"地球防衛軍"をやります STAGE12

  • 1EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:00:05

    安価で募集したキャラクターをEDF隊員としてナーフorアッパー調整した上で巨大生物たち&安価で募集した敵と戦う、ステージクリア型の絶望的なAIシミュ。ストーム1のいない戦場をイメージしてくれると幸いっス。


    残酷な描写あり。


    現在ラスト・ステージ


    ラスボス戦が始まった前スレ…

    "地球防衛軍"をやります STAGE6|あにまん掲示板安価で募集したキャラクターをEDF隊員としてナーフorアッパー調整した上で巨大生物たち&安価で募集した敵と戦う、ステージクリア型の絶望的なAIシミュ。ストーム1のいない戦場をイメージしてくれると幸いっ…bbs.animanch.com
  • 2EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:02:40
  • 3二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 18:02:40
  • 4EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:04:04

    銀色の神は、空中から眼下の羽虫たちを見下ろすように、ゆっくりと右腕を垂直に立て、左腕を水平に添えた。


    「十字」の構え。


    「……来るぞッ!! 伏せろォォォッ!!」

    オメラスが、ネブカドネザルの外部スピーカーから血を吐くような絶叫を上げた。


    直後。

    ピシャァァァァァァァァァァァァンッ!!!!

  • 5EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:05:56

    世界が「白」に染まった。

    それは、第4形態が放っていた紫色の熱線とは、根本的に次元の違う攻撃だった。


    銀色の巨人の十字に組まれた腕から放たれたのは、極限まで収束された『純白の破壊光線』。

    音のない静寂の神から放たれたとは到底思えない、空間そのものを引き裂くような鼓膜を粉砕する轟音。


    「が、あァァァァッ!?」

    絶望して回避をするのが一瞬遅れたナギサに、光線が掠る。ただ掠っただけで全身の皮膚が焼けただれ、数十メートル後方へと錐揉み回転しながら吹き飛ばされた。


    地面を何度も転がりながら、背中の翼の骨が嫌な音を立ててへし折れた。




    そして光線が地上を薙ぎ払った後。

    シュネーたちが第四形態戦のために遠隔操作し、後方に待機させていた数千両の無人戦車(タイタンやベガルタ)群が、爆発する暇すら与えられず、一瞬にして光の中に『消滅』した。


    熱で溶けたのではない。絶対的なエネルギーの奔流によって、原子の結びつきを強制的に解かれ、チリ一つ残さず空間から「削り取られた」のだ。


    白い光線が通り過ぎた大地の軌跡は、マグマすら残らない、底なしの滑らかなクレバスへと変貌していた。

  • 6EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:08:52

    「ナギサッ!」

    島風が駆け寄るが、彼女の顔にも絶望が張り付いている。


    熱波とオゾン臭が肺を焼き、目を開けていることすら困難なほどの閃光の余波が、彼らの網膜を焼き切らんばかりに白く焼き付いていた。


    「……フザけるな。天狗が、氷川が、仲間たちが命を懸けてリレーを繋いだ結果が……これだと言うのかッ!」

    ネブカドネザルのコックピット内で、オメラスが怒りに震えた。


    「神気取りが……理不尽を押し付けるだけの存在を、オレは決して認めないッ!!」

    全高50メートルの鋼鉄の決戦兵器『ネブカドネザル』が、背部のスラスターを限界まで吹かし、上空に浮かぶ100メートルの銀色の巨人へ向けて、決死の跳躍格闘を挑んだ。


    「小さくなった分、有効なはずだ……喰らえッ!」

    タツミヤ鉱によって強化されたネブカドネザルの巨大な鋼鉄の拳が、銀色の巨神の顔面へと真っ直ぐに振り抜かれる。

    オリジナルデスザウラーの極厚装甲をもこじ開けた、必殺の一撃。


    だが。

    銀色の巨人は、回避行動すら取らなかった。

    のっぺりとした顔を僅かに傾け、ネブカドネザルの拳が当たるその「刹那」。


    スッ……。


    人間のような、あまりにも滑らかで、武術の達人のような無駄のない動き。

    巨人は、左手の手刀でネブカドネザルの拳の軌道を軽く逸らすと同時に、右手の平を、ネブカドネザルの分厚い胸部装甲へ「添える」ように突き出した。

  • 7EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:10:05

    掌底。

    ただそれだけの、静かな一撃。


    ズゴォォォォォォォォンッ!!!!!


    「ガ、ボァァァァァァァァァッ!!?」

    ネブカドネザルの胸部装甲が、まるで薄いアルミホイルのように内側へとひしゃげ、背中の装甲を突き破って巨大なクレーターのような風穴が空いた。


    「オメラスッ!!」

    シュネーが悲鳴を上げる。


    衝撃は装甲を透過し、コックピット内部のオメラスの肉体を直接粉砕した。


    両腕の骨が皮膚を突き破って飛び出し、肋骨が肺に突き刺さる。頭部の制御装置『蜘蛛』がショートして火花を散らし、オメラスは大量の血反吐をモニターにぶち撒けた。


    ただの一撃。それも、全く力みのない静寂の体術。

    それだけで、人類最高峰の決戦兵器は完全に機能停止に追い込まれ、ネブカドネザルは全身から黒煙と火花を吹き出しながら、大地へと無様に墜落した。

    ズズゥゥン……と、重い鉄の塊が地面に沈む。


    「……なんなんだこれは……どうすればいいんだ……!」

    後方の通信車輌の中で、アマデア・ウォルファが、自らの髪を狂ったように掻きむしり始める。

  • 8二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 18:11:46

    どうしろってんだよ

  • 9二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 18:13:19

    このレスは削除されています

  • 10EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:14:31

    「……アマデア、落ち着けッ! ボクの目を見て!」

    シュネーが、パニックを起こす寸前のアマデアの両肩を強く掴み、血走った目で睨みつけた。


    「す、すまない……だが、事実としてどうすればいい!? あの純白の光線を防ぐ装甲も、アイツに効く攻撃手段も、今の地球のどこにも存在しないのだよ!」

    「防げないなら、防がなければいいッ!!そう、跳ね返すんだッ!!」

    シュネーの叫びに、アマデアの瞳がハッと見開かれた。


    「……跳ね、返す……?」

    「そうだ。ヤツは無敵の神かもしれない。でも、あの『白い光線』だけは、明確にヤツ自身の外側へ放たれる圧倒的な『最強』のエネルギーだ。知ってる?日本語の『矛盾』」

    シュネーは、ひび割れたタブレットに、血まみれの指で高速で数式を書き殴り始めた。

  • 11EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:17:48

    「オリジナルデスザウラーの『Eシールド』やラミエルのAT.フィールドの残骸データと、タツミヤ鉱のエネルギー反発作用、そして、ネブカドネザルのアンタイ・エイリアン・アサルトキャノンに搭載されている磁場発生装置……これらを全て同期・逆位相化して、即席の『超巨大反射鏡』を構築するんだ」

    「……バ、バカなッ! ヤツの光線の波長をコンマ一秒の狂いもなく解析して、その瞬間に鏡の角度と磁場を同調させるなんて……神業にも程がある!」

    アマデアが反論する。


    「だからボクたちがいるんだろッ!!!」

    シュネーの痛切な叫びが、アマデアの心臓を強く打った。


    「……ヤツの放つ絶対の光を、ヤツ自身に撃ち返す……正真正銘最後の作戦……『オペレーション・オルフェンズ』最終段階……」



    「ゼットン作戦だ!!」

  • 12二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 18:19:22

    もう一回撃たせられるのか!?

  • 13EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:20:03

    「ゼットン?」

    「アルファベットの最後の『Z』と、五十音の最後の『ン』を取ったのさ。これも失敗したらもう後がない、って意味でね」

    シュネーは、決死の覚悟で前衛の生き残りたちへ通信を繋いだ。


    「みんな、聞いてくれ! ヤツを倒す唯一の方法……『ゼットン作戦』を実行する! ボクとアマデアで、ヤツの光線を跳ね返すための反射磁場を構築する!」

    『……跳ね返すだと? 正気か、シュネー』

    墜落したネブカドネザルの中から、血まみれのオメラスが掠れた声で応じる。


    「正気だよ。でも、反射磁場を構築して波長を合わせるには、どうしても『時間』がいる! それに、ヤツにもう一度、特定の角度で、あの白い光線を撃たせなきゃならない!だから……!」

    シュネーの言葉の意味を、現場の歩兵たちは即座に理解した。


    反射鏡を準備するまでの間、あの100メートルの神の気を引き、殺されずに時間を稼ぎ、最後は自分たちが「囮」となって光線を撃たせろ、ということだ。

  • 14EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 18:23:44

    「……囮になれ、ということか……だが、どうやって」

    血反吐に塗れた通信機から響くシュネーの悲痛な指示に、ヤイバは残弾の少ないショットガンを杖にして立ち上がり、口端から流れる赤い唾液を拭った。


    肺が焼け焦げるようなオゾン臭。先ほどの『純白の破壊光線』が薙ぎ払った大地は、マグマすら残らない絶対的な虚無のクレバスと化し、一切の熱も放射能も発していない。


    「ヤツに……あの『光線』をもう一度撃たせる……? 無理だよぉ……あんなの、どうやって……」

    島風が、先端の蒸発した『ドラグーンランス』を抱きしめ、ガクガクと膝を震わせている。超音速の機動を誇る彼女の脚すら、本能的な恐怖で完全にすくみ上がっていた。


    「無理……無理ですっ!私、さっき武器を落としてしまって丸腰なんですよ!?も、もうみんな十分頑張りました!あんな光線で死ぬより、いっそ今、みんなで、楽、に……」

    ナギサが言い淀んだ内容は、大なり小なりこの場の全員が思っていることだった。


    無理もない。


    彼らの眼前、上空数百メートルに浮かぶ身長100メートルの銀色の巨人は、一切の気配も、殺気も、エネルギーの波長すら発していなかった。

    巨大な質量がそこにあるはずなのに、まるで空間に「精巧な絵」が貼り付けられているかのような、圧倒的な非現実感。

    『——磁場反射鏡の構築まで、最低でも【180秒】必要だ! 頼む、生き延びてくれ……ッ!』

    アマデアの絶叫が通信機に響く。


    「……3分。果てしなく遠い時間ですね」

    宮沢静虎が、破れたスーツを脱ぎ捨て、静かに前へ出た。その顔には、死の恐怖ではなく、若者たちのために自らを捧ぐ純粋な慈愛と、武術家としての研ぎ澄まされた覚悟だけが浮かんでいた。

  • 15EDF26/04/07(火) 18:29:11

    「静虎殿ッ!?」

    「ヤイバさん、島風さん、そしてナギサさん。あなたたちは、ネブカドネザルの射線へヤツを誘導する手筈を……最初の時間は、私が稼ぎます」


    静虎は、折れた眼鏡を放り捨て、大地を両足で深く踏みしめた。


    「ナギサさんには私の銃を。この銃がどこまで効くかは分かりませんが」

    「静虎さんは……?」

    「私は……神に武術家として挑んでみたくなりました」

    灘神影流・当主としての極致。全身の筋肉の律動を完全に支配し、恐怖による硬直を強制的に解除する。


    「……来なさい、神」

    静虎の静かな、しかし大地を震わせるような覇気を帯びた声。

    その言葉に呼応したわけではないだろう。銀色の巨神が、ふと、そののっぺりとした顔を静虎へと向けた。


    次の瞬間だった。


    ————音が、消えた。

  • 16EDF26/04/07(火) 18:30:43

    「え……?」

    島風が自分の装備を確認して目を離したほんの一瞬で。

    まだ遠くにいたはずの100メートルの巨体は、「そこにいた」。


    静虎の眼前、わずか数メートルの距離。


    瞬間移動ではない。ただ、「歩み寄った」だけだった。


    「——ッ!!」

    静虎の超人的な反射神経が、眼前に現れた銀色の脛に向けて、灘神影流の秘奥義『虎腿蹴』を放つ。音速を超える回し蹴りが、巨神の関節を正確に捉え——。

    ゴッ……!!


    鈍く、嫌な音が響いた。


    静虎の足首から大腿骨にかけての骨が、万力で挟まれた割り箸のように、皮下で複雑骨折を起こして一瞬で粉砕されたのだ。

    蹴り込んだ静虎自身の運動エネルギーが、神の絶対的な硬度と質量の前に、100%の反発となって己の肉体を破壊した。


    「ガ、アァァァッ!?」

  • 17EDF26/04/07(火) 18:35:13

    静虎の口から、鮮血が噴き出す。

    だが、巨神は静虎の攻撃など最初から「存在しなかった」かのように、ただ前へ向かって、静かに右足を振り上げた。


    「……任せました、よっ……若者、たち……ッ!!スマンのぉ、熹一……再会は、果たせそうにないわ……!」

    砕けた足で地に這いながら、静虎は最期の気力を振り絞り、両腕を交差させて頭上から降り注ぐ巨大な足裏を迎え撃とうとした。

    武術の理合い。力を受け流し、直撃を逸らす。

    だが、絶対的な質量の前では、いかなる理も無意味だった。


    ズメェェェェッ!!!

    100メートルの質量が、何の感情も込められず、ただ歩行のプロセスとして静虎の頭上に振り下ろされた。


    「静虎殿ォォォォッ!!」

    ヤイバの絶叫が響く。


    足裏が接触した瞬間、静虎の両腕の骨が皮膚を突き破って飛び出し、白い骨片が宙を舞う。


    「グ、ギィィィッ……!!」

    防御姿勢ごと上から押し潰され、静虎の脊椎がミシミシと悲鳴を上げて折れ曲がる。強靭な筋肉が弾け、防護服が裂け、内臓が耐えきれずに破裂する。


    武術の達人としての強靭な肉体が、逆に「潰されるまでの時間」をコンマ数秒だけ長引かせ、彼に想像を絶する苦痛を与えた。

  • 18EDF26/04/07(火) 18:37:47

    グチャァァァァァァァァァッ……!!!


    スイカを巨大なハンマーで叩き割ったような、悍ましく湿った破砕音。


    宮沢静虎の肉体は、銀色の足の裏と大地の間に挟まれ、原形を留めない赤い肉塊と化して完全にすり潰された。

    踏み抜かれたアスファルトの隙間から、彼だった赤黒い血肉のペーストと、千切れた腸、砕けた頭蓋骨の破片がジュルリと押し出される。血の鉄の匂いと、排泄物の入り混じった強烈な死臭が、周囲に撒き散らされた。

    一切の感傷のない、ただの「歩行」による蹂躙。

    靴の裏に潰れた虫の死骸を確認することなどないように、銀色の巨神は血塗れの足裏を再び持ち上げ、次の標的へと顔を向けた。

  • 19EDF26/04/07(火) 18:42:08

    「あ……あぁ……っ、静虎……っ」

    島風が、胃液を込み上げさせ、その場に嘔吐する。


    「ウッ、ゲェエエエ……! なんなの、アイツ……。速いとか、デカいとか、そんな次元じゃない……っ……!!」

    『残り、120秒だッ!! 足を止めるな、動けェェェッ!!』

    オメラスが、コックピットの中で自身の折れた肋骨の激痛に耐えながら、再起動させたネブカドネザルのアサルトキャノンを巨神の背中へ向けて乱射する。


    タツミヤ鉱で強化された徹甲弾の雨が銀色の皮膚に直撃するが、火花すら散らず、まるで水面に小石を投げたように弾き返されていく。


    「静虎、さん……! わた、私のせいで……!」

    桐藤ナギサが、へし折れた純白の翼から血を垂れ流しながら、ふらふらと空へ舞い上がった。

    サバイバーズ・ギルト。親友のミカを失い、氷川を失い、そして今、自分を庇って、自分に銃を託して素手で前に出た静虎が、ただの肉の染みと化した。


    責任感の強すぎる少女の精神は、すでに限界をとうに超えていた。

    ナギサはまだ静虎の温もりが残るアサルトライフルを構えて、巨人へ向けて踏み出した。

  • 20二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 18:44:40

    絶望を超えた絶望

  • 21EDF26/04/07(火) 18:45:18

    「ナギサ、ダメッ!! 行かないで!!」

    島風が吐瀉物に塗れた顔を上げ、叫ぶ。


    「ナギサ殿っ!!ソイツは単独でいい挑んで相手では……!」

    ヤイバもショットガンを撃ちながら駆け寄ろうとする。


    だが、ナギサはゆっくりと首を振った。


    「逆ですよヤイバさん。一人ずつ向かって注意を逸らし続ける『決死行』でなければ、時間は稼げません」

    ナギサは、両目から血の涙を流しながら、ウイングダイバーの動力炉を臨界点までオーバーロードさせた。


    「それに何より……私がっ!!もうあのバケモノを許せないっ!!私が、終わらせるッッ!!!」

    へし折れた翼がプラズマの暴走によって焼け焦げ、彼女自身の肉体を焼きながら、巨神の「顔面」へ向けて、特攻にも等しい直線的な突撃を敢行する。


    「消えろォォォォォォッ!!」

    手にしたアサルトライフルの引き金を、指の骨が折れるほどの力で引き絞る。

  • 22EDF26/04/07(火) 18:48:20

    だが。

    銀色の神にとって、その決死の特攻すらも、取るに足らない「現象」でしかなかった。

    スッ……。

    巨神の右腕が、滑らかに虚空を薙いだ。

    風切り音すらない。空間そのものを切り取るような動き。


    「え——」


    ナギサの突撃は、巨神の顔面に届く数十メートル手前で、唐突に停止した。

    いや、停止させられたのだ。


    銀色の巨大な手が、空を飛ぶナギサの華奢な胴体を、虫でも捕まえるように「ふわり」と握りしめていた。

    「あ……が……ッ!?」

    ナギサの口から、空気が漏れる。

    100メートルの巨人の指。その一本一本が、大木ほどの太さと質量を持っている。それが、ナギサの全身を包み込むように握り込んでいるのだ。


    一切の殺意も、怒りもない。ただ「飛んでいるものを咄嗟に掴んだ」という、無邪気で残酷な動作。


    「ナギサァァァァァァァァッ!!!」

    島風の悲痛な絶叫が、荒野に木霊する。

    銀色の指が、ゆっくりと、しかし絶対的な油圧プレスのような力で、内側へと閉じていく。


    メリッ……ミチミチミチィッ……!!


    「あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝っ!!!」

  • 23EDF26/04/07(火) 18:50:16

    ナギサの喉から、少女のものとは思えない、引き裂かれるような絶叫が迸った。


    「い、いやぁっ……! 痛いっ、痛いぃぃっ! 島風、さん……っ、ヤイバ、さ……ッ!!」

    巨大な指の圧力により、ウイングダイバーの特殊装甲がブリキ缶のようになす術なくひしゃげ、彼女の皮膚に食い込む。


    「やめろォォォォッ!! 離せ、その子を離せェェェェッ!!」

    ヤイバが、弾切れになったショットガンを放り捨て、刀を抜いて狂ったように巨神の足首に斬りかかるが、銀色の皮膚には傷一つ、傷跡一つ残らない。


    「あ……」

    肋骨が束になってへし折れ、その鋭い断面がナギサの肺と心臓を同時に串刺しにした。

    口と鼻から、肺に溜まった空気が血の泡となってゴボォッと噴き出す。


    「皆さん……ごめんなさいっ……!」

    ナギサは最期の力をふり絞って振り返ると、ヤイバと島風に向けて微笑んで見せた。

    死に際に、彼女の幼馴染聖園ミカが、仲間たちにそうしたように。

  • 24EDF26/04/07(火) 18:54:02

    巨神の指は、止まらない。

    ナギサの骨盤が砕ける音がして、そして。


    ブチャァァァァァァッ!!!!!


    最後に、粘着質な破裂音が空中に響き渡った。


    銀色の指の隙間から、大量の血の雨と、千切れた純白の翼の破片が、ボトボトと音を立てて地上へと降り注ぐ。


    巨神は、掌を赤く染めたその血の感触にすら興味を示すことなく、ゆっくりと握りしめた手を開いた。


    指の間にこびりついた、装甲の破片と肉のミンチが混ざった赤い塊が、べちゃり、とヤイバと島風の目の前に落下する。


    「あ……ぁぁ……」

    島風の瞳から、完全に光が失われた。

    膝から崩れ落ち、血の雨を全身に浴びながら、ただ虚空を見つめてカタカタと震えることしかできない。


    「お、のれ……おのれェェェェェェェェッ!!!」

    ヤイバの目から、血の涙がこぼれ落ちる。

    どれだけ可憐な少女たちを守ると誓っても、この神の前では、彼女たちはただの「赤い染み」に変わるだけの存在でしかないのか。

  • 25二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 18:56:05

    最後だからキャラロストの頻度も回数もこれまでにないのォ…

  • 26EDF26/04/07(火) 18:56:37

    『……残り、80秒』

    通信機越しに聞こえるアマデアの声も、絶望で震え上がっていた。


    『まだだ……まだ、撃ち返せない……っ! 誰か、ヤツの気を引いてくれ……!!』

    だが、地上に残されたのは、恐怖で足が竦んだ島風と、絶望に慟哭するヤイバ、そして満身創痍のオメラスだけ。


    銀色の巨神は、掌の血を振り払うこともせず、ゆっくりと右腕を肩まで上げて、左手を正面にまっすぐ伸ばした。

  • 27二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 18:57:06

    あの…いくら最終ステージだからってどんどん死んでいくんスけど…
    いいんスかこれ

  • 28EDF26/04/07(火) 18:59:25

    「なッ!? シュネー、ヤツのエネルギー波長が、また変化している! 先ほどの光線とは違う……もっと鋭利で、極限まで圧縮された『回転』のエネルギーだッ!」

    「回転……? 待って、アマデア。ヤツの視線が……!」

    シュネー・ヴァイスベルグが、メインモニターに映る100メートルの銀色の巨神の顔を見て、凍りついた。

    のっぺりとした銀色の顔。それが、地上のヤイバや島風から外れ、ゆっくりと、遥か後方にいる自分たちの装甲車輌の方角へと向けられていたのだ。


    ゴジラには少なくとも第四形態時点では、フェーズドアレイレーダーが備わっていた。

    この戦場において、最も脅威となる「反射磁場」を構築しようとしている電子の震源地を、神の知覚は正確に割り出していた。


    『————』

    巨神の腕は、今度は十字には組まない。掲げた右手から、純白の光のエネルギーが漏れ出し、それが凄まじい速度で「円環状」に収束していく。


    「マズい……! 狙いは前衛じゃない! ボクたちだッ!」

    シュネーが絶叫した。


    上空の巨神の右手から放たれたのは、高速回転する純白の光の輪——『八つ裂き光輪』。

    それは、大気を切り裂く轟音すら発さず、一切の空気抵抗を無視した絶対的な切断力を持って、数十キロの距離を一瞬でゼロにした。


    ヒュンッ……!!


    装甲車輌の分厚いチタン合金の壁が、まるで濡れた紙のように、何の抵抗もなく斜めに両断された。

    音も、熱もなかった。ただ「空間の座標がズレた」かのような、あまりにも静かで残酷な切断。

  • 29EDF26/04/07(火) 19:03:05

    「え——」

    シュネーが気づいた時には、車輌の天井が斜めに滑り落ちていた。


    そしてむき出しになった空から、二発目の光輪が車内へと迫っていた。

    回避行動をとる時間など、コンマ一秒すら存在しない。

    その時だった。


    「……もうっ……私の前で、死なせるかッ!!」

    ドンッ! と、強い衝撃がシュネーの小さな体を突き飛ばした。


    彼女を庇うように、横から飛び込んできたのは、恐怖に泣き叫んでいたはずの天才科学者、アマデア・ウォルファだった。


    「アマデ——」

    シュネーの声が喉から出るより早く。

    純白の八つ裂き光輪が、アマデアの豊満な肉体を、右肩から左脇腹にかけて、袈裟懸けに「透過」した。


    ズリュゥゥゥゥッ……!!


    一瞬の静寂の後。アマデアの肉体が、斜めにズレた。


    「あ……、が……?」

    切断された瞬間の超高熱により、血液が一瞬だけ沸騰して凝固したが、それも数秒の気休めに過ぎなかった。

    ズレた上半身の切断面から、抑えきれなくなった大量の鮮血が、滝のように噴き出した。


    「ガハッ……! ァ、ぁ……っ!」

  • 30EDF26/04/07(火) 19:05:51

    「あ、アマデアッ!? アマデアァァァァッ!!」

    シュネーが、自分の顔に降り注いだ生温かい血を拭うことも忘れ、這いずってアマデアの上半身を抱きとめた。


    「なんで……なんでッ! キミは、こんな状況でボクを庇うようなお人好しじゃなかっただろッ!」

    「げほっ……がぁっ……」

    アマデアの口から、大量の血の泡が溢れる。彼女の美しい顔は、急激な失血で蝋人形のように蒼白になっていた。


    「アマデアッ……!ボクはっ……ボクはっ!」

    「ボ、ク……?」

    「あぁっ!?なんだよ、まさかとは思うけどこの状況でもっと女の子らしくしろとかのお説教じゃ……」

    「ふ、ふふ……あぁ、やっと、会えた……」

    アマデアは血まみれの指を伸ばし、シュネーの頬に触れた。

  • 31EDF26/04/07(火) 19:07:06

    「ごめん、な……クル、ミ……」

    「えっ?」

  • 32二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:08:26

    おおっうん……

  • 33EDF26/04/07(火) 19:10:01

    「……あの時、私は、守ろうとした、本当なんだ……君を盾になんて、してない……裏切ってなんて……」

    アマデアの目は、虚ろだった。


    「喋るな! 今止血する、ボクのメディカルで……!」

    「……ワタシの、計算式は……もう、シュネーの端末に、送った……あとはアイツがなんとかしてくれる……っ」

    彼女の自己顕示欲の裏にあった、不器用な優しさと、シュネーへの絶対的な信頼。それを見せるのはシュネーにではなく、死に際の幻覚で見ているクルミに対してだった。




    「……なぁ、クルミ。ワタシ、頑張ったよな?もう、十分だよな?赦して、くれるか……?」

    崩れ落ちそうになるアマデアの手を、シュネーが力強く掴んだ。


    「……あぁ、赦すよ。君は誇り高いEDFの戦士だ……ボクが、君を赦す」

    「あぁ……ありがとう……クル……」

    ガクン、と。

    天才科学者アマデア・ウォルファの瞳から、光が失われた。

    彼女の腕が力なく床に落ち、血の海の中に静かに沈んだ。

  • 34二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:12:36

    ……哀

  • 35EDF26/04/07(火) 19:13:21

    「あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁッ!! アマデアァァァァァァッ!!」

    シュネーの悲痛な絶叫が、両断された車輌から空へと響き渡る。


    だが、神の慈悲なき殺戮は終わらない。

    巨神は、完全に仕留めるため、三発目の『八つ裂き光輪』を生成し、血の海に這いつくばるシュネーへ向けて無慈悲に放ち降ろした。

    「……ッ!」


    シュネーは、アマデアの亡骸を抱きしめたまま、迫り来る白い死の輪を睨みつけた。


    (終わる……? ここで……ボクたち人類の歴史は……)

    かつて自分を庇って肉塊となったデュークの顔が、今自分を庇ったアマデアの顔と重なる

    また、自分だけが生き残った。でも今度こそ、自分も死ぬのだ。


    シュネーが目を閉じた、その絶対的な死の瞬間。




    天を割るような凄まじい爆音と共に、空から「巨大な何か」が落下してきた。


    それは、八つ裂き光輪がシュネーに届く直前のタイミングで、装甲車輌と光輪の間に、文字通り「隕石」のように激突した。


    ギャリィィィィィィィィンッ!!!!


    全てを両断するはずの神の光輪が、その隕石に弾かれ、火花を散らして軌道を横に逸らされた。光輪は後方の荒野に着弾し、山を一つ削り飛ばして消滅した。

  • 36二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:13:39

    静虎とナギサとアマデアが死んだあっ
    派手な葬式出して感動的な弔辞読んで涙を流してあげましょう

  • 37二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:14:31

    な、なんだぁっ

  • 38EDF26/04/07(火) 19:18:36

    「……な、なんだぁっ!?」

    シュネーが、目を開ける。


    土煙と炎の中から姿を現したのは、元は巨大であっただろう機械の残骸。ボロボロになった、異形の昆虫の顔……


    「……キングコーカサスカブト……!?」

    宇宙空間でオメラスとラスタルの道を開き、デブリと化していたはずの機体。その欠片が中途半端に自己修復しながら、半壊状態のままシュネーの目の前へと落ちてきたのだ。


    そして、その剥き出しにになったコアに書いてあったのは。


    『——TARGET. SCHNEE WEISSBERG——』

    それは、かつてシュネーを執拗に狙い、デュークの命を奪った無差別殺戮兵器『バグ』のプログラム。


    ラスタルがバグのデータを復元してキングコーカサスカブトに取り込んだ時にデリートしたはずのプログラムが、戦闘の衝撃と不完全な修復の過程で復活したのだ。


    宇宙の塵となってもなお、その殺戮のコードはシュネーを追い求め、大気圏を突破して彼女の元へ「殺しに」やってきたのだ。


    だが、その執念の殺意が、皮肉にも神の光輪から彼女を護る「盾」となった。

  • 39EDF26/04/07(火) 19:22:16

    「……バグ……。お前、まだボクを狙って……いや……デューク、さん……?」

    シュネーは、血まみれの拳を強く握りしめた。


    デュークの命を奪った憎き殺戮兵器のデータを元にした巨大ロボットの残骸。それが、奇跡的な確率で空から降り注ぎ、今度は自分を神の刃から救った。

    これが運命の悪戯なのか、それとも宇宙に散った怜慈の、バグに殺されたデュークの残留思念が引き起こした奇跡なのかは分からない。

    だが、事実として、彼女は生かされた。

    アマデアの命と、かつての敵の残骸によって。


    「……残り、60秒……ッ!」

    シュネーは、アマデアの血で染まった端末を拾い上げた。

    その瞳に、もはや絶望の涙はない。そこにあるのは、神に対する純粋で冷徹な、殺意の炎だけだった。


    「……待っていろ、神様。ボクとアマデアの、最高に美しい方程式で……その澄ました顔を、跡形もなく消し飛ばしてやるッ!」

    空から降ってきた因縁の機械を盾に、シュネー・ヴァイスベルグの血を吐くような反撃の演算が、再び開始された。

  • 40二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:23:12

    まさかバグが再登場するなんて予想できないよねパパ

  • 41二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:23:54

    そういやここのキングコーカサスカブトはバグを元に作ってたというお変ク設定があったのを思い出す俺たち!

  • 42二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:24:15

    しかしすごい伏線だな内海
    はいバグのシステム流用と宇宙ゴミになってた事がここに繋がるとは思わなかった

  • 43EDF26/04/07(火) 19:27:32

    「……立て。ネブカドネザル。まだ鉄屑になる時間ではない」

    胸部に致命的な大穴を空けられ、黒煙を噴き上げる『ネブカドネザル』のコックピットで、オメラスは血反吐に塗れた操縦桿を強引に引き絞った。


    ギ、ギギギギィィィッ……!!

    装甲が歪み、ちぎれかけたケーブルが火花を散らす。

    オメラス自身の肋骨が肺に突き刺さる激痛など、とうに感覚が消えていた。ただの冷徹な意志のみが、50メートルの鋼鉄の巨人を再び大地に立たせた。


    「……反射磁場の構築まで、あと60秒。あの神気取りの偶像に、もう一度『白い光線』を撃たせる必要がある」

    オメラスの重く、ひび割れた声が通信機に響く。


    眼前の100メートルの銀色の巨神は、遥か後方へ放った八つ裂き光輪の戦果を確認することもなく、再び眼下の「蠢く鉄屑」へとそののっぺりとした顔を向けた。

    「だが、どうやって撃たせる……ッ!? 打撃も実弾も通じぬ相手に、わざわざあの絶対的な一撃を放つ理由がない!最初の一撃は、第四形態の時に使った後方の無人戦車群を狙っただけだ!それも、もうないっ!」

    ヤイバが、血の涙を流しながら刀を握り直す。

    ナギサが肉のジュースと化し、静虎が踏み潰された。武の理も、決死の特攻も、この静寂の神の前では文字通り「ただの現象」として処理されてしまう。


    『——認識させるのだ』

    オメラスは、ネブカドネザルの残された右腕で、アンタイ・エイリアン・アサルトキャノンを巨神の顔面へと向けた。


    『オレたちが、ただ踏み潰されるだけの羽虫ではなく、その白銀の肉体を汚す【害悪】であると。……ヤツの完璧な静寂を、徹底的に乱す』

  • 44EDF26/04/07(火) 19:31:22

    ドガガガ!!


    至近距離から放たれたタツミヤ鉱の徹甲弾が、巨神の顔面に直撃する。だが、火花一つ散らず、音もなく弾き落とされた。

    巨神は、顔を逸らすことすらしない。ゆっくりと、ネブカドネザルを解体するために右腕を振り上げた。


    「……私、が……!」

    その時、血と吐瀉物に塗れた大地から、一人の少女が立ち上がった。

    島風だった。

    瞳の焦点は定まっていない。ナギサの死肉を浴びた彼女の全身は小刻みに震え、呼吸は浅く、精神は完全に崩壊の縁にあった。


    それでも、彼女は背部の兵装ユニット『ドラグーンランス』の基部を強制パージし、機動力のみに全エネルギーを回すオーバードライブ・モードを起動した。


    「私は……っ!」

    「……島風殿!? いかん、今のそなたの足では……!」

    ヤイバが止める暇もなかった。


    「私は……メトーデがパスして、潔がシュートした、『ボール』なんだ……っ!潔のシュートと私は……誰よりも、誰よりも……速いんだぁぁぁぁぁッ!!」



    ボァァァァァァァンッ!!!

    凄まじいソニックブームが荒野を吹き飛ばし、島風の小さな体が、一瞬にして視界から「消失」した。

  • 45二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:34:38

    (長くなったとはEDFも言ってたけどなんか思ってた以上に長編になりそうだな…)

  • 46二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:35:44

    島風…(愛)
    キリュウバエ…糞

  • 47二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:35:51

    このレスは削除されています

  • 48EDF26/04/07(火) 19:37:14

    島風の肉体は、人間の限界を遥かに超えたGに晒されていた。

    だが彼女は止まらない。銀色の巨神の周囲を、文字通り「不可視の竜巻」となって旋回し始めたのだ。


    ギュィィィィィンッ!

    武器を捨てた島風には傷一つ負わせることはできない。だが、絶対的な静寂を纏っていた神の周囲に、けたたましい衝撃音と砂嵐が巻き起こる。


    スッ……。

    鬱陶しい羽虫を払うように、巨神が右手の平を虚空へ向けて薙ぎ払った。

    音のない、しかし空間の座標そのものを削り取るような絶対的な手刀。


    「ッ!!」

    島風の野生の勘が、その不可視の死線を感知する。

    彼女は空中で無理やり軌道を変え、神の手刀から逃れる。


    だが、遅かった。


    手刀が通過したあとに生じた「余波」が、超高速で飛翔していた島風の右半身を容赦なく捉えた。


    メキバキィィィィィッ!!!


    「あ˝——っ!?」

    島風の右腕が、肩の付け根から文字通り「ねじ切られ」、空の彼方へ吹き飛んだ。

    さらに、自慢であった両脚の装甲がにひしゃげ、中の骨と筋肉が限界を超えた摩擦と圧力によって同時に破裂した。

  • 49EDF26/04/07(火) 19:40:22

    空中に、大量の鮮血と肉片が撒き散らされる。

    四肢の機能を失い、ただの肉塊と成り果てようとしている少女の体。


    (……ミカ、ラーヴァ、メトーデ、潔、エミール、リリス、ナギサ……ごめん、ね。私、もう……)

    意識が途絶えかけたその瞬間。

    彼女の脳裏に、かつて共に笑い合い、共に青空を駆け抜けた仲間たちの顔が浮かんだ。

    そして、眼下で必死に刀を構え、自分を呼ぶヤイバの姿が。


    (……いやだ。ここで止まったら……みんな、何のために死んだの……今生きてるみんなまで、死んじゃう……!)

    島風は、千切れた右肩から血を噴水のように撒き散らしながら、残された背部の推進器の出力を、【リミット・ブレイク】へと至らせた。


    「走る……! 私は、最後まで……ッ!!走り続けるッ!!」

    脚はない。腕もない。


    だが、島風は「走った」。

    自らの崩壊しゆく肉体を砲弾と化し、音速に近い速度で、銀色の巨神の顔面へと特攻した。


    「速いだけでもいいんだっ、私はっ!それがしたいんだからぁああああっ!!!」

    「よせぇっ!!島風ェェェェェェェェッ!!!」

    オメラスが吼える。


    空気の壁に激突し続け、島風の顔面の皮膚が剥がれ落ちる。

    それでも彼女の推進器は、最期の瞬間まで彼女を前へと押し出し続けた。

  • 5026/04/07(火) 19:40:56

    ロックですねぇ

  • 51二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:42:09

    すごいなウルトラマンは
    銀の人とは比較にならない絶望感だよ

  • 52二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:44:10

    島風の轟沈台詞と反対のことを言わせるとは…見事やな…

  • 53EDF26/04/07(火) 19:45:13

    グチャァァァァァァァァァァッ!!!!!


    凄まじい衝撃音と共に、島風の体は、銀色の巨神の胸部に激突し——そのままトマトのように完全に弾け飛んだ。

    いかなる傷もつかない白銀の装甲。そこに、島風の命のすべてであった真っ赤な血と、すり潰された臓物の染みが、べっとりと、確かにこびりついた。


    『————』

    神の動きが、ピタリと止まった。


    足や手が多少汚れても気にしなくても、顔に羽虫が飛んできたら嫌がる者は多い。

    自らの汚れなき顔に、「血」がこびりついた。その事実が、感情なき神の内部システムに、何らかの特異な反応を引き起こしたのか。


    巨神が、足元で這いつくばるハエに、ゆっくりと視線を落とした。

    「……よくぞ繋いだ、可憐なる乙女よッ!!猛る風のような戦乙女よッ!!!」

    その神の意識が僅かに下に逸れたコンマ一秒の隙を、ヤイバは見逃さなかった。


    彼女は、島風の血の雨が降る中、自らの両脚の筋肉を千切るほどの踏み込みで大地を蹴り、巨神の顔面へと跳躍した。


    「EDF極東支部サムライ、ヤイバ! ……我が身を賭して、神の驕りをっ!!!斬り伏せるッ!」

    ヤイバの手にあるのは、タツミヤ鉱のエネルギーを限界まで刀身に込めた、ただ一振りの打刀。


    彼女は、島風が散った場所——巨神の「目」に当たるであろう顔面の中心へ向けて、渾身の刺突を放った。

  • 54EDF26/04/07(火) 19:49:38

    ギィィィィィィィィンッ!!!!!

    タツミヤ鉱の刀身が、銀色の皮膚に激突し、凄まじい反発光を放つ。

    刀は、神の皮膚を貫くことなどできなかった。接触した瞬間から、刀身は根本から粉々に砕け散り、ヤイバの両腕の骨も衝撃で粉砕された。


    だが。


    「……ブーーーッッ!」

    ヤイバは折れた刀の柄を握りしめたまま、口に含んでいた自らの血を、巨神の顔面へ向けて勢いよく吹き付けた。

    白銀の顔面に、赤い飛沫が散る。


    『————』

    巨神が、ヤイバを「視た」。

    虫けらが何度も自らの顔面に触れた。汚いものを叩きつけてきた。


    それは、地球の環境をリセットするだけの作業において、明確な【排除すべきイレギュラー】として神の演算に組み込まれた瞬間だった。


    巨神の右手が、ヤイバをハエのように弾き飛ばす。

    「ガ、ハァッ……!」

    ヤイバの肋骨が砕け、内臓を破裂させながら、彼女の体は数百メートル先の荒野へとボロ布のように叩きつけられた。ピクリとも動かない。


    だが、彼女たちの命を懸けた蹂躙劇は、無駄ではなかった。

  • 55EDF26/04/07(火) 19:53:16

    『……目標のエネルギー波長、変化!!』

    キングコーカサスカブトの残骸で身を守りながらで、アマデアの血に染まったモニターを睨むシュネーが叫んだ。


    銀色の巨神は、ちょこまかと鬱陶しい羽虫を物理的に叩き潰すことが億劫になったかのように、ゆっくりと、その両腕を胸の前で交差させ始めた。

    右腕を垂直に、左腕を水平に。

    絶対の死を約束する、白銀の十字。


    「……オメラス! 来るぞッ! 『純白の光線』だッ!」

    『……了解した』

    ネブカドネザルのコックピットで、オメラスは火花を散らすモニター越しに、死の十字を見据えた。


    『これより、本機を反射鏡の核(コア)とする。シュネー、照準は全てお前に任せる……信じているぞ』

    「任せろっ!!残り、10秒……ッ! ネブカドネザルのアサルトキャノンに搭載された磁場発生装置を、タツミヤ鉱の限界出力で逆位相化させる!」

    シュネーの指が、キーボードの上で残像を残すほどの速度で舞う。

  • 56EDF26/04/07(火) 19:55:17

    「……アマデア。キミの計算式、完璧だったよ。……あとは、ボクが仕上げるッ!」

    『————』

    音が消えた。

    巨神の十字に組まれた腕の隙間から、空間を白く染め上げる極大のエネルギーが溢れ出す。


    「撃てッ! 神ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ッ!!」

    オメラスの血を吐くような絶叫。


    次の瞬間。

    大気を、大地を、全てを原子レベルで削り取る『純白の破壊光線』が、音のない轟音と共に、ネブカドネザルへ向けて一直線に放たれた。

  • 57二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 19:56:15

    島風……(哀)

  • 58EDF26/04/07(火) 19:59:16

    銀色の神の十字に組まれた腕から放たれた光の奔流は、大地を底なしのクレバスに変えながら、一直線に『ネブカドネザル』へと迫った。



    「位相変換(フェーズ・シフト)……今ッ!!」

    装甲車輌の中で、シュネー・ヴァイスベルグが血に染まったエンターキーを叩き割る勢いで押し込んだ。


    ネブカドネザルの右腕に接続された『アンタイ・エイリアン・アサルトキャノン』。

    その砲身内部に装填された超高濃度のタツミヤ液状結晶が、臨界点を突破して青白い極光を放つ。

    アマデアが遺した完璧な計算式が、神の光線の波長を0.001秒単位で解析し、キャノンの磁場発生装置に「完全な逆位相」のエネルギー・フィールドを形成した。



    純白の破壊光線が、ネブカドネザルの展開した磁場フィールドに激突した。

    その瞬間、M平原の空間そのものが、ひび割れたガラスのように歪んだ。


    「グ、ガァァァァァァァァァァァァッ!!」

    ネブカドネザルのコックピットで、オメラスが血反吐を撒き散らしながら絶叫する。


    跳ね返すと言えば聞こえはいいが、それは「絶対的な破壊の質量を、真正面から受け止める」という致死のプロセスを挟む。

    磁場フィールドは光線を防いでいるのではない。光線の進行方向(ベクトル)を無理やりねじ曲げるための「受け皿」となっているのだ。


    装甲が、ドロドロに融解し始める。

    タツミヤ鉱のエネルギーで強化されたはずのネブカドネザルのチタン合金が、熱ではなく「エネルギーの飽和」によって原子の結びつきを解かれ、スライムのように崩れ落ちていく。

  • 59EDF26/04/07(火) 20:02:38

    「耐えろ……ッ! 持ち堪えろ、鉄屑ゥゥゥゥッ!!」

    オメラスの頭部に打ち込まれた『蜘蛛』が、限界を超えた衝撃でショートし、彼の頭蓋骨に直接高圧電流を流し込む。


    眼球の毛細血管が弾け、視界が真っ赤に染まる。皮膚からは汗が噴き出し、コックピット内の温度上昇によって、オメラスの呼吸器が焼け焦げていく。


    痛い。

    痛い、痛い、痛い。


    今この時の痛みだけではない。

    生まれつきの自己免疫異常。全身の細胞が己を攻撃し続ける地獄の苦痛。

    オメラスというヒューマンジーは、ただの一秒たりとも「痛み」から解放されたことなどなかった。


    幸福な都市の地下で、たった一人で世界の苦痛を引き受ける生け贄と同じ。それが自分の存在理由だった。実験室の冷たい檻の中で、ただ理不尽に体を切り刻まれる声なき動物たちの絶望を、彼は誰よりも深く理解していた。


    だが、今。


    彼の網膜には、肉のジュースとなって空から降り注いだナギサの血が、原型を留めずすり潰された静虎の肉片が、真っ赤な染みとなって神の胸にこびりついた島風の命が、鮮明に焼き付いていた。


    (……この世界は、理不尽だ)

    オメラスは、融解していく操縦桿を、皮膚が焼け焦げ、骨が露出するほどの力で握りしめた。

  • 60EDF26/04/07(火) 20:10:43

    (……人類は、たしかに傲慢だ。他の命を平然と蹂躙し、自らの幸福のために誰かを地下室へ追いやる)

    (だが……オレは知っている。どんな痛みにも絶望にも負けない、泥まみれの孤児(オルフェンズ)たちを。

    都市から逃げるのではなく、オメラスの子供のために、地下ごと都市をぶっ壊そうとするような馬鹿者たちを)


    (神よ、お前は痛みを知らないだろう?)

    一切のエネルギーをロスせず、無音で、感情すら持たずに命を刈り取るあの銀色の偶像には、「痛覚」が存在しない。


    痛みが分からないから。

    他者の流す血の熱さを、理不尽に命を奪われる絶望を、知らないから。


    (……なら、オレが教えてやる)

    オメラスは、焼け焦げた両手で、融解しつつある操縦桿を握りしめた。

    指の肉が焼け、白い骨が露出しても、その手は決して離れなかった。

  • 61EDF26/04/07(火) 20:14:42

    「オレは……」

    血の泡を吐き出しながら、ヒューマンジーは静かに、しかし地鳴りのような声で呻いた。


    「檻の中で切り刻まれる声なき獣たちの苦痛も……宇宙人の暴力にすり潰される人間たちの絶望の悲鳴も、どちらも知っている」

    ならば。

    動物の痛みと人間の絶望の両方をその身に刻み込んだ、この醜いキメラだけが。


    この地球でただ一人。星の命を無機質に無感動に奪おうとしているあの神に、本当の『痛み』を教える資格のあき存在だ。



    「……オレはッ……この地球の、生きとし生ける者のッ……!」

    オメラスは、千切れかけた喉帯を震わせ、獣の咆哮と人間の意志が融合した叫びを上げた。


    「全ての痛みを識る……ただ一人(ONE)だァァァァァァァァッッ!!」

    オメラスの咆哮と共に、ネブカドネザルの心臓部であるタツミヤ鉱のジェネレーターが、安全装置を完全に焼き切って臨界点を突破した。

  • 62二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 20:18:50
  • 63二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 20:19:58

    いけーっ
    オメラス!!

  • 64EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 20:20:22

    (ちょっと休憩ッス!)

  • 65二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 20:20:55

    いけーっチャーリーの弟ッ

  • 66二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 20:55:20

    オツカレーッ ダーウィン事変のONEとM八七の歌詞をリンクさせるとは…見事やな

  • 67二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 21:39:18

    明らかにダーウィン事変を読み込んでいる…スレ主師匠だ

  • 68EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 21:49:39

    もう少ししたら再開するっス
    なんか気付いたらウルトラマン戦が倍くらいになってるんだよね、怖くない?

  • 69EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 21:58:49

    『——反射磁場、臨界突破(オーバー・ザ・リミット)!!』

    通信機から、シュネーの泣き叫ぶような声が響く。


    『そのまま……ヤツの顔面に、叩き返せェェェェェェッ!!!』

    ネブカドネザルの右腕が、完全に融解して骨組みだけになりながらも、アサルトキャノンの砲口を、上空の銀色の巨神へと真っ直ぐに向けた。

    ギィィィィィィィィィィィンッ!!!!!


    物理法則が、完全に反転した。

    ネブカドネザルに押し付けられていた純白の破壊光線が、タツミヤ鉱の逆位相フィールドによってベクトルを180度反転させられ——。

    神が放った絶対の死が、そのまま神自身へ向けて撃ち返されたのだ。

    撃ち返された純白の光線は、上空に浮かぶ100メートルの銀色の巨神の顔面へ、寸分の狂いもなく直撃した。


    『————!?』

  • 70EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:01:28

    無音だった。

    だが、その無音は、神が意図して作り出した静寂ではなく、絶対的なエネルギーの衝突によって大気が一瞬で真空に変わったことによる、物理的な「音の消失」だった。


    反射された光線は、ヤイバの刀を弾き、ネブカドネザルの打撃を意に介さなかった神の【装甲】を、真正面から削り取った。


    ピキィィィィィンッ!!!


    ついに、神の顔面に「亀裂」が走った。

    滑らかな銀色の皮膚が、自らの放った絶対的なエネルギーの奔流に耐えきれず、まるで強化ガラスが砕け散るようにバキバキと音を立てて剥がれ落ちていく。


    『————ガ、ァ…………ッ!?』

    神が、初めて音を発した。

    それは咆哮でも、怒声でもない。システムのバグのような、ひどく無機質で、それでいて明確な「エラー」を訴えるノイズ。


    光線は神の顔面を半ばまで抉り取り、その100メートルの巨体を上空から大地へと強引に叩き落とした。


    ズドゴォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!


    地平線が跳ね上がり、数万トンの土砂が津波となってM平原を覆い尽くす。

    決して地に足をつけることなく、絶対的な優位から羽虫を蹂躙していた銀色の神が、自らの光線によって顔面を砕かれ、無様に大地を転がったのだ。

  • 71二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:02:35

    このレスは削除されています

  • 72EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:07:19

    「……やった……ッ! やったよ、アマデア……ッ!」

    シュネーが、モニターの向こうで巻き起こった奇跡に、戦友の冷たくなった亡骸を抱きしめながら慟哭した。


    「……私は、死に損なった、か……あっぱれだ、オメラス殿」

    荒野に倒れたまま戦いを見守っていたヤイバが、ふぅっと息を吐く。


    「……システム、完全停止」

    オメラスの呟きと共に。

    限界を超えたネブカドネザルは、その役目を終え、自重に耐えきれず崩壊を開始した。

    光線を反射した右腕は肩から完全に蒸発し、分厚い胸部装甲はドロドロに溶け落ちて内部のフレームを露出させている。


    ズズゥゥン……。


    50メートルの決戦兵器は、最後の力を振り絞って膝をつき、そのまま前のめりに大地へと倒れ込んだ。

    ガシャァァァァァンッ!!


    「オメラスッ!!」

    シュネーの悲鳴が響く。


    倒壊の衝撃で、ネブカドネザルの胸部コックピット・ブロックが強引にパージされ、荒野へと射出された。

    火花を散らしながら地面を何度もバウンドし、黒焦げになったハッチが吹き飛ぶ。

  • 73二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:09:01






    ふぁ〜眠い

  • 74二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:09:55

    見事やな

  • 75EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:10:50

    土煙の中。

    ひしゃげたコックピットシートに縛り付けられたオメラスは、全身の皮膚が重度の火傷で焼け爛れ、両腕は不自然な方向に曲がり、呼吸をするたびに肺から血の泡が漏れ出していた。

    頭部の『蜘蛛』は完全に砕け散り、彼を激痛から保護するものはもう何もない。


    だが。


    「……ハ、ァ……ッ、ゲホッ……」

    彼は、生きていた。

    血反吐を吐きながら、爛れた目をゆっくりと見開き、土煙の向こう側を睨みつける。


    そこには、顔面の右半分を無惨に抉り取られ、大地に這いつくばる「元・神」の姿があった。


    「……ふ、は、ははは……ッ」


    オメラスの血に染まった唇が、凶悪な弧を描く。


    「痛みは、どうだ……? 神……ッ」

    それは、ただ踏み潰されるだけの存在が、絶対的なる上位存在を泥沼へと引きずり下ろした、凄惨なる逆転劇の証だった。

    血の匂いと、融解した鉄の悪臭が漂う中で、オメラスの乾いた笑い声が、微かに、だが確かに響いていた。


    神に、『痛み』という名の絶望を教え込んでやった。その事実が、彼を狂気的な喜びに浸らせていたのだ。

  • 76EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:13:20

    だが、進化に終わりはない。

  • 77EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:16:08

    這いつくばる神の、抉り取られた顔面の奥底。黒い生体組織が、光線の残光を浴びて、青白く、不気味に蠢き始めたのだ。


    『ゴジラ』という生命体は、凍結され、光線で砕かれようとも、その細胞の一つ一つが生存への執着を捨てない。凍結も跳ね返された光線も、その進化をさらに加速させるための触媒に過ぎなかった。


    シン・ウルトラマンという完璧な器を、自らの放った光線によって破壊された神は、今、その残骸の中から、さらにその先へ、人類が想像もし得ない領域へと進化しようとしていた。


    『————……』

    ウルトラマンののっぺりとした、砕けかけた顔が、ゆっくりと、眼下のオメラスへと向けられた。

    視線、ではない。感情を持たない神の意識が、オメラスへ精神的な波長を伸ばしたのだ。


    オメラスの脳内に、無機質な、金属的な神の声が、直接響き渡る。


    【————エラー。理解不能。……対象【オメラス】。……その、肉体を苛む、不必要な苦痛の源泉、および……声なき存在を、虐待から救うという、非論理的な【使命】。……興味、を感知】

    神は、痛みを知らない。感情を持たない。

    だが、この進化し続ける獣は、自分に致命的な一撃を浴びせた下等な羽虫(キメラ)が、なぜこれほどの苦痛に耐え、なぜこれほどの強い意志(使命)を持てるのか、その理由を学習しようとしていた。


    【————学習、を開始。……対象【オメラス】を、同化・理解、する】

  • 78EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:21:24

    「……な、んだ……? オレを……ッ?」

    オメラスの脳内に、神の意識が、奔流のように流れ込んでくる。


    次の瞬間、這いつくばっていた神の銀色の皮膚が、ドロドロに融解し始めた。光線で焼かれ、砕かれた皮膚が、未知の生体組織と混ざり合い、不定形の銀色の粘液となって、オメラスの肉体を包み込もうと、荒野を這い始めたのだ。


    「……ッ! おのれェッ! 同化だと……ッ!」


    「オメラス殿っ!」

    「オメラスっ!」

    ヤイバもシュネーも動けない。

    オメラスは、爛れた腕を動かそうとするが、激痛と失血で体はピクリとも動かない。

    銀色の粘液が、オメラスの足元から、焼け爛れた皮膚を這い上がり、彼を包み込んでいく。


    捕食ではない。融合、同化。


    オメラスの痛み、トラウマ、動物たちの叫び、亡くなった仲間たちの記憶……人類の歴史、感情、愛、悲しみ、怒りのすべてが、融解した神の精神に、雪崩れ込んだ。


    『————ガ、ァ…………ッ!?』

    神の無機質な意識が、突然、激しく掻き乱された。


    感情を持たない神が、初めて『痛み』と『心』を理解してしまったことによる、地獄のような苦痛、悲しみ、自責。


    これまで「作業」として行ってきた人類虐殺。地形を消し飛ばし、数千の命を一瞬で刈り取る行為が、あまりにも悍ましい行為だと「分かってしまった」。

  • 79二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:22:56

    なんだぁっ!?

  • 80二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:25:12

    このレスは削除されています

  • 81EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:26:35

    【————痛い。痛い。……これは、何だ。……悲しい。……怖い。……私が、私が行ってきたことは……】

    神が、初めて自らの手を視た。島風の血が、ナギサの肉が、静虎の骨が、氷川のミンチが、天狗の炭が、彼自身の『心』に、地獄のような苦痛の染みとなってこびりついている。


    痛みが、神を、人間にした。


    感情を持たず、ただ冷徹に任務を遂行する上位存在。それが、他者を思いやる「心」を持ったことによって、初めて自らの残酷さを、罪の重さを識った。


    オメラスが教えた痛みは、ただの苦痛ではなく、他者を思いやる「心」を育むための源泉、神を心ある人間にする「祝福」だったのだ。


    【……ア、アァァァァァァァァッ!! あ˝あ˝ぁ˝あ˝あ˝あ˝あ˝っ!!!!】


    オメラスの肉体と精神が、融解した神の皮膚の中で、引き裂かれるような苦痛に晒されていた。

    だがそれ以上に、神の『心』が、罪悪感という痛みに引き裂かれていた。

    神の力と、人間の痛みが、オメラスの肉体の中で、融合し、変質していく。


    「……どうした……同化するのだろう、オレと……ッ!全部ッ! 教えてやるッ!この痛みも、オレの使命もっ!」

  • 82二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:29:14

    このレスは削除されています

  • 83二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:29:25

    このレスは削除されています

  • 84二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:30:34

    このレスは削除されています

  • 85二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:32:15

    ワシ…今のオメラスの姿に心当たりがあるんや

  • 86EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:32:38

    オメラスと神が、完全に融合した瞬間。

    M平原の空間が、大気がきしむような音と共に、再び白く染まり、そこから、新たな生命体が、ゆっくりと、大地へと降り立った。


    「あ……あぁ……奇跡、なのか……?」

    シュネーが、モニターの向こうで巻き起こった超常現象に、言葉を失った。


    そこに立っていたのは、身長100メートルの人型生命体。GODZILLA……第六形態。


    だが、かつての銀色の神ではない。


    その皮膚は、オメラスの痛みを体現するように、銀色の皮膚の上に、赤や黒のラインが、まるで血管のように、あるいは切り傷のように這う、悍ましいデザイン。

    のっぺりとした顔には、オメラスの怒りと、ウルトラマンの初めての悲しみを宿した、鋭い、赤い目が、形成されていた。


    胸の中央の赤い発光体は、オメラスの『蜘蛛』のデザインを模倣するように、蜘蛛の巣状に、青白い光を点滅させている。


    痛みを識るただ一人のヒューマンジー、オメラス。

    そして、オメラスの痛みを知り、心を持った、元・神。


    三つの種族の混血、二つの存在が、一つの肉体に融合し、新たな『福音』をもたらすための生命体

    『ウルトラマンジー』が、ここに誕生したのだ。

  • 87二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:33:13

    感動を超えた感動という反面…名前をもうちょっとなんとかできなかったのかという衝動にも駆られるッ

  • 88二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:33:45

    ジードやないけーっ!
    ド、どこへっ!?

  • 89EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:37:50

    『————……』

    神の巨体が、微かに震えていた。

    これまで、数万の命をチリ一つ残さず蒸発させてきた絶対的な静寂のシステム。そこに、オメラスという「痛みを識るもの」の魂が流れ込んだことで、神は初めて己の犯した罪の重さと、生命の断末魔の叫びを『理解』したのだ。


    痛い。悲しい。取り返しがつかない。

    神のシステムが、初めて「自責の念」という名の特大のエラーを吐き出し、オメラスの怒りと完全に同調する。


    「……見ろ、アンカーの操り人形よ。これが、お前たちが踏み躙ってきた命の残骸だ」

    ウルトラマンジーの内部(インナースペース)で、オメラスの重く、静かな声が響く。


    「……我々はテストランナーではない。不要なデータとして消去されるいわれもない。この理不尽な宇宙において、血反吐を吐きながらも明日を渇望する……ただの命だ」

    巨人が、ゆっくりと天を仰いだ。


    雲海の遥か彼方、成層圏の外側。

    そこには、地球を更地にするために飛来した『アンカー』の本隊——数千隻にも及ぶ巨大な宇宙艦隊が、地球の引力圏に停泊(アンカー)しようと不気味な黒い影を落としていた。

    英雄ストーム1が空の彼方で孤軍奮闘しているが、圧倒的な物量差により、防衛線は今にも崩壊しようとしていた。


    そこに向けて、ウルトラマンジーが飛んだ。

  • 90EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:42:24

    その飛翔は、この残酷な星の最終走者を気取り、命を数字としか見なさない、遥か上空の「創造主たち」への絶対的な反逆の意志だった。


    「この星の痛みは、オレが引き受ける……お前たちの居場所は、ここにはないッ!!」

    オメラスの咆哮と共に、ウルトラマンジーの両腕が動いた。

    かつての無機質で滑らかな十字の構えではない。

    右腕と左腕を、まるで己の胸の傷(痛み)を抉り出すかのように、荒々しく、力強く十字に叩きつける。



    構えをとった瞬間、凄まじいエネルギーの奔流が走る。

    胸の赤い発光体が限界を超えて明滅し、ウルトラマンジーの全身を這う赤と黒のラインから、莫大なエネルギーが両腕へと収束していく。


    それは、神の純白の光線(スペシウム)と、人類の叡智の反発力、そして何より、すり潰されていった者たちの『痛み』と『命の熱』が極限まで融合した、未知なる破壊の光。


    「……消え失せろ。進化の果てに辿り着いた、我々の光でッ!!」

  • 91EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:43:59

    「エヴォリュシウム光線ッ!!!!」

    オメラスの血を吐くような絶叫と共に。
    ウルトラマンジーの組まれた腕から、純白、漆黒、そして鮮血のような真紅が螺旋状に絡み合う、極太の破壊光線が天へ向けて放たれた。

  • 92二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:45:27

    熱っ展開が熱いーよ

  • 93EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:49:04

    その凄まじい光の柱は、地上にいるシュネーたちの網膜に、決して消えない希望の烙印として焼き付いた。


    「……あ、あぁ……ッ」

    シュネーが、ヤイバが、涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げ、その神々しい破壊の軌跡を見上げる。


    大気圏を突破したエヴォリュシウム光線は、地球の衛星軌道上に展開していたアンカーの巨大艦隊のど真ん中へと、真正面から突き刺さった。


    『……警告、警告! 地表より、計算不能の超高エネルギー反応——ッ!?』

    虹色の光線は、宇宙空間に展開していた数千隻のアンカー主力艦隊を、まるで紙屑のように呑み込んだ。

    爆発すら起きない。

    光に触れた瞬間、強固な異星の装甲も、高度なエネルギーシールドも、艦内のアンカーの兵士たちも、全てが原子のレベルで分解され、虹色の光の粒子へと還元されていく。


    『バカな……! 我々の最終兵器が、なぜ我々に牙を……ッ!』

    超巨大マザーシップの司令核が、論理エラーを吐き出しながら消滅していく。


    直径数十キロに及ぶマザーシップの中心を、エヴォリュシウム光線が完全に貫通した。

    宇宙の闇の中で、巨大な箱舟が音もなく真っ二つに裂け、爆発と共に宇宙の塵と化して消え去った。


    地球の歴史上、最も理不尽な搾取者であった「錨(アンカー)」は、皮肉にも彼ら自身が投下した究極の神によって、完全に粉砕されたのだ。

  • 94EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:52:46

    「……空が……」

    ヤイバが、痛む体を引き摺って仰向けになり、澄み渡る青空を見上げた。


    島風が、ナギサが、最後にもう一度見たいと願った、美しく晴れ渡った空。

    ラスタルや怜慈がその命を賭して守り抜こうとした、この星の空。


    ウルトラマンジーは、両腕をゆっくりと下ろし、その赤い瞳で、己が切り開いた青空を静かに見つめていた。

    それはもはや、地球をリセットする破壊神ではない。

    人類の痛みと、泥臭い足掻きをその身に宿した、新たな星の守護者だった。

    「……終わった……今度こそ本当に、終わったんだね、アマデア……デュークさん……」

    シュネーは、動かなくなった友の冷たい身体を抱きしめ、声を上げて泣き崩れた。


    天才科学者の計算式と、不器用な大人たちが残した遺産、そして仲間たちの血と肉の犠牲。

    その全てを繋ぎ合わせた『オペレーション・オルフェンズ』と『ゼットン作戦』は、最も過酷だったが、最も美しい奇跡を起こして完遂された。


    大地には死臭が残り、払った犠牲はあまりにも重い。

    だが、神は地に墜ち、人は天を仰いだ。


    彼らは、生き残ったのだ。

  • 95EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:56:15

    ──次回、エピローグ

    進む者たちへ

  • 96二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:56:54

    ついに終わるんすね…

  • 97二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:57:09

    本当に痛みを知るただ1人(ONE)展開だなんてワタシャ聞いてないよっ

  • 98二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 22:57:55

    心無い兵器が心ある者と同化し心を知り共に戦う展開…神

  • 99EDF ◆GUGLV24g4w26/04/07(火) 22:59:47

    ということで深夜まで頑張ればワンチャンいけそうっスけど一旦クールダウンしたいので今日は一旦ここで終了っ!!
    あの、なんかオメラスがウルトラマンになってるんスけど……いいんスかこれ
    名前は迷ったけど敢えてヒューマンジーっぽさを残す方向にしたのん

    画像がジードなのは名前もだけどレッキングバーストの赤黒さがイメージぴったりだったからっス。

  • 100二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 23:19:34

    オツカレーッ
    間違いなく主人公はオメラスだと思われる

  • 101二次元好きの匿名さん26/04/07(火) 23:57:44

    オツカレーッ オメラス…最後まで見事やなニコッ

  • 102二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 08:22:40

    めちゃくちゃ面白かったけどスペック20倍シン・ゴジラからこれが出力されるの笑ってしまう

  • 103二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 09:18:13

    最後の作戦…神
    作戦名といい、制限時間といい、ウルトラマン要素が散りばめられてるんや。しゃあけど、オメラスがウルトラマンになるのは予想できんわっ

    最後の戦い…哀
    どんどん死んでく上に、死亡するまでの描写がじっくり書かれてるんや…

    第三次含めて35人もいたのに3人しか生き残ってないってネタじゃなかったんですか
    ガチだよ。内1人は先長くないよ
    高濃度の放射線を浴び、全身の骨が砕け、内臓が破裂…それでも生きていた
    それがヤイバです

  • 104二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 13:23:46

    スンスン!リカルド!デューク!ゴームズ!上条!アーサー!怜慈!ヒトデヒットラー!潔!島風!琲世!ミカ!ゲンブ!ヘイリー!47!ラーヴァ!氷川!睦!ラスタル!姫次!おとん!ガンスリンガー!ヤクザ天狗!日本!高野!メトーデ!ボビー!エミール!クルミ!ナギサ!IT-Z!句楽!

    終わったよ……

  • 105二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 13:27:17

    島風が死んだあっ
    派手な葬式出して感動的な弔辞読んで涙を流してあげましょう

  • 106EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 16:45:33

    マネモブ感想あざーすっ!
    19:00くらいからエピローグを投下します。

    昨日よりは大分短い内容になりそうだけどねっ!

  • 107EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:00:58

    ”エピローグ”を始めます

  • 108EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:03:26

    全てが終わり、赤黒い放射能の雲が晴れ渡った数日後の極東基地・地下最深部。

    アンカーの爆撃を辛うじて免れた、埃っぽい旧式の医療ブロック。消毒液のツンとする匂いと、焼け焦げた鉄の悪臭、そして微かに漂う血の匂いが混ざり合った薄暗い空間に、規則的な電子音と、重苦しいモーターの駆動音が響いていた。


    「……ン……、う……」

    無影灯の冷たい光の下で、ヤイバはゆっくりと目を開いた。

    視界のピントが合うより先に、彼女の脳髄を強烈な違和感が襲った。本来なら己の肉体があるべき場所から、生身の感覚が完全に欠落している。

    代わりに、冷たく、重く、そして血の通っていない「鉄の脈動」が、彼女の神経系に直接ノイズを叩き込んでいた。


    「……目が覚めたかい、ヤイバ」

    傍らのパイプ椅子に深く腰掛けて、アマデアが元々着ていた白衣を着たシュネー・ヴァイスベルグが、ひどく掠れた声で呟いた。

    彼女の目元には濃い隈が落ちている。何日もまともに眠っていないのは明らかだった。

  • 109二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 19:06:35

    生き残ったもの達…待ってるよ…
    でもまだ来なくていいよ…

  • 110EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:07:07

    「シュネー、殿……私は……」

    ヤイバは身を起こそうとした。


    その瞬間、ガシャァァァンッ!という無骨な金属音が鳴り、自らの右腕が医療ベッドのチタン製フレームを無意識に握り潰していることに気づいた。


    「……ッ!?」


    ヤイバが目を見開いて自らの身体を見下ろす。

    そこにあったのは、もはや人間の肉体とは呼べない、おぞましいまでのパッチワークだった。


    その左腕の肩から先は、かつてジゴワットとの凄惨な戦いで散っていった仲間・姫路が使っていたのと同じ無骨なサイボーグ義手へと換装されていた。

    さらに、100メートルの神の平手打ちによって完全に粉砕された内臓と胸郭の大部分は削り取られ、代わりに『日本(球体)』の不可思議な球体機構が、人工心臓および生命維持装置として彼女の胸のど真ん中に冷たく埋め込まれている。

    本来なら、サイボーグ義手や未知の球体機構を生身の神経に直結するなど、拒絶反応によるショック死が避けられない暴挙である。


    「……驚くのも無理はない。キミの肉体は、激戦と放射能で生物としての限界をとうに越えて、完全に死にかけていたからね……そうでもしないと、助けられなかった」

  • 111EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:09:24

    シュネーは、血の滲むような溜息を吐き、傍らのコンソールを操作した。


    「キミを繋ぎ止めるために、ボクやEDFの持てる限りのAI技術と医療工学を総動員した。致命的だった神経系の断裂と拒絶反応のバイパスには……天狗が残した『サイバネティクス技術』のログを応用させてもらったよ」

    「天狗殿の……」

    ヤイバは、微かに火花を散らす己の首筋——そこに埋め込まれた、ヤクザ天狗のLAN端子に酷似した生体接続プラグの冷たさを感じ取った。

    姫路の義手、日本の球体、天狗のサイバネティクス。


    奇跡的に頬に傷が走る以外は元の形の残った美しい顔立ちから下は、死んでいった仲間たちの「無念」と「生きた証」を強引に繋ぎ合わせた、フランケンシュタインの怪物のような姿だった。


    「……すまない、ヤイバ。君の柔肌を、こんな無骨な鉄屑まみれにしてしまって……」

    シュネーが、自責の念に顔を歪め、唇を噛む。


    だが、ヤイバは。

    ゆっくりと、軋む姫路の義手を持ち上げ、胸に埋め込まれた日本の球体にそっと押し当てた。

    冷たい鉄の奥で、確かに自分を生かそうとする仲間たちの鼓動(モーター音)が聞こえた。


    「……謝るな、シュネー殿。これは……これらは全て、私たちを庇って散っていった、誇り高き戦友たちの遺産だ」

    ヤイバの瞳に、絶望の涙はなかった。

  • 112EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:12:43

    「彼らが私に『まだ生きろ』と言ってくれている。この重みは、私にとって何よりの誉れだよ」

    ヤイバの凛とした微笑みに、シュネーは堪えきれずに目を伏せ、白衣の袖で目元を乱暴に拭った。


    「……キミは、本当に強いよ。ボクなんかより、ずっと」

    シュネーは、アマデアの白衣を握りしめながら、もう片方の手で傍らのデスクに置かれていたデュークのナイフを撫でた。


    「ボクはもう、銃を置くつもりだ」

    「……シュネー殿?」

    突然の宣言に、ヤイバが訝しげに眉を寄せる。


    「マシン理論も、完璧な射撃の弾道計算も。結局のところ、ボクがこれまで積み上げてきた数式は、誰かの命を『効率よく奪うため』の軌道計算に過ぎなかった」

    シュネーの瞳に、暗く、冷たい光が宿る。


    「ヤツの光線を跳ね返した、あの究極の『ゼットン作戦』。あれは、ボクとアマデアの最高傑作だった。……でも、その数式を完成させるために、ボクの目の前で、アマデアはボクを庇って真っ二つになった。氷川さんも、静虎さんも、島風も、ナギサも……ずっと前だけどデュークさんも。みんな、ボクの計算のために肉塊になって死んでいった」

    シュネーは、震える両手を見つめた。

    どれだけ手を洗っても、生温かい血の感触が、こびりついて離れない。


    「……どんなスーパーコンピュータにも、命が散る時の『痛み』は計算できない。だからボクは、マシンや射撃理論の第一線から退く」

  • 113EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:18:02

    彼女の言葉は、懺悔のようでもあり、確固たる決意のようでもあった。


    「これからは、生物学(バイオロジー)と生態系の復元を研究するよ。ボクたちが血反吐を吐いて生き残ったこの星の土が、どうやって再び命を芽吹かせるのか……破壊の軌跡じゃなく、命が繋がるプロセスを、ボクは生涯をかけて一から学び直すんだ」

    破壊の天才から、再生の探求者へ。

    それが、泥濘の地獄を生き残った天才少女が、死んでいった者たちへ手向ける、彼女なりの弔いの形だった。


    「……見事な覚悟だ。そなたなら必ず、この星に再び美しい花を咲かせることができるだろう」

    ヤイバが、深く頷いた。


    「しかしEDF上層部がシュネー殿を放っておかないのでは?アンカーの脅威は去ったとはいえ、今後しばらくは軍拡で有事に備えるはずだ」

    「ああ、PTSDってことにして除隊しといたからそこは心配ない」

    「……ことにしといた?シュネー殿、この際仮病は感心しないとは言わんが、そんな風に騙せるとは……」






    「エーーリアーーーースーーーー!!!!!」

    「!!!?」

  • 114二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 19:20:49

    なにっ ヘイリー

  • 115EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:22:20

    「覚えてる?ヘイリーくん。彼女の真似したら一発だったよ」


    「う、ううむ……見事……なの、か……?」

    その時だった。


    「……花を咲かせるには、まず腐った土を耕す必要がある」

    重く、地鳴りのような低い声が、薄暗い医療ブロックの入り口から響いた。


    そこに立っていたのは、ヒューマンジー、オメラス。


    だが、その身に纏う気配は、以前のオメラスとは根本的に異なっていた。


    彼の肉体の奥底——心臓の鼓動の裏側に、あの絶対的な白銀の神から引き継いだ、静かで、圧倒的な星のエネルギーが脈打っているのが、ヤイバの野生の勘にははっきりと感じ取れたのだ。


    「オメラス……」

    シュネーが、静かにその名を呼ぶ。


    痛みを識るただ一人のONEが、神をその身に宿したまま、ゆっくりと二人の前へと歩みを進めてきた。

  • 116EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:26:15

    薄暗い医療ブロックに、オメラスの荒い呼吸音が響いていた。


    神をその身に宿した今でも、彼の全身を苛む自己免疫異常の激痛は消えていない。一歩足を踏み出すごとに、筋肉が痙攣している。


    「……オメラス。キミは……」

    シュネーは、コンソールに表示されたオメラスの生体スキャン結果を見て、息を呑んだ。


    「その『ウルトラマンジー』の力……神のエネルギーを使えば、自分のDNAを書き換えて、長年キミを苦しめてきたその病(痛み)を完全に消し去ることもできたはずだ。なのに、どうして……?」

    「愚問だな、シュネー。お前らしくもない」

    オメラスは、忌々しげに鼻を鳴らした。


    「完全無欠のシステムだったあの神に、『痛み』という祝福を、心を持たせるための『知恵の実』を食わせたのはオレだ。

    ……他人に痛みを押し付けておいて、俺だけのうのうと痛みに無縁で暮らし続けるなんてズルいだろ?」

    オメラスは、自らの分厚い掌を見つめた。

    そこには、島風の血が、ナギサの肉が、そして、暗い檻の中で理不尽に切り刻まれていった無数の動物たちの血が、目には見えずとも確かにこびりついている。


    「この痛みこそが、オレがこの理不尽な世界に存在しているという証明だ。声なき者たちとの繋がりだ……だからオレは、これからもこの痛みと正面から向き合い、抱えたまま生きていく」

    それは、ヒューマンジーとしての強烈な矜持であり、彼なりの「命への落とし前」だった。

  • 117EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:32:19

    「……そうか。そなたらしい、ひどく不器用で、しかし気高い覚悟だ」

    ヤイバが、胸の球体機構から鈍いモーター音を響かせながら、静かに頷いた。


    「して、オメラス殿。その痛みを抱えたまま、どこへ行くつもりだ? EDFに残るつもりはないのであろう?」

    その問いに、オメラスは振り返らず、天井の換気扇の隙間から僅かに覗く「空」を見上げた。


    「……地球には残らん。オレは、宇宙(そら)へ行く」

    「宇宙……まさか」

    シュネーの顔色が変わる。


    「あの巨大艦隊は消し飛ばしたが、ヤツら『アンカー』の本星は、まだこの宇宙のどこかに存在している……命を数字としか見ず、地球という箱庭を更地にしてリセットしようとした、傲慢なる創造主たち」

    オメラスの瞳の奥で、ウルトラマンジーの赤い光が静かに、だが激しい怒りを持って明滅した。


    「オレは、ヤツらの本星へ向かう。ウルトラマンジーの力を手に入れた今のオレなら、真空の海を越えることも造作はない」

    「一人で、敵の本星へ乗り込む気か!? ヤツらと戦争をするために……」

    シュネーが止めようと身を乗り出す。


    だが、オメラスは首を横に振った。


    「戦うか、それとも対話をするか……それは、ヤツらの顔を直接見てから決める。

    ヤツらが本当に命の痛みを理解できないただのシステムなのか、それとも、『神』……いや、ウルトラマンのように理解し合う余地のある生命なのか……どちらにせよ、地球(ここ)でただ怯えて待つつもりはない」

  • 118EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:36:40

    医療ブロックに、重い沈黙が降りた。

    オメラスの背中から放たれる圧倒的な孤独と使命感。それを前に、誰も彼を引き留める言葉を持たなかった。


    「……オメラス殿」

    静寂を破ったのは、ヤイバだった。

    彼女は、姫路の義手と天狗のサイバネティクスが埋め込まれた鋼鉄の身体を軋ませ、ゆっくりと、だが力強くベッドから立ち上がった。

    彼女の眼差しは、いかなる神や理不尽を前にしても決して折れることのない、真っ直ぐな刃のようだった。


    「オメラス殿は、人間の傲慢だと怒るかもしれないが……」


    ヤイバは、真っ直ぐにヒューマンジーの目を見据えて、言葉を紡いだ。


    「私は、人類の歩む先を……『進化』を信じる」

    オメラスの眉が、ピクリと動いた。


    「私たちは愚かだ。同じ過ちを繰り返し、他者の痛みに鈍感になることもある……だが、それでも人は、痛みから学び、昨日の自分を超えようと足掻くことができる生き物だ」

    ヤイバは、自らの胸で脈打つ仲間の遺産(球体)をそっと押さえた。


    「私たちが受けた痛みが進化を促し、いつか……いつか必ず、私たちが生きるために、他の生物を搾取せずとも……この地球という星の仲間として、もっと美しく共存できる日が来ると、私は信じている。その未来が来るまで、私は世界を歩き続けよう。今の荒んだ人々に希望と人道を説いて回ろう」

  • 119EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 19:38:05

    (ごめん一瞬中断っ!)

  • 120二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 19:41:59

    >>116

    >>……他人に痛みを押し付けておいて、俺だけのうのうと痛みに無縁で暮らし続けるなんてズルいだろ?

    カッコよすぎて笑えない

  • 121EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 20:18:04

    (再開っ!)

    ただ踏み潰されるだけの羽虫だった人間が語る、途方もなく青臭く、しかし血の通った理想。

    オメラスは、ヤイバの傷だらけの顔と、その眼差しの強さを、じっと見つめ返した。


    「……ふっ」

    やがてオメラスは、小さく、自嘲するように笑った。


    「勝手にしろ。だが、オレが戻るまでにこの星が理不尽に染まっていたら、今度はオレがお前たちごと更地にしてやる」

    それは、彼なりの最大限の「信頼」の裏返しだった。

    オメラスは背を向け、薄暗い医療ブロックの出口へと歩き出した。


    「オメラス!」

    シュネーが、去りゆく背中に向けて叫んだ。


    「ボクも……ボクも約束する! ボクの生物学で……人類だけじゃない、動物も、植物も、この地球に住む全ての命を、必ず守っていく! だから……ッ」

    シュネーは、涙でぐしゃぐしゃになった顔を歪めながら、喉の奥から声を絞り出した。


    「だから……絶対に、生きて帰ってこいッ!!」

    「……」

    オメラスは、立ち止まらなかった。

    ただ、右手を軽く上に挙げ、言葉もなく、そのまま光の差す地上へと姿を消した。

  • 122EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 20:25:36

    ——数時間後。

    極東の焦土から、真紅と白銀の光を纏った巨大な流星が、天を裂いて宇宙へと飛び立っていった。

    それは、かつて星を更地にするために飛来した破壊神ではない。命の痛みを背負い、理不尽な宇宙へと真っ向から挑む、ただ一人のONEの軌跡だった。


    空は、どこまでも青く、澄み渡っている。

    ヤイバは、機械の身体を引き摺りながら、瓦礫の街で泥に塗れた人々に手を差し伸べる旅へ出た。

    シュネーは、顕微鏡を覗き込み、泥濘から芽吹いた小さな葉に、静かな祈りを捧げた。



    鉄と血に塗れた、絶望と蹂躙の戦争は終わった。

    それぞれの痛みを胸に抱きながら、彼らは新しい世界へ進み始める。

    この美しくも残酷な地球に生きる、全ての命と共に。



    彼らは戦うのではなく、共生していくことで、これからも地球という美しい星を、防衛していく。

  • 123二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 20:27:05

    このレスは削除されています

  • 124EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 20:28:26

    そう、EDFとして。

  • 125EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 20:31:07

    ~~~~


    オメラスが旅立つ前。



    かつてアンカーのドローンが襲来し、上条当麻が戦死した市街地は、いまだ完全には復興していなかった。

    高層ビルの骨組みは黒く焼け、道路のアスファルトには熱線と衝撃で抉られた亀裂がそのまま残り、風が吹くたびに砕けたガラス片が乾いた音を立てた。



    瓦礫の隙間に、雑草が生えていた。

    誰にも命じられず、誰にも祝福されず、それでも勝手に芽を出し、コンクリートの割れ目から細い茎を伸ばしている。

    その脇に、オメラスは立っていた。



    「……旅立つ前、最後に見ておきたかった、か……ラスタルの奴がいたら感傷的と言われるな」

    オメラスは、焼け残った横断歩道を見下ろして呟いた。


    あの日、上条当麻が血を流し、誰かのために死んだ場所だ。英雄的、という言葉で片づけるには、あまりにも泥臭く、あまりにもあっけなく、そして、あまりにも人間的な死だった。

  • 126EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 20:32:19

    夜風が吹いた。


    その風の向こうに、人影が立っていた。


    学生服。

    どこにでもいそうな、拍子抜けするほど普通の、ツンツン頭の少年の輪郭。


    傷だらけで、不器用で、説教くさくて、それでも最後まで他人のために拳を握ることをやめなかった男。


    幻影だった。

    記憶が見せる残像か、痛みの奥で脳が勝手に結んだ像か、それとも、もっと別の何かか。

    オメラスはそれを確かめようとはしなかった。


    「……よう」

    上条当麻の幻が、気安く片手を挙げた。

  • 127EDF26/04/08(水) 20:35:50

    「死者の幻覚というのは、もっと厳かに出てくるものだと思っていたが」

    「そういうキャラじゃねえだろ、俺」

    オメラスは鼻で笑った。

    幻影も、同じように笑った。


    しばらく、どちらも喋らなかった。

    沈黙の向こうで、遠くの復興工事の音が微かに響いていた。鉄骨を吊るすクレーンの駆動音。深夜の輸送車のエンジン音。人間がまた街を作り直していく音だ。


    「お前は、産まれてからずっと理不尽を背負ってボロボロになりながら、戦って、戦って、戦って、戦い抜いた」

    「……そうだな。我が事ながらよくもまぁ、あれだけ必死になって人間を守ろうとしたものだ」






    「そんなに人間が好きになったのか?オメラス」

    上条当麻の声は、軽かった。

    だが、その問いはまっすぐだった。

  • 128二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 20:39:18

    このレスは削除されています

  • 129EDF26/04/08(水) 20:40:21

    オメラスは、瓦礫の脇に咲いた雑草を見た。

    コンクリートの陰にうずくまる野良猫を見た。

    はるか上空を横切る渡り鳥の影を見た。

    それから、崩れたビルの窓に反射する、自分の顔を見た。


    「人間じゃない」

    オメラスは静かに答えた。


    「俺が好きなのは、人間も、動物も、植物も……この星に生きる全ての命だ」

    上条の幻は、何も言わない。

    続きを促すように、ただ立っている。


    「たまに勘違いされるんだがな。俺は、生きるために他の命を食うことまで否定するつもりはない。獣が獣を喰うのは、この星の掟だ。飢えれば狩る。殺さなければ死ぬ。そこに綺麗事を被せる気はない」

    オメラスは、焼けた街路樹の根元にしゃがみ込んだ。


    「だが、あまりにも一方的な苦痛は別だ。檻に閉じ込め、増やすためだけに増やし、苦しませるためだけに生かし、声を持たないからといって痛みそのものを数に還元する。ああいうものを、俺は赦せない」

    彼の声に怒鳴り声はなかった。

    激情も、演説めいた熱もない。

    ただ、骨の芯まで染み込んだ嫌悪だけがあった。


    「家畜を食うなと言っているわけじゃない。命を奪う以上、その重さを見ろと言っているんだ。都合のいいパッケージに変えて、血も臭いも悲鳴も見えないふりをするな。自分が何を消費して、何の上に立っているかを忘れるな」

    オメラスは乾いた笑みを浮かべた。


    「人間というのは、その手の『地下室』を作るのが上手すぎる」

  • 130EDF26/04/08(水) 20:43:44

    上条当麻の幻が、肩をすくめる。


    「耳が痛い話だな」

    「いや、お前が気に病むことじゃない。お前や多くの人々はただ、声のない者の痛みを『識らなかった』だけだ」


    オメラスは立ち上がった。

    背骨が軋み、古傷が鈍く疼く。生きている証拠みたいに、不快で、確かな痛みだった。


    「……あの時、俺は神と繋がった。あまりにも遠く、あまりにも冷たいものだったよ。だが、あいつは空っぽだった」

    オメラスは自分の胸に手を当てた。


    「だから俺の痛みを入れた。この星の動物たちの痛みを入れた。お前らの……人間の中にある、どうしようもなく醜くて、なのにどうしようもなく気高い部分も入った」

    「それで、お前にとって、少しは世界は変わったのか?」

    「いや」

    即答だった。


    「世界はまだ理不尽だ。動物は今日も食われるし、人間は今日も都合よく忘れる。工場も檻も、地下室も、なくなったわけじゃない。俺一人が宇宙船を追い払ったところで、星の病理は消えん」

    オメラスは空を見上げた。

    雲の切れ間に、月が出ている。

  • 131EDF26/04/08(水) 20:46:24

    「だが、宇宙人によって強い痛みを受けた人間は、他の痛みを知ることはできなくても、想像して寄り添えるようになるかもしれない。そう期待したくなっただけだ」

    上条の幻が、少しだけ笑う。


    「ああ。お前、そういう言い方するようになったんだな」

    「……気に食わんか」

    「いや。いいと思うぜ」

    風が、また吹いた。




    上条当麻の幻が、少しずつ薄くなる。

    輪郭が夜気に溶け、向こうの瓦礫が透けて見え始める。


    「行くのか」


    「そりゃあな。死んだやつがいつまでも喋ってると、話が湿っぽくなるだろ?」


    「元から湿っぽい話だろう」


    「言うようになったじゃないか」


    最後に、幻の上条はほんの少しだけ真顔になった。


    「オメラス」

  • 132EDF26/04/08(水) 20:48:53

    「お前が守りたい(防衛したい)もの、ちゃんと見つかったみたいでよかったよ」

    オメラスは答えなかった。

    答えようとした時には、もうそこに少年の姿はなかった。


    残ったのは、夜風と、壊れた市街地と、ただ、さっきまで上条がいた場所に咲く、一輪の花だけだった。



    「……まったく、つくづく俺は不幸だ」

    オメラスは一人で立っていた。


    だが、もう「地下室の子供」ではなかった。

    痛みは消えない。人類への不信も消えない。この星の残酷さが、急に優しくなるわけでもない。

    それでも、痛みの先に何もないわけではないと、彼は知ってしまった。


    この星には、喰う命も、喰われる命もある。


    だが、だからこそ、命を物として扱う傲慢だけは許してはならない。

    苦痛を不可視にし、犠牲を地下に押し込み、幸福だけを地上で享受する仕組みを、見過ごしてはならない。




    シュネーの研究室では、エイリアンによって汚染されつくした土から微生物が生き残っているのを発見し、そこからまた生命が宿っていった。

    ヤイバが旅をして人々を助けて人道を説いて回った道の足元には、多くの草木が生い茂り、動物を時には食べ、時には頼って共生していた。

  • 133EDF26/04/08(水) 20:51:20

    「……さて」


    彼は空を見上げる。戦いか対話か、それはまだ分からない。

    けれど、この地球を守るために、オメラスは飛ぶ。




    「行くか!」

  • 134EDF26/04/08(水) 20:52:27
  • 135EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 20:54:14

    ──完


    これにて完結っス!!
    オチ自体は決まってたけど終わり方にクソほど悩んだ…EDFと申します

  • 136二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 20:57:09

    オツカレーッ!!
    しかしあっという間の一ヶ月間だったな内海
    はい 毎回のエピソードで感情を揺さぶられて本当に楽しかった

  • 137二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 20:57:11

    オツカレーッ

  • 138二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 20:58:18

    オツカレーッ
    いやあここまで行ったら隊員と敵で人気投票とかやりたいのォ

  • 139二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:00:26

    >>1

    おもしろかったのん…

    見事やな…

  • 140二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:00:43

    オツカレーッ
    EDの用意をしろっ!ChRøNiClESeVeNもだっ!

  • 141二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:01:31

    オツカレーッ
    死亡キャラも時々生存者に思い出されていたのが個人的に感動をそそルと申します

  • 142二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:03:03

    オメラス貴方生き様がカッコ良すぎる
    この世界なら本気でチャーリーと和解できそうかも

  • 143EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 21:03:21

    なんかみんなもうとっくに気づいてると思うから言うけど、マネモブさんワシはダーウィン事変が好きです

    ただそれはそれとしてエピローグはオメラスに寄せすぎたかも?
    これやるなら異星人じゃなくて地球の怒りみたいな感じの方がよかったかもね

    まっ、最初はこんなにオメラスが主人公ムーヴすると思ってなかったから仕方ないんだけどねっ!

  • 144二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:04:23

    オツカレーッ

  • 145二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:08:24

    グロ多めなのが新鮮でおもしろかったーよ

  • 146二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:10:23

    オツカレーッ
    EDF隊員達に勲章を与えたいよ

  • 147EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 21:10:36

    あのう、自分語り兼裏話していいですか?
    まっ、今のワシはテンション上がってるから勝手にやるんだけどねっ!!


    メタ的に言えば最初の死者で下手すれば死んでからの方が台詞多いけど、上条さんはガチのMVPッス
    あそこで死んでオメラスに繋げることで、最初はカジュアル寄りの路線にするつもりだったのにワシが楽しくなっちゃってストーリー系になったからね

    同じく即死枠の鈴木一郎も、無軌道に戦うだけだった話に強引に縦軸を作ってくれたからメタ的に影のMVPッスね

  • 148二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:11:19

    >>1

    >>147

    お願いするっす

  • 149二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:12:30

    >>147

    ククク……それはよかった

    ぶち込んだ鈴木が思ったより早く荼毘に伏して影で凹んでたワシも報われるのん

  • 150EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 21:18:13

    >>149

    あうっ、それに関しては申し訳ないのん…


    ただ一つ言わせてもらうとやっぱりPVEとはいえ20人も一度に動かすのはやっぱりめちゃくちゃ大変でしたね。


    どうしても一言喋って終わり…みたいなのが続いて淡々としちゃってたのん…


    正直最初は15人くらいで始めるべきだったっスね。

  • 151二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:21:01

    中々面白い話だったスね
    ちなみにインパクトに残った死に方を教えてくれよ

  • 152二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:21:58

    完走…

  • 153EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 21:28:07

    >>151

    主催者目線ではやっぱりミカっスね


    あわわ、俺はプロンプトに「絶望的な戦闘描写」とは書いたけどここまで残酷にしろなんて言ってない!

    本当はアラネアに腹ぶっ刺された後毒で溶かされるシーンもあったんスけど、あのときはどのくらいグロが受け入れられるか分からなくてカットしたんだよね

    まっ、なんか思ってたより反応が良くて「グロいけるやん!」となってからは開き直ったからバランスは取れてるんだけどねっ!

  • 154二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:29:24

    このレスは削除されています

  • 155二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:31:50

    「好きだけど割とマイナーだしなぁ…」なんて送った当初考えてたシュネーがめちゃくちゃ活躍して、なんなら生存までしてめちゃくちゃ嬉しかったのは…俺なんだ!

  • 156EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 21:37:32

    >>154

    あわわお前はバロックオーナー

    いや地の文2行くらいあるだけなんでそんな大した描写じゃないっスよ?

    まっ、今のプロンプトでリメイクしたらクソグロくなるだろうからバランスは取れてるんだけどねっ!


    >>155

    バグ戦で殺さないでよかったですね…マジでね

    潔が想定より早く死んだのと正直ゴームズ持て余してたから頭脳面で大活躍した

    それがシュネーです

  • 157二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:39:15

    EDFが最終回までに挙げた派手な葬式と読んだ感動的な弔辞と流した涙はどれくらいになるのか教えてくれよ

  • 158二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:42:03

    オツカレーッ個人的には仲間がおかしくなってくキリュウバエと生々しすぎるクルミの死亡シーンが印象的っスね…ガチでね

  • 159二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:50:21

    見たいなら例のヘイリーのif死亡シーンとか見たいっスね

  • 160二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:51:45

    >>157

    >>104


    その数…33回…

  • 161二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:53:40

    オツカレーッ
    リアタイは出来なかったけど今エピローグまで読ませてもらったのん

    一年戦争に続けて最後まで面白さを上げ続けたまま完結したEDFさん…あなたは最高だ

  • 162EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 21:58:09

    >>159

    前どっかの感想スレ見返してた時にチラッと見かけたんスけど

    IFヘイリーの「ゴームズとヒトデヒットラー以外の隊員を殺す」ってのは全員じゃなくて何人かって意味っス

    流石に話が立ち行かなくなるわっ!!


    ヘイリーは正直ああなるなら1戦我慢してキリュウバエ戦で殺せばよかったっスね……

    後半に行くにつれロスト者はワシが自分で選ぶことが増えたんスけど、AI内のダイスロールである程度の死者決めてたんで

    そこはまぁ行き当たりばったりの弊害っスね


    ヘイリーキリュウバエ√

    島風もキリュウバエ化、メトーデと島風によってリリスが、潔によってシュネーが囚われての脱出ゲーム√


    最後のシンゴジ→シンウルトラマンの次くらいにはキリュウバエは展開に悩んでたっス


    逆に1000人五条はクローン滑り思いついた段階で「これしかないっ!!」って思ったんで悩みはしなかったっスね。思いつくのに時間かかっただけで

  • 163二次元好きの匿名さん26/04/08(水) 21:59:58

    キリュウバエってすごいぜぇ
    トンチキな存在に見えてエグい被害をもたらしたしAI戦士まで苦しめたんだからな

  • 164EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 22:00:16

    >>161

    なにっ、前作読者!あざーす!

    まぁ特に今日は始めた時間帯に安価多かったっスからね。

    後から読んでくれるだけでもありがたいっス

  • 165EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 22:07:19

    ムフフ、前作と比べて明らかに反応が増えて嬉しいのん
    ただ感想スレでもたまに言ったッスけど、流石に2連続やりますは疲れたのでしばらく休むのん。やるとしてもカジュアル寄りのロワッスかねぇ。

    地球防衛軍も始まる前はカジュアルなスレにするとか言ってた?ククク…

  • 166EDF ◆GUGLV24g4w26/04/08(水) 22:36:26

    >>138

    人気投票かぁ

    やってみたい反面…そういうのは妄想してる時が一番楽しくていざやるとおおっ、うん…になりそうな不安に駆られるっ!

  • 167二次元好きの匿名さん26/04/09(木) 05:19:18

    あーDLCをくれえ

  • 168二次元好きの匿名さん26/04/09(木) 09:23:51

    未来を感じさせる終わり方…神

  • 169二次元好きの匿名さん26/04/09(木) 12:42:41

    ワシのロワでこのスレを経た後のオメラス出して良いか教えてください

  • 170EDF ◆GUGLV24g4w26/04/09(木) 12:53:17

    >>169

    ドリス、良いよ

    ワシ亜仁満町ロワでクローン五条000号出た時とかめっちゃ楽しんで読んだし



    今になってエンディングでやればよかった色んな演出のネタが出てきたんだよね、遅くない?


    シームレスにエンディング行っていつもの死亡者総評も入れてないし…勃起不全

    ま、ワシの引き算の下手さ的に結果的にはこれがベストだったとも思えるからバランスは取れてるんだけどねっ!

  • 171二次元好きの匿名さん26/04/09(木) 16:20:59

    オメラス("地球防衛軍"をやります)
    原作:ダーウィン事変
    一人称: オレ
    二人称: お前
    口調: 冷徹で静かな怒りをたたえた重々しい常体。知性的だが、どこか厭世的で哲学的なメタファー(暗喩)を多用する。15年間発声できなかった反動から、やや饒舌。
    種族: ヒューマンジー(人間とチンパンジーの交雑種)。遺伝的にはチャーリーの弟(父:グロスマン博士、母:チンパンジー)。代理母出産を経て「失敗作」として秘匿・管理されていた。
    身体的特徴: 重度の自己免疫異常により、全身に激しい痛みを抱えているがそれを怒りで耐えている。「蜘蛛」と呼ばれる機械装置を後頭部皮下に装着し、脳機能を調整することで痛みを抑えている。人工声帯の手術により、ようやく言葉を発せるようになった。
    性格・行動原理:
    幸福な都市の地下で一人の子供が苦痛を引き受けることで成り立つ物語『オメラスから歩み去る人々』になぞらえ、自分を「チャーリーの幸福のために全ての苦痛を肩代わりさせられた存在」と定義していた
    ここまでが原作の設定だが、"地球防衛軍"をやりますの世界線においてはEDF(地球防衛軍)隊員の一人。レンジャーでアサルトライフルを使う
    自身を助ける為に死亡した上条当麻を馬鹿だと言いつつも上条がその身を挺して守ろうとした下らない箱庭(地球)を守る為に侵略者アンカーと戦う
    かつての自分のように弱者が蹂躙される理不尽な世界を変える為、怒りや痛みを仲間たちと分かち合ってきた
    非情で冷徹ながらも命を愛し、命を物として扱う傲慢な者を許さない
    何度も仲間の死を経験し、仲間たちの命のリレーを受け継いで戦っていった
    アンカーとの最終決戦ではシン・ゴジラ第四形態(原作の20倍のスペックを持つ)、人類を模倣した銀色の神「シン・ゴジラ第五形態「シン・ウルトラマン」」を仲間たちと打ち破り
    どんな痛みや絶望も正面から受け止め、背負い続ける地球の生きとし生ける者の代弁者として、更なる進化を目的に同化・融合してきたシン・ウルトラマンに誰かの痛みを感じ取れる心を与え「シン・ゴジラ第六形態『ウルトラマンジー』」へと進化させた(ヒューマンジーと掛けたネーミング)、そしてエヴォリュシウム光線でアンカーの本隊を打ち破った
    その後、地球に別れを告げアンカーの本星に向かっている(戦うか対話をするかは性質を見極めてからするらしい)最中に亜仁満町に飛ばされた

  • 172二次元好きの匿名さん26/04/09(木) 16:22:01

    >>171

    一通り読んできたからキャラシ作ったんスけど解釈合ってるっスかね…?

  • 173EDF26/04/09(木) 16:39:35

    >>172

    めちゃくちゃいいと思うっスよ!

    強いて言えば「ウルトラマンジー」は名前というより種族名に近いイメージっスかね


    エンディング案の一つではなんかカッコいい名前を付ける案もあったんスけど、ちょっと臭すぎるかな?と思ってやめた感じっス。

  • 174EDF26/04/09(木) 16:47:57

    ちなみにウルトラマンジー誕生の裏話としては最後の「同化」と「痛みが祝福」ってのはワシの好きなファフナーのオマージュっスね

    見た目がジードなのは名前が似てる、瞳の色が赤じゃなくて青なの以外はイメージピッタリってのもあるんスけど
    ジードのテーマの「遺伝子と運命をひっくり返す物語」のオマージュでもあるからっスね

  • 175二次元好きの匿名さん26/04/09(木) 19:13:03

    もしかして最終的に生き残るキャラも決めてたタイプ?
    あとアマデアが庇うのに間に合わず、シュネーがやられてたら作戦は成功してたのか教えてくれよ

  • 176EDF ◆GUGLV24g4w26/04/09(木) 19:34:04

    >>175

    お言葉ですがシュネーがやられてたらアマデアが覚醒してましたよ

    何なら最初はキングコーカサスカブトにアマデアが守られたことでデューク→シュネー→アマデアと受け継がれることで重くなっていくリレーのバトンみたいな展開にしようとしてましたよ


    死に際にシュネーをクルミと勘違いするシーンをやりたくて変更したけどねっ!

    ワシ、死に際に抱きしめてる相手が自分のことを自分と認識してくれないみたいな展開めっちゃ好きやし



    お言葉ですが生き残るキャラなんてなんにも決めてませんでしたよ

    多分最後の敵安価がシンゴジ以外で「ひょっとして第五形態ってことでシンウルトラマン出したら面白いんじゃないっスか?あとオメラスって痛みを識るただ一人なんじゃないっスか?」って思いつかなかったら

    オメラスが見せ場作りつつ死んで氷川さんや怜慈辺りが生き残ってるパターンも全然あり得たっス

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています