"地球防衛軍"をやります STAGE10

  • 1EDF ◆GUGLV24g4w26/04/01(水) 21:01:09

    安価で募集したキャラクターをEDF隊員としてナーフorアッパー調整した上で巨大生物たち&安価で募集した敵と戦う、ステージクリア型の絶望的なAIシミュ。ストーム1のいない戦場をイメージしてくれると幸いっス。



    残酷な描写あり。



    一応全20ステージ前後を予定。なんか奇跡的に上手いこと収まりそう…?


    最後の隊員安価とダイスを突発でやった前スレ…

    "地球防衛軍"をやります STAGE9|あにまん掲示板安価で募集したキャラクターをEDF隊員としてナーフorアッパー調整した上で巨大生物たち&安価で募集した敵と戦う、ステージクリア型の絶望的なAIシミュ。ストーム1のいない戦場をイメージしてくれると幸いっ…bbs.animanch.com
  • 2二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:01:44

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  • 3二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:03:06

    残りの敵たちかあ
    EDFがわざと残しただけあって地獄を見せることが確定してるぞ

  • 4EDF ◆GUGLV24g4w26/04/01(水) 21:05:26

    帝竜ジゴワットの死と共に、周囲を縛っていた異常な磁場が霧散した。

    捻じ曲げられていた高層ビル群が重力に従って崩落し、ひび割れたアスファルトが元の平面へと強制的に戻っていく。


    莫大な土煙とオゾン臭が立ち込める廃墟の中。

    血とススに塗れたEDFの生存者たちの前に、けたたましいエンジン音とタイヤの摩擦音を響かせ、一装の装甲車両が急ブレーキをかけて停車した。


    「……乗るんだな。お前らが死にかけの肉塊になる前に、自動操縦で回しておいた」

    リスの着ぐるみをススで汚したクルミが、気怠げな口調で車両のハッチを蹴り開ける。

    それは、EDFが誇る『キャリバン武装救護車両』。

    内戦時代の凄惨な戦訓から生まれ、車体上部には複数の自動迎撃砲(ZE-GUN)が、側面には指向性地雷(インパルス)がびっしりと増設された、異形の野戦救急車である。

    「急ぐんだっ! あの青いダイヤが、もうすぐそこまで来てる!」

    シュネーが、片足を引きずる氷川の背中を押し、次々と車内へ仲間を押し込んでいく。


    「……くそっ。ナギサ殿の可憐な顔に痛ましい傷が……いや、今は邪念を捨てねば!」

    ヤイバが、血を流して気を失いかけているナギサを抱き抱えながら、コンバットショットガンを背負い直して車内へと滑り込む。


    ハッチが閉ざされた直後、キャリバンは通常の救護車両とは比較にならない暴力的な加速で、崩壊した都市を爆走し始めた。


    「さぁ、このアマデア様の天才的な医療技術に感謝したまえ! 傷口の縫合も、麻痺の緩和も完璧なのだよ!」

    揺れる車内。アマデア・ウォルファが、自慢のAIドローンを駆使して、生存者たちへ次々と応急処置を施していく。尊大な態度は相変わらずだが、その手つきは驚くほど繊細で的確だった。

  • 5EDF ◆GUGLV24g4w26/04/01(水) 21:08:43

    「……まったく、君たちは無茶ばかりするのだねぇ。私の計算式をこれ以上狂わせないでくれたまえよ」

    「助かります。これでまだ、盾を構えられます」

    氷川誠が、レーザーで抉られた肩に包帯を巻かれながら、不器用な笑みを浮かべる。


    「ええ、皆さんの命を繋ぐためなら、私も再び全力を尽くしましょう」

    宮沢静虎もまた、スーツを血に染めながら、静かに呼吸を整えていた。


    だが、そんな満身創痍の歩兵たちから距離を置き、車内の片隅で一人、暗い影を落としている男がいた。

    句楽兼人——『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』である。


    「…………っ」

    彼は、自身の無傷の拳を、ギリギリと血が滲むほどに握りしめていた。

    ジゴワットの放電で完全に麻痺し、地に這いつくばっていただけの数分間。己こそが絶対の正義であり、全てを蹂躙するヒーローであるはずだった。


    だが現実は、名もなきマフィア(ボビー)や、ちっぽけな異星人の少女(イッツ)が文字通り肉塊となって死ぬのを、ただ無様に眺めていることしかできなかったのだ。

    仲間のために、地球のために戦う彼らの方が、よっぽどヒーローだった。


    その事実が、彼の肥大化したプライドをズタズタに切り裂いていた。


  • 6二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:10:22

    おおっ、ワシが提出したキャリバン武装救護車両が登場している!
    みんなを乗せて離脱するんや!

  • 7EDF ◆GUGLV24g4w26/04/01(水) 21:11:02

    『……司令部より、キャリバン車両へ』

    車内の通信機から、司令官ラスタル・エリオンの無機質な声が響く。


    『ジゴワットのエネルギー転送は成功した。……だが、絶望的な事実を伝える。陽電子砲(ポジトロン・スナイパー・ライフル)の設置ポイントまで、貴様らの車両では到達に「15分」かかる』

    「……15分? 冗談だろう」

    オメラスが、低い声で呻く。

    「あの青い八面体が、もう成層圏を抜けている。あと数分で、この一帯ごと熱線で蒸発させられるぞ」

    『ああ。射程圏内に入った物体を自動迎撃するシステムを抜けて、狙撃手が手動でATフィールドの極小の隙間を狙い撃つ必要がある。……貴様らでは、間に合わん』

    冷徹なリアリストの言葉が、車内に重い絶望を落とした。

    撃つためのエネルギーはある。だが、撃つ人間がいない。

    ジゴワットの檻で時間を使いすぎた代償が、ここで人類の首を絞めたのだ。





    同じ頃。

    EDF極東基地、地下司令室。


    「……」

    オペレーターの若葉睦は、無表情のまま、目の前のコンソールに表示された『陽電子砲・起動可能』の緑色のシグナルを見つめていた。

  • 8EDF ◆GUGLV24g4w26/04/01(水) 21:13:22

    彼女の視線が、自身の細い手首へと落ちる。

    そこには、汚れた「青い布の切れ端」が大切に結ばれていた。


    かつてこの部隊にいて、周囲を笑わせるために常にふざけた振る舞いをし、そしてあっけなく死んでいった意思を持つ人形——パペットスンスンの残骸である。

    「……スンスン君」

    他人の感情に敏感だが、それをうまく表現できず、親の敷いたレールの上で操り人形のように生きてきた睦。

    だからこそ、自ら進んで道化を演じていたあの人形に、彼女はどこか自分と通じ合うものを感じていたのだ。


    『ヒーローなんて、滑稽な道化(ピエロ)だよね』

    睦の脳内で、もう一つの人格——辛い現実を受け止めきれない睦の代わりに生み出された『モーティス』が囁く。

    誰かのために命を投げ出し、綺麗事のためにボロボロになり、最後は笑って死んでいく。理不尽なこの世界でヒーローを名乗るなど、死に急ぐだけの最も滑稽な狂言回しだ。


    「……代わるね」

    睦が、ぽつりと呟く。


    直後。彼女の纏う空気が、劇的に変容した。

    冷たく無機質だった瞳に、劇場でスポットライトを浴びた女優のような、鮮烈で芝居がかった熱が灯る。


    「ラスタル司令。……私が、撃つよ」

    振り返った彼女——モーティスは、極めて流暢で、明るく、そしてどこか儚い笑みを浮かべていた。

  • 9二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:15:20

    えっ

  • 10EDF ◆GUGLV24g4w26/04/01(水) 21:15:58

    「狙撃ポイントは、この司令部の直上でしょ? だったら、私が走れば間に合う」

    「貴様が? オペレーターのただの少女が、あの極大の陽電子砲の反動に耐えられるとでも思っているのか。骨が砕けるぞ。反撃の可能性もある」

    ラスタルが眉をひそめ、冷徹に事実を突きつける。


    「分かってるよ」


    モーティスはあっけらかんと言い放ち、手首の青い布をそっと撫でた。


    「でもさ。彼らが血みどろになって繋いだ命のバトンを、ここで観客席から眺めたまま落とすなんて、三流の悲劇にもならないでしょ? 私は、みんなを繋ぐオペレーター……完璧な演技で、この滑稽な『ヒーロー』っていう役を、最後まで演じきってみせるよ」

    モーティスは通信機を全回線に繋ぐと、最前線の瓦礫の中で立ち尽くす生存者たちに向けて、明るく呼びかけた。


    「みんなー! 聞こえてる? モーティスちゃんが、今から狙撃ポイントに向かいまーす!」

    『……オペレーター!? 本気か、君は素人だぞ!』

    クルミの驚愕の声が響く。

  • 11二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:16:31

    なにっ

  • 12EDF26/04/01(水) 21:18:16

    「素人でも、引き金くらい引けるよっ。その代わり……あのデカい青いダイヤの『自動迎撃』の的、みんなで引き受けてね? 私が狙いを定めるための、ほんの数十秒間だけでいいからさ」

    モーティスの提案は、狂気の沙汰だった。

    ATフィールドを展開する巨大な使徒の真下で、瓦礫から身を乗り出し、山をも消し飛ばす熱線の「囮」になれというのだ。


    だが、廃墟に立つ戦士たちに、迷いはなかった。命をかけるのは、この少女も同じだからだ。


    「……フッ。上等だ。俺が、いや、俺たちがその役目、承るぜ」

    弩城怜慈(ギャバン)が、血まみれの顔でニヤリと笑う。


    「すまん、本当にすまん……! 私が、あの青い悪魔の目を引きつけようッ!」

    ヤクザ天狗が、背中のジェットエンジンを限界まで吹かし、瓦礫の山を駆け上る。


    「……ありがとう、みんな。それじゃあ、クライマックスの幕開けだね」

    モーティスは通信を切ると、司令室のハッチを開け、陽電子砲の待つ地上へと続く階段を、たった一人で駆け上がっていった。

    手首に巻かれたスンスンの青い布が、これから始まる最期の舞台を祝福するように、パタパタと揺れていた。


    上空では、青い正八面体の使徒が、不気味な低い駆動音を響かせながら、迎撃の光を収束させ始めていた。

  • 13EDF26/04/01(水) 21:22:33

    首都上空。雲海を割って降臨した青い正八面体——『第6の使徒(ラミエル)』が、不気味な幾何学的な駆動音を響かせながら、その形態を悍ましく変容させ始めた。

    絶対的な防御壁であるATフィールドの内側で、立体が複雑に組み替わり、中心部から山の頂を容易く蒸発させる極大の「加粒子砲」の砲身が姿を現す。

    「……回避運動を止めるな! 当たらなければどうということはない、って言うだろうッ!」

    猛スピードで廃墟を駆けるキャリバン救護車両。アマデア・ウォルファが、血に濡れた手でナギサの傷口に凝固剤を叩き込みながら叫ぶ。

    車体上部の『ZE-GUN』が絶え間なく火を吹き、接近する瓦礫を粉砕するが、上空に浮かぶ「正八面体」から放たれる熱線の前では、それは羽虫の羽ばたきに等しかった。

    ズガァァァァァァァァァァンッ!!

    ラミエルの放つ加粒子砲が、キャリバンのわずか数メートル横に着弾した。アスファルトが一瞬で沸騰し、爆風で装甲車両が浮き上がる。


    「っ、きゃああああッ!?」

    「車はここまでだな……!みんな、外に打って出るぞ!」


    車両でラミエルの気を引くのは既に限界とみて、外に出て直接囮になるEDF隊員たち。


    「……計算開始! 使途の照準システムを欺瞞しろ! 撃たれる前に的を作れッ!」

    シュネーが瓦礫の陰から叫ぶ。

  • 14EDF26/04/01(水) 21:26:00

    「言われるまでもない! 私の天才的AIドローンに、全熱源データを偽装させるッ!」

    「……チッ、単純だが出力がデタラメだ。EMPシールド、展開」

    アマデアとクルミが、焼け焦げた端末を叩き割りそうな勢いでタイピングし、大量の偽装フレアと欺瞞ドローンを空中へ散布した。


    フォーーーーン……ッ!!

    空気を震わせる使徒の警告音。直後、放たれた数筋の光線が、ドローン群ごと高層ビルを豆腐のように切り裂き、赤熱した溶岩へと変えた。


    「ナムサンッ! ここだ青い悪魔! このステップを見るがいい!」

    ヤクザ天狗が背中のジェットエンジンを吹かし、空中からオートマチック・ヤクザガンを乱射して熱線の軌道を強引に逸らす。


    「私も飛びますッ! ミカさん、みんな……!!どうか私に力を……!」

    桐藤ナギサが、焼け焦げた翼から血を流しながらも空へ舞い上がり、アサルトライフルを撃ち放つ。


    「逃げ足なら、誰にも負けないよッ!」

    島風が超音速の機動で地を這うように走り抜け、使徒の自動迎撃のトラッキングを撹乱する。


    「邪念を捨てて……抜剣ならぬ、抜銃ッ! 落ちろ、化け物ッ!」

    ヤイバが、スローターE20(コンバットショットガン)のポンプアクションを乱暴に引き、散弾の雨を上空へ撒き散らす。


    「無駄撃ちさせるっ!!」

    地上から宮沢静虎が無数の瓦礫を蹴り上げて、空中の使徒に光線を無駄撃ちさせる。

    オメラスが、弩城怜慈が、氷川誠が、持てる全ての「小細工」と「暴力」が、ラミエルの目を地上へと釘付けにしていた。

  • 15EDF26/04/01(水) 21:28:28

    だが、隊員たちの弾丸がラミエルの青い装甲に届く直前。

    空中に展開されたオレンジ色の不可視の壁——『ATフィールド』が波紋を打ち、全ての物理攻撃を児戯のように弾き返した。


    『————コォォォォォォオオオ……』

    使徒が、天使の讃美歌のような音な反応を示した。

    正八面体の形状が瞬時に展開・変形し、中心のコアから十字状の光が迸る。


    「……退避しろッ! 自動迎撃が来るぞ!」

    オメラスが叫んだ直後。


    ラミエルから放たれた極太の加粒子砲(熱線)が、ヤイバや怜慈たちがいた数十メートル四方の瓦礫の山を、一瞬にして『蒸発』させた。

    爆音すらない。ただ絶対的な熱量が、アスファルトも、鉄骨も、土も、全てを原子の塵へと分解したのだ。

    「が、はァッ……!?」

    熱線の余波だけで全身の皮膚が焼け爛れ、地上部隊の面々は吹き飛ばされる。

    圧倒的すぎる。彼らがどれだけ足掻こうと、ラミエルにとってはほんの僅かな「自動迎撃の的」に過ぎなかった。


    その時。

    ラミエルの巨体が、ピタリと動きを止めた。

    使徒のセンサーが、遥か遠方——EDF極東基地の地上部に設置された『試作型大出力陽電子砲』の、極大のエネルギーチャージを感知したのだ。


    『————』

    使徒の形状が、星型のように複雑に展開していく。

    自動迎撃ではない。基地ごと、陽電子砲を構える狙撃手を消し飛ばすための、最大出力のメインビームの予備動作だった。

  • 16EDF26/04/01(水) 21:30:38

    「……マズい! 奴の狙いが、基地のモーティスさんにッ!」

    氷川誠が、ディフレクト・シールドを構えたまま絶望の声を上げる。


    「撃たせるなッ! 視線をこっちに向けさせろおおッ!」

    シュネーが、島風が、ありったけの弾丸を撃ち込むが、ラミエルはもう地上の羽虫どもには一切の興味を示さなかった。


    光が収束していく。

    狙撃ポイントで構える少女が引き金を引くよりも早く、使徒の熱線が基地を貫く——その、絶望の秒読みの中。


    「……どけ、お前たち」

    血とススで汚れた瓦礫の中から、ウイングダイバーの装備も持たずに、一人の男が天高く跳躍した。

    句楽兼人である。


    「おれは……ウルトラ・スーパー・デラックスマンだ」

    先程のジゴワット戦で、ただ地に伏して震えていた自分。他者を見下し、ヒーローを気取っていただけの矮小な男。

    そのズタズタに引き裂かれたプライドを、彼はたった一つの行動で取り戻そうとしていた。

  • 17二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:32:09

    あうっ 結局ラミエル戦でも犠牲者が出るのかあっ

  • 18EDF26/04/01(水) 21:32:51

    「おれの絶対的な正義は……こんなところで、終わるものかァァァァッ!!」

    句楽は、空中を飛翔し、ラミエルのメインビームの射線——基地と使徒の直線上の空域へと、自らの肉体を強引に割り込ませた。


    直後。

    使徒のコアから、山をくり貫くほどの極太の熱線が放たれた。

    「おおおおおおおォォォォォッ!!!」

    句楽兼人は、無傷を誇った両腕をクロスさせ、その光の奔流を真正面から受け止めた。

    ウルトラ・スーパー・デラックス細胞が、凄まじい速度で再生と破壊を繰り返す。だが、使徒の熱量は彼の細胞の再生限界を容易く凌駕していた。


    腕の肉が沸騰し、炭化し、骨が剥き出しになる。

    それでも、彼は空中で絶対に退かなかった。


    (……あぁ。そうか……これが、痛みを引き受けるってことか……!)

    彼が見下していた者たちが、当たり前のようにやっていたこと。

    他人のために命を燃やす、滑稽で、最高に気高い行為。


    「……撃てェェェッ! 道化師の小娘ッ!! おれの命で……時間を、稼い、でやるッ!!」

    句楽の絶叫と共に、彼の肉体は光に呑まれ、ウルトラ・スーパー・デラックス細胞の欠片すら残さずに完全消滅した。

    だが、彼がその命と引き換えに生み出した「数秒の遅延」と「熱線の乱れ」は、基地で照準を覗く少女に、確かな奇跡を繋いでいた。

  • 19EDF26/04/01(水) 21:35:41

    ~~~


    EDF極東基地、地上狙撃ポイント。


    「……受け取ったよ。最高のバトン」

    モーティスは、全長数十メートルに及ぶ長大な『試作型大出力陽電子砲』のコンソールに身を預け、スコープを覗き込んでいた。

    素人の少女の細い腕が、巨大なトリガーに指をかける。

    彼女の手首には、パペットスンスンの残骸である『青い布』が巻き付けられていた。


    「スンスン君。ヒーローなんて、命をすり減らして使い捨てられるだけの、馬鹿げた道化かもしれない。……でも、最後くらいは、私もその舞台(ステージ)で笑ってみせるよ」

    スコープの先。

    句楽兼人を蒸発させたラミエルの熱線が、僅かに威力を減衰させながらも、一直線にモーティスへと迫ってくる。

    回避行動をとれば、狙撃は失敗する。

    逃げ場はない。


    「地球の自転、磁場、重力……全部計算通り」


    モーティスは、迫り来る死の光線を前にしても、その美しく儚い笑みを一切崩さなかった。

    オペレーターとして、最後まで完璧な演技を。


    「……さぁ、終幕(フィナーレ)だ」

    使徒の熱線が狙撃ポイントを飲み込む、その刹那。

    モーティスは、陽電子砲の引き金を限界まで引き絞った。


    ズゴォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

  • 20二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:37:58

    いけーっムジカのギター

  • 21二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:38:32

    いけーっ道化師の娘!!

  • 22二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:38:37

    このレスは削除されています

  • 23EDF26/04/01(水) 21:39:41

    砲身から放たれた極大の陽電子の光束が、ラミエルの熱線の中心を真っ向から貫き、逆流するように空へと駆け上がった。

    陽電子砲の凄まじいエネルギーが、ラミエルの絶対防壁『ATフィールド』と衝突し、ガラスが砕け散るような甲高い悲鳴を上げる。



    『————ギ、ィィィィィィ……!!』

    コンマ数秒の拮抗。


    「……貫けぇぇぇぇぇっ!!」

    ヤイバが、氷川が、オメラスが、全ての生存者が、その一撃に祈りを込める。


    ジゴワットの莫大な電力と、仲間たちの命で繋がれた人類の怒りの一撃は、ついに使徒のコアを正確に射抜いた。


    パキィィィィィンッ!!!

    青い正八面体の巨体が、内側から血のような赤い液体を噴き出しながら、無数の幾何学的な破片となって空中で爆散した。

    完全なる、撃破。


    だが。



    「相殺」しきれなかったラミエルの熱線の余波と、陽電子砲を撃ち放ったことによる反動のエネルギーが、狙撃ポイントを容赦なく襲っていた。

  • 24EDF26/04/01(水) 21:41:55

    「あ……」

    モーティスの視界が、白く染まる。

    凄まじい衝撃波が基地の屋上を吹き飛ばし、陽電子砲の砲身が飴細工のようにへし折れる。

    その中心にいた少女の体は、枯れ葉のように宙に舞い、強烈な熱と衝撃で半身を深く抉られていた。


    「……モーティスッ!!」

    通信機越しに、シュネーや仲間たちの悲痛な叫びが聞こえる。


    コンクリートの残骸の上に、力なく投げ出された少女。

    彼女の体は既に原型を留めないほどに破壊され、致死量を超える血が流れ出していた。


    だが、薄れゆく意識の中で、彼女は静かに微笑んでいた。

    焦げた右手に、あの青い布の切れ端をしっかりと握りしめたまま。


    「……どう、だった……? 私の、演技……あはっ」

    誰もいない屋上で、彼女は血まみれの唇を動かす。今の彼女はモーティスでもなければ睦でもない。

    ただのヒーロー(ピエロ)だった。


    「ちゃんと……ヒーローになれてた、かな……スン、スン……くん……」

    返事はない。

    ただ、青く晴れ渡った空から、使徒の赤い血が雨のように降り注ぐだけだった。

    若葉睦でもモーティスでもない「道化」は、満足そうな、本当に楽しそうな笑みを浮かべたまま、静かに息を引き取った。

  • 25二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:44:24

    ふうん オペレーター枠でも容赦なく荼毘に付すなんてEDFモブって奴は案外鬼畜だな

  • 26EDF26/04/01(水) 21:44:37

    瓦礫の山で、生き残った者たちは空を見上げていた。

    絶対的な絶望だった青いダイヤは消え去り、そこには突き抜けるような青空が広がっている。


    「……バカヤロウ。素人が、無理しやがって……」

    怜慈が、静かに目を伏せる。


    「……見事な、見事な大立ち回りでした。句楽殿も、モーティス殿も……」

    ヤイバが、銃を杖代わりにしながら、深く頭を下げた。


    彼らは勝利した。

    帝竜を檻で生かし続け、正義を穿き違えた超人が命を賭して盾となり、道化を自嘲した少女が命と引き換えに撃ち抜いた、血みどろのカタルシス。


    「……行きましょう」

    氷川誠が、痛む肩を押さえながら、基地の方角へと歩き出す。

    「彼女を……僕たちのヒーローを、迎えにいきましょう。せめて、弔ってあげなければ」

    生き残った者たちは、無言のまま、赤い雨が降る廃墟を一歩ずつ進んでいった。

    理不尽な世界で失われた命の重みを、その身に深く刻み込みながら。

  • 27二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:44:42

    (原作だと一射目では倒しきれてなかったんだよな……)

  • 28EDF26/04/01(水) 21:45:39

    【STAGE CLEAR】

    戦死者:6名

    ・ヒトデヒットラー(ジゴワット戦:ロスト。逃げ場のない檻の中、イッツとターミナルを庇って無数のレーザーとエネルギー弾を浴びる。悪の化身として作られながらも、最期は地球を守るために死ぬ自身の皮肉な運命を笑いながら消滅)

    ・バルカン・ボビー(ジゴワット戦:ロスト。ターミナルを守るため、無数のレーザーの前に肉の盾として立ち塞がる。愛銃が熱で溶け落ち、自らの肉体が炭化していく激痛の中、破壊の快楽と熱意に狂い笑いながら頭部を吹き飛ばされた)

    ・姫次(ジゴワット戦:ロスト。死にたがりだった過去を捨て、かつて自分を庇った鈴木一郎の言葉を胸に「生きる」意志を固めた直後。ジゴワットのエイミングショットにより頭部から胸部を蒸発させられ、無情な即死を遂げた)

    ・It-Z(イッツ)(ジゴワット戦:ロスト。陽電子砲への電力を確保するため、直撃する数億ボルトの雷エネルギーを自らの肉体をアースにして耐え抜く。全身が炭化し、眼球が沸騰する激痛の中、仲間たちに底抜けに明るい笑顔を遺して灰となった)

    句楽兼人(ラミエル戦:ロスト。肥大化したプライドを捨て、ラミエルの熱線から狙撃ポイントを守るための完全なる肉の盾となり、超人細胞ごと消滅。最期は真のヒーローとして散った)

    若葉睦 / モーティス(ラミエル戦:ロスト。陽電子砲の狙撃手としてラミエルのコアを貫くも、熱線の余波と反動により致命傷を負い相討ちとなる。スンスンの青い布を握りしめ、完璧な『ヒーロー』を演じきって笑顔で絶命)

  • 29二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:46:32

    句楽と睦が死んだあっ
    派手な葬式出して感動的な弔辞読んで涙を流してあげましょう

  • 30二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:47:00

    あっ倒しきれてたんですね
    ふーっよかったありがとうございました……でこの死者数どないする?

  • 31二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:47:10

    なんじゃあこの…なんじゃあ
    もしかしてこれの帳尻合わせで次は誰一人として死なないタイプ?

  • 32二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 21:47:38

    1発分しかないからね!外したらBADEND直行なのさ!
    それはそれとして(脱落者が多す)ぎぃ~~!
    戦場に出ないハズのオペレーターも脱落するなんてアタシ聞いてないよっ!

  • 33EDF26/04/01(水) 21:49:09

    今日は一旦終了っ!

    あの、なんか狙撃手いないなぁとか思ってたら、なぜかオペレーターまで荼毘に伏してるんスけど…いいんスかこれ



    >>30

    まぁ流石にこれ以上は冗長っスからね。ジゴワットでヤシマ作戦した時点で一発成功しないと詰むっス

    >>31

    ククク…(何も考えてない)

  • 34EDF26/04/01(水) 21:51:40

    風呂休憩の後、やれそうだったら幕間ちょっとだけやるのん

    いやぁ後は掃除屋と隕石の後にゴジラで終わりやのぉ
    ですねぇ

  • 35二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 22:01:17

    …哀

  • 36二次元好きの匿名さん26/04/01(水) 22:04:53

    あの…オペ子枠死んだんスけど、いいんスかこれ
    残りはモブのオペ子がやるタイプ?


    あと残りの募集兵器も活躍して欲しいですね……マジでね

  • 37EDF26/04/01(水) 23:30:59

    ごめん眠くなっちゃったので幕間は明日投げます。


    >>36

    ぶっちゃけAIバーストを恐れて出し渋ってるうちに完全にタイミングを逃しちゃったんだよね。

    ネタ出ししてくれたモブには申し訳ないのん…

  • 38二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 07:24:31

    保守伝タフ

  • 39EDF26/04/02(木) 07:42:22

    しかし殺しすぎじゃないか内海
    はい、せめて純戦闘員の句楽、ボビー、姫次は誰か生き残らせてもよかった

    まぁ何とかなるやろ伝タフ〜イイカゲン病を継ぐ男〜

  • 40二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 07:43:05

    このレスは削除されています

  • 41二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 07:44:12

    >>40

    ウム…朝は冷え込むんだなァ

  • 42二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 07:49:46

    誰もヒトデヒットラーの死に触れてなくて笑っちゃうんだよね

  • 43二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 07:54:19

    >>42

    うーん一番悲しんでそうなイッツも死んだし他に5人も死んでるから仕方ない本当に仕方ない

  • 44二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 12:11:33

    いや大量死は実はそんなに怖くない
    怖いのは琲世やアーサーの時みたいに1人か2人の死に様をねっとり書く時だ

  • 45二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 17:24:56

    なんやかんやヒトデヒットラーは生き残りそうだと思ったし、句楽兼人はゴジラまでは生きていると予想してたのが俺…!
    安価を逃し続けてる尾崎健太郎よ

  • 46二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 17:26:50

    最悪の時に備えて新しい隊員が要る…
    オペレーションΩを用立てろ!(司令部書き文字)

  • 47EDF26/04/02(木) 18:29:41

    感想あざーす! ムフフ、励みになるのん

    今日も21:00目安に始めます

  • 48二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 20:47:52

    オペレーター枠は安地だと思ってたのが…俺なんだ!
    一年戦争でもブリッジメンバーは死ぬことなかったからね

  • 49EDF ◆GUGLV24g4w26/04/02(木) 21:03:21

    >>48

    ワシ本当はビグザム戦でゴジョウ殺すと見せかけてチキ殺したかったんだよね。ま、イタドリとの因縁とかニュータイプがいると便利とかで変更したんだけどね!


    前スレでやったダイス関係の小話から始めます。

  • 50EDF26/04/02(木) 21:04:55

    冷たい水が、震える両手から赤い錯覚を洗い流していく。

    EDF極東基地、薄暗い区画の洗面所。天才科学者アマデア・ウォルファは、血の気の引いた顔で洗面台の鏡を見つめていた。


    「……っ、ふぅ、ふぅ……」

    彼女の天才的な頭脳は、いまだに数時間前の地獄——立体球状の山手線内で起きた惨劇のフラッシュバックを完璧な演算で再生し続けていた。


    全身が穴だらけになった改造人間。炭化して崩れ落ちた異星人の少女。首を消し飛ばされたマフィア。熱線に焼かれて塵となった超人。そして、自らを陽電子の反動の贄としたオペレーター。

    彼らの死臭、肉が沸騰する悍ましい音が、グラマラスな肉体の奥底にこびりついて離れない。


    (ワタシは、天才のはずだ……私の計算とAIがあれば、どんな事象だってスマートに解決できるはずだったのに……っ)

    鏡の中の自分が、ひどく滑稽に見えた。蒼白な顔に、今にも泣きそうな目をした「天才」が、そこにいた。


    だが、戦場という名の純粋な暴力のすり鉢は、彼女の誇りを木っ端微塵に粉砕した。

    最前線の恐怖。自分がいつ「ただの肉塊」に変わるか分からないという絶対的な絶望。

    安全な研究室でヌクヌクとジェットバトルの理論を構築していた彼女にとって、ここはあまりにも理不尽で、冷酷すぎる世界だった。


    「……シュネー」

    無意識に、その名前が口を突いて出た。

    大学時代、自分からスポットライトを奪い去っていった生意気な飛び級の天才少女。一方的にライバル視し、くだらない嫌がらせを繰り返してきた相手。

    だが、今のこの狂った世界において、アマデアと同じ「血の通った研究者」というバックボーンを持つのは、彼女だけだった。

  • 51EDF26/04/02(木) 21:07:07

    (あいつも、きっと部屋の隅で震えているはずだ。あの細い腕で、私よりも年下で、あんな地獄を見て……平気なわけがない)

    ——少しだけ、安心したかった。

    自分だけが恐怖しているのではないと。自分だけが、この世界に置き去りにされているのではないと。



    アマデアは、縋るような思いで洗面所を飛び出した。

    不安を共有したかった。シュネーと共に「こんな世界は狂っている」と泣き言を言い合い、互いの弱さを慰め合いたかった。天才である自分たちが、泥臭い兵士たちの中でどれほど場違いで孤独であるかを確認し合えれば、この張り裂けそうな恐怖も少しは和らぐ気がしたのだ。


    彼女は、シュネーがいるであろう戦術会議室へと足を急がせた。

    だが。

    半開きの重厚なドアの隙間から中を覗き込んだアマデアは、息を呑み、その場に縫い留められたように立ち尽くした。


    「——だから、次のアンカーの投下軌道から逆算すると、ボクたちの防衛ラインはここになる可能性が高い。もちろん無駄になる可能性あるけど……ゴームズさん、C爆弾の起爆タイミングの再計算をお願いできるかい?」

    「ああ、分かっているとも。君の射撃理論の邪魔にならないよう、美しく吹き飛ばしてやろう」

    「ここより後ろには、逃げ場のない民間人がいる……下がるわけにはいかねぇな」

    「……ああ。だから、ここで止める。絶対に」

    薄暗いモニターの光に照らされた室内。


    そこには、年長のゴームズや、歴戦の猛者である弩城怜慈と肩を並べ、作戦図のホログラムを見つめるシュネー・ヴァイスベルグの姿があった。


    震えてなど、いなかった。

    泣き言など、一言も口にしていなかった。

  • 52二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:08:11

    このレスは削除されています

  • 53EDF26/04/02(木) 21:09:14

    モニターの青白い光に照らされたシュネーの横顔は、アマデアの知っている「生意気な年下の天才少女」のものではなかった。

    (……なんだ、その目は)

    アマデアの胸の奥で、ドロリとした重く冷たい感情が渦を巻いた。


    シュネーの瞳には、かつて己の弱さのせいでネブカドネザルに追い詰められ、自分を庇って肉塊となった男(デューク)の痛みが刻み込まれている。

    同じ司令塔として背中を預け合い、無残に散っていった少年(潔世一)の無念を背負う覚悟が宿っている。

    彼女は既に、絶望を咀嚼し、仲間の死を燃料にして前を向く「戦士の目」をしていた。

    理不尽な世界で生き残るため、自らの命をチップとしてテーブルに叩きつけることを受け入れた、歴戦の兵士の顔だった。


    (……あいつは、いつ、そんな目をするようになったのだ)


    (ワタシは、シュネーに、置いて、いかれた……?)

    アマデアは、ドアのノブに伸ばしかけた手を、力なく下ろした。


    ——違う。「置いていかれた」のではない。

    最初から、自分はそこにいなかったのだ。同じ起点から同じ速度で走っていると信じていたのは、アマデアだけだった。

  • 54二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:10:14

    うーん 禁断の追加メンバー2度打ちしなきゃいけなくなるくらい仲間との死別を経験してるから嫌でも割り切りが早くなるのは仕方ないを超えた仕方ない

  • 55EDF26/04/02(木) 21:10:53

    かつて大学で彼女に向けた、あの「自分の才能が霞んでしまう」というような、可愛らしい嫉妬や対抗心ではない。

    今の彼女の胸を支配しているのは、もっと根源的で、酷く惨めな『喪失感』だった。



    安全なゆりかごの中で、自分が「天才だ」「美貌だ」と空虚な自己顕示欲を満たして遊び惚けていた間に。

    シュネーは、血と泥と臓物に塗れた本物の地獄を歩き、仲間と共に死線を越え、アマデアの全く知らない場所で、残酷なまでに『大人』になっていたのだ。


    自分と彼女は、もう同じ土俵にすら立っていない。

    ゴームズや怜慈という、死線を共有した男たちと交わす視線。血の匂いが染み付いた者同士にしか分からない、濃密で絶対的な信頼の絆。


    その輪の中に、新参者で、死の恐怖に怯えているだけの、年上なだけの「ただの子供」であるアマデアが入り込む隙など、一ミリたりとも存在しなかった。


    まるで、自分の運命の半身だと思っていた相手が、自分の手の届かない遠い世界で、見知らぬ誰かと心も体も通じ合わせてしまったかのような─酷く泥濘した寂しさと疎外感。

  • 56EDF26/04/02(木) 21:11:57

    「……?誰かいるのか?」

    「……っ」

    シュネーがふと、ドアの気配に気づいて視線を向けようとした瞬間。

    アマデアは弾かれたように背を向け、逃げるようにその場を離れた。


    コツ、コツ、コツ。

    人気のない冷たい鋼鉄の廊下に、彼女の足音だけが空しく響く。


    (呼び止められたら——どうするつもりだったんだ)


    「……バカみたいじゃないか、ワタシ……」

    誰にも聞こえない微かな呟き。

    天才科学者アマデア・ウォルファは、自分がこの凄惨な世界で、まだ何者とも絆を結べていない絶対的な『孤独』であることを突きつけられ、自室の暗闇へと逃げ込むことしかできなかった。

  • 57EDF26/04/02(木) 21:13:41

    ---


    逃げるように自室へ戻ったアマデア・ウォルファは、一切の照明を落とした冷たい鉄のベッドの上で、膝を抱えてうずくまっていた。


    「……っ、ふ、あぁ……」

    静寂が、かえって戦場の幻聴を際立たせる。

    自分がどれほど無力で、ちっぽけな存在であるか。シュネーのように前を向く強さも、泥に塗れて戦う覚悟もない。ただの「頭の回転が早いだけの臆病者」だという事実が、暗闇の中で彼女の精神を少しずつ削り取っていた。


    その時だった。


    『————ジ、ジジッ……』


    電源を切っていたはずの、室内のホログラム端末が唐突に青白い光を放った。

    「……ん? なんだね、エラーか……?」

    アマデアが涙を拭い、気怠げに端末へ手を伸ばそうとした瞬間。

    青白いノイズが、文字を持たない「意味」として、彼女の脳髄へ直接語りかけてきた。






    『——孤独な知性よ。泥濘の底で、一人震える無力な星よ』

  • 58二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:14:20

    なにっ

  • 59EDF26/04/02(木) 21:15:13

    「な……ッ!? 誰だ! どこからハッキングを……!」

    アマデアは弾かれたように立ち上がるが、扉はロックされている。スピーカーからではなく、自慢のAIドローンの基盤を経由して、何者かが彼女の生体ネットワークに直接干渉していた。


    『我々は、視ている。お前の抱える、その惨めな飢えを……血と臓物の輪に混ざれず、同位体だったはずの少女に置いていかれた、その寂寥を』

    「や、やめろ……! ワタシの、ワタシの思考を勝手に覗くなッ!」

    『恐れることはない。我々はアンカー。お前たちに絶望を、そしてこの星に新たな秩序をもたらす者』


    青白い光が、アマデアの影を壁に長く引き伸ばす。

    『お前は賢い。無益に命を散らす愚者たちとは違う。だからこそ、お前を「伝令(メッセンジャー)」として選ぼう……我々の言葉を紡ぐ、ただ一つの旧時代の知性として』


    「メッセンジャー……? どういう……?」

    アマデアの瞳孔が揺れる。


    『——開け。お前のその泥濘んだ虚無を、我々が満たしてやろう』

    抗う気力は、既に残されていなかった。

    青白い光がアマデアのグラマラスな肉体を包み込むと、彼女の瞳からスッと感情の色が抜け落ち、ガラス玉のような無機質なものへと変貌した。

  • 60EDF26/04/02(木) 21:16:58

    翌朝。

    EDF極東基地、兵器開発区画のメイン通路。


    シュネー・ヴァイスベルグは、片手でタイタンの装甲修復データを確認しながら、足早に歩を進めていた。

    彼女の脳裏には、死んでいった者たちの顔が焼き付いている。立ち止まる暇はない。少しでも早く、次のアンカーの理不尽に対抗する計算式を組み上げなければならない。


    「……シュネー・ヴァイスベルグ」

    背後から、不意に声が掛かった。

    「ん? なんだい、アマデア……」

    振り返ったシュネーは、いつものように「このアマデア様が〜」と大仰なポーズで絡んでくるであろうライバルの姿を予期していた。

    だが、そこに立っていたアマデアの様子は、決定的に何かが狂っていた。


    「アマデア……? キミ、顔色が……」

    アマデアは、直立不動のまま、一切の瞬きをしていなかった。

    口角だけが、定規で測ったように完璧な左右対称の弧を描き、張り付いたような笑みを作っている。それは、彼女が開発するどんなアンドロイドよりも「機械的」で、悍ましい無表情だった。


    「どうしたんだい? 気分でも悪いのか——」

    シュネーが歩み寄ろうとした瞬間。

    アマデアの口が、彼女自身の声帯を使いながら、全く別の「何か」の抑揚で動き始めた。

  • 61二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:17:47

    れんちょん…何やってんねん!?

  • 62二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:18:16

    にゃんぱすー……?

  • 63EDF26/04/02(木) 21:18:55

    「──『裏路地の夜』を越えよ」

    「……は?」

    シュネーの足が止まる。


    「──そして、『アルマゲドン』を耐え抜いてみせよ」

    アマデアの瞳孔が開いたまま、虚空を見つめて言葉を紡ぐ。それは会話ではなく、ただ再生されるだけの冷酷な音声データだった。


    「アマデア、キミ……何を言っているんだ。一体、何と繋がって……」

    シュネーは背筋に氷をねじ込まれたような悪寒を覚え、無意識に腰のナイフへ手を伸ばした。

    天才少女の直感が、目の前の存在が既に「アマデア・ウォルファ」ではないことを警告していた。


    アマデアの形をしたスピーカーは、首をコキリと不自然な角度に傾け、最も深い絶望をシュネーへと宣告した。


    「それらを乗り越えたならば……我らの『神にして新たなる真の怒り』が目覚め……『怒りの日』が、訪れる」

  • 64二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:19:21

    あわわおまえはあにまん掲示板の顔

  • 65二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:19:57

    (ねぇこれって掲示板じゃない本家のあにま…)

  • 66EDF26/04/02(木) 21:21:06

    ドクンッ、と。

    シュネーの心臓が、恐怖で激しく跳ねた。


    『怒りの日』。

    それはかつて、鈴木一郎が散る間際、敵の精神から読み取って姫次に遺した、最悪の警告(キーワード)。


    その言葉が、今、完全に心を乗っ取られたかつてのライバルの口から、EDFへの直接的な宣戦布告として突きつけられたのだ。



    「……貴様ら、アマデアに取り憑いたのかッ!」

    シュネーがナイフを引き抜き、殺意を込めて睨みつける。


    だが次の瞬間、アマデアの全身から不気味な気配がスッと抜け落ちた。


    「……はっ!? あ、あれ……?」

    アマデアは何度も瞬きをし、突然ナイフを構えているシュネーを見て、ビクッと肩を揺らした。


    「な、なんだねシュネー! 突然刃物を向けるなど、私の美貌に嫉妬したとでも言うのかね!?」

    いつも通りの、うるさくて見栄っ張りなアマデアの声。

    自分が今、アンカーの端末として何を喋っていたのか、彼女には一切の記憶がないようだった。

  • 67EDF26/04/02(木) 21:22:30

    「……アマデア、キミ……今、自分が何を言ったか……」

    シュネーはナイフを下ろし、震える声で尋ねるが、アマデアは怪訝な顔をするだけだった。


    (……アンカーは、人間の精神の隙間すらも利用してくるのか……)


    シュネーは、無自覚なまま敵の「伝達者」にされてしまったかつてのライバルを見つめながら、絶望的な重圧に唇を噛み締めた。


    『裏路地の夜』。

    そして、『アルマゲドン』。

    『神にして新たなる真の怒り』。


    それが何を意味するのかは分からない。だが、アンカーがわざわざ精神を乗っ取ってまで予告してきた以上、これまでの機械獣や巨大竜すらも前座に過ぎない、徹底的な蹂躙が約束されていることだけは確かだった。


    日常の裏側に潜む絶対的な恐怖が、再び人類の喉元へと冷たい刃を突き立てていた。

  • 68EDF26/04/02(木) 21:24:31

    ここからすぐ掃除屋戦に行くか、最後の休息として何か日常描写挟んだ方がいいか教えてくれよ

  • 69二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:25:38

    退場ッしたキャラの幕間とか欲しいっちゃ欲しいけどそろそろAIバーストしそうで怖いのが俺なんだよね

  • 70二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 21:26:00

    あわわワシの安価した敵が今までと別格扱いされることになった
    あっ最後の休息をお願いするでやんす

  • 71EDF26/04/02(木) 21:28:19

    >>69

    バーストしそう?

    一部自筆で誤魔化してるけど、既に2回切り替えてる、と言うてくれや


    じゃあ直近の退場者の過去幕間や現在の生き残りの最後の休息をやるのん


    悪いけどちょっと待ってね、今からネタ帳引っ張ってきてAIに書いてもらうから…

  • 72EDF26/04/02(木) 22:12:37

    EDF極東基地、兵装メンテナンス区画。

    油と金属の匂いが漂う薄暗いガレージの片隅で、紫色の髪を揺らす異星人の少女、It-Z(イッツ)は、ご機嫌な鼻歌を歌いながら工具を弄っていた。


    「よーし、このミサイルポッドの接合部、マージでピカピカにしてやるんだからー!」

    彼女が手入れをしているのは、彼女自身の装備ではない。

    パイプ椅子にふんぞり返る異形の怪人——GOD悪人軍団の改造人間、ヒトデヒットラーの背部ミサイルユニットだった。


    「フハハハッ! 念入りに磨くのだぞ、異星人の小娘! 地獄の独裁者たる我輩の武装は、常に威厳に満ちていなければならんからな!」

    ヒトデヒットラーは腕組みをし、傲慢な態度で言い放つ。

    「我輩がこのくだらんエイリアン共を駆逐した暁には、貴様を我輩の専属メカニックとしてGOD悪人軍団に迎え入れてやってもよいぞ!」

    「あははっ! 何それウケるー! じゃあお給料、弾んでよね、総統サマ!」

    イッツは長い尻尾をパタパタと揺らしながら、全く物怖じすることなく怪人の装甲を布で磨き上げる。彼女にとって、見た目がヒトデだろうが悪の組織の首領だろうが、共に基地で暮らす「仲間」に違いはなかった。


    「……フンッ。くだらん。悪の怪人が地球を守るなどと、笑い話にもならん」

    その和やかな空気を、鼻で笑って切り捨てた男がいた。

    ガレージの入り口に腕組みをして寄りかかっていた、句楽兼人だ。

  • 73EDF26/04/02(木) 22:15:50

    「おれは『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』だ。絶対的な正義であるこのおれからすれば、アンカーも、そこの不気味なヒトデも、等しく制裁を下すべき『悪』に過ぎない。エイリアンの次はキサマだ、ヒットラー」

    句楽は己の超人細胞への絶対的な自信から、見下すような視線を二人に送った。


    「なんだと!? 貴様、我輩を愚弄するかッ!」

    ヒトデヒットラーが椅子から立ち上がり、威圧的に触手をうねらせる。

    「単なる人体実験のモルモット風情が、正義のヒーローを気取るとは片腹痛いわ! 我輩のミサイルで、その減らず口ごと消し飛ばしてやろうか!」

    「やれるものならやってみろ。おれの細胞はミサイルなど痛くも痒くもないぞ」

    句楽が顎をしゃくり、好戦的な笑みを浮かべる。


    一触即発。悪の独裁者と独善的な超人の、極めて厄介な個性のぶつかり合い。

    だが、その間にヒョイッと割り込んだのは、油まみれのスパナを持った小柄なエイリアンの少女だった。


    「はいはいはーい! ストップ、ストッープ! ガレージでの喧嘩はご法度だからね!」

  • 74二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 22:16:39

    もう二度と活躍を見れないキャラ同士の掛け合いはやっぱいつ見ても悲哀を感じますね…

  • 75EDF26/04/02(木) 22:18:59

    「どきたまえ、宇宙人。おれがそのヒトデを——」

    「あーっ! 句楽おじさん、服の袖、めっちゃ破けてるじゃん!」

    イッツは句楽の言葉を完全に遮り、彼の腕をグイッと引っ張った。

    「……な、なんだと!?」

    「いくら体が頑丈でもさ、服までウルトラ・スーパー・デラックスなわけじゃないっしょ? ほら、ここ。前の部隊の戦闘で引っ掛けたんでしょ。ヒーローがそんなボロボロの服じゃ、全然イケてないよー!」

    句楽はあっけに取られ、毒気を抜かれたように黙り込んだ。

    彼がどれほど「自分は超人だ」「絶対の正義だ」と叫んだところで、イッツにとっては『服が破けたままの、ちょっと見栄っ張りなおじさん』でしかなかったのだ。


    「……フンッ。お、おれの肉体が完璧であれば、衣服など些末な問題だ」

    句楽が気まずそうに視線を逸らす。


    「ダメダメ! おしゃれは足元、いや、袖元から! ちょっと貸して! 総統サマのミサイル磨き終わったら、私がワッペンかなんかで可愛く繕ってあげるから!」

    イッツは満面の笑みで言い放ち、手際よくヒトデヒットラーの装甲の仕上げに取り掛かった。

  • 76EDF26/04/02(木) 22:23:02

    「……ふん。まぁ、貴様のような軟弱な小娘に免じて、今日のところは矛を収めてやろう」

    ヒトデヒットラーが、呆れたようにため息をつきながらパイプ椅子に座り直す。

    「だが勘違いするなよ。我輩は地球を守る気など毛頭ない。この星は、我輩が征服するために存在するのだからな。貴様らが死にかけようと、地球を守るのに必要な道具が壊れようと、吾輩が庇ったりなどすることは絶対にない」

    「はいはい、わかってるってば。世界征服の前に、まずはアンカーを全滅させなきゃね!」

    イッツは、キュッキュッと音を立てて怪人の装甲を磨きながら、明るく笑う。


    「……全滅、か」



    句楽が、壁に背を預けたまま、ふと呟いた。

    「おれ一人でも十分だが……まぁ、足手まといにならない程度には、お前たちもせいぜい生き残るんだな」

    それは彼なりの、ひどく不器用で上から目線な「死ぬなよ」という言葉だった。


    「当然だ。我輩は地獄の独裁者だぞ? こんなところで死ぬわけがなかろう」

    ヒトデヒットラーもまた、自信満々に鼻を鳴らした。


    「マージで二人とも素直じゃないんだからー!」

    イッツはケラケラと笑い声を上げながら、二人の間を行ったり来たりしている。

    故郷と家族を失った彼女にとって、この不器用でエゴにまみれた、だが確かに同じ地球のために戦っている男たちとの時間は、かけがえのない「新しい日常」になりつつあった。

  • 77EDF26/04/02(木) 22:24:41

    「みんなで生き残って、戦争が終わったらさ! ヒトデのおじさんと句楽おじさん、私がマージで最高にイケてる服、コーディネートしてあげるからね! 絶対だよ!」

    紫色の髪を揺らしながら、底抜けに明るい笑顔で約束を交わす少女。


    「フハハハッ、我輩に似合う軍服を作れるならな!あと総統サマと呼べ!」と笑う悪の化身。

    「おれに似合うのはUSDと書いてある正義のスーツだけだぞ」と不器用に顔を背ける超人。

    油の匂いが漂うガレージに、三人のたわいない笑い声が響いていた。

  • 78二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 22:27:31

    ……哀

  • 79EDF26/04/02(木) 22:28:21

    (あれ、ひょっとしてイッツって滅茶苦茶良いキャラしてたのでは…?)


    EDF極東基地、第4武器庫。

    激戦の合間の静寂の中、ガンオイルの匂いと、金属を規則正しく磨き上げる微かな摩擦音だけが響いていた。


    「……ハッ。極東の整備班も悪くねェが、やっぱり俺の『バルカン』の機嫌は、俺にしかわからねェからな」

    筋骨隆々の黒人マフィア、バルカン・ボビーが、愛機である巨大なM134——彼がバルカンと呼んでやまない重機関銃の銃身を、愛おしそうにウエスで磨き上げていた。

    彼の太い指は、粗暴な見た目に反して驚くほど繊細に、緻密なガトリングの駆動部を調整していく。


    「6つの銃身から、1分間に数千発の7.62ミリ弾をバラ撒く。この圧倒的な破壊の快楽……たまらねェだろうが。お前もそう思わねェか、ヤクザのおっさん?」

    ボビーがニヤリと笑いながら視線を向けた先。

    向かいのパイプ椅子に腰掛けていたのは、和彫りの刺青を覗かせたヤクザの男、姫次だった。


    「……フン。弾の数なんぞで、極楽浄土の扉は開かねェよ」

    姫次は、ボビーのガトリングには目もくれず、自らの刀に打ち粉を打ち、静かに古い布で拭っていた。

    彼の左腕——岩をも砕き、伸縮自在の刃を仕込んだ無骨な『機械の義手』が、微かな駆動音を立てながら刀の柄を確かめるように握り直す。

  • 80EDF26/04/02(木) 22:30:38

    姫次は、ボビーのガトリングには目もくれず、自らの刀に打ち粉を打ち、静かに古い布で拭っていた。

    彼の左腕——岩をも砕き、伸縮自在の刃を仕込んだ無骨な『機械の義手』が、微かな駆動音を立てながら刀の柄を確かめるように握り直す。


    「一瞬の瞬きの中で、斬るか、斬られるか。弾丸すらも両断するそのヒリヒリとした境界線にこそ、真の救いがあんのさ」

    姫次は刀を鞘に納め、チッと舌を鳴らした。

    「だが……俺のこの体は無駄に頑丈にできやがって、腹をかっさばかれようが雷に打たれようが、ちっとも死.ねやしねェ。……お迎えが来るのは、いつになることやら」

    「ヒャハハハッ! 相変わらずだな! お前、いっつも死にたがってるよなァ」

    ボビーが、腹を抱えて豪快に笑う。

    「ジャパニーズ・ヤクザってのはそんなに死に急ぐもんか? 俺なんか、このバルカンをぶっ放すのが楽しくて楽しくて、死んでる暇もねェぜ」

  • 81二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 22:32:27
  • 82EDF26/04/02(木) 22:33:14

    「……笑いたきゃ笑え。俺は、オフクロと同じところに行きてェだけだ」

    姫次は、胸ポケットから煙草を取り出し、義手の指先で器用に火を点けた。紫煙が、薄暗い武器庫の天井へと吸い込まれていく。

    「オフクロを癌の苦しみから救ってやったのも俺だ。だから、極楽浄土で再会して、ケジメをつけなきゃならねェ。……それには、生半可なバケモノじゃ俺を殺しきれねェってだけの話さ」

    その言葉を聞いたボビーは、ガトリングを磨く手を止め、少しだけ真顔になった。


    粗野でアホの子のように見える彼だが、マフィアとして修羅場を潜り抜けてきただけの「相手の本質を見抜く」勘は持ち合わせている。


    姫次の言葉が、単なる破滅願望や狂気ではなく、彼なりの不器用な『愛情』と『極道としての筋通し』であることに、ボビーは気づいていた。


    「……あいつら(エイリアン)、すげぇよな。とんでもねェデカブツや、理不尽なバケモノがゴロゴロいやがる」

    ボビーは再びウエスを手に取り、ガトリングの銃口を丁寧に拭い始めた。


    「ま、お前がいつ極楽浄土とやらに辿り着けるかは知らねェがよ。それまでは、この俺のバルカンがお前の背中をカバーしてやるよ。俺の射線に出たら、まとめて蜂の巣にしてやるから、生きてたいんだったら俺の前に立つなよ」

  • 83EDF26/04/02(木) 22:37:26

    「……ふん。俺にはもう、自分が生きていたいと思える瞬間なんてやってきやしねぇさ」

    姫次は鼻で笑いながらも、その口元には微かな笑みが浮かんでいた。


    「だが、せいぜい派手に弾丸ブチ撒けて、俺の死に場所を盛り上げてくれや。期待してるぜ、バルカン・ボビー」

    「おうよ! 任せとけってんだ!」

    マフィアのガトリングと、ヤクザの刀。

    国籍も、得物も、死生観も全く異なる二人だったが、彼らの間には確かに、裏社会で血と硝煙を浴びてきた者同士にしか分からない、心地よい静寂と奇妙な連帯感が漂っていた。


    この数日後。

    彼らが逃げ場のない『立体球状の檻(帝竜ジゴワット戦)』の中で、共にEDFの仲間たちを護るための「肉の盾」となり、壮絶な死を遂げることを……この時の二人は、まだ知らない。

  • 84二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 22:46:28

    無情やのォ……ですねェ……

  • 85EDF26/04/02(木) 22:52:41

    (死のうと思ってた男が「生きる」意思を固めた直後に死ぬってそんなんアリ?)


    EDF極東基地、深夜のオペレーター用休憩室。

    激戦を終え、ようやくシフトを交代した若葉睦は、薄暗い部屋の窓辺に置かれたソファに深く腰を沈めていた。


    彼女の両手には、自動販売機で買ったばかりの、甘くて温かい紙コップのホットミルクが握られている。

    コップから立ち上る湯気が、冷え切っていた彼女の顔を優しく撫でた。


    「……ふぅ」

    静かな吐息が漏れる。

    窓の外には、これまでの激戦が嘘のような、透き通った夜空が広がっていた。仲間たちの活躍によって守られた、美しい星空だ。


    (……綺麗だね、睦ちゃん)

    ふと、脳裏に声が響いた。

    もう一人の自分。過酷な戦場のストレスと恐怖を肩代わりするために生まれた、明るくて少し狂った道化師の人格、「モーティス」。

    いつもなら、パニックになりそうな時に強引に表に出てくる彼女の声が、今はひどく穏やかで、隣に座る友人のように優しかった。


    「……うん。綺麗だね、モーティス」

    睦は、紙コップに口をつけながら、心の中でゆっくりと返事をした。


    少し前まで、睦はこの「モーティス」という人格を、どこか不気味で、自分であって自分ではない異物のように感じていた。

    戦場で人が死ぬたびに、悲しみを麻痺させてヘラヘラと笑う彼女が怖かった。

    でも、あのパペットスンスンとの別れを経て、睦は気づいたのだ。


    モーティスもまた、必死に皆を——そして「若葉睦」という一人の壊れそうな少女の心を守ろうとしてくれている、大切な『盾』なのだと。

  • 86EDF26/04/02(木) 22:54:51

    (……ねえ、睦ちゃん。私、スンスンくんみたいに、上手にお仕事できてるかな? みんなのこと、ちゃんと笑顔にできてるかな?)

    モーティスの声には、ほんの少しだけ、不安げな響きが混じっていた。


    睦は小さく微笑み、夜空に瞬く星を見上げた。


    「……できてるよ。モーティスがいなかったら、私、とっくに通信席で泣き崩れてた。あなたが明るく振る舞ってくれるから、皆も、私も、前を向けるんだよ」

    (そっかぁ……。えへへ、よかったっ)

    いつもの調子を取り戻したモーティスが、心の中で嬉しそうに笑うのを感じて、睦の口元にも自然と柔らかな笑みが浮かんだ。


    「私は……安全な場所で、モニターを見てるだけ。みんなが傷ついて、死んでいくのを、ただ数字と光の点として報告するだけ……。私には、何もできない。……ズルいよ、私」

    ポツリと零した本音。自己嫌悪。

    そんな彼女の心を包み込むように、脳内のモーティスが優しく語りかける。

  • 87EDF26/04/02(木) 22:56:47

    (ズルくないよ。睦ちゃんがずっと起きて、ずっとモニターを見ててくれるから……みんな、暗闇の中でも迷わずに戦えるんだよ)

    「……」

    (それにね、誰もいなくなった戦場で……最後に「ありがとう」って覚えててくれる人がいるだけで、きっと、すごく救われるはずだから)

    モーティスの言葉に、睦は少しだけ目を伏せ、フェルトの切れ端を優しく撫でた。


    (……うん)

    冷酷な司令官のラスタルは、犠牲を「妥当な結果」としか呼ばない。

    だからこそ、せめて自分だけは、彼らが確かに生きて、戦って、命を散らしたことを、血の通った「痛み」として覚えていなければならない。それが、オペレーターである若葉睦にできる、唯一の戦いなのだから。


    (……ありがとう、モーティス)

    睦は、誰もいない部屋で、小さく、けれど確かに微笑んだ。

    それは、狂気を孕んだオペレーターとしての作り笑いではなく、若葉睦という一人の少女の、年相応の穏やかな笑顔だった。


    マグカップのココアを飲み干し、彼女は小さく伸びをする。

    いつか、この地球からすべての赤い光点が消え去る日まで。彼女はモニターの前から逃げない。

  • 88EDF26/04/02(木) 22:58:29

    (いつかさ)

    モーティスが、ふと真面目なトーンで落とす。

    (私と睦ちゃんも、スンスン君みたいに……「誰かのため」に、完璧な役を演じきる時が来るのかな……私たちが、操り人形と道化が、舞台の上で、一つの存在になる時が)

    「……来る、かもね」

    否定はしなかった。

    この理不尽な絶望の連鎖の中で、自分という希薄な存在が何を残せるのか。

    もし、自分の命をチップにして、誰かを救うという「ヒーロー」の役が回ってきたとしたら。その時初めて、睦とモーティスは分離した自我を統合し、一つの美しい虚像として完成するのではないか。


    「……少しだけ、寝ようかな」

    睦はフェルトの切れ端を胸のポケットに大切にしまい込むと、仮眠をとるために椅子に深く背中を預け、静かに目を閉じた。


    ノイズの止んだ夜。

    今はただ、緑色の優しい光だけが、眠りについた少女の横顔を照らしていた。


    悲しい別れはたくさんあった。これからも、きっとある。

    それでも、この静かで平和な夜空がある限り、戦う意味はあるのだと思えた。

  • 89二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 23:02:44

    ちなみに次戦う掃除屋はこの静かで平和な夜の雰囲気をぶち壊しにするらしいよ

  • 90EDF26/04/02(木) 23:05:01

    【最後の休息。そして現在へ】


    EDF極東基地、地下の共有ラウンジ。

    かつては多くの隊員たちで騒がしかったその場所は、あまりにも多くの命が失われたことで、ひどく広々とした、寒々しい空間へと変わっていた。


    「……はぁ。なんで天才ハッカーのボクが、こんな物理的な配線作業をやらなきゃならないんだ」

    油とススで汚れたリスの着ぐるみを着たまま、クルミが気怠げな声でため息をついた。

    彼女の手には、装甲の剥がれた小型ドローンと、不格好なハンダごてが握られている。


    「イッツの奴……メカニックの仕事、全部ボクに押し付けて死にやがって……本当に、バカな奴だ」

    クルミは、ドロドロに溶けて死んでいった底抜けに明るい異星人の少女を思い出し、悪態をつくように目を伏せた。


    「フン。物理的な労働など、進化から取り残された人々のやることだね」

    そこへがら、ゴームズが何か企画書のようなものを持ったゴームズが歩み寄ってきた。


    「この僕の頭脳と、それを実現するEDFの科学力があれば、次なる敵など恐れることはない!見てみたまえ、開発部に作らせたこの新兵器の設計図を! これさえあれば――」

    「はいはい、おっさんの自慢話は後にして。その無駄に伸びる腕で、そこのドライバー取ってよ」

    クルミが冷たくあしらうと、ゴームズはため息をつきながらも、ゴムのように腕を伸ばして工具を渡してやった。

  • 91二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 23:09:05

    このレスは削除されています

  • 92二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 23:09:55

    新兵器を作れゴームズ…!
    お前はEDFを守る矛と盾を作る金床になるんだ…!

  • 93EDF26/04/02(木) 23:10:08

    少し離れたテーブルでは、不器用な男がまた一つ、悲劇を起こしていた。


    「あ……っ。ま、またやってしまいました……」

    氷川誠が、自身のガトリングガンの給弾ベルトを直そうとして、逆に接続部の金具を力任せにへし折ってしまったのだ。


    「氷川殿、気になさるな。誰にでも不得手はある……貸してください、私がやろう」

    ヤイバが刀を置き、手慣れた様子で修理を手伝う。


    「それにしても……あちらで紅茶を淹れているナギサ殿の可憐な横顔、そして島風殿の健康的な太もも……はっ! いかん、今は亡き者たちのために祈りを捧げるべき時に、私は何を……っ!」

    「ヤイバ、また悶えてるの……? いつも何にそんなに悩んでるの?」

    島風が、呆れたように笑いながら、熱い紅茶の入ったカップを受け取る。


    「皆様、どうぞ……少しでも、お体が温まれば」

    背中の翼に痛々しい包帯を巻いた桐藤ナギサが、丁寧なお辞儀と共にティーカップを配って回っていた。


    彼女の瞳にはまだ深い悲しみが沈んでいるが、それでもミカや、自分を庇って死んでいった者たちのために「日常」を保とうと、必死に気丈に振る舞っている。


    「ありがとうございます。ナギサさんの淹れる紅茶は、戦いで荒れた心に沁みわたりますね」

    宮沢静虎が、スーツの血汚れを拭いながら、温厚な笑みを浮かべてカップを受け取った。


    「すまん……本当にすまん……こんな茶を飲む資格は私には……」

    部屋の隅で、ヤクザ天狗がテングオメーンを外さないまま、懺悔のように呟きながら茶を啜っている。

  • 94EDF26/04/02(木) 23:15:10

    「おいおい天狗さんよ、湿っぽい声出すんじゃねーよ、せっかくの紅茶が美味くなくなる……と、言いたいところだが」

    怜慈が紅茶のカップを置いて、自分の手を見つめる。


    「ヒトデヒットラー、姫次、ボビー、イッツ、句楽、睦……あいつらが置いていった怒りも、無念も。全部俺が預かってる。だが、たまに……どうしようもなく、重く感じる時があるぜ」

    飄々とした態度の裏に隠された、責任の重圧。


    彼の対面に座っていたオメラスが、頭部の『蜘蛛』から鎮痛剤を投与しながら、静かに目を閉じた。


    「……重くて当然だ。俺たちは、彼らが引き受けてくれた苦痛の残滓を啜って生き延びているに過ぎない」

    オメラスの哲学的な、しかし血の通った声が響く。


    「だが、その重さを手放せば、兵士はただの殺戮機械に成り下がる。だから俺たちは痛みを識り、理不尽を憎む。

    どれだけ苦しい現実でも、逃げ先である幻想を殺して突き進む……それだけが、お前たちが人間であり、俺が動物と人間のハーフ、ヒューマンジーである証明だ」

    「幻想を、殺すね……へっ。堅苦しい『人間』だぜ、お前は」

    怜慈がレーザーブレードの電源を落とし、窓の外を見やった。

  • 95EDF26/04/02(木) 23:18:16

    その光景を、少し離れた場所から見つめている者がいた。

    アマデア・ウォルファだ。


    (……フン。どいつもこいつ、泥臭くて見ていられないね)

    彼女は、腕を組みながら尊大な態度を装っていたが、その実、内心は酷い孤独感に苛まれていた。


    彼らの間には、死線を共に潜り抜けた者だけが持つ、目に見えない絶対的な「絆」がある。

    安全な研究室から引きずり出され、先日アンカーの「メッセンジャー」として精神をハッキングされたアマデアは、自分がこの空間で完全に浮き上がっていることを自覚していた。


    「……アマデア。何突っ立ってんの」

    不意に、クルミが声をかけてきた。

    「アンタのその無駄に高いAI技術で、このドローンの演算領域、最適化できない? ボクのハッキング速度に追いついてこないんだ」

    「……はっ! この私に助けを求めるとは、ようやく自分の凡庸さに気づいたようだねぇ!」

    アマデアは、ビクッと肩を揺らした後、いつもの高圧的な声でクルミの隣に座った。


    「よかろう! 天才科学者アマデア・ウォルファ様の完璧なプログラミングを見せてやろうじゃないか。シュネーの時代遅れの射撃理論など、私のAIの足元にも及ばないことを証明して――」

    「声が大きい。パパッとやってよ。……でも、助かる」

    クルミは、うるさそうにリスの耳を塞ぎながらも、少しだけ口角を上げた。

  • 96EDF26/04/02(木) 23:20:35

    「フ、フンッ……当然だとも」

    アマデアは、クルミからタブレットを受け取り、カタカタとコードを打ち込み始める。

    ほんの少しだけ、自分が「必要とされている」という事実が、彼女の冷え切った心を温めた。


    (……なんだ、アマデアの奴。案外元気そうじゃないか)

    少し離れた席で作戦図を見つめていたシュネーは、クルミと軽口を叩き合うアマデアを見て、ホッと息を吐いた。


    先日、アンカーに乗っ取られて不吉な言葉を吐いた時はどうなることかと思ったが、こうしていつも通りに大口を叩いているなら、まだ精神は持ち直しているのだろう。




    戦いの合間に訪れた、コーヒーと機械油の匂いが混ざる、つかの間の平和。

    傷を舐め合い、互いの体温を確かめ合うような、ささやかで尊い日常の風景。



    後になって思えば。


    この時が彼らにとって、最後の休息の時間だったのかもしれない。

  • 97EDF26/04/02(木) 23:23:31

    なんか思ったより時間かかったので一旦休憩っ!
    やはりサッカーと被るとワシ自身もしょっちゅう浮気するしで時間かかるのぉ。

    風呂入って眠気に負けなければ掃除屋戦だけはやっちゃいたい伝タフ~

  • 98二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 23:25:41

    このレスは削除されています

  • 99二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 23:26:02

    アマデア……(愛)

  • 100二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 23:26:51

    アマデアが爆弾化したことに嫌な予感を感じる……それがボクです
    もしかして昨日のダイスって、コレ(アンカーのメッセンジャー)の事なんじゃないっスか?

  • 101二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 23:29:04

    せっかくだから原作の掃除屋戦BGMを投下だあっ

    地獄巡りスレの原作だから興味があったらよろしくなあ

    Limbus Company OST - Intervallo V-2 Boss Battle Theme 1


  • 102二次元好きの匿名さん26/04/02(木) 23:29:30

    オツカレーッ 初期メンも少なくなってきたよねパパ

  • 103EDF26/04/03(金) 00:07:45

    00:30くらいから続けたい反面……絶対遅くなるという当たり前の思いにも駆られるっ!!

  • 104二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 00:16:28

    まあええやん…原作通り裏路地の夜に突入してもいいと思われるが…

  • 105EDF26/04/03(金) 00:39:12

    >>100

    そうだよ(笑)一応誰が来てもいいように大まかに考えてはいたよ(笑)



    「……本日の天候データ、異常なし。ただちに、広域スキャンの再構築を……」

    EDF極東基地の司令室。

    かつて若葉睦が座っていたメインコンソールの前に、見慣れないモブの女性オペレーターが座り、震える声でシステムを操作していた。


    彼女の顔には濃い疲労と恐怖が張り付いており、前任者がどのような凄惨な最期を遂げたかを知っているからこそ、その席に座ること自体が拷問のように見えた。


    「……無理もない。だが、ゆっくり仕事に慣れる時間は我々には残されていない」

    司令官ラスタル・エリオンが、無表情のまま冷徹に告げた。


    「第6の使徒を撃破し、我々は一つ山を越えた。だが、アンカーによる蹂躙は終わらない。アマデアの口を借りて敵が予告した『裏路地の夜』が、今夜、この極東エリア全域を覆い尽くす」

    モニターに、基地周辺の市街地を捉えた映像が映し出される。

    夕暮れ時。だが、太陽が沈むスピードが異常だった。まるで黒いインクを空に流し込んだかのような、物理法則を無視した「絶対的な闇」が、急速に街を飲み込み始めていた。

    「……ただの夜じゃない。レーダー波も、赤外線も、全てがこの闇に吸い込まれている」

    シュネー・ヴァイスベルグが、手元の端末を見つめながら眉をひそめる。


    「この絶対の闇の中で活動を始める、新たな敵性個体群——通称『掃除屋』だ」

    ラスタルが映像を切り替える。

    闇の中、街灯の僅かな光に照らされたソレは、不気味な特殊スーツを全身に纏い、背中には大きなタンクを背負っていた。外見は人間に近いが、どこか昆虫の外骨格を思わせる無機質さがある。

  • 106EDF26/04/03(金) 00:46:01

    「奴らの正体は、スーツの中に詰まった『未知の液体』だ。知性や言語を持たないと思われていたが、数字の羅列を発しながら、完璧に統率された群れで行動する厄介な集団だ」

    ラスタルが、さらに残酷なデータを読み上げる。


    「武器は、腕部に装備された鎌のようなフック。これを通じて、人間の体内に特殊な溶解液を注入し……対象を『液体燃料』へと変えて取り込む。奴らは死んだ仲間の液体や、貴様らの血肉を啜ることで、一瞬にして自己修復を行う」

    「……人を液体燃料に変えるだと? 趣味が悪いにも程がある」

    アマデア・ウォルファが、自らの腕を抱きしめるようにして呟く。彼女の顔色は異常なほど蒼白であり、時折、焦点の合わない目で虚空を見つめていた。


    「ふん。ただの液体の化け物とはね。なら、恐れることはない。僕……いや、吾輩……流石にしっくり来ないな。僕らの力ならね!フハハハハ!!」

    ゴームズが、襟を正しながら傲慢な笑みを浮かべた。

    彼は彼なりに最初期からのネタ枠(?)仲間の死を妬んでいるのか、たまに思い出したように卍型のアクセサリーを付けて傲慢な喋り方をするようになっていた。



    「……油断するなよ、ゴームズのおっさん。電子機器じゃないから、ジゴワットの砲台の時みたいにハッキングはできない。ドローン頼りのボクにとっては、あんまり戦いたくない相手だ」

    クルミが、ススで汚れたリスの着ぐるみのフードを目深に被り直しながら、気怠げに警告する。

  • 107EDF26/04/03(金) 00:50:30

    「貴様らの任務は、この『裏路地の夜』に突入し、夜が明けるまで生き延びることだ」

    ラスタルは、冷酷な目で生存者たちを見渡した。


    「掃除屋は、合計『3つの波(ウェーブ)』に分かれて襲来する。一つの波を凌げば、数分のインターバルがある……そして、3つの波を全て凌ぎきれば、奴らは住居以外の全てを綺麗さっぱりと『掃除』し、闇と共に消え去る」

    「つまり、倒し切る必要はねェってことか。逃げ回りながら、夜明けを待つ撤退戦……」

    弩城怜慈(ギャバン)が、血とススで汚れた拳を握りしめる。


    「ええ。ですが、絶対の暗闇の中で、互いを見失わずに三度も猛攻を耐え抜くのは……至難の業です」

    宮沢静虎が、静かにネクタイを締め直した。

  • 108EDF26/04/03(金) 00:51:46

    『ピーッ! ピーッ! ピーッ!』


    その時、司令室にけたたましい警報が鳴り響いた。

    モブのオペレーターが、悲鳴のような声を上げる。


    「し、司令! 基地外部のセンサーが、完全に沈黙! 『夜』が……来ましたッ!」

    メインモニターの映像が、完全にブラックアウトする。

    そして、通信機のノイズ越しに、無数の、ひどく無機質で、気味の悪い声が響き始めた。


    『……8213……』

    『……587……』

    『……279……』

    感情の一切ない数字の羅列。

    それは、彼らを解体し、燃料として啜り尽くす「掃除屋」たちが、すぐそこまで迫っていることを告げる死の足音だった。


    「各員、迎撃態勢を取れ。……決して、暗闇の中で孤立するな」

    ラスタルの冷徹な命令と共に。

    EDFの生存者たちは、文字通りの暗黒に包まれた市街地——『裏路地の夜』へと、足を踏み入れた。

  • 109二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 00:53:44

    終盤まで来てもゴームズは何考えてんのか分かんないですね…ガチでね…

  • 110EDF26/04/03(金) 00:54:33

    完全な「闇」だった。

    月明かりも、星の瞬きも、街灯の人工光すらも、目に見えない分厚いインクのような暗黒に飲み込まれている。

    ヘッドライトの光芒だけが、かろうじて数メートル先の崩壊したアスファルトを舐めるように照らし出していた。


    「……固まれ。互いの背中を見失うな」

    オメラスの重々しい声が、静寂の底に沈む。

    EDFの生存者たちは、円陣を組むようにして廃墟の市街地を慎重に進んでいた。


    『……587……』

    『……8213……』

    『……279……』

    不意に、闇の奥底から「それ」は聞こえてきた。

    感情の起伏が一切ない、無機質で平坦な数字の羅列。

    直後、ズリッ……ズリッ……と、重い金属をアスファルトに引きずる嫌な音が、四方八方から包み込むように響き始める。


    「来るよッ!」

    シュネーがライフルを構えた瞬間。


    闇の中から、無数の異形が姿を現した。

    特殊な防護スーツを身に纏い、背中には不気味なタンクを背負った人型の集団——『掃除屋』。

    彼らの手には、鋭く湾曲した凶悪なフックが握られていた。

    「先手必勝だよっ!」

    島風が『ドラグーンランス』を構え、闇を切り裂いて突撃する。

    超音速の刺突が、先頭の掃除屋の胴体を正確に貫いた。

  • 111EDF26/04/03(金) 00:57:49

    だが。

    「え……っ?」

    島風の槍が貫いたスーツの奥から溢れ出したのは、鮮血や臓物ではなく、どろりとした「未知の液体」だった。

    致命傷を与えたはずの掃除屋は、痛みを感じる素振りも見せず、そのまま巨大なフックを島風の首元へと振り下ろしてくる。


    「危ないッ!」

    氷川誠が横から飛び込み、『ディフレクト・シールド』でフックを弾き飛ばす。ガキィィンッ! と凄まじい火花が散った。


    「こいつら、中身が全部『液体』だ……! 物理的なダメージが通りにくい!」

    氷川が後退しながらガトリングを乱射するが、弾丸はスーツを貫通しても内部の液体を波立たせるだけで、致命打に至らない。


    「フハハハッ! 愚かな液体どもめ! 吾輩の、いや、この僕の完璧な頭脳の前では、その程度の小細工など無意味だ!」

    ゴームズが、後方から芝居がかった高笑いを上げながら前に出た。

    彼の手には、彼の体格には不釣り合いなほど巨大で、重厚なロケットランチャー型の兵器が握られている。

  • 112EDF26/04/03(金) 01:02:55

    「歩兵が携行できるスプライトフォール……開発部の無茶振りの結晶、『スパルタン・レーザー』の威力を味わいたまえ!」

    ゴームズが引き金を引いた瞬間。

    闇夜を真昼のように照らす、極太の超高出力レーザーが照射された。


    ズバァァァァァァァァァァァンッ!!!


    重戦車の装甲すら一瞬で貫通する絶大な光の奔流。

    直線上にいた数十体の掃除屋たちが、スーツごと内部の液体を沸騰させられ、文字通り一瞬で「蒸発」して消え去った。


    「……どうだい? この圧倒的なパワー!」

    「バカ野郎! お前、持久戦にそんなもん持ち出してくるんじゃねえよ!!」

    弩城怜慈が、レーザーの熱波に顔をしかめながらゴームズの胸ぐらを掴みかからんばかりに怒鳴りつけた。


    「そいつはフル充電で10発しか撃てねェ上に、現場じゃ再装填できねェ代物だろうが! これから朝まで耐えなきゃならねェんだぞ!?」


    「フン、凡人の浅知恵だね。ベガルタ3台分の予算を注ぎ込んだこの火力のデータが取れれば、安いものさ」

    ゴームズはどこ吹く風で、レーザーの砲身から上がる煙をうっとりと眺めている。


    (……それに、持久戦ならいざとなれば僕の「ゴムの肉体」でどうにでもなるのだからね。どこか狭い所に隠れていればいい)

  • 113二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:05:21

    ワシ…次に死ぬ奴が分かった気がするんやっ

  • 114二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:06:34

    募集兵器が出てきた!俺は嬉しいぜ!
    と思う反面、バグ以降見えなかったゴームズの畜生な面が見えて困惑する気持ちに駆られる…!

    あからさまな死亡フラグなんスけど…いいんスかこれ

  • 115二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:07:39

    頼むから長く使える設計に作り直せって思ったね

  • 116二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:09:14

    無茶振りに頑張って答えた結果なんだ、これでも最善を尽くした結果だと思った方がいい!

  • 117EDF26/04/03(金) 01:09:53

    だが、彼らの戦術的優位は、ほんの数秒しか持たなかった。

    『……279……114……』

    レーザーで半壊し、地面に液体を撒き散らして倒れた掃除屋たちの残骸。

    そこに、後続の掃除屋たちが群がり始めた。


    彼らは背中のタンクから伸びる管とフックを使い、地面にこぼれた「仲間の液体」をズズズッ……と無機質な音を立てて啜り上げた。


    みるみるうちに、後続の掃除屋たちのスーツが内側から膨らみ、損傷箇所が瞬時に自己修復されていく。

    「……嘘、だろう?」

    ヤイバが、コンバットショットガンを構えたまま絶句する。

    「同志の骸を啜って、回復しているというのか……っ!」


    「……だるいな。最悪だ」

    クルミが、リスの着ぐるみの下で舌打ちをした。

    彼女の指先はタブレットを激しく叩いているが、画面にはエラーコードが虚しく羅列されているだけだ。


    「こいつら、既存のどんな物体でもない。完全に未知の液体で駆動してる『スープの袋』だ。弱点の一つでも探ろうと思ったが、どうにもならない」

    電子戦の無力化。それは、凄腕ハッカーである彼女のアイデンティティが、この闇の中では完全に剥奪されたことを意味していた。


    「アマデア! アンタのAIドローンで、物理的なトラップの構築を急いでくれ!」

    クルミが声をかける。だが。


    「……え? あ、あぁ……私の天才的なAIだな……」

  • 118EDF26/04/03(金) 01:14:20

    アマデア・ウォルファは、虚ろな目で宙を見つめたまま、ガタガタと震えていた。

    彼女の耳には、周囲の戦闘音に混じって、あの『メッセンジャーになれ』と囁くアンカーの気味が悪いノイズが、未だにべったりと張り付いている。


    (……怖い。……嫌だ、私は死にたくないんだ……っ)

    かつての尊大な天才科学者は、極限の恐怖と精神的なハッキングの余波により、その場に釘付けになっていた。


    「アマデア? オイ、どうしたんだよ!」

    クルミが眉をひそめ、彼女の肩を揺さぶろうとしたその時。


    『……441……』

    前衛の制圧射撃を掻き潜り、一匹の掃除屋がクルミとアマデアの死角へと静かに潜り込んでいた。

    闇の中で鈍く光る凶悪なフックが、無防備な二人の背後へと振り上げられる。


    「……危ない!!」

    宮沢静虎は鋭い警告を響かせ、自らの近くの掃除屋を蹴り飛ばして牽制する。


    「くっ……ボーっとしてんじゃない!こっちに来るんだ、アマデア!!一旦退避して、後で本隊と合流だ!」

  • 119EDF26/04/03(金) 01:20:28

    第一の波(Wave 1)をなんとか退け、訪れた数分間のインターバル。

    だが、それは安息ではなく、次に訪れる確実な死へのカウントダウンに過ぎなかった。


    「……ハァ、ハァ……っ」

    激しい戦闘の余波と、視界を奪う絶対の暗闇により、EDFの陣形は分断を余儀なくされていた。

    崩落したビルの裏路地。本隊からはぐれる形となったアマデアとクルミは、瓦礫の陰で息を殺していた。


    「……マズいな。孤立した。連絡も取れない」

    クルミは気怠げな声を作ろうとしていたが、その小さな肩は荒い呼吸と共に上下している。頼みの綱であるハッキングが通じない物理的なバケモノを前に、彼女はただの無力な少女に過ぎなかった。


    「あ、アマデア……アンタのドローンで、本隊へビーコンを……」

    クルミが振り返る。


    だが、アマデアは壁に背を預けたまま、ガチガチと歯の根を鳴らして震えていた。


    (怖い……嫌だ。私が、天才である私が、こんな名もなき泥の中で死ぬなんて……!)

    恐怖と、アンカーに精神をハッキングされた後遺症が、彼女の冷静な思考を完全に麻痺させていた。


    『……8213……』

    その時、頭上の瓦礫から不気味な数字の羅列が降ってきた。

    見上げれば、数体の「掃除屋」たちが、昆虫のように壁面を這い下りてきている。第二の波(Wave 2)の奇襲だった。


    「ッ! 来たぞ!」

    クルミが咄嗟にハンドガンを構える。

  • 120EDF26/04/03(金) 01:26:32

    その瞬間、彼女の脳内に、再びあの「声」が響いた。

    『……我々のメッセンジャーよ。お前は、護られている』

    『我々は視ている。伝達者を損なうな』

    「あ……」

    迫り来る掃除屋の凶悪なフックを前に、アマデアは半狂乱になりながらも、咄嗟にクルミの前に両手を広げて立ち塞がった。年下のシュネーをライバル視していたアマデアだが、流石にこんなに小さい子に守られているわけにはいかない。


    「や、やめたまえッ! こんな小さい子をっ!狙うなら、このワタシにしたまえ!!」

    虚勢。だが、それは彼女なりに年下の仲間を庇おうとした、必死の抵抗だった。

    だが、掃除屋たちの反応は、彼女の予想を根本から裏切るものだった。


    『……?000……?』

    振り下ろされようとしたフックが、空中でピタリと止まる。

    掃除屋たちは、首を傾げるような不気味な動作でアマデアを見つめると、まるで「道端の石ころ」でも避けるように、彼女の横をすり抜けたのだ。


    「……え?」

    アマデアが呆然と声を漏らす。


    掃除屋の群れは、アマデアを完全に『無視』した。

    そして、その奥で、アマデアを守るためにハンドガンを構えていたクルミへと、一切の躊躇なく殺到した。


    「なっ……!?」

  • 121二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:29:25

    (貴重なエアレイダーが早速死にそうで)怖いです

  • 122EDF26/04/03(金) 01:30:54

    アマデアが前に出て注意を引いてくれるなら、ハンドガンで倒して、ある程度は2人とも生きていられる自信がクルミにはあった。その間に本隊と合流できる確率も低くはない算段だった。

    実際アマデアも前に出てくれた。


    なのにそれが裏切られる形で、クルミにだけ掃除屋が殺到してきたのだ。

    銃口の向きを咄嗟に変えて、クルミが引き金を引くより早く。



    四方八方から伸びた無数のフックが、リスの着ぐるみごと、クルミの小さな四肢と腹部を深々と貫通した。

    「ガ、アァァァァァァッ!!?」

    肉と骨を乱暴に削り取るような音と共に、クルミの口から血の混じった絶叫が迸る。

    だが、真の地獄はここからだった。


    掃除屋たちは、フックの先端から特殊な『溶解液』を、着ぐるみの内部——クルミの肉体へ直接、大量に注入し始めたのだ。

  • 123EDF26/04/03(金) 01:33:39

    「あ、アガッ……! ぎ、ぃぃぃぃぃっ!?」


    内臓が、筋肉が、血管が、生きながらにしてドロドロに溶かされていく想像を絶する激痛。

    天才的な頭脳を持つ彼女の神経は、自分の脳髄から足の先までが「液体」へと変わっていく過程を、残酷なまでに鮮明に知覚させられていた。


    「ク、クルミ……ッ!?」

    アマデアが腰を抜かし、へたり込む。

    彼女を無視し、目の前の少女だけを解体していく異常な光景。


    「あ、アァァァァァァァァァッ!!? い、痛いッ!! 痛ぁぁぁぁぁッ!!」

    常に気怠げで、達観していた凄腕ハッカーの少女が、文字通り狂いもだえるような絶叫を上げた。

    着ぐるみの中で、凄惨な地獄が始まる。



    溶解液が血流に乗って全身を巡り、神経、筋肉、そして内臓が、生きたままドロドロのゼリー状へと溶かされていく。肉が沸騰し、骨がドロリと崩れ落ちる悍ましい音が、密閉された着ぐるみの中で反響する。


    やがて、特殊な繊維で作られた密閉性の高いリスの着ぐるみが、内部で溶け出した大量の血肉と溶解液の体積によって、まるで『巨大な赤い水風船』のようにタプタプと不気味に膨れ上がっていく。

  • 124二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:35:10

    グロすぎぃ~~
    今までのなかで一二を争う死にかたなんスけど…良いんスかこれ…

  • 125二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:36:12

    ロリ相手でも容赦なさすぎなんスけど…いいんスかこれ…

  • 126EDF26/04/03(金) 01:37:20

    「あ、が……あ……っ」


    激痛の中、限界まで膨れ上がった着ぐるみの中で、クルミは焦点の合わない目をアマデアへと向けた。


    なぜ、お前は無傷なのか。

    なぜ、化け物たちはお前だけを攻撃しなかったのか。


    その瞳に浮かんでいたのは、激痛による涙だけではない。

    自分たちを売った『裏切り者』を蔑むような、氷のように冷たく、絶望に満ちた視線だった。


    「ち、違う……! 私は、私は裏切ってなど……ッ!」

    アマデアが泣き叫び、手を伸ばそうとする。


    だが、間に合わない。

    クルミは最後に「……最悪、だ」と声にならない血の泡を吹きこぼし。そして。




    着ぐるみの隙間から、ドロドロに溶けた「クルミだった赤い液体」が溢れ出し、掃除屋たちの背負うタンクへとズズズッ……と音を立てて吸い上げられていく。


    ズブチュゥゥゥゥッ!!


    掃除屋たちが一斉にフックを引き抜いた瞬間。

    限界まで膨張していた赤い着ぐるみが弾け飛び、ドロドロの液体燃料と化した彼女の肉体が、裏路地の壁とアスファルトに凄惨にぶち撒けられた。

  • 127二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:38:15

    クルミの画像のエッチさと文章のグロさの落差がすごいんスけど…

  • 128二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:40:16

    あわわワシは確かに掃除屋を安価してあわよくば大量死で地獄がみれたら面白いってカス過ぎること思ってたけど一人の死をここまで凄惨な描写でしろとは言ってない

  • 129EDF26/04/03(金) 01:41:54

    (深夜テンションじゃないと投下できない、としか言えません)


    「あ……あああ……ぁぁぁぁぁぁっ!!」

    頭から生温かい赤い液体を被ったアマデアは、自らの髪をかきむしり、暗闇の中で発狂したような絶叫を上げた。

    彼女の足元には、完全に中身を啜り尽くされ、ペラペラになったリスの着ぐるみの残骸だけが、虚しく横たわっていた。

    『……587……』

    『……8213……』

    タンクを満たした掃除屋たちは、狂乱するアマデアを一瞥することすらなく、再び闇の中へと消えていく。

    アンカーの「メッセンジャー」である彼女だけを、生き地獄に残して。



    「……アマデア! クルミ!」

    絶叫を聞きつけ、シュネーと氷川が瓦礫の向こうから駆けつけてくる。


    だが、彼らがそこで目にしたのは、血の海の中でうずくまり、虚ろな目で笑い声を上げるかつての天才科学者と、無残な着ぐるみの残骸だけだった。


    「……クルミさん……?」

    氷川が、血だまりの中に落ちていたクルミのタブレットを拾い上げ、絶句する。


    「アハッ……アハハハッ……私が、私だけが、見逃されたんだ……!なんで、なんでぇええ……!」

    アマデアは、自らの両手についたクルミの肉の感触を見つめながら、大声で泣き始めた。


    だが、夜明けはまだ遠い。

    第三の波(Wave 3)——最後にして最大の物量による蹂躙が、すぐそこまで迫っていた。

  • 130二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:43:32

    あの…大量死の前回とは別ベクトルで地獄なんスけど…良いんスかこれ…

  • 131EDF26/04/03(金) 01:50:51

    「……狂ってる。アンカーの奴ら、アマデアだけを意図的に見逃したって言うのか……!」

    血だまりの中で発狂するアマデアを強引に引き摺り起こし、シュネーが忌々しげに吐き捨てる。


    だが、戦場の理不尽を呪う猶予すら、今の彼らには与えられていなかった。


    『……587……』

    『……8213……』

    『……000……』

    闇の奥底から、これまでとは比較にならない重低音の「数字」が響き渡る。

    アスファルトを削るフックの音が、まるで地鳴りのように四方八方から迫っていた。

    第三の波(Wave 3)——最後にして最大の、圧倒的な物量による蹂躙である。


    「……立て、アマデア! 狂ってる暇はないぞ!」

    「はは、ははっは……ごめんなぁ、クルミィ……」

    シュネーが、血だまりの中で嗤うアマデアの腕を乱暴に引っ張り上げて走り、本隊と合流する。




    「数が違いすぎるッ! ここじゃ防ぎきれねェ!」

    弩城怜慈がハンドキャノンを連射するが、撃ち抜かれた端から後続が死体を啜り、即座に修復して列を埋めていく。物理的な火力が意味を成さない、絶対的な徒労。

  • 132EDF26/04/03(金) 01:53:46

    「『夜』でも建物自体は変わっていないはず!この先に、かつての巨大生物襲来の後に作られた古い地下シェルター跡があります! もう反撃は限界です!扉を閉ざして、夜明けを待つしかありません!」

    宮沢静虎が、迫るフックを捌きながら退路を指し示す。


    「走れッ! 殿はオレたちが引き受ける!」

    「イヤーーーッ!!」

    オメラスがアサルトライフルを乱射し、ヤクザ天狗が二丁拳銃で牽制しながら、生存者たちは漆黒の廃墟を地下へと向かって駆け出した。


    息を乱し、転がるようにして辿り着いたシェルターの入り口。

    厚さ数十センチの強固な防爆扉が、重い口を開けて彼らを待っていた。



    「入ってください! 早く!」

    氷川誠が盾を構えて入り口を死守する中、島風やヤイバが次々とシェルター内へ滑り込む。最後にシュネーが、半ば廃人と化したアマデアを強引に押し込んだ。


    「よし、閉めるぞッ!」

    怜慈と氷川が防爆扉のハンドルに手をかけ、全力で押し込もうとする。

    だが、長年放置されていた扉のレールが歪んでおり、途中でガキッという鈍い音と共に完全に引っかかってしまった。


    「クソッ、動かねェ! レールが歪んでやがる!」

    「……マズい。奴らが来ます!」

    階段の上から、無数の金属フックを引きずる音が雪崩のように殺到してくるのが見えた。

    このままでは、開いた隙間から掃除屋が流れ込み、密室のシェルターは最悪の「スープ皿」と化す。

  • 133二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 01:56:52

    あかんやん

  • 134EDF26/04/03(金) 02:03:59

    その時。


    「……フン。シェルターなんぞ所詮は平時に安心を買うためだけのガラクタだ。結局のところ、最後に頼るべきは己というわけだね」

    ゴームズが、弾切れとなったスパルタン・レーザーの重い砲身を未練なく床に投げ捨て、扉の隙間へと歩み出た。


    彼は普段、自らの頭脳はともかくゴムの能力をひけらかすことはしない。だが、この極限状況下において、彼の体だけが、唯一の解決策だった。


    「僕の『ゴムの肉体』ならば、この程度の扉、強引に引き延ばして塞いでみせよう!」

    ゴームズは両腕を異常な長さにグンッと伸ばし、半開きの隔壁の縁を外側からガッチリと掴んだ。ゴムの圧倒的な張力と弾力を利用して、扉を引き下ろそうとする。


    「見よ! 単純な力ではないてこの原理!壊すことしか能のない馬鹿力たちとは違うのだよ!さぁ、朝が来たらあの液体をなんとか回収して研究だ!正直僕は人類自体はそれなりに生き残ってくれれば、あとは研究さえできればなんでも─」

    だが、彼の言葉は最後まで続かなかった。


    ズガシュッ!!


    「……あ?」

    隔壁の向こう側に群がっていた数十体の掃除屋たちが、ゴームズの「伸びきった両腕」に、一斉にフックを突き立てたのだ。

  • 135二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:05:42

    いやあああああああああああああ

  • 136EDF26/04/03(金) 02:06:49

    「な……にを……っ、痛ッ!?」


    通常の刃物なら弾き返すはずのゴムの肉体。しかし、掃除屋のフックは「切断」するのではなく、注射器のように深く突き刺さり、肉の内側へと食い込んだ。


    『……117……』

    掃除屋たちは、ゴームズの腕を引っ張るのではなく、そのまま彼を「生きた供給管(ホース)」として利用し始めた。

    突き立てられた無数のフックから、致死量の『溶解液』がゴームズの体内へ一気に注ぎ込まれる。


    「ガ、アァァァァァァァァッ!!?」

    ゴームズの眼球が裏返り、絶叫がシェルター内に響き渡る。

    彼の体内——筋肉、内臓、骨、そして彼が何よりも誇っていた「天才的な脳髄」までもが、溶解液によって急速にドロドロの液体燃料へと変えられていく。


    さらに隙間から侵入した一体の掃除屋が、ゴームズの顔面に張り付き、口の中に直接、液化用の太い管をねじ込んだ。


    「ガ、ゴボォォォォォォォッ!!?」

    致死量の特殊な溶解液が、ゴームズの体内に一気に注ぎ込まれる。

    彼の理知的な瞳が限界まで見開き、白目を剥いて激しく痙攣した。


    「あ、が……ぼ、僕の……僕の、完璧な、頭脳、が……溶け……っ」

    天才科学者の尊厳を完全に破壊する、生きたままの液化。

    掃除屋たちは、隔壁の向こう側で、ゴームズの引き伸ばされた指先にタンクの管を接続した。

  • 137二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:09:04

    サッカースレとかの他スレと同時に見てるけど温度差がやばすぎるんだよね
    地獄を超えた地獄

  • 138二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:09:08

    エンドォサッカーと平行して見てるせいであまりの落差で脳がバグルと申します

  • 139二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:09:18

    このレスは削除されています

  • 140EDF26/04/03(金) 02:10:01

    ズズズズズッ……!!

    ゴームズの口から溶解液が逆流し、彼自身のドロドロに溶けた内臓や血液が、ゴムのように伸びた両腕を通って、掃除屋たちのタンクへと勢いよく啜り上げられていく。

    生きたままの、人間ストロー。


    「い、いやだ……僕は、天才だぞ……こんな、ただの燃料に……なるため、に……ッ」

    ゴームズのゴム化した体が、みるみるうちに萎んでいく。


    「ぼ、く……が……ただの、ねんりょう……に……」

    誇り高き天才科学者の尊厳が、ただの液体の詰まったチューブとして蹂躙される。



    強靭なゴムの皮膚だけが外殻として破れずに残り、その中を、ゴームズの内臓と血液と脳みそが混ざり合った「赤いスープ」が、恐ろしい勢いで扉の外へと吸い上げられていく。


    水分と細胞を全て抜き取られ、皮膚という名のゴムの風船がしぼむように、彼の肉体はペラペラの抜け殻へと変わっていった。



    「……あぁ……あ……」

    アマデアが、その凄惨な光景に耐えきれず、自らの耳を塞いで蹲った。

  • 141二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:11:51

    大量に死んだ前回とどっちがマシなんやろなあ…
    少なくとも一発の破壊力はこっちの方が高いんだ

  • 142二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:12:07

    (正直こういう死に方させるならバグ戦の時みたいな畜生行動もっとやらせた方が悪因悪果感が出てよかったな…)

  • 143二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:12:53

    このレスは削除されています

  • 144EDF26/04/03(金) 02:13:43

    バキンッ!!!


    ゴームズの肉体が完全に干からびて張力を失った瞬間。

    最後の一押しとなる反動で、防爆扉が完全にレールを滑り切り、重厚なロックがガシャン! と音を立ててかかった。


    密閉されたシェルターの内部。

    扉の隙間に挟まったまま切断された、干からびたゴムの腕の残骸だけが、ボトリと冷たい床に落ちた。

    扉の向こう側からは、無数のフックが金属を引っ掻く音と、液体を啜る不気味な音が、しばらくの間響き続けていた。


    「ゴームズさ……!」

    「行ってはならん氷川=サン!エミール=サンの時と同じだ!開けたら、全滅する……!スマン、本当にスマン……!」


    そして、どれほどの時間が経っただろうか。


    『……』


    不意に、扉の向こうの気配が完全に消失した。

    代わりに、シェルターの隙間から、眩いほどの朝の光が差し込んでくる。


    「……夜が、明けたんだ」

    氷川が、震える手で防爆扉のロックを解除し、重い扉をこじ開けた。

  • 145EDF26/04/03(金) 02:17:06

    生存者たちが外へ出ると、そこには目を疑うような光景が広がっていた。


    昨日まで存在していたビルの残骸、破壊された戦車のスクラップ、そしてクルミやゴームズの血肉や痕跡すらも。

    住居(シェルター)以外のすべての物体が、一切の痕跡を残さず、綺麗さっぱりと「掃除」され、消え去っていたのだ。

    文字通りの、何もない更地。

    朝日に照らされたその光景は、美しいほどに異常で、彼らの心を徹底的に折り砕くような空虚さに満ちていた。


    「……これが、『裏路地の夜』……」

    シュネーが、干からびたゴームズの腕の残骸を握りしめ、血の滲むような声で呟く。


    「……ワタシは……裏切ってなんか、ない……ないんだよぉ……」

    アマデア・ウォルファは、顔を覆いながら、恥も外聞もなく泣いていた。


    アンカーのメッセンジャーによる予告。

    裏路地の夜を越え、アルマゲドンを耐え抜いた時……『神にして新たなる真の怒り』が目覚め、『怒りの日』がやってくる。

    人類の絶望は、まだ底を見せていなかった。



    【STAGE CLEAR】


    戦死者:2名


    *クルミ(ロスト。アマデアがアンカーの干渉によって見逃されたことで、その標的を一身に受ける。半ば勘違いだが裏切りへの絶望を抱きながら、着ぐるみ内部に溶解液を注入され、生きたまま赤い水風船のように膨張・破裂して搾取された)

    ゴームズ(ロスト。シェルターの扉を閉めるため、自慢のゴムの肉体を駆使。しかし腕を捕らえられ、体を「生きた供給管」にされる。自らが誇った完璧な頭脳すらもただの燃料として吸い上げられ、尊厳を完全に破壊されて干からびて死亡)

  • 146二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:18:56

    なあ春草
    これでまだ二つ残ってるって本当か?

  • 147二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:20:06

    このレスは削除されています

  • 148EDF26/04/03(金) 02:20:29

    終了っ!

    正直すまんかった。時間的にも内容的にも。


    >>139

    ククク…

    >>142

    うーんこんな最期になるなんて、ワシ自身も一昨日まで思ってもいなかったから仕方ない本当に仕方ない

  • 149二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:22:01

    オツカレーッ なんか次はゴジラっぽいけど隕石と同時にやるんかのォ…

  • 150二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:22:34

    仲間の敵滑りのキリュウバエ
    大量死のジゴワット&ラミエル
    そして今回の掃除屋だ
    間違いなくEDFのトラウマエピソードTop3だぞ

  • 151二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:23:34

    このレスは削除されています

  • 152二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:25:57

    >>151み止めろ

    蟻とスライムとゾンビとメイズシフターと掃除屋のラッシュとか想像もしたくないから止めろ

  • 153二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:26:51

    ストーム1!救援に来い!
    お前の存在は確定している…やりますスレ特有の原作キャラ大幅バフで大暴れしても問題はないはずだ

  • 154EDF ◆GUGLV24g4w26/04/03(金) 02:28:19

    >>149

    ワシの画像センスがないだけで、アルマゲドン=巨大隕石なんで、次は普通に巨大隕石戦っスよ

    いやぁ大まかには考えてるけどどうしようかのぉ


    >>151

    流石に考えてないっス。

    主人公をウルトラマンにしていいなら……ジャンル変わっちゃいますね🍞

  • 155二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:33:27

    よくよく考えれば完全に倒しきれなかったのって今回が初めてじゃないスか?
    後の二つも今までよりヤバいのが確定してるし…やっぱ直々に布告されるだけあって別格っスね

  • 156二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 02:43:10

    ちなみに原作だといまから30分後の3時13分から「裏路地の夜」は始まるらしいよ

  • 157EDF26/04/03(金) 02:46:56

    >>156

    せめて2時13分とかだったら時間合わせるとかもやったかもだけど、(流石にその時間の更新は無理す)ぎぃ~。(今も眠す)ぎぃ~。

  • 158二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 08:48:21

    クルミとゴームズが死んだあっ
    派手な葬式出して感動的な弔辞読んで涙を流してあげましょう

  • 159二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 09:32:57

    アマデア…哀
    あ…あわわ 俺は「自分が送ったキャラが地獄を見るのは麻薬ですね」なんて考えてたけどここまでしろなんて言ってない

  • 160二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 13:49:32

    これでも私は慎重派でね。今回の話を読み直してみたよ。
    その結果…起こるべくして起きた犠牲だという感想を抱いた。

    足止め武器(ナパーム系列、千鳥、グレイプニール)を持ち込まなかった理由を教えてくれよ
    持久戦だとわかっていたのに何故…?クルミはともかく、ゴームズはワンチャン生きてたかも知れないと思ったのが…俺なんだ!

  • 161EDF ◆GUGLV24g4w26/04/03(金) 14:24:34

    >>160

    「……追いつかれますッ! 私が、ここで足止めを!」

    絶対の暗黒に包まれた『裏路地の夜』。

    本隊と共に崩壊した市街地を撤退する最中、最後尾を走っていた桐藤ナギサが、焦げた翼を震わせながら足を止めた。


    ミカの死のトラウマから立ち直りきれていない彼女だが、これ以上仲間が蹂躙されるのを黙って見ているわけにはいかなかった。


    彼女は腰のホルダーから、手榴弾のような球体デバイスを引き抜く。

    空間制圧用・自律稼働エネルギー兵器——『グレイプニール』である。

    「起動ッ! 対象、後方の敵群……全ロックオン!」

    ナギサが上空へ放り投げたグレイプニールが、空中で静止し、無数の赤い照準用レーザー(ポインター)を暗闇の中へ放射する。


    通常であれば、赤外線センサーと生体探知AIが敵群を瞬時に補足し、上空から無慈悲な光弾の雨を降らせる絶対の防衛兵器だ。


    だが。

  • 162EDF26/04/03(金) 14:32:08

    『……ピーッ……ガガッ……対象、ロスト』



    グレイプニールから放たれた赤いレーザーは、迫り来る掃除屋たちの群れを「素通り」し、瓦礫やアスファルトの上を虚しく泳ぐだけだった。

    全く見当違いの空間を撃ち抜いている。


    「なっ……どうして!? あんなに密集しているのに!」

    ナギサが血の気を引かせる。


    「無駄だ、ナギサくんッ! そいつらのロックを切って!」

    シュネーが走りながら絶叫する。


    「この『夜』はレーダー波を完全に吸収する! おまけに奴らのスーツの中身はただの室温の『液体』だ! 体温(熱源)も生体リズム(鼓動)もない相手、言ってしまえば機械にとって奴らは『水たまり』なんだよ!グレイプニールはおろか、セントリーガンだってセンサーが機能しないんだっ!」

    機械でも生物でもない、未知の液体の袋。

    自動索敵に依存したスマートな兵器は、この物理法則を無視した夜の中では、ただのポンコツなガラクタに過ぎなかった。

    そう、クルミの技術がこの場では役に立たなかったように。


    『……8213……』

    グレイプニールの無意味な光の下を、掃除屋たちが不気味な数字の羅列と共に通り抜けてくる。

    距離は僅か十数メートル。

  • 163EDF26/04/03(金) 14:37:33

    「ならば、これで道を塞ぎますッ!!」

    氷川誠が、ナギサを庇うように前に飛び出し、携行していた『ボルカニック・ナパーム』の引き金を引いた。

    着弾と同時に激しい炎が上がり、狭い裏路地を完全に塞ぐ「炎の壁」が形成される。

    「よし……これで、少しは時間が——」

    氷川が安堵の息を吐きかけた、その時だった。


    『……587……』

    燃え盛る炎の壁を突き破り、全身を火だるまにした掃除屋たちが「無傷の歩調」で歩み出てきたのだ。


    「え……っ!?」

    ナギサが後ずさる。


    ナパームの超高温は、確かに彼らの特殊スーツの表面をドロドロに溶かしていた。


    だが、彼らの本質はスーツの中に詰まった「液体」である。痛覚はおろか、燃焼による酸素欠乏すら意に介さない。


    スーツが溶け落ちて中身の液体が沸騰・蒸発し尽くすまでの間、彼らはただ「燃えながら歩く爆弾」と化して迫ってくるだけだった。しかも前を歩く掃除屋が倒れたら、蒸発する前に後ろの掃除屋が液体を補充して回復する。


    無意味とまでは言わないが、足止めになっているとも言い難い惨状だった。

  • 164二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 14:38:34

    なにっ
    なんか予想外の回答の仕方してて笑ってしまう

  • 165EDF26/04/03(金) 14:40:20

    「撃ち方やめろ、氷川! 炎で俺たちの退路が塞がる!」

    オメラスが激怒に近い声で指示を飛ばす。


    「ハッ、ハァッ……すみませんッ!」

    氷川がナパームの砲身を下ろす。


    炎熱による足止めは、致命的な悪手だった。

    狭い裏路地で炎の壁を作れば、自分たちの退路と酸素を自ら奪うことになる。その上、火だるまの掃除屋たちに強引に距離を詰められれば、最悪の「もらい火」で部隊全体が壊滅する危険性すらあったのだ。


    「だったら、これで……近づけさせませんッ!」

    ナギサが、ウイングダイバーの近接放射兵器『ファランクス』を構え、前方に幾千もの光の槍を垂れ流し続ける。

    圧倒的な連射力による光の壁が、前衛の掃除屋たちを文字通り削り取っていく。


    だが、ナギサの背中にあるプラズマ・コアが、悲鳴のような警告音を鳴らし始めた。


    「……くっ、エネルギーが……!」

    「ナギサ殿! コアが焼き切れるぞ!」

    ヤイバが慌てて制止する。


    熱源を必要としない「垂れ流し」タイプの兵器は確かに当たる。だが、ウイングダイバーのエネルギー消費は激しく、この暗闇の中で『夜明けまで』の数時間、それを撃ち続けることなど物理的に不可能だった。


    余談だが、持ち込んだ武器があまり役に立たず、ナギサはこの後掃除屋戦であまり目立った活躍をしないことになる。

  • 166EDF26/04/03(金) 14:44:28

    自動迎撃は反応せず、炎の壁は回復され、弾幕の垂れ流しはすぐにエネルギーが枯渇する。3wave目に至る頃には、おそらく大した武装は残っていないだろう。

    絶望的な撤退戦において、「足止め」という概念そのものが通用しない相手なのだ。



    「……面制圧も、炎の足止めも通用しないなんて……。どうやって、逃げ切れば……」

    ナパームの炎に照らされたナギサの顔は、完全な絶望に染まっていた。


    (……皮肉なものだね)

    シュネーは、横で鼻歌を歌いながらロケットランチャーを撫でているマッドサイエンティストを横目で見つめた。

    この理不尽な液体のバケモノの連鎖を断ち切るには、回復する隙も、後続が啜る液体の残骸すらも残さず、一瞬で『跡形もなく蒸発(消滅)させる』しかない。そして大火力ながら可能な限り小分けにして出したい。


    先ほど怜慈が「持久戦にそんなロマン砲を持ち込むな」と怒鳴りつけた、ゴームズの持ち込んだ狂気のロマン兵器『スパルタン・レーザー』。


    全くの偶然とはいえ、あの大鑑巨砲主義の塊のような取り回しの悪い兵器こそが、この地獄においてはベストとまではいかないがベターだったという事実が、戦場の理不尽さをより一層色濃く浮き彫りにしていた。



    戦術の否定。

    人類が築き上げた効率的な防衛手段(グレイプニールやナパーム)は、この暗闇の処刑場においては全て意味を成さなかった。

    彼らに残されたのは、原始的な暴力と、肺が破裂するまで逃げ続けるという、惨めな撤退戦だけだった。

  • 167EDF ◆GUGLV24g4w26/04/03(金) 14:46:19

    これがワシの「こじつけ」やっ!!
    まぁ他の色んな便利アイテムや武器は3wave目までに使い切ってたと考えてくれたら助かるっス

  • 168二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 14:49:53

    オツカレーッ
    猿空間入りしてた武器やらナギサ様やらの理由付けが見事やな…
    島風も活躍出来てなかったし…燃費不全
    やはりウイングダイバーは根本的に掃除屋と相性が悪いか

  • 169二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 16:21:14

    な…何ですかこれはあ
    帰ってきたら掃除屋が…ワシの安価した掃除屋がステージ終わったのに強さが盛られてるですう

  • 170二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 16:41:16

    咄嗟にこれが出てくる辺り、ひょっとしてEDFボーはめちゃくちゃAIの使い方が上手いんじゃないっスか?

  • 171二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 18:08:25

    このレスは削除されています

  • 17216026/04/03(金) 18:48:25

    ウ、ウソやろ!?こ、こんなことが…こんなことが許されていいのか…!
    籠城足止め御用達武器が欠片も役立ってなかった事に戸惑ってるのが俺なんだよね。

    ふぅん、上位モデルのスティングレイだのプラズマ・ランチャーだの、重迫撃砲だので消し飛ばすのが正解だったというわけか

  • 173EDF26/04/03(金) 22:14:06

    前作もそうだったけど、完結が近くなると急に色んなルートが見えてきて滅茶苦茶話に迷っちゃうんだよね
    ちょっと今日の本編更新はお休みさせて欲しいのん…

  • 174二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 22:25:46

    はい、いいですよ!ニコニコ
    BADは勘弁してほしい…それがボクです

  • 175二次元好きの匿名さん26/04/03(金) 23:08:14

    僕は見たいなぁ…

    全てが崩壊した世界で1人メッセンジャーとして生き続けて絶望するアマデアを…
    人類滅亡してヒューマンジーが残ることに皮肉を感じつつも一人寂しく朽ちていくオメラスを…
    泣いて謝りながらデュークのナイフで自害するシュネーを…
    宇宙刑事のくせに地球1つ守れないちっぽけな怜慈を…
    絶対折れないはずの氷川さんが最後の最後に絶望する姿を…
    完全に精神崩壊したナギサを…

  • 176二次元好きの匿名さん26/04/04(土) 02:40:55

    保守…

  • 177EDF26/04/04(土) 11:06:10

    不思議やな…AIチャットを切り替えたばかりなのに完結見据えるとバーストしないか不安になる…
    隕石はともかくゴジラ戦がめちゃくちゃ長くなりそうなのはなんでや…

    もう一度質問コーナーしてスレ埋めて21:00目安に新スレ立てようかのぉ

  • 178二次元好きの匿名さん26/04/04(土) 12:47:02

    原作通りなら掃除屋も焼かれた隣人の死を悲しんでそうなのが悲哀を感じますね 原作通り自我があるならね

  • 179EDF26/04/04(土) 12:50:06

    >>178

    うーん、ここまで外道な相手にしちゃった以上、自我があるとは考えたくないッスね…


    ということでラスト2戦を前に完結前最後の質問コーナーをします。

    まぁこんなただ敵と戦うだけのスレでそう何個も質問来るとは思えへんけどなブヘヘヘ

  • 180二次元好きの匿名さん26/04/04(土) 13:07:54

    掃除屋戦で聞きたいことが幾つかあるんだぁ
    答えてもらおうかぁ

    ・掃除屋戦における最適解を教えてくれよ
    ・これまで退場ッしたキャラで、誰が残ってたら犠牲者0になったか教えてくれよ
    ・もしかしてリムペットガンやC爆のリモコンが出来なくなってるタイプ?

  • 181二次元好きの匿名さん26/04/04(土) 13:12:26

    他のやります系って何見てるんスか?

  • 182二次元好きの匿名さん26/04/04(土) 13:32:17

    1番好きな死に方したキャラを教えてくれよ

  • 183EDF ◆GUGLV24g4w26/04/04(土) 14:17:43

    >>180

    ウム……『夜』の闇に呑まれてセンサー類がガバガバになってるのと同じ理由で、遠隔操作系自体が難しいと思ってもらおうかぁ

    ゴームズがその場でアナログな仕組みの地雷でも作ってたらなんとかなってたかもね


    最適解はトーチカを大量に持ち込むことと、直接のパワーはそこまでなんで爆発物で建物を破壊して物理的な壁にして時間を稼ぐことッスね。



    上条さんがいれば異能人型タイプなんて幻想殺しで無双できたはずなのん。まぁ本当に生きてたらそれだとつまんないから多勢に無勢だいっけぇで殺してた可能性もあるけどね!


    ミカ、リリス、ラーヴァといったウイングダイバー勢は燃費の悪さ自体は相性悪いっスけど、全員、せめてラーヴァが生き残ってたら広範囲攻撃を持ち回りで担当できてかなり楽だったはずッスね。ガンスリンガーさんはあんま広範囲武器持ち込まなそうなんで生きててもあんまり変わらないと思うッス


    あとはシールド特化のゲンブも生きてたら遅延戦術がもっと機能したと思われる


    有効順的には

    上条さん>>ラーヴァ>ゲンブ>>>その他ウイングダイバー


    って感じッス

  • 184EDF ◆GUGLV24g4w26/04/04(土) 14:21:00

    >>181

    ガッツリ追ってるのエンドォの超次元サッカーッスね

    サッカー派生はIF続編のベータとパラ坊は読んでるッス

    他のサッカーは安価に参加できず…勃起不全…とか思って積んでるのん。ウンメェのには参加できたので追うつもりッス。


    他は個人的に同じようなタイミングで始まって一方的に仲間意識を抱いてる聖杯戦争と地獄巡りも読んでるッスけど、特にリンバスは詳しくないんでガッツリ追うというよりは緩く雰囲気で楽しませてもらってるッスね



    >>182

    一番好きな死に方かぁ。それを決めるのは至難の業だ。

    アーサー、47辺りは我ながら短く上手く纏ったと思って好きッスけど

    一番を決めるならエミールッスかねぇ。騎士道による自己犠牲からのキリュウバエの余りに悍ましい攻撃に泣き叫んでしまうのがかなり好きッス。

  • 185二次元好きの匿名さん26/04/04(土) 14:22:58

    >>184

    ちなみに地獄巡りの方でも8章直前に裏路地の夜が控えてるらしいよ

  • 186EDF ◆GUGLV24g4w26/04/04(土) 14:27:32

    >>185

    情報あざーす!

    土日は無理でも月曜にはワンチャン完結できると思うんで、EDF終わったらガッツリ追うのん

  • 187二次元好きの匿名さん26/04/04(土) 18:36:01

    >>183

    >>トーチカを大量に持ち込むこと

    えっ、あいつらトーチカ素通りできないんですか?

    広範攻撃による面制圧…聞いてます、地下ステージにおける有効戦術でもあると

    まっ、とんできた敵の残骸で自爆する危険性もあるからバランスは取れてるんだけどね

  • 188EDF26/04/04(土) 19:29:43

    >>187

    正直後出しを越えた後出しッスけど

    ワシとgeminiの解釈だと「未知の液体で体が構成された掃除屋=生き物や機械ではなくエネルギー体に近い」という解釈でトーチカがぶっ刺さるのん

    液体には熱源も生体反応もないからセントリーガンやグレイプニールは効かないというのと、特殊な液体はエネルギーに近いというのはまぁ田代さん時空よりは理に適ってると思うのん


    まぁお察しの通り後出しかつ後付けなんだけどねっ!

  • 189二次元好きの匿名さん26/04/04(土) 20:00:56

    他の戦闘での最適解も教えてくれよ

  • 190EDF ◆GUGLV24g4w26/04/04(土) 20:48:39

    >>189

    あうぅ、ぜ、全部は無理…死ぬ…

    あとごめん21:00目安だったけど諸々済ませるから21:45くらいになりそうっス

  • 191EDF ◆GUGLV24g4w26/04/04(土) 21:49:28

オススメ

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