贈賄罪で起訴の元社長に無罪 がん研究センター元医長との契約めぐり

黒田早織
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 自社の製品を使ってもらった見返りに、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の元医長に約170万円を渡したとして贈賄罪に問われた医療機器メーカー「ゼオンメディカル」(東京都千代田区)の元社長の男性被告(69)の判決が16日、東京地裁であり、中川正隆裁判長は無罪(求刑懲役1年)を言い渡した。

 元社長の起訴内容は2021年5月、同病院の肝胆膵(かんたんすい)内科医長(当時)=収賄罪で起訴されたが無罪が確定=に対し、カテーテル治療で使う機器「ステント」の自社製品を他社製より多く使った謝礼などとして、計約170万円を送金したというもの。

 同社が自社のステントの改善点を調査してもらう契約を元医長側と結び、報酬として約170万円を払ったことについて、検察側は「調査には実態がなく、送金は賄賂だった」と主張した。

 判決はまず、会社側が調査結果を社内で広く共有していないと指摘し、元社長側には「自社製品を多く使った謝礼や、今後も同様の扱いを受けたいという賄賂の趣旨があった」と認めた。

 しかし、元医長側は実際にステントを使って会社側に結果を報告しており、「送金は契約に基づく報酬だと認識していた」と判断。贈収賄の罪が成立するには、受け取る側と贈る側の両方が賄賂であることを認識していた必要があるため、元医長に賄賂の認識がない以上、元社長の贈賄罪も成立しないと判断した。

 収賄罪が成立しなくても贈賄の「申し込み罪」が成立する場合があるが、判決は、会社側が元医長に賄賂の趣旨を示していなかったとして、成立しないと結論づけた。

 判決に対し、東京地検の市川宏次席検事は「判決内容を十分検討して適切に対処したい」とコメントした。

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この記事を書いた人
黒田早織
東京社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、在日外国人、ジェンダー、精神医療・ケア

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