熊本大の授業料値上げに「待った」 学生らが署名活動 「真摯な対話を」
熊本大が2027年度から授業料を値上げする方針を示したことに対し、一部学生が3月下旬から、値上げ撤回と学生との真摯[しんし]な対話を求める署名活動をオンラインで始めた。大学側は今夏のオープンキャンパスまでに値上げを正式決定する見通し。学生らは「意思決定のプロセスに学生の意見が反映されていない」と訴える。 熊本大は3月11日、物価高騰による収益悪化を理由に、27年度から全学年一斉で年間授業料を11%値上げし59万4800円とする方針を発表した。値上げ幅は20~25年の消費者物価の総合指数や名目賃金の上昇率が11%台だったことを踏まえた。値上げされれば05年に現在の水準になって以降で、九州・沖縄の国立大で初めてとなる。 署名活動を始めたのは熊本大生2人で運営する「学費増額に反対する熊大生有志の会」。4月10日時点で250件超の署名が集まり、大半が熊本大生という。 有志の会は、大学側が昨年11月に開いた学生との意見交換会について、案内が授業料に関わるものとは分かりにくく、内容も財政状況などの一方的な説明で、学生との対話を欠いたものだったと指摘する。
値上げについては「学生をさらなる困窮に追い込み、学業継続を困難にさせるリスクを高める」と主張。現行の授業料を前提に生活設計を立ててきた学生や保護者にとって、入学後の値上げは大学に対する信頼を損ないかねないと訴える。有志の会の男子学生(21)は「物価高だから仕方ないと、黙って値上げを受け入れることに危機感がある。大学側には学生の意見を聞いてほしいし、学生側も声を上げてほしい」と話す。 熊本大は4月30日に開く学生らとの意見交換会を踏まえ、役員会で値上げを正式決定する見通し。意見交換会の案内は全学生にメールで送る。小川久雄学長は8日の定例記者懇談会で「意見交換会は200人以上の学生が参加できるようにするのでぜひ来てほしい。値上げの根拠は丁寧に説明する」と述べた。 国立大の授業料は文部科学省令で標準額(53万5800円)が定められ、大学の判断で2割まで増額できる。近年は東京芸術大や東京工業大(現東京科学大)、東京大など首都圏を中心に値上げが相次いだ。岡山大も27年度から値上げする方針。(丁将広)