第2章:JOPTの女王が去った日
第2章:疑心暗鬼のウィスパー
事件の引き金は、ある商談の席で引かれた。
キムは自社プロダクト『waitingList』の普及に奔走していた。
革新的なシステム。大手資本の安心感。本来なら断る理由のない提案だ。
しかし、ある有力なクライアント(ポーカースポットのオーナー)は、冷ややかな視線をキムに向けてこう言い放った。
「君、JOPTのななチャラさんとお付き合いしているって聞いたけど……うちは立場上、少し慎重にならざるを得ないんだ」
その言葉は、鋭利なナイフのようにキムの心臓を刺した。
「情報の扱いは本当に大丈夫なのか?」
「誤解を招かない運用になっているのか、そこを確認させてほしい」
二人の関係が、ビジネスにおける最大の「ブロッカー」となった瞬間だった。
愛が、信用の担保を食い潰していたのだ。
キムはその夜、帰宅してななチャラの顔を真っ直ぐ見ることができただろうか。
あるいは、ななチャラはその言葉を伝え聞き、自らの存在が愛する男の足枷になっていることを悟ったのだろうか。


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