東京製鉄が2カ月連続値上げ 5月全品種2〜5%、中東危機で価格転嫁
東京製鉄は20日、5月契約分の鋼材価格を全品種引き上げると発表した。全面値上げは約4年ぶりとなった4月契約に続いて2カ月連続で、上げ幅は品種により1トン3千〜5千円(2〜5%)。主原料の鉄スクラップが高騰する中、中東紛争によるエネルギー高を踏まえて価格転嫁を急ぐ。
2カ月連続で全品種を値上げするのも4年ぶりとなる。上げ幅はH形鋼や溝形鋼、ホットコイル、熱延鋼板など12品種が5千円(4〜5%)、異形棒鋼や厚鋼板など3品種は3千円(2〜3%)としている。品種ごとの需給環境を勘案した。
値上げの後の販売価格はH形鋼が1トン11万3千円、ホットコイルは9万8千円とする。前回4月契約の上げ幅は品種により5千〜7千円(4〜8%)だった。H形鋼の場合、合計の上げ幅は1万円(10%)になる計算だ。
鉄スクラップの東京地区でのメーカー買値は今週初めまでに1トン5万2千~5万3500円前後まで上昇。昨秋比では3割以上上昇している。東京製鉄も全国の工場で鉄スクラップの購入価格の引き上げに動いている。外国為替市場で円安・ドル高が進み輸出向けの鉄スクラップ価格が上昇し、国内相場にも波及している。
米国・イスラエルとイランの軍事衝突で原油価格が急騰し、電力代や物流費などが膨らみ始めている。4月契約の値上げで転嫁を図った後も、さらに影響が広がったという。当面のコストアップにほぼ対応したものの、原燃料事情の先行きは不透明で、2回の値上げで「カバーしきれるか分からない」(小松崎裕司取締役)と説明する。
卸業者などの実際の取引価格は上昇し始めている。東京地区ではH形鋼の指標品の取引価格が3月に比べ5千円(5%)上昇し10万9千〜11万1千円前後となった。日本製鉄など各社の値上げもあり市場に浸透してきた。輸入鋼材が値上がり傾向にあることも背景にある。市況の先高観を受け、買い手が前倒しで手配する動きも出ている。
実需面では工事の停滞などを受け建設向けの回復が遅れている。製造業向けは底堅く、東京製鉄は今後、エネルギー高などを受けた省エネ・省人化投資などが鋼材需要を押し上げていくとみる。
小松崎取締役は4月の生産予定について「ほぼ想定通り」の26万トンと説明。塗料不足にみまわれた建設工事など生産活動の停滞リスクをにらみながら「マーケットを考慮した生産を継続して需給の調整に努める」と話している。
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