京都・男児行方不明 子どもの遺体発見で関連捜査 「消える子ども」は年1000人超 「社会の死角」から守るには
■「日本の公園は世界で最も危険」 SNSは究極の死角 さらに小宮教授は、「日本の公園は世界で最も危険」と警鐘を鳴らす。 「海外では、公園内に子ども専用エリアを設け大人の立ち入りを制限していますが、日本の公園は誰もが自由に出入りできます。遊具のそばにベンチがあり、大人が自然に子どもに声をかけられる構造、つまり『領域性』が低くなっています」 一方で、デジタル空間のリスクも無視できない。警察庁によれば、2025年にSNSがきっかけで性犯罪などの事件に巻き込まれた小学生は167人(前年比31人増)と過去最多になった。 「SNSは匿名性が高く、なりすましも容易で保護者の目も届きにくく、究極的に『入りやすく、見えにくい』場所です」(小宮教授) 社会が変化する現状において、子どもたちを犯罪やトラブルからどう守ればいいのか。 小宮教授は、日本は被害後の対応に重きを置く「クライシス マネジメント」が中心だが、必要なのは、犯罪が起きる前に防ぐ「リスクマネジメント」だと指摘。そのためには「景色」からリスクを判断する「景色解読力」を身につける重要性を説く。 「まずは親子で、自宅から学校までの通学路を一緒に歩き、景色を見ながら、入りやすい場所(領域性)と見えにくい場所(監視性)を確認し、地域に潜む危険性に気づくことが大切です」 ■通学路を一緒に歩くだけで変わる安全 Googleストリートビューなどを使って自宅にいながら確認することも有効だ。危険な場所がわかれば、学校以外の場所に子どもたちだけで遊びに行っても、「入りやすく、見えにくい」場所がわかってくる。やむを得ず危険な場所に行く際は、警戒レベルを最大限に上げ、ときどき後ろを振り返るなど、犯罪者に犯罪の機会を与えないことが重要になる。 SNSも、「入りやすく、見えにくい」サイトには細心の注意を払う。SNSで知り合った相手と会うときは、喫茶店や第三者を介すなど、慎重な対応が欠かせないという。 さらに小宮教授は、「犯罪機会を減らす環境づくりは、社会全体で取り組む必要がある」と強調する。 「決定的に大事なのは、都市計画や大学のカリキュラムに、犯罪機会論の視点を取り入れることです」 例えば、公園は子どもエリアと大人エリアを分け、シースルーの柵で囲む。また、公衆トイレは、周囲から見通しのよい場所に設置したり、女子用入り口と男子用入り口を離して設置したりして、女子用トイレの領域性と監視性を高める対策が求められる。さらに、海外の主要大学には必ずある犯罪学科が、日本には一つもないと指摘。「犯罪機会論のインフラ整備は期待できない」と警鐘を鳴らす。 「何か起きてから動くのではなく、起きない環境をつくることが最も現実的で効果的な方法です」(小宮教授) 子どもの安全は、社会の成熟度を映す指標でもある。社会全体で、子どもを守るための視点と仕組みを再構築する必要がある。 (AERA編集部・野村昌二)
野村昌二