今井達也との契約合意でアストロズが見せた巧妙な戦略
【今井達也投手がアストロズと契約合意】
契約交渉可能期間が1月2日に迫っていた今井達也投手が現地時間1月1日に、アストロズと契約合意したと、米メディアが一斉に報じた。
契約内容は3年契約で総額5400万ドル(1800万ドル×3シーズン)。またMLB公式サイトによると、来シーズンは投球イニングにインセンティブ条項が加えられ、100イニングを突破すると300万ドルのボーナスが発生するとともに、残り2年の年俸が2100万ドルに増額されるという。
さらに各シーズン終了後に今井投手側にオプトアウト権が付与されており、いつでもFA選手に戻り他チームを含めて契約交渉できるようになっている。
こうした契約内容を確認すると、まさに双方の思惑が見事に合致した契約合意だったことが理解できる。
【AAVは日本人投手3番目の高額だが実は…】
同じくMLB公式サイトによると、今井投手が合意した契約のAAV(「Average Annual Value」の略)1800万ドルは、日本人投手の中では山本由伸投手(約2708万ドル)、田中将大投手(2200万ドル)に次ぐ高額だという。
契約交渉時には今井投手に対し、AAVは下回るものの更なる長期契約を保証するオファーも提示されたようだが、今井投手側の判断で今回の契約に決着した模様だ。
だからと言って、今回のAAVが高額かと言えば決してそんなことはない。今オフのFA市場を見れば一目瞭然だ。
今オフFA市場最大の先発投手と謳われたディラン・シーズ投手は、7年総額2億1000万ドル(AAV3000万ドル)でブルージェイズと契約合意している。
これは別格としても、パドレスと再契約したマイケル・キング投手は、今井投手よりFAランキングが低かったにもかかわらず、2027年と2028年の選手に与えられたオプション権を行使すると、3年総額7500万ドル(AAV2500万ドル)という契約内容から分かるように、今オフの先発投手の契約はかなりインフレ傾向を示している。
アストロズからFAになったフランバー・バルデス投手も、ランキング的には今井投手を下回っているものの、彼に対しては3000万ドルに迫るAAVの複数年契約がオファーされると予想されている。つまりアストロズはAAV1800万ドルという比較的廉価な契約で、バルデス投手の抜けた穴を埋められる可能性があるのだ。
また今井投手が噂通りの投球を披露してくれなかった場合でも、他のFA先発投手よりもAAVを下げることで、西武ライオンズに支払う譲渡金を抑えることができ、大きなリスクを回避できているわけだ。
【今井投手は来季後に大型契約に切り替え可能】
一方今井投手サイドは、成績如何にかかわらず3年間はメジャー契約が保証されながら投げる場所を確保することに成功した。
AAVは相場より低かったとはいえ、来シーズンの投球内容次第ではシーズン終了後にオプトアウト(契約解除)しFA市場に戻り、すべてのチームと交渉しながら長期大型契約を獲得することができる。
もちろんアストロズも予算次第で今井投手と再契約する可能性を残しているし、彼が早期にチームを離れた場合でも、西武ライオンズに支払う譲渡金をさらに減額でき、別の先発投手獲得に回すことができるのだ。
如何だろう。アストロズ、今井投手双方にとって理想的な契約合意だったのがお分かりいただけただろう。
それにしても村上宗隆選手と2年総額3400万ドルで契約合意したホワイトソックスもそうだが、どうやらポスティングシステム利用選手の獲得に関して、MLB側にリスク回避の動きが出てきているのかもしれない。
今週中に契約合意が期待される岡本和真選手の契約内容を含め、今後の動向に注視していきたい。