サラブレッド一大産地 北海道・浦河町にインド人急増のワケ 日本競馬支える調教技術
ベテランのインド人ら
サラブレッドの一大産地である浦河町も、近年の人口減少のあおりを受け、人手不足にあえいでいました。 競走馬の専門農家を対象にした調査では、後継者がいないと答えたのは6割を超えています。 そこで、約10年前に白羽の矢が立ったのがインド人でした。なぜ彼らに頼ったのかというと、インドはかつてイギリスの植民地だったことから競馬が盛んな国。その歴史は古く、1769年にレースが行われた記録が残っています。 そんなインドのホースマンは、世界各国で重宝されているといいます。 森本社長 「彼らはすでにインドの方で、10年以上の馬乗りの経験を積んできている人たちばかりなので、そういった意味でも即戦力」 彼らの技術はトレーニングで遺憾なく発揮されます。 日本最大級の競走馬育成施設「BTC」。日高地方の育成牧場が共同で利用する馬のトレーニング施設です。ラタンさんが馬に乗り、まず向かったのは直線1000メートルが坂になっているコース。一気に駆け上がるトレーニングをします。 森本社長 「どうラタン?(この馬は)グッド?」 ラタンさん 「グッド」 森本社長 「パワフル?」 ラタンさん 「パワフル」 森本社長 「ナイス」 牧場主の森本さんは、調教が馬の調子を左右すると語ります。 「ああいう馬だったら、どんどんスピードが上がっていってしまって、最終的にはオーバーワークになってしまうんですね。オーバーワークにならないように少し我慢させて、控えて乗ってあげてるって。そういうのが技術としてすごく大事になってくるので」 ラタンさんなどベテランは、馬の状態を的確に把握することができるため、メニューを柔軟に変更し、馬の調子を落とすことなく鍛えることができるといいます。
整うサポート体制
一方で、彼らにも日本で働くメリットがありました。 ラタンさん 「日本とインドの給料は少し差があります。働き方はほぼ一緒ですが、日本の方が給料が高いです」 インドでは、ベテランでも給料は10万円ほどですが、日本で働けばより多くの給料を得ることができるため、日本を職場に選ぶ人も多いといいます。 毎日、7時間に及ぶ馬の調教を行うラタンさんたち。終業後の楽しみが、週末には必ず行うというホームパーティー。 ラタンさん 「(Q.きょうはどういった会?)アティシュの妻の手料理がおいしいから、パーティーを開いているんだ」 ラタンさんの同僚、アティシュさんの妻が作る手料理が食卓を彩ります。 インド人が増えたことで、街にも変化がありました。町内のスーパーマーケットには、午後6時を回ると仕事を終えたインド人が続々来店。 ラッシーや、ヨーグルトを作るための牛乳を大量買いする人や、朝食のクッキーを買う人の姿も。さらに、インド人は宗教上食べない肉があるため、店内にヒンディー語で表示。インド出身の従業員も雇うことで、急増したインド人に対応しているといいます。 町役場も、インド人へのサポート体制を整えています。 浦河町役場 若林寛之さん 「ここまでインドの方が増えてきますと、例えば医療現場の通訳ですとか、妊娠出産も出てきますので、そういう細かい(言葉の)ニュアンスなどを伝えるには、やはり母国語ができる人が、行政も含め一定程度必要になってきたということがある」 口コミなどで徐々に増加してきたインド人に対し、行政のサポートを円滑にするため、ヒンディー語が堪能な国際交流員を配置。行政サービスの支援を行っています。 その結果、暮らしやすさも相まって、10年前の30倍以上のインド人が浦河町で暮らすようになりました。