京都御池中の一角に設置されている幼稚遊嬉場の記念碑(京都市中京区柳馬場通御池上ル)

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企画展で展示されている、昭和期に市内の幼稚園で使われていた知育玩具(京都市下京区・市学校歴史博物館)

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行進や日の丸など、戦時色が色濃く表れている幼稚園の出席カード

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70年前の市幼稚園教育研究会の報告書を手に取る齋藤園長(右)と中西参与=京都市伏見区・伏見板橋幼稚園

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京都市保育会が作成した「模様遊び」と呼ばれる遊び道具

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kyotonp 京都新聞 2026春割
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 日本で初めて学区制が取り入れられた京都市。明治期に住民の熱意と資金で建てられた旧番組小学校は今も変わらず地域の誇りだが、京都は小学校教育だけでなく幼児教育でも全国において先駆け的な存在だった。今年は、市内に幼児教育施設が誕生してから150周年の節目。京都の幼児教育の今と昔を探った。

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 京都市中京区の京都御池中。柳馬場通沿いに、椅子のような形をした石碑がある。台座に刻まれているのは「日本最初の幼稚遊嬉場 京都市立柳池幼稚園記念碑」の文字。この地に150年前、幼児教育施設が誕生したことを伝えている。

 日本で最初の幼稚園として知られているのは、1876(明治9)年に開園した東京都のお茶の水女子大付属幼稚園(東京女子師範学校付属幼稚園)。だが、上京二十七番組小学校として開校した柳池小(現京都御池中)の一角では、その1年前の75年12月に「幼稚遊嬉場(ようちゆうきじょう)」が誕生していた。

 市学校歴史博物館(下京区)で、京都の幼児教育の歩みをたどる企画展「京都市の幼児教育150年」が開かれている。幼稚遊嬉場について、同館の林潤平学芸員は「幼児教育を行っていたとされる寺や名前のみが残る幼稚園などもあり、日本で初の幼児教育施設かどうかは議論が分かれる」とした上で、資料として展示されている「幼稚遊嬉場概則」には幼児教育の先進国だったドイツのゲルマン地方についての記載があることなどから、「先進的な西洋の幼児教育を視野に入れた施設だったことは確か」との見解を示す。

 京都の幼児教育が全国をリードしていたことを裏付けるのは、「京都市保育会」と呼ばれる教育研究を行う組織の存在だ。東京よりも7年早い89(明治22)年、全国で初めて創設された。保姆(ほぼ)(保育士)らによる共同研究や教材の開発、講演会の開催、保育参観のための遠方派遣の補助事業など、現代にも引けを取らない取り組みが早くから行われていた。

 林学芸員は「幼児教育の重要性が広く浸透していなかった時代から熱心な研究がされていることからも、保育会は京都の幼児教育において特筆すべき存在だったことが分かる。京阪神で合同の研究発表会なども行われていて、各地域が互いに高め合っていた」と意義を示す。同会では、児童心理をはじめ、幅広い分野で研究がされていた。企画展では「夏季の睡眠時間について」というタイトルで幼児にとっての望ましい睡眠量などを調べた研究成果や、同会が制作したカードで遊ぶ教材「模様遊び」など、教育研究に関連する資料も並んでいる。