2026-04-14

高級猫料亭に行ってきた

店の暖簾をくぐった瞬間、ここが猫カフェの延長線上にある場所ではないことを悟った。静かすぎるのだ。

一般的猫カフェにあるような軽やかな鈴の音や、蠱惑な鳴き音が、ここではすべて吸い込まれている。

案内されたのは畳の個室。座布団に腰を下ろすと襖の向こうでかすかな気配が揺れる。人の気配ではない。だが、こちらを意識している何かの存在けがかにある。

やがて無言のまま一匹の猫が入ってきた。

店員ではない。いや、正確には店員であり、店員のものなのだろう。毛並みは整えられ、光を含んだように柔らかく、歩くたびにわずかに空気が変わる。こちらを一瞥すると、まるで手順を確認するかのように一度だけ瞬きをした。

お通しでございます

襖の外から声だけが届く。

猫は何も言わない。ただ静かにこちらの膝の上に乗った。

――これが、“お吸い物”か。

いわゆる「猫吸い」は、日常の中で許された小さな逸脱だ。

顔をうずめ、温もりと匂いを盗む、半ば衝動的な行為しかしここではそれが完全に制度化されている。

そっと顔を近づける。

毛の一本一本が、ただ柔らかいだけではなく、どこか整えられた流れを持っている。鼻先に触れた瞬間、ほのかに温かい匂いが立ち上がる。それは単なる動物匂いではない。清潔さと、わずかな野性と、そして時間のようなものが混ざっている。

吸い込む。

その瞬間、奇妙な感覚に襲われた。

匂いを吸っているはずなのに、どこか自分が吸われているような気がするのだ。こちらが猫に触れているのではなく、猫という存在こちらの感覚が包み込まれていく。境界曖昧になる。

ふと顔を上げると、猫がこちらを見ていた。

無表情。と言ってしまえば簡単だが、そこには確かに見られているという感覚がある。評価されているわけでも拒絶されているわけでもない。ただこちらの存在をそのまま受け入れている。

なるほど…と妙に納得する。これは“吸う”ものではない。“吸われる”ものなのだ

日常の猫吸いが一方的摂取だとすれば、ここでのそれは相互作用に近い。こちらが猫を感じているのと同時に、猫もまたこちらを感じている。その往復の中で、ようやく成立する。

膝の上の重みがほんの少しだけ変わった。猫が体勢を整え、再び静かに目を閉じる。

どうやら、お通しはまだ終わっていないらしい。

この店では猫吸いを“いただく”のではない。時間ごと差し出され、それに身を委ねるだけだ。

吸い物としての湯気は立たない。だが確かに、ここには目に見えない何かが立ち昇っている。

それを吸い込んだのか、それとも吸い込まれたのか――

その区別は、もうなくなっていた。

  • 猫鍋もある?

  • 創作するのは構わん。高級料亭→「猫吸い」というギャップをオチにしたいんだね。分かるよ。 でも、想像で料亭を書いたところで、読者は「ああ、この人は料亭にいったことないん...

  • 「お通しでございます」 ... ――これが、“お吸い物”か。 先ずここ、「お通し」なのになんで「お吸い物か」なんだよ、おかしいだろ。 それよりも、料亭で「お通し」なんて聞い...

    • よしなよ

      • 素人が、ラノベや生成AIだけを参考にして、稚拙な作品を作る。それを別の素人が褒める。幼稚園の壁に貼ってる絵みたいな、誰も批判しない平和な世界だ。いい年した大人がやることじ...

  • なんだ、猫食えるわけじゃないのか。 駄文。 また食べたいんだけどなかなか店がないんだよなー

  • 今は猫がフライパン持って料理してるAI動画がいくらでもあるからありがたみが

  • ジャップの猫欲は異常

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん