米国・イランを仲介するパキスタンに嫉妬?

 パキスタンは隣国イランに次ぐ世界で2番目に多いイスラム教シーア派を抱え、シャリフ首相は自国を「イランの兄弟国」と称している。イランを脅威とみなすイスラム教スンニ派の大国サウジアラビアとも良好な関係を維持しており、昨年締結した相互防衛協定に基づき、11日に自国の戦闘機をサウジアラビアに派遣した。

 一方、対米関係も、パキスタン指導部が昨年、トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦したことで大幅に改善した。軍トップのムニール参謀長もトランプ氏の「お気に入りの元帥」だ。

 これに対し、インドは関税交渉で米国との関係が冷え込み、中東戦争でもほとんど存在感を示せていない。パキスタンと米国の蜜月ぶりを苦々しく見ているしかない状況だ。

 このことを端的に示しているのは、ジャイシャンカル外相の発言だ。

 インドメディアによれば、ジャイシャンカル氏は3月下旬「(パキスタンの仲介について)インドはダラール国家として行動することはできない」と発言したという。ヒンディー語のダラールはブローカーのことだが、売春斡旋屋という意味にも使われると言われている。ジャイシャンカル氏が下品な言葉を使ってパキスタンの外交をののしったのは、インド政府の焦りを表している。

 中東戦争で打撃を被るインド。今後の動向について高い関心を持って注視すべきだ。

藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。