岐阜県内の3市町が、通学する生徒がいないにもかかわらず、朝鮮学校への補助金を交付し続けていたことが明らかになった。文部科学省はすでに口頭指導を行い、事実確認も進めている。交付はいずれも規定に基づいて行われていたが、実態にそぐわない内容を変更せず、漫然と従来の規定を運用し続けた「不作為」が浮かび上がる。
3市町の一つ、瑞穂市では少なくとも平成29年度から8年間にわたり、毎年2万円を岐阜朝鮮初中級学校(岐阜市)に交付し続けていた。支出の根拠となる交付要綱には、朝鮮学校への補助金額として2万円が明示され、「(市内の)生徒1人につき3千円を加算する」と記されている。
市の担当者は「記録がある平成29年度以前も相当期間、市内から通う生徒はいなかったとみられるが、要綱に明記されている以上、勝手な解釈はできないので交付を続けてきた」と説明する。
岐南町と笠松町の場合は平成元年、2町が所属する羽島郡の町長会で交わした「協議書」が支出根拠となっている。協議書によれば、羽島郡として2万円、加えて生徒1人あたり2千円を支払うとしている。
その後、両町は通学生がいないにもかかわらず、1万円ずつを負担し交付してきたという。その期間は、確認できるだけでも令和元年度から7年間にわたる。協議書の内容を変更するには町長同士の協議が必要だったが、議題に上がったことはなかった。
一方、同じ岐阜県内でも羽島市の場合は、交付要綱に「(朝鮮学校に)通学する児童生徒がいない場合は、補助金を交付しない」と明記し、文科省が指導したような問題が起きないルールを定めていた。
文科省幹部は「金額は決して大きくないだけに、漫然と支出を続けてきたのだろう。朝鮮学校への補助金を『住民サービス』と捉えて実施する自治体も多いようだが、そもそも通学する児童や生徒がいないなら住民サービスですらなく、理解を得られるとは思えない」と指摘している。(大森貴弘)