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料理全然しないのに、土井善晴の味噌汁を1年間作り続けた

 私は、「料理」というものを全くしない人生を送ってきた。

 普段の生活も、冷凍食品とか、コンビニの弁当とか、外食とか……そんなのばっかりだ。キッチンなんか全然使わない。いつの間にやら、典型的な「時短のために、自炊を捨てた社会人」になっていた。

 だけど、ここ1年くらい「土井善晴式の味噌汁」を作っている。

 そもそも、「土井善晴式の味噌汁」がなんなのかを知りたい方は、上記の動画を見てもらったほうが手っ取り早いんだけど……かんたんに言うと、「とりあえず具材を突っ込んで煮るだけの味噌汁」である。

 いや、この言い方は土井善晴に失礼か……?
 でも、本質的には「とりあえず具材を突っ込むだけの味噌汁」だと思う。非常にかんたん。それゆえ、作りやすい。しかも、おいしい。

 そして、私は「土井善晴式の味噌汁」を通して、なんかちょっとだけ「料理」というモノの面白さを理解したような気がする。1年かけて、段階的に「料理」を理解していった感じ。今日は、そのことについて書いてみます。

味噌を増やすと味がする

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 そもそも、なんで土井善晴式の味噌汁を作り始めたのかというと……「Twitterでフォロワー氏が作ってるのに触発されたから」という、超絶ミーハーな理由でした。あと、もう冷凍食品漬けの生活はイヤだったんだ!

 そして最初に作ったのが、この(↑)味噌汁。
 カット野菜+豚バラ+卵で作りました。
 シンプルな土井式味噌汁です。

 これは、味が薄かった。
 
本当に料理をしてこなかったせいで、私には「調味料の勘」が全然なかった。結果として、「シュガーレスの豚汁」みたいな謎の汁ができあがった。

 でも、私としては結構おいしかった。
 なんか、「ちゃんと煮えてる温かいお肉を久しぶりに食べた」みたいな気持ちだった。「家で出てきた料理」みたいな感じがする。味は薄いけど、人間が作ったものを食べてる感じがする。

 そういえば、東京に越してきてから、数年間こういうものを口にしていなかった。私は……私は……なんて寂しい食事をしてきたんだ……ここから、ちょっとずつ「味噌汁を作ること」が生活のなかに組み込まれていった。

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公式サイトより

 そして、なぜか味が薄い味噌汁の話をすると、インターネットの人たちが「味噌の量が足りないのでは?」というアドバイスをくれた。インターネットにはいい人しかいない。そして、たぶん味噌の量が足りていなかった。

 実際に、味噌の量をスプーン2回分くらいに増やしてみた。
 するとどうだろう、味がするのである。

 私は、この「調味料を増やすと、味が濃くなる」という一般的なルールすら、正確に把握していなかった。味噌汁に、味噌の味がするようになった。これはすごい発明だ。ものすごく低レベルな『プロジェクト・ヘイル・メアリー』をやっているような気分になってくる。良い、良い、良い!


具を変えるとおいしい

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YouTubeより

 土井善晴式の味噌汁には、「生卵を入れる」という工程がある。

 とくに白身を剥がして卵黄にしたりするわけでもなく、もう味噌汁にそのまま生卵を突っ込むのだ。私も最初はギョッとしたけど、この卵がなかなかにうまい。「味噌汁のなかに、そのまま目玉焼きが入っててオトク」みたいな気持ちになる。

 土井善晴は、「(卵を入れると)食べた気になる」と言っている。
 実際、なんかすごく“食べた”気になる。この卵があることで、味噌汁がサブメニューではなく、ちゃんと「1品」になっている。むしろ卵がなければ、この味噌汁は成立しないのではと思うくらいに。

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YouTubeより

 そして、私はある日、気がついてしまった。

 「味噌の量を増やす」というアップデートを経た、土井式味噌汁ver2.0を数週間食べ続けていたなかで、ひとつ思いついたことがあった。私は、これまで「カット野菜+豚バラ+卵」という基礎的な具材をなにもイジっていなかったけど……別にこれは、具を変えてもいいのでは?

 土井善晴だって、なんか平然と味噌汁にベーコンを入れているじゃないか。ということは、お肉を変えてもいいのでは? 

 豚バラに段々飽きてきた私は、ある日スーパーで買い物をしているときに、精肉コーナーの「鶏もも肉」が目についた。めっちゃ鶏肉が食べたい。よし、入れてみよう。あの味噌汁に突っ込んでみよう。

 実際に、鶏もも肉を入れた味噌汁が完成した。
 これがメチャクチャうまい。この「具材を変えるのがアリ」ということに気がついた瞬間、一気にゲームのルールが変わったような感覚があった。そうか、これはそもそも「カスタム可能な味噌汁」だったのか。

 そもそも、私は「料理のレシピ」というものはイジっちゃいけないのだと思い込んでいた。以前、料理をしたとき、ちょっとノリでレシピから踏み外した行動をしたせいで、味が崩壊したことがあったからだ。

 パスタは茹で時間を守らないとガチガチになるし、調味料をノリで増やしたり減らしたりするとわけのわからない味になる。だから、土井式味噌汁においても、「野菜+肉+卵」をイジってはいけないのだと思いこんでいた……が。むしろ逆で、ここをカスタムすると無限の可能性が生まれる。

 この事実に気がついてから、一気に料理が「ゲーム感覚」になっていった。たとえば、『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』というゲームには、「料理」のシステムが存在する。私のなかでは、すごくアレに近い。

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画像ティアキンですいません

 『ブレワイ』の料理システムは、「とりあえずアイテムを鍋に突っ込んでみると、なにか“料理”ができあがる」というカンタンなもの。それゆえ、「このアイテムを突っ込んだら、一体なにができるんだ?」という結果の見えないワクワク感がある。

 私にとっては、「味噌汁に鶏もも肉を入れてもいい」と知った瞬間は、まさにそういうワクワク感があった。現実が、急にブレワイになった。こうなると、もっといろいろな肉を入れてみたくなる。

 自分が作成可能なメニュー欄には「豚汁みたいな味噌汁」しかなかったのに、突然未解放のメニューが大量に現れたような……それから「具を変える」ことにハマり、鶏むね肉とか、ささみとか、カレー用の豚ブロックなんかを味噌汁に入れたりした。ちょっと、料理の面白さに気づいた気がする。


味を変えるとルールが変わる

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公式サイトより

 そんなこんなで具を入れ替えながら、味噌汁の別verを量産していたある日……またしても、私の脳に「閃き」が到来した。

 まず、私は友人に「ごま油」と「顆粒タイプの鶏ガラスープの素」を入れることで、より味に磨きがかかることを教えてもらった。実際入れてみたら、なんか味噌以外の味がしておいしい汁になった。

 そこから派生する形で、私は閃いた。
 正確に言うと、冬のシーズンが近づき、スーパーの店頭に並んでいる「キムチ鍋の素」を見て、私は思いついてしまったのだ。

 このキムチ鍋の素、味噌汁に突っ込んだら絶対ウマいんじゃね?

 半年間ほぼ同じ味の味噌汁を食べ続けるなかで、うっすらと「そろそろ味を変えたい」と思っていた。そんなところに、ウィンター・キムチ・シーズン到来! これは試すしかないッ!! 

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 そして完成したのが、味噌+キムチ鍋の素という……「キムチ味噌汁」としか言いようのない汁。これ、めちゃくちゃウマいです。

 普段から料理をしまくる人からすると、「そりゃウマいに決まってるだろ」としか思えないかもしれないけど、私にとっては大革命でしたね。

 そもそも、味噌汁って、味を変えると「別の料理」になるんですよ。
 
なぜなら味が違うから。私の手持ちにはイーブイしかいないと思っていたのに、いつの間にかブースターになっていたような驚きなんです。もうこれ、別の存在じゃない。「上位クラス」に進化してるじゃない!!

 この「料理は味を変えることが可能である」というのが衝撃的で、しばらくいろいろな調味料を突っ込んでは、味噌汁を別のジョブにクラスチェンジさせようとしていました。カレー粉とか、麻辣鍋の素とか入れてみたりして……でも、結局のところ、この「キムチ味噌汁」が最強でしたね。


料理は気軽にしていいのかもしれない

 実際に1年くらい作り続けて思ったこととして、土井式味噌汁は、とにかく「適当に作る」ことが許容されているレシピなのだと思います。

 大前提となる「いろいろ具材を突っ込んで、味噌で煮る」というシステムを崩さなければ、なにを入れても成立する。それどころか、味噌でなくとも成立する。もはやこれはレシピというより、数学における「1+1=2」のような、料理というものの普遍的な式を授けてくれているのではないか。

 何より、私にとっては「料理というものは、もっと気軽にしていい」ということを教えてくれたようなレシピでした。自分の好きなように作ればいいし、具材を変えたかったら変えればいい。味を変えてみたっていい。なにも特別なことは必要ない。生活における食事とは、そのようであればいい。

 この1年、なんだか楽しかったです。
 別にそこまで詳しくなったわけじゃないけど、ちょっと料理のことが好きになりました。きっと、これからの生活にも、この味噌汁が存在しているんだろうな。ほんの少しかもしれないけど、こういうことの積み重ねで、生活は良くなり、人間は暮らしていけるのだろうなと思います。

 私の個人的な日記ではありますが、土井善晴さんへの感謝も込めて、この記事を書いてみた次第です。なんか、ありがとうございました。

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YouTubeより

 で、最後の最後に、急にこの記事を読んでいるアナタに向かって話しかけてみます。実は私の味噌汁、あの「キムチ味噌汁」から、一向にアップデートされていないんです。これ以上、おいしくなりようがあるのか?

 私の料理スキルツリーでは、これ以上変わりようがない感じがしてます。「もう答えが出ちゃって、発展の可能性がない」というか。でも、日本国民がこんなにいるからには、アレが味噌汁における“解”なはずはない。

 みなさん、味噌汁ってどう作ってますか?

 ……などと、突然みなさんに料理初心者からの質問を投げかけて、この記事を終えてみようと思います。味噌汁のこと、もっと知りたい。


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コメント

18
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TOSHI 16年婚活52歳婚女性のプロフィールへのリンク

新米主婦です、私も1年くらい料理を作り続けて最近やっとなんとかなりました。 おもしろかったです✨️なんか、癒されました。 土井先生の本、おもしろいですよね。

はるこのプロフィールへのリンク
はるこ

キムチ鍋の素よりも、普通にキムチ入れたら具になるしもっと美味しいよ。キムチはすぐ使わなくてもなんなら酸っぱくなってからの方が美味い。

tozicaのプロフィールへのリンク
tozica

もしかしたら趣旨と外れるかも知れないですけど、味噌汁以外のスープ料理に挑戦してみるとスキルツリーがぐぐっと広がって楽しいですよ! 同じ具材でも、味噌の代わりにコンソメ顆粒を入れたらポトフになりますし、創味シャンタンを入れたら中華スープになりますし、カレールーを入れたらカレーになり…

隣に座った人のプロフィールへのリンク
隣に座った人

ジスロマックさん 分かりやすく味噌汁の美味くなる仕組みについて解説してくれている漫画がありますのでオススメさせてください。 ヤンキー君と科学ごはん https://tonarinoyj.jp/episode/2550912964517475069

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料理全然しないのに、土井善晴の味噌汁を1年間作り続けた|ジスロマック
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