モチベーターとは?向いている人の特徴・モチベーションの高め方を解説
- 組織・人材開発
大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
従業員のモチベーション向上は、働きがいを生み出し、個々の能力を引き出して業務に対する積極性も高めるため、組織全体の成果につながる大事な要素といえます。
そこで重要な役割を担うのは、周囲のモチベーションを高める知識や技術を持つ「モチベーター」です。チームの成功を共有して一緒に喜び合ったり、誰かが失敗をしてもフォローしたりするなど、周囲に対するサポートによってチーム内のモチベーションを高めることができます。
モチベーターの存在によって、チーム全体の生産性向上や意欲を支え、チームが目標に向かって積極的に取り組む環境を作り出すことができるでしょう。
本記事では、モチベーターとはなにか、モチベーションについても解説し、組織にモチベーターが必要な理由、モチベーターに向いている人の特徴、周囲のモチベーションを高める方法を紹介します。
モチベーターとは
「モチベーター」とは、周囲のモチベーションを高めることができる人を指します。これは、単に前向きで明るい性格であることや、周囲の人を引っ張っていけるというだけでなく、知識や技術にもとづいて他者のやる気を引き出すことができる人を指します。
例として、モチベーターは以下のような行動によって組織内のモチベーションを高めていきます。
- チームの成功を共有し、一緒に喜び合う
- メンバーの個別の悩みを聞き、解決策を提案する
- チームの目標やビジョンを明確に伝える
- 難しい状況でもポジティブな態度を維持する
- チーム内で風通しのよいコミュニケーションを促す
- 学習や成長の機会を提供し、挑戦を促す
- 意見やアイデアを積極的に受け入れ、議論を活性化させる
- 誰かが失敗をしても、フォローをする
一方で「モチベーションブレイカー」と呼ばれる存在もあります。これはモチベーターとは反対に、周囲のモチベーションを下げてしまう人のことで、曖昧な指示や不公平な態度、過度な批判などにより、チームの生産性や士気を下げる要因となります。
モチベーターがいる職場では、個々の従業員が主体的に動き、連携も強まるため、組織全体が目標に向かって効率的に動くことが期待できます。
モチベーターとリーダーの関係
「モチベーター」と「リーダー」はどちらも他者に影響を与え、最終的には目標達成に向けて組織やチームのメンバーの能力を引き出すことを目指している点では互いに重なる部分があります。しかし、役割としては異なる側面を持っています。
リーダーは、チームや組織をまとめ、目標に向けて全体の方向性を示す役割を持っています。リーダーはビジョンを掲げ、組織全体が進むべき道を示すことが主な責務です。また、意思決定やメンバーの調整、課題解決を行い、組織の成果を高めるために指導するなどもリーダーの仕事といえるでしょう。
モチベーターは、メンバー一人ひとりのモチベーションを引き出す役割です。これはリーダーの一部として機能することもありますが、必ずしもリーダーがその役割を担うわけではなく、同僚やメンバー同士でもモチベーターになり得ます。モチベーターは個人に寄り添い、その人がモチベーションを高めやすい環境の構築や心理的な支援を行うほか、チーム全体に働きかけて士気を高めることが求められます。
リーダーとモチベーターは、役割やアプローチの違いはありますが、相互に関連する存在です。リーダーがモチベーターの要素を持つことで、より強力なリーダーシップを発揮できますが、リーダーでない人でもモチベーターとしてチームに貢献できる可能性があります。
そもそもモチベーションとは
そもそもモチベーションとはどのようなものなのでしょうか。
モチベーションとは、人が行動を起こし、継続させるための内外のエネルギーのことを指します。業務においては働きがいにもつながり、目標達成に向けて従業員が積極的に取り組むことができる推進力として重要な役割を果たします。
モチベーションには大きく「外発的動機づけ」「内発的動機づけ」の2つのタイプがあります。
外発的動機づけ
外発的動機づけとは、外部の要因によって動機づけられるものを指します。例えば、給料や昇進といった報酬のほか、期限の圧力によって行動が促されるケースも該当します。
メリットとしては、「〇〇ができたら報酬を与える」といった、実施方法が分かりやすく、業務そのものには強い興味を持たない人でも一時的にモチベーションを高めやすいことが挙げられます。
ただし、デメリットとして長続きしにくいことが挙げられます。報酬によるモチベーション向上も何度か繰り返すことで慣れてしまい、原動力としては弱まっていくほか、昇給や賞与といった金銭的なコストがかかるものを何度も実施することは企業にとっても負担となります。また、外発的動機だけに頼ると、自発的な成長につながりにくく、報酬につながるノルマ達成という部分だけに着目し、業務そのものの価値も低下しがちです。
【外発的動機づけの例】
- 昇進や昇給
- 賞与やインセンティブ
- 社内表彰
- 競争や順位付け
- チーム目標の達成による祝賀会の実施
内発的動機づけ
内発的動機づけとは、自分の内面から生まれる興味ややりがいを感じられる環境によって行動が促されることを指します。例えば、業務に対する好奇心や挑戦意欲によって、業務そのものが楽しみになり、モチベーションを高めて取り組むことができます。
外発的動機づけが「報酬を得られるから取り組む」だとすれば、内発的動機づけは「自分がこの業務をやりたいから取り組む」といった違いになります。
メリットは、行動が長期間持続しやすく、質の高い成果が期待できることです。また、内発的動機づけが強い人は業務に対して高い集中力を発揮し、より自発的に学びや改善を続ける傾向があります。
しかし、デメリットとして、内発的動機づけは「その人自身が、その業務に興味や関心を持つかどうか」といったことに作用されるため、個人差が非常に出やすいです。また、実施方法が明確でなく、日々の業務に対してのモチベーションとなるため、短期間でモチベーションを向上させるといったことも難しいでしょう。
モチベーションは、個人の生産性や満足度に直結し、組織全体の成果にも大きな影響を与えます。とくに、効果が持続し、業務の質も高まりやすい内発的動機をいかに高めるかが、重要な要素となるでしょう。そのため、個々の動機に適したアプローチを取ることが、モチベーションを効果的に引き出すためのポイントになります。
【内発的動機づけの例】
- 自己成長の実感
- 自らのスキル向上
- 楽しさや充実感
- 業務に対する情熱
- 社会や他者への貢献
組織にモチベーターが必要な理由
組織にモチベーターが求められるのには理由があります。以下で理由を3つ紹介します。
モチベーション向上が成果を左右する
モチベーターがいることで、チームの士気が高まり、従業員は自己の役割や目標に対するモチベーションも向上します。
モチベーションが高まった従業員は、業務に積極的に取り組めるため、成果を上げやすくなります。
人材の育成を促進する
モチベーターの存在は、組織内での人材育成にも影響を与えます。内発的動機づけにもとづいて従業員のモチベーションが高まることで、従業員が業務の意義や楽しさを感じることができるでしょう。
それにより、従業員自らが学び、スキルを磨く意欲も高まるため、個々の能力開発につながり、人材の育成が促進されます。
組織内が活性化する
モチベーターがコミュニケーションの中心となると、チーム内で意見や情報の共有が円滑になり、積極的なやり取りが促されます。モチベーターがメンバー同士の橋渡し役を担い、意見交換やフィードバックを活発にすることで、メンバー間で多様な意見や議論を積み重ね、互いの意見を尊重できるようになります。
互いを尊重しあう環境を作ることで、信頼関係が深まりやすく、課題解決のための協力や新しいアイデアが生まれやすくなるため、組織全体の活性化につながります。
モチベーターに向いている人の特徴
モチベーターに向いている人には一定の特徴があります。以下で詳しく解説します。
成功のイメージを具体的に伝えられる
モチベーターは、成功を具体的にイメージし、周囲に伝える力を持っています。単に「頑張ろう」と言うのではなく、成功するための明確なステップや目標を示し、成功に向かう道筋を具体的に描くことができます。
例えば、過去の成功事例や実績、ナレッジを共有し、従業員が成功のイメージを感じ、自信を持って取り組めるようにして、モチベーション向上につなげることができます。
自ら率先して行動する
モチベーターは周囲のサポートを行いますが、言葉だけではなく、自ら率先して行動することもできます。
モチベーターが率先して行動を起こし、結果を出すことで、他のメンバーから普段の言動に対する信頼性を高め、自然と周囲の積極性を引き出していきます。
ただし、率先して行動した結果、失敗したとしてもへこたれることなく、改善策を提示し、次の成功に向けた前向きな取り組みができることも重要です。
対等に対話できる力
モチベーターは、丁寧なコミュニケーションを取ることで、周囲と信頼関係を築くことができます。
相手の意見に耳を傾け、率直で対等な対話を大切にする姿勢が、積極的に意見を交わせる雰囲気を作り出します。
ポジティブな環境作り
モチベーターには、職場にポジティブな雰囲気を作り出すことが求められます。ネガティブな態度や批判を避け、ほかの従業員がミスをしても、モチベーターは建設的なフィードバックをして、失敗を成長の機会に変える力が重要です。
職場における明るく前向きな姿勢によって、ほかのメンバーが気持ちよく動くことができ、全体のパフォーマンス向上に寄与します。そのため日常的な言動から雰囲気を整える努力が欠かせません。
言動の一貫性を保つ
言動が矛盾していたり、場当たり的なアドバイスをしたりすると、メンバーに不信感が募り、信頼を失いかねません。
一貫したコミュニケーションがメンバーに安心感をもたらすため、モチベーターは発言に責任を持ち、言葉と行動が一致する姿勢が求められます。
適切な距離感でコミュニケーションを取ることができる
周囲のサポートをしようとメンバーとコミュニケーションを積極的に取ろうとする姿勢は重要です。
ただし、すべてのメンバーが同じようなコミュニケーションを求めるわけではなく、会話の量の多さが良いコミュニケーションということではありません。相手によっては一歩引いた距離感が心地良い場合もあります。そのため、相手の反応に注意を払い、無理に会話を続けるようなコミュニケーションにならないような調整がモチベーターには求められます。
周囲のモチベーションを高める方法
モチベーターとして、周囲のモチベーションを高めるにはどのような方法があるのでしょうか。以下で解説します。
一緒に目標を設定する
チームメンバーとの目標設定は、モチベーションを高める有効な手段です。個々の目標に加えて、共通の目標を持つことで互いにサポートし合い、うまくいかないシーンでも励まし合うことができます。
その際に重要なのは、目標が具体的で現実的なものであることです。具体的な目標を設定することで、メンバーが何に向かって取り組むべきか明確になり、チーム全体で協力しやすくなります。また、現実的な目標は、到達可能な道筋であることを示し、「これなら成功できる」といったイメージを与える役割を果たします。
なお、目標を設定するだけでなく、定期的な進捗確認も大切です。達成したこと、今後の課題を共有することで、メンバー一人で抱え込むことなくモチベーションを維持できます。定期的なコミュニケーションを通じて、目標の修正や調整を行うことも重要です。
失敗を責めない環境を作る
失敗を許容する環境を作ることで、メンバーは新しい挑戦に積極的に取り組むことができるでしょう。モチベーターは、失敗を恐れずに発言できる雰囲気を醸成し、多様なアイデアや柔軟な発想を引き出すことが大切です。
若手や経験の浅いメンバーも意見を出しやすくし、立場に関係なく意見を尊重することが、チーム全体のモチベーションを下げない環境を作りだします。
メンバーのモチベーションを知る
個々のメンバーが何に対してモチベーションを感じるかを把握することも大切です。年齢や経験の違いによって、同じアプローチが全員に通用するわけではありません。
一例になりますが、経験豊富なメンバーが責任ある役割や専門性の発揮にモチベーションを感じる一方で、新しいメンバーは成長や学習の機会に価値を見出すといったことも考えられます。
メンバーそれぞれの価値観や動機を理解し、それに応じたサポートをすることが、組織のモチベーション維持につながります。
主体性を高めて内発的動機づけを引き出す
先にも述べたように、内発的動機づけはモチベーション向上の効果が持続しやすく、業務の質も高めやすいため、内発的動機づけにもとづいてモチベーションを向上させることが重要です。
内発的動機づけを引き出すために重要な要素は主体性の向上です。主体性とは、個人が自ら意思決定を行い、自分のペースで物事を進める感覚を持つことです。とくに職場では、個人の意見やアイデアを尊重し、自主的に取り組む機会を与えることが、内発的な動機づけを引き出すポイントとなります。
例えば、自由にタスクを選んだり、自分でプロジェクトの方向性を決めたりする場面が増えると、やりがいや達成感を感じやすくなります。また、目標を設定する際も、個々の興味や成長意欲に沿ったものにすることで、より主体性を持って業務に取り組むことにつながります。
まとめ
モチベーターは、職場やチームの生産性と士気を高める重要な存在です。目標達成を支援し、コミュニケーションを取って信頼関係を築くことで、周囲のモチベーションを高めることができます。
モチベーターに向いている人は、職場にポジティブな雰囲気を作り出し、他者のモチベーションを理解し、モチベーションを高めるための工夫ができる人です。モチベーターは、周囲にポジティブな影響を与えるだけでなく、チーム全体を成長させる原動力となります。
周囲との信頼関係を築き、チームの一体感を高めることで、組織全体が目標達成に向けた力を発揮できる環境を整えていきましょう。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
2.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
3.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
4.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
5.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
6.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
7.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
8.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
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