、ウクライナが発射した無人機等によるロシアの製油所への攻撃もあり、2024年3月から10月にかけロシアの製油所の稼働が伸び悩み気味となったことにより、ロシアからのナフサの供給が減少する恐れがあるとの見方が市場で広がるとともに、大西洋圏におけるナフサの需給引き締まり感が強まったことが、欧州のナフサ価格に上方圧力を加えた結果、同時期欧州のナフサと原油との価格差は上昇傾向となった。しかしながら、その後はロシアの製油所における精製活動が相対的に安定する兆候が見え始める一方、2024年9月には米国の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が終了するとともに、気温が低下、個人の外出が不活発化するとともに、ガソリン需要が軟調になったことにより、欧州から米国方面へのガソリン及びガソリン混合基材の輸出が鈍化したこともあり、欧州におけるガソリン及びナフサの在庫が増加傾向となったことが、同地域のナフサ需給の緩和感が意識されたことから、ナフサ価格に下方圧力が加わるとともに2025年1月にかけナフサと原油との価格差は多少なりとも低下する傾向を示した。

しかしながら、2025年1月から2月にかけては、米国の南部の精製の中心地を含む幅広い範囲に寒波がしばしば来襲したことにより、気温低下等に伴う装置凍結を含む不具合の発生や、春場のメンテナンス実施等により、製油所の稼働が低下したことで、石油製品製造活動が不活発化した一方、米国での夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期の到来による、季節的なガソリン需給の引き締まり感を市場が意識したことにより、米国のガソリン価格が上昇するとともに、米国方面に相対的に割安となったガソリンやガソリン混合基材の輸出が活発化する可能性があるとの観測が増大したことが、欧州のナフサ価格に上方圧力を加えたことから、2025年5月にかけては欧州のナフサと原油との価格差が多少なりとも拡大したうえ、そのような状態が概ね維持される格好となった。それでも、春場のメンテナンス作業及び不具合の発生した装置の改修が終了したことにより米国の製油所の稼働が上昇するとともにガソリン混合基材の製造が活発化した結果、2025年5月から7月にかけ米国の当該製品在庫が増加傾向となったことと併せ、欧州におけるナフサ在庫も増加傾向となるなど、ナフサ需給の緩和感が強まったことが、欧州におけるナフサ価格に下方圧力を加えた結果、2025年5月から7月にかけては、同地域におけるナフサと原油の価格差は低下することとなった。そして、2025年8月から2026年3月にかけては、ウクライナのロシアへの製油所を含む石油関連施設等への攻撃の激化により、ロシアからのナフサを含む石油製品供給への支障を巡る懸念が増大したことが、欧州においてもナフサ需給の引き締まり感を醸成させるとともにナフサ価格を下支えする形で作用した。しかしながら、2025年9月に米国における夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が終了したことにより、ガソリン需要が季節的に減少傾向となったことから、米国でのガソリン需給の緩和感が発生したことが、欧州においても原料となるナフサ価格を抑制した。それでも、10月においては秋場のメンテナンス作業実施に伴う製油所の稼働低下によりナフサ製造活動が不活発化するとともに米国のガソリン混合基材在庫が減少したことにより、欧州から米国方面へのガソリン混合基材やガソリン輸出が活発化するとの見方が発生したことが、欧州におけるナフサ需給の引き締まり感を誘発するとともに同地域におけるナフサ価格に上方圧力を加える格好となった。このため、10月から11月にかけて同製品製造利幅は維持された。さらに冬場の本格的な到来に伴う気温の低下により米国における個人の外出が一層不活発化した(特に米国では2026年1月下旬を中心とする時期に厳しい寒波「ファーン」が幅広い範囲に来襲した他、一部地域は2026年2月においても気温が平年を下回ったままとなった)ことが、米国のガソリン需要を押し下げたことに伴い欧州におけるガソリンの原料としてのナフサ需要減退、そしてナフサ需給緩和観測を発生させるとともに、同地域における当該製品に下方圧力を加えたことから、2025年12月から2026年2月にかけての欧州におけるナフサと原油との価格差は低下する傾向を示した。しかしながら、2026年2月28日に米国及びイスラエルによる対イラン攻撃が開始されたことに伴い、イランが報復措置としてホルムズ海峡を事実上封鎖したことにより、同海峡を通じた原油及び石油製品の供給が途絶したうえ、ウクライナによるロシアの製油所、パイプライン及び石油ターミナルを含む石油関連施設の攻撃が継続したこともあり、ロシアからのナフサ供給に支障が発生し続けていたことにより、ナフサ需給の引き締まり感が強まったことが、欧州のナフサ価格にも上方圧力を加えたことにより、2026年3月の同地域におけるナフサと原油との価格差は大幅に拡大した。

2023年11月から12月にかけてのアジアにおいては、年末年始及び中国等のアジア諸国及び地域の旧正月(春節: 2024年は2月10~24日)の休暇シーズンに向け贈答品等のプラスチック製品を含む石油化学製品の需要を満たすべく当該製品の製造が活発化するとともに原料となるナフサの需要が堅調となった他、2024年1月から2月にかけては米国の製油所メンテナンス作業や装置の不具合(1月中旬を中心とする時期において米国の精製の中心地である同国メキシコ湾岸地域を含む広い範囲に寒波が来襲したことも一因になったものと見られる)等が発生したことに伴い稼働が低下するとともにガソリン最終製品及びナフサ等のガソリン混合基材の製造が不活発化した一方、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が視野に入りつつあったことに伴い、米国でのガソリン需給が引き締まるとともに、欧州から米国方面へのガソリン混合基材の輸出が活発化することにより、アジアからも米国西海岸や欧州に向けガソリン混合基材輸出が拡大する結果アジアにおけるナフサの需給が引き締まるとの観測が強まったことが、アジアのナフサ価格に上方圧力を加えた反面、年末年始及び中国等アジア諸国及び地域における旧正月の休暇シーズンに伴うプラスチック等の石油化学製品及びその原料となるナフサの需要期が終了に向かい始めたことにより、ナフサ需要が盛り下がったうえ、気温の低下に伴う個人の外出の不活発化によるガソリンの原料としてのナフサ需要が軟調であったこと、加えて、アジア及びアジアにナフサを供給する中東における製油所の稼働は概して堅調であったこと、特に3月以降はメンテナンス作業や装置の不具合改修作業が完了するとともに米国の製油所の稼働が回復し始めたことによりナフサ等のガソリン混合基材の製造が活発化するとともに同国におけるガソリン需給の引き締まり感が後退したこと、北半球における冬場の暖房シーズンにおける暖房機器稼働のための暖房用液化石油ガス(LPG)需要期の終了が意識されるとともに、石油化学製品製造のための原料としてナフサと競合するLPGの需給引き締まり感が後退するとともに同製品価格が下落したことが、ナフサの需給緩和感を誘発するとともにナフサ価格に下方圧力を加えた結果、2024年1月から4月にかけてのアジアにおけるナフサと原油の価格差は低下するする傾向を示した。

ただ、2024年5月から8月にかけては、ウクライナによるロシアの製油所等の石油関連施設等への攻撃により、製油所の稼働がもたつき気味になるとともにナフサ製造活動が不活発化したことにより、ロシアからアジア方面へのナフサ供給に影響が発生したこと、アジアにおける一部製油所が春場のメンテナンス作業を実施したことにより、ナフサ製造が抑制気味となったものと見られること、米国では夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に突入したことに伴い、ナフサを含むガソリン混合基材の需要が喚起されるとともに当該製品在庫が減少し始めたことにより、米国方面にガソリンを輸出している欧州を含め大西洋圏におけるガソリン及びガソリンの原料となるナフサ需給の引き締まり感が増大したこと等が、アジアにおけるナフサ需給の引き締まり感に繋がるとともに当該製品価格に上方圧力を加えたことから、この時期アジアのナフサと原油価格の差は拡大する方向に向かった。

また、2024年9月から10月にかけては、米国では夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が終了するとともに、ガソリンの原料となるナフサの需要も減退気味となったことが、欧州のみならずアジアにおけるナフサ需給の緩和感を醸成させたことが、アジアにおけるナフサ価格に下方圧力を加えたものの、その時期を含め2024年末にかけては年末年始及び中国等アジア諸国及び地域における旧正月(2025年は1月29日~2月12日)の休暇シーズンに伴う贈答品等のプラスチックを含む石油化学製品向けの原料となるナフサの需要増加観測に加え、冬場の暖房シーズンに向けた暖房用需要が喚起されることにより石油化学製品製造のための原料としてナフサと競合するLPGの需給引き締まり感が強まるとともに同製品価格が上昇したことが、ナフサの需給引き締まり感を誘発するとともに当該製品価格に上方圧力を加えたことにより、同時期ナフサと原油との価格差はそれなりに上昇したままとなった。

2025年1月は年末年始の休暇シーズンが終了したことに伴い贈答品向け等のプラスチック等石油化学製品の原料となるナフサ需要は一段落したものと見られることから、アジアにおいてもナフサと原油との価格差が縮小したものの、中国等アジア諸国及び地域における旧正月の休暇シーズン向けのプラスチック等の石油化学製品需要が増加した一方、米国では春場のメンテナンス作業が実施されたことに加え、1月中旬を中心とした期間に来襲した寒波の影響により、メキシコ湾岸地域を中止として一部装置に不具合が発生した結果、製油所の稼働が低下したこと等もあり、併せて石油製品製造活動が不活発化したことに伴うガソリン及びガソリン混合基材需給の引き締まり感がアジアでも感じられたこともあり、2025年2月から3月にかけてはアジアにおけるナフサと原油との価格差が拡大する場面が見られた。

しかしながら、2025年4月になると春場のメンテナンス作業や装置の不具合の改修が完了するとともに米国における製油所の稼働が上昇するとともにナフサを含むガソリン混合基材の製造が活発化したことにより、相対的にナフサの需給引き締まり感が後退した一方、同国において冬場の暖房シーズンが終了したことにより、暖房向けに利用されていたLPG需要が減退するとともに同製品需給の緩和感が意識されたことによりLPG価格が下落するとともに石油化学製品製造のための原料として競合するナフサの価格にも下方圧力を加え始めたこと、2025年1月20日に米国大統領に就任したトランプ氏による、米国外及び地域に対する相互関税賦課政策実施の表明により、プラスチック等の石油化学製品を輸出するアジア諸国の経済が減速することを巡る懸念が増大したことにより、2025年4月はアジアにおけるナフサと原油の価格差は低下した。それでも、4月9日の相互関税賦課当日になって米国のトランプ大統領は相互関税賦課の90日間の猶予を発表したことにより、相互関税賦課に伴うアジアから米国方面へのプラスチック等の石油化学製品の輸出減退懸念が後退したこともあり、2025年5月のアジアにおけるナフサと原油の価格差は持ち直した。そして、5月14日以降、それまで125%であった中国に対する相互関税を34%に引き下げたうえ、さらに24%相当部分の課税開始を90日間延期することを、5月12日に米国のトランプ政権が発表したものの、その後の米国と中国との関税等に関する交渉を巡る不透明感から米国及び中国の経済減速に伴うプラスチックを含む石油化学製品需要の伸びの鈍化懸念が残ったことが、アジアのナフサ価格に下方圧力を加えたことから、2025年6月から7月にかけての同地域におけるナフサと原油の価格差は低下した。それでも米国が中国に対し猶予した状態となっていた関税の賦課に関し、さらに90日間猶予を延長する旨8月11日に米国のトランプ大統領が発表したこともあり、米国と中国との間での貿易戦争に激化による両国経済の減速と中国から米国に向けたプラスチックを含む石油化学製品輸出減退懸念が後退した他、8月以降はウクライナによるロシアの製油所及び石油ターミナル等への攻撃が激化したこともあり、それら石油供給関連施設が一時的にせよ操業を停止したことにより、ロシアからアジア方面へのナフサの供給が減少したうえ、石油化学製品製造においてナフサと競合するLPGが米国における冬場の暖房シーズンに向け暖房用需要が喚起されるとの観測のもと、価格が上昇するとの見方が強まったことが、アジアのナフサ価格にも上方圧力を加える格好となったことにより、2025年8月から10月にかけてはナフサと原油との価格差は拡大する傾向を示した。また、その後も気温が低下したことに伴い、アジアを含め世界的に個人の外出活動が不活発化するとともに、ガソリン需要が季節的に減少したことが、ガソリンの原料となるナフサの需要を押し下げた反面、暖房向けのLPG需要が増加したことに伴い当該製品需給の引き締まり感が強まった結果LPG価格が上昇したり、年末年始や中国等アジア諸国及び地域における旧正月(2026年は2月17日~3月3日)の休暇シーズンの到来に伴い贈答品等のプラスチックを含む石油化学製品製造向けのナフサ需要が喚起されたりした一方、ウクライナが発射した無人機等によるロシアの石油供給関連施設への攻撃の活発化に伴う当該施設の損傷と石油製品製造活動の停止に伴い、ロシアからアジア方面へのナフサ輸出がもたつき気味となったことにより、アジアでのナフサ需給引き締まり感が意識されたことが、当該製品価格に上方圧力を加えたことから、2025年11月から2026年2月にかけてはアジアにおけるナフサと原油の価格差は比較的高水準で維持されることとなった。さらに、2026年2月28日に米国とイスラエルがイランに対し攻撃を開始したことに対し、イランが報復措置としてホルムズ海峡を事実上封鎖したことにより、中東諸国からアジア方面に輸出されていた原油に加え中東諸国の製油所において製造され主にアジア方面に輸出されていたナフサの供給に大きな支障が発生したことにより、アジアにおけるナフサ需給の引き締まり感が大幅に強まったことが、アジアにおけるナフサ価格に上方圧力を加えたものの、ホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴いアジアに主に輸出されている中東産原油の供給が大幅に減少したことにより、ドバイ原油価格がナフサ価格以上に上昇した結果、2026年3月のアジアのナフサと原油の価格差はむしろ低下することとなった。

続いて、各地域(米国、欧州及びアジア)間のナフサ価格差について説明することとしたい。2024、2025及び2026の各年の1~3月を中心とする時期においては、米国の製油所が春場のメンテナンス作業を実施したり、米国メキシコ湾岸地域を含む幅広いに寒波が来襲したりことに伴い一部装置等が凍結するなどの不具合が発生したことにより、製油所の稼働が低下するとともに、ガソリン及びナフサを含むガソリン混合基材等の石油製品製造活動が不活発化した一方、2~3月は夏場のドライブシーズン(例年概ね5月下旬から9月上旬頃となり、欧州やアジア諸国及び地域に比べ早期に到来する)に伴うガソリン需要期の到来が視野に入り始めることにより、季節的なガソリン需要の盛り上がりと同製品需給の引き締まり感を市場関係者が意識しやすくなっていることが、特に米国においてガソリン混合基材であるナフサの価格を押し上げることになった一方、アジアや欧州においては米国ほど春場の製油所のメンテナンス時期や夏場のガソリン需要期の到来が早くない一方、特にアジアは年末年始及び中国等アジア諸国及び地域における旧正月の休暇シーズンに伴う贈答品等のためのプラスチックを含む石油化学製品需要が概ね1月以降は一服することもあり、ナフサ価格が抑制されやすい状況であったことから、この時期(1~3月を中心とする時期)は他の時期に比べ米国のナフサ価格が欧州及びアジアのナフサ価格を上回るとともに、その価格差が拡大する傾向が見られた(図21参照)。

図21 ナフサの地域別格差(2024~26年)

他方、2024年3月から6月にかけては、米国の製油所が春場のメンテナンス作業や不具合が発生した装置の改修を完了して稼働を再開したこともあり、石油製品製造活動が活発化したことによりナフサの供給が増加するとともにナフサ需給の緩和感が醸成されたことが同地域におけるナフサ価格に下方圧力を加えた。しかしながら、同時期においては米国、欧州等の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期到来に向けた各地域のガソリン消費の増加観測、もしくは米国等へのガソリン混合基材等の輸出のための製油所における同製品製造活動の活発化に伴う、ナフサ需給の引き締まり感が強まったうえ、欧州及びアジアにおいては春場の製油所のメンテナンス作業が実施されつつあったことが、石油製品製造活動を不活発化させるとともにナフサ需給の引き締まり感を発生させたことが、ナフサ価格に上方圧力を加えたこともあり、米国と欧州及びアジアのナフサ価格差が縮小するとともに、米国、欧州及びアジアのナフサ価格は概ね同水準で推移した。ただ、例年7月4日の米国独立記念日を中心とする時期が1年間で最もガソリン需要が盛り上がる時期とされることもあり、2024年7月においては米国のナフサ価格が欧州及びアジアのナフサ価格を上回る幅が拡大した。

他方、2025年1月20日にトランプ氏が米国大統領に就任して以降、OPECプラス産油国に対し原油価格下落を呼びかけた一方、OPECプラス産油国が原油生産拡大を表明したこともあり、原油価格が下落するとともに2025年3月から8月にかけ米国ガソリン小売価格が前年を相当程度下回るようになったことが、かえって米国のガソリン需要を喚起したことにより、同年3から4月にかけては米国のナフサ価格がしばしば欧州及びアジアのナフサ価格を上回る格好となった。それでも、2025年においては、中国万華化学(Wanhua Chemical)が同国山東省煙台において建設中であった(4月3日に操業を開始したとされる)ナフサ分解装置(エチレン生産能力年産120万トン)及び大手国際石油会社エクソンモービルが同国広東省恵州において建設していた(4月11日までに稼働を開始したとされる)ナフサ分解装置(エチレン生産能力年産160万トン)等において、操業開始に向けた在庫積み上げや実際の稼働を開始した装置への投入のためのナフサの購入が進みつつあったこともあり、アジアにおいてはナフサの価格が上振れしたことにより、2025年3月以降アジアのナフサ価格が欧州のナフサ価格を上回る状態となった。また、2025年5月12日に米国と中国との間での関税の引き下げや90日間の猶予の実施等で合意したことに伴い、関税猶予期限前に駆け込みで米国向けのプラスチックを含む石油化学製品製造活動が活発化したことが、アジアにおいて石油化学製品の原料となるナフサの需要を喚起するとともに当該製品価格に上方圧力を加えた結果、2025年5月から7月にかけてはアジアのナフサ価格が米国のナフサ価格を上回る状態となった。

また、欧州の複数の製油所において装置の不具合による同地域におけるナフサ製造活動の不活発化により、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期を前にしてナフサ需給引き締まり感が強まったことが、欧州のナフサ価格を押し上げる格好となったことから、2025年7月は米国ではガソリン需要が1年で最も盛り上がる時期であったが、同国のナフサ価格は欧州の当該製品価格を上回ってはいたものの、その幅は抑制されたものであった他、8月もその傾向が継続した。

そして、米国を含む北半球において夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が終了した9月から11月にかけては(2024年及び2025年ともに)米国と欧州のナフサ価格差は概ね解消に近い状態となった。しかしながら、概ね例年10月から12月にかけてはアジアにおいては、年末年始及び中国等アジア諸国及び地域における旧正月の休暇シーズンにおける贈答品等のためのプラスチックを含む石油化学製品製造活発化に向けナフサ需要が季節的に増加することが、当該製品価格に上方圧力を加えたことから、他の地域に比べアジアのナフサ価格が相対的に堅調に推移する場面が見られた。さらに、2025年8月から同年年末頃にかけ、ウクライナがロシアの製油所のみならず石油ターミナル等へと幅広く攻撃を強化したこともあり、ロシアからアジア方面へのナフサ供給が停滞するとの見方が市場で強まったことが、アジア市場でのナフサ需給引き締まり感を増大させるとともに、当該製品価格に上方圧力を加えたことから、同時期、アジアのナフサ価格が欧州及び米国の当該製品価格に比べ強含むこととなった。

また、2026年2月28日に開始された米国及びイスラエルによるイラン攻撃と報復措置としてのイランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖により、中東方面からアジア向けの原油及びナフサ供給の相当部分が途絶したことに加え、引き続きウクライナはロシアの石油関連施設を無人機等で攻撃し続けたことから、ロシアからアジア向けのナフサ供給に支障が発生するとの懸念が持続したこともあり、アジアにおけるナフサ需給の引き締まり感が大幅に強まるとともに、同地域におけるナフサ価格に上方圧力が加わったことにより、2026年3月のアジアのナフサ価格が米国及び欧州の当該製品価格を相当程度上回ることとなった。

 

以上

(この報告は2026年4月20日時点のものです)

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