トップ国際欧州ウクライナ イスラエル 諜報機関が連携か

ウクライナ イスラエル 諜報機関が連携か

 モスクワ南部で22日に自動車が爆発、ファニル・サルワロフ露軍中将が死亡した事件では、サルワロフ氏が乗車して発進した際、車体下部に仕掛けられた爆発物が炸裂(さくれつ)したとされる。露当局はウクライナ保安庁(SBU:ヴァシーリー・マリューク長官)の関与も視野に捜査しており、同種の「露軍高官暗殺事件」は数年にわたり相次いでいる。

 4月にはモスクワ東部郊外で駐車中の自動車が爆発、ヤロスラフ・モスカリク露軍参謀本部副局長が死亡した。露連邦保安局(FSB)は後日、ウクライナ工作員の逮捕を発表した。FSBによると容疑者の男はウクライナ在住で、モスクワの工作拠点から手製爆弾を持ち出し車に設置。後に、ウクライナ側から遠隔起爆させたとFSBは主張している。

 2024年には、露軍核・化学・生物防護部隊の司令官、イーゴリ・キリロフ中将(54)らが車爆弾で殺害された。モスクワ南東部、キリロフ氏の住宅近くに停めてあった電動スクーターに爆発物を設置、キリロフ氏らの出現タイミングで、遠隔爆破させたとされる。一部報道で、この事件へのSBU関与の可能性が指摘された。首都モスクワで露軍の技術系エリートが精密な監視の下、遠隔操作で殺害されたこの事件は、国内に大きな衝撃を与えた。

 SBUの手法について、イスラエル諜報(ちょうほう)特務庁(モサド)の作戦との類似性分析もある。モサドは過去、イランの核開発計画を推進する学者らを繰り返し暗殺した。例として2020年、核物理学者モフセン・ファクリザデ氏が、何者かに襲撃され死去した。ファクリザデ氏が車に乗車中、前方から爆弾を積んだトラックが接近し、爆発した。イラン当局は暗殺事件をイスラエルのモサドの仕業とみている。2010年には、やはり核物理学者、マスード・アリモハマディ氏がオートバイに仕掛けられた高性能爆弾で殺害された。

 モサドがイランの核開発阻止に、核物理学者を暗殺した一方、SBUはウクライナ戦争を巡り、露軍将校らを標的とした作戦を展開しているとされる。両者ともターゲットを定め、爆殺している点で共通するのだ。

 複数の分析や専門家の間では、SBUがモサドの手法を強く意識しているとの見方が出ている。実際にSBUの特殊作戦に携わる幹部や将校らは、「私たちは新しいモサドだ」「どこに隠れようと、どれだけ時間がかかろうと、必ず(敵を)裁きに下す」と公言している。第2次世界大戦後のナチス戦犯を、世界中で追跡、処刑したモサドの手法を、ウクライナで戦争犯罪に関与した露軍幹部、協力者に報復するモデルにしていると言われる。

 SBUによる爆破手法も、過去のモサドによる「精密な標的殺害(Targeted Killing)」に共通する。カメラで監視し、スクーターや車などの移動手段に爆弾を仕掛けて遠隔起爆させるやり方が、モサドの得意とする手法なのだ。

 モサドがウクライナの首都キーウで人員を増やし、SBUや軍情報局関係者と接触しているとの報道もある。SBUがロシアとイランの軍事技術に関する情報をイスラエル側と共有し、モサドから助言を受けている可能性を指摘する見方もある。SBUはソ連時代のKGBの後継組織。久しく「汚職にまみれた旧ソ連型の情報機関」と受け取られてきたが、ロシアとの戦争を通じて「西側・イスラエル流の高度な秘密工作機関」へと変貌を遂げてきた。

(ウィーン小川敏)

spot_img
Google Translate »
原文
この翻訳を評価してください
いただいたフィードバックは Google 翻訳の改善に役立てさせていただきます