「自民は検察の守護神じゃない」稲田朋美氏 再審法で抗告禁止を 絶叫は「非常救済措置」
自民党の稲田朋美元防衛相は9日、刑事裁判の再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を巡り、党本部で法務部会と司法制度調査会の合同会議で政府原案への異論を改めて唱えた。記者団には「誤った有罪判決で冤罪被害者がこんなにも長く救済されていない。理由は抗告と証拠を出していないから」と語り、「ここを改正しないと始まらない。抗告の禁止が手付かずでは何のための法改正なのか」と訴えた。 【写真】自民党の法務部会と司法制度調査会の合同会議 ■調査会長も「法案修正を」 政府原案は、再審開始決定に対する検察の抗告を維持し、再審請求手続きで捜査機関が保有する証拠物の開示範囲を限定するとした。これに対し、自民内で反対の声が高まっている。 政府提出法案の今国会の提出期限は10日。政府は9日午前、当初目指した4月上旬の提出を先送りする方針を衆参両院に伝えた。 自民党本部での会議の冒頭、司法制度調査会長を務める鈴木馨祐前法相は先送り方針を謝罪し、法務省に対し「より良い法案にしていく意味で、法案修正も含めて検討してほしい」と重ねて求めた。 稲田氏は記者団に、政府原案は「検察の出している法案にしか見えない」と指摘し、「自民党は検察の守護神ではない。(適正な)刑事司法手続き保障の守護神でなければならない」と述べた。 ■「抗告禁止が無視されている」 昭和61年の福井中3殺害事件(福井事件)で再審無罪が確定した前川彰司さんの再審請求を巡って、稲田氏は「控訴審でも再審請求でも検察が証拠を隠し続け、抗告を続けてきた」と問題視し、事件の検証を訴えてきた。会議に出席した法務省幹部は「できることはやる」と応じたという。 稲田氏は、6日の合同会議でも、法務省幹部を「1ミリも私たちの言い分を聞かないじゃないか。ここで発言した議員はほとんど全てが『抗告禁止』だ。それを全く無視している」と批判していた。メディアの冒頭取材が終わりかけたタイミングでの異例の発言だったため、大きく報じられる結果となった。 稲田氏は6日の発言について、「毎回言い続けて、全く無視されていた。国民の皆さんに訴える手段として〝非常救済手段〟をとった」と説明。冤罪事件が相次ぐ事態について「刑事司法への信頼が揺らぎ、問題が指摘され、議論されている。自民党らしい議論をして、よりよい法改正をしたい」と語った。
改正案は、本会議や委員会の質疑に高市早苗首相が出席する「重要広範議案」に指定されている。(奥原慎平)