野手転向した阪神・西純矢、わずかプロ6年で終わった“超逸材”の投手人生が惜しすぎる【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.90』】
世界大会では投打で大活躍
3年時にも高校日本代表に選ばれた西選手。投打ともに活躍を見せました。木製バットに順応し、鋭い打球を飛ばしていた西選手は、打者としての出場機会も増えます。韓国で行われた世界大会では、南アフリカ戦で2本塁打8打点の大活躍。フォローが効いた豪快なスイングから繰り出される飛距離は選出野手と遜色ないものでした。 投手としての活躍も素晴らしく、13.1回を投げて17奪三振、2失点。どの試合でも常時140キロ台後半の速球、フォークを投げ込んでおり、さらに評価を高めました。 ストレートの球速は岡山大会のほうが速かったですが、フォークについては世界大会のほうが良かったと思います。西選手は当時の取材で「岡山大会では肘の張りもあって、思うようなボールが投げられませんでした。しっかりと調整して肘の状態は良く、さらに国際球はフォークが落ちやすいのでそれが良かったと思います」と振り返っていました。ちなみにこのフォークは中学時代にマスターしたもの。ボーイズ日本代表であるNOMOジャパンに選ばれた際に総監督の野茂英雄氏から学んだそうです。 高校時代の評価ではやはり投手。高校通算25本塁打を記録していましたが、打撃としての評価は投手のそれを上回るものではありませんでした。19年のドラフトでは、将来のエースとして阪神から1位指名されています。 早速投手として結果も出します。高卒3年目に6勝、4年目には5勝。闘志剥き出しの投球スタイルは高校時代そのままで、伸びやかな投球フォームから投げ込む150キロを超える速球と140キロ台のフォークのコンビネーションは凄まじいものがありました。好調時の投球を年間通して続けることができれば、二桁勝利は確実でした。 しかし今年は肘の手術により登板ができずに終わり、野手転向となりました。上述の通り、打撃センスは抜群です。右肘が綺麗に抜けた打撃フォームは柔軟性が高く、さらにパワフル。プロ通算で49打数11安打、1本塁打、9打点をあげています。 しかし、これから本物の野手になるのは相当な時間がかかるはずです。来年以降、投手で打席に立った以上に厳しい攻めが待っています。その中で結果を残し続けることができるか。 入団6年で投手・西純矢が終わるのは寂しいですが、プロ野球を見ると、アマチュア時代に見せていた才能を発揮できずに引退する選手が多い中、一軍で12勝を挙げた西選手はその片鱗を見せてくれたと思います。これからは打者として長くプロ野球の世界に生き残り、大成することを期待しています。
河嶋宗一