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具体と抽象

はじめに


 こんにちは、dZERO新人のHKです。今回は、未だに売れ続けている(ありがとうございます!)「知の構造」シリーズの記念すべき一作目『具体と抽象』を紹介させていただきます!


抽象化思考をするからこそ、人間なのだ。


概要

 具体と抽象について、様々な角度からわかりやすく説明されており、どちらも必要であることが述べられています。枝葉(具体)を捨てて幹(抽象)を見ることで、高度な抽象化概念が理解できるようになります。「見えていない人」からは「見えている人」は見えず、この見えている視点の違いから、無意味な議論や非難や批判、コミュニケーションの齟齬を生み出しているのです。具体↔抽象のサイクルを回し続けることで、抽象度の上げ下げや枝葉と幹の行き来ができるようになれば、世の中の不毛な議論などは相当数、減るでしょう。


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著者紹介


 著者は「知と社会と自分」の関係がシンプルに可視化されている「知の構造」シリーズ『「無理」の構造』『自己矛盾劇場』のでおなじみの細谷功氏。ビジネスコンサルタントである氏のビジネス哲学がふんだんに述べられています。読み返すたびに新たな発見がある作品です。

この作品のポイントと名言


本でもテレビ番組でも講演でもネットの記事でも、「具体的でわかりやすい」表現が求められ、「抽象的な表現」は多数の人間を相手にした場合には徹底的に嫌われます。ところが本書で表現したいのはその抽象概念そのものです。(はじめに、p2)


「抽象化を制する者は思考を制す」といっても過言ではないぐらいにこの抽象という概念には威力があり、具体と抽象の行き来を意識することで、間違いなく世界が変わって見えてきます。(序章、p15) 

具体は一つ一つの個別事象に対応したもので、抽象はそれらを共通の特徴で一つにまとめて一般化したものです。つまり複数(N)の具体に対して一つの抽象が対応する、「N:1」という対応関係になります。(序章、p16) 

言葉と数を生み出すのに必要なのが、「複数のものをまとめて、一つのものとして扱う」という「抽象化」です。言い換えれば、抽象化を利用して人間が編み出したものの代表例が「数」と「言葉」です。(第1章、p19) 

抽象化とは一言で表現すれば、「枝葉を切り捨てて幹を見ること」と言えます。文字どおり、「特徴を抽出する」ということです。(第2章、p26) 

抽象化とは、このような「デフォルメ」です。特徴あるものを大げさに表現する代わりに、その他の特徴は一切無視してしまう大胆さが必要といえます。(第2章、p28) 

人間が楽しんだり悲しんだり悩んだりするのは、「よくも悪くも」抽象化という行為のおかげです。抽象化によって人間の精神世界が何十倍にも広がっているのです。(第3章、p31) 

複数のものを共通の特徴を以てグルーピングして「同じ」と見なすことで、一つの事象における学びを他の場面でも適用することが可能になることです。(第4章、p33) 

たとえ話のうまい人とは「具体→抽象→具体という往復運動による翻訳」に長けている人のことをいいます。(第6章、p41) 

うまい短歌や俳句は、きわめて具体的なことを表現しているように見えながら、じつは「深い」抽象的なメッセージを有していることが多いのです。(第6章、p42) 

このように、「抽象度の低い」目的と(抽象度の高い)「上位目的」は、普段どこを見ているかによって変わって見えるということです。(第7章、p47) 

じつは抽象化の構造が回想的になっていることで、抽象化の威力がさらに増します。それは、階層の上位が持っている性質を下位の階層がそのまま引き継ぐということです。(第7章、p48) 

このような視点で、つまり「抽象度のレベル」が合っていない状態で議論している(ことに両社が気づいていない)ために、かみ合わない議論が後を絶たないのです。(第8章、p52) 

世の「永遠の議論」の大部分は、「どのレベルの話をしているのか」という視点が抜け落ちたままで進むため、永遠にかみ合わないことが多いのです。(第8章、p54) 

製品でも会社でも社会一般でも、「不連続な変革期」においては、抽象度の高いレベルの議論が求められ、「連続的な安定期」には逆に、具体性の高い議論が必要になります。(第8章、p55) 

「本質をとらえる」という言い方がありますが、これもいかに表面事象から抽象度の高いメッセージを導き出すかということを示しています。(第8章、p57) 

抽象概念は、「受け取る人によって好きなように解釈ができる」ということです。(第9章、p60) 

この「自由度の高さ」は、「具体派」の人から見れば、「だからよくわからなくて困る」という否定的な解釈になり、「抽象派」の人から見れば、「だから想像力をかきたてて、自分なりの味を出せる」と肯定的な解釈になります。(第9章、p61) 

「抽象度」や「自由度」という視点で仕事を考えられる人なのかどうか、それを頼む側と頼まれる側の双方で十分認識して仕事の依頼をしているかどうかで仕事の成否が決まるといえます。(第9章、p63) 

基本的に具体の世界は「量」重視であるのに対して、抽象の世界は「質」重視であるとともに、「量が少なければ少ないほど、あるいはシンプルであればあるほどよい」という世界です。(第11章、p73) 

哲学や理念を持たずにすべてにおいて個別に判断して行動していると、場当たり的になって、昨日の行為と明日の行為とで整合性が取れなくなり、場合によっては後戻り作業や二重作業が大量に発生してしまうことがあります。(第13章、p82) 

アナロジーとは、「抽象レベルのまね」です。具体レベルのまねは単なるパクリでも、抽象レベルでまねすれば「斬新なアイデア」となります。(第14章、p88) 

一度読んだだけで習得できなかったとしても、「自分の見えていない世界が存在している」というイメージをつかんでもらえればよいと思います。(第18章、p111) 

抽象と具体は相対的なものなので、さらに上の抽象の世界があるはずです。その、自分には理解できないレベルの抽象を前にすると、私たちは「わからない」と批判の対象にしてしまうのです。(第18章、p114) 

「要するに何が大事なのか」という本質レベルで共通点や相違点に目を向けること、それができれば抽象化というツールを最大限に生かすことができます。(第20章、p124) 

私たちが小学校から何年にもわたって学んできた「二大教科」は国語と数学(算数)です。これらはすなわち、言葉と数、要するに抽象化を学んでいるわけです。(おわりに、p131) 


dZERO新人HKのひとこと


 「リーダーたるもの、言うことがぶれてはいけない」「リーダーは臨機応変に対応すべし」(第8章、p51)。一見すれば、確かに矛盾しているように思えますよね。でもこれって、本書に書かれているように、抽象レベルで考えるか具体レベルで考えるかによって、見え方が異なるのですよね。抽象とは木でいえば「幹」の部分であり、物事の本質。具体とは木でいえば「枝葉」で色んなことの細部です。「リーダーたるもの、言うことがぶれてはいけない」は経営の本質・哲学で、抽象レベルのこと。「リーダーは臨機応変に対応すべし」は日々のこまごまとした枝葉の部分、具体レベルのこと。こうして見れば、一見すれば矛盾しているように見えることも、実は矛盾していないって分かって面白いですね~。
 私も、ネット上で知らない人と時々、議論をするのですが、本質の部分を話しているのに「こういう例外もあるぞ」と細々とした枝葉のことを話されると「ファー!」と腹を立てていました。なぜ、あの人と話がかみ合わないのか、この本を読んですっきりしましたよ~。多分、抽象レベルと具体レベルで議論をしても、永遠にかみ合わないのでしょうなぁ。具体と抽象について説明するのも、めんどうくさいし、かみ合わないなら、負けるが勝ちでさっさと撤退あるのみです。これで、無駄な議論をしなくてすむ……はず? ぜひ、購入して読んでみてくださいね!


おまけ


ここでしか(!)見られない細谷さんの「黒板授業」も販売しています! ラインラップは以下のとおり。


細谷功の「思考の積み木」 第1号 「考える」を構成する6つの積み木

細谷功の「思考の積み木」 第2号 フェルミ推定

細谷功の「思考の積み木」 第3号 仮説思考力

細谷功の「思考の積み木」 第4号 フレームワーク思考力

細谷功の「思考の積み木」 第5号 抽象化思考力①

細谷功の「思考の積み木」 第6号 抽象化思考力②


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