私はサウジと長く仕事をしてきましたが、日本の石油危機は相当長く続くはずで、年単位は覚悟すべきです。先進国の中で最も長く、ダメージも大きくなるでしょう。ただこれは政治の問題というよりも、民間企業の問題で、誰が政権を担っても大差ありません。今日はその理由を書きます。長文お付き下さい↓
最大の理由は日本の船社がリスク管理を徹底しているからです。現在ホルムズ海峡は事実上封鎖されていますが、中国やインドの船社が通航できたのも事実です。一方日本の船社はペルシャ湾を出た船はあっても、入った船はありません。日本の船社のリスク管理は厳格で、仮にイランや米国が「通って良いよ」と許可を出しても通りません。戦争海域はリスクが高すぎるからです。
これは今に始まった話ではありません。例えばイスラエルのガザ侵攻を経て、フーシ派は2023年11月に紅海を封鎖し、通航する船舶への攻撃を激化しました。結果、ほぼ全ての船社が紅海ルートの通航を取り止めましたが、中国の中堅船社などは1年ほどでこの航路を再開しました。また大手船社のマースクは2026年1月に再開しています(後にイラン戦争により再度中止)。しかし日本の船社は最後まで再開しませんでした。これは何よりも船員の命を重んじているからです。
今後はホルムズ海峡と紅海の危険海域を避け、サウジのヤンブー港からスエズ運河を通り、喜望峰周りのルートがメインになると思われます。ただここも絶対安心とは言えません。イラン戦争前からフーシ派はサウジにドローン攻撃を繰り返していて、サウジ軍もポンコツで全く迎撃できていません。フーシ派はより遠距離のイスラエルにも攻撃しているため、ヤンブー港への射程距離は問題にならないはずです。
この点でイランは超えてはいけない一線をわきまえていて、最後は抑止力が働くでしょう。一方でフーシ派はやりすぎる傾向があります。これまでもサウジ国内の石油施設や民間空港、紅海上の民間船舶を何度も攻撃し、多くの死傷者を出しています。フーシ派はタガが外れると何をするか分からない怖さがあり、ヤンブー港を攻撃する可能性も十分にあると考えます。
結論です。日本の船社はリスク管理を徹底しているため、本当に安全な海域しか通れません。また少しでもリスクが上がれば通航を止めます。仮に他の国が中東からの原油を調達できるようになっても、日本は限定的になるはずです。ただこれは民間企業のリスク管理の問題なので、政治でどうにかなる話でもありません。代替先が見つかるまでは耐え忍ぶしかなく、国民もそれを覚悟すべきでしょう。長文お付き合い頂きありがとうございました。