ロシアによるウクライナ侵略や円安を背景に高騰する燃料価格を抑制するため、政府は石油元売りに対して断続的に補助金を支給している。「ガソリン補助金」と呼ばれる負担軽減策は巨額の税金が投じられており、これまでの総額は8兆円を超える。軽油販売会社によるカルテルは、そんな状況下で明るみに出た。
巨額資金は元売りに
「補助金なんて1円もいただいていませんよ」。東京地検特捜部が独占禁止法違反罪で起訴した企業のある幹部は、真剣な表情で抗弁する。一般的な消費者の感覚と「ズレ」があると揶揄(やゆ)されかねない発言の裏には、石油製品特有の流通事情がある。
特捜部と公正取引委員会が摘発したのは、石油元売りとの取引で仕入れた製品を各地で販売する事業者だ。政府が補助金を支給するのはあくまで元売りで、これらの販売会社には直接支給されない仕組みとなっている。
販売会社が見ているのは、元売りが提示する仕入れ価格だ。特捜部が起訴した5社は、1リットルあたりの仕入れ価格に、それぞれの社が歩調を合わせて2~2・5円上乗せする約束をしていたとされる。