『けいおん!』『ぼっち・ざ・ろっく!』『ゆるキャン△』など、数多くのヒット作を世に送り出し続けている「まんがタイムきらら」。今回は長年きららを愛読しているDMMブックス書店員が、絶対読んでほしいきらら系漫画のおすすめを熱烈にご紹介! 数多くの名作があるきらら系作品の中から、悩みに悩んで珠玉の14作品をピックアップしました。作中シーンの画像付きで見どころをたっぷりご紹介していきます!
「まんがタイムきらら」とは?系列誌も紹介
『まんがタイムきらら』は、芳文社から発行されている月刊4コマ誌です。スローガンは、「ドキドキ☆ビジュアル」。2002年から創刊されている歴史の長い漫画誌で、熱狂的なファンも多数います。もととなったのは同じ芳文社から発行されている『まんがタイム』なのですが、大きく異なる点は、とにかく女の子の可愛さや魅力を届けることをコンセプトにしているところ。
現在ではさまざまな系列誌があり、『まんがタイムきらら』の他、『まんがタイムきららMAX』(2004年~)、『まんがタイムきららキャラット』(2003年~)、『まんがタイムきららフォワード』(2006年~)が発行されています。
本記事では、これらの系列誌も含めた「きらら系漫画」と捉え、幅広くおすすめ作品をご紹介していきます!
現在連載中!おすすめのきらら系漫画
まず本章では、現在連載中のきらら系漫画のおすすめ作品をご紹介します!
しあわせ鳥見んぐ
【掲載誌】
まんがタイムきらら
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
最初にご紹介するのは、4コマ漫画の構造を巧みに活用した、「バードウォッチング」がテーマの意欲作です。
悩める美大生・宮内すずは、公園で絵を描いているときにバードウォッチャー・時庭翼と出会い、鳥見にハマっていきます。翼による鳥に関する豆知識も面白く、隠れて鳥を解説するYouTuberをやっているというキャラ設定も今風です。バードウォッチの奥深い世界に触れていく中で、すずの描く絵にも変化が見られるようになっていきます。
本作を読み始めてまず感じることは、「この作者は鳥が大好きなんだろうな」ということ。生半可な気持ちではここまで鳥を生き生き描けません。もちろん作者の画力自体も非常に高いのですが、鳥への愛がなければ、ここまで魅力的に鳥を描くことはできないのではないでしょうか。
また、多くの漫画は横向きにコマが運ぶよう配置されていますが、4コマ漫画という形式は上から下にコマが描かれていますよね。一般には読みやすさとしてデメリットに挙げられることもある縦読みですが、バードウォッチングというテーマとの相性はばっちり!
まず空の鳥を捉え、その後にすずたちのリアクションが映る――活き活きした鳥たちの様子と、可愛らしい女の子たちの反応が楽しめる作品です!
セーラー服と関西弁
【掲載誌】
まんがタイムきららMAX
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
「いや機関銃ちゃうんかい!」と思わず突っ込みたくなるタイトルですが、本作はその名のとおり、関西弁の女子高生による日常4コマです。主人公は日渡まつり、東雲薫、そして桃瀬楼蘭の3人。
大阪在住の人以外からすると、ついついステレオタイプに捉えがちな大阪人。しかし、実は大阪にもさまざまな地域があり、文化や雰囲気が大きく異なります。
大阪府の南側・河内長野出身の頭の悪い金髪・日渡と口の悪いメガネ・東雲は中学時代からの友達。2人は大阪府の北側にある箕面の高校に通うことになります。一言でいえば、河内長野出身の2人はガラが悪く、高校で出会った楼蘭は比較的おしとやか。そんな3人を中心に巻き起こる、大阪府内でのカルチャーギャップが読んでいて笑いを誘います!
一方で、日渡と東雲による激しいボケツッコミと、おっとりしつつ常識とズレている楼蘭が織りなす日常シーンも見どころ。なんといってもすべてのセリフが関西弁で書かれているので、テンポ良く読み進められますよ。単行本ではまだ1巻しか出ていないので、関西弁の女の子たちの応酬を楽しみたい方におすすめ!
フルボイス!
【掲載誌】
まんがタイムきららキャラット
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
本作のタイトルから「声優がテーマの作品なのかな?」と思う方もいるでしょう。しかし、実際の設定は少し違います。
本作の主人公で声優志望の18歳の女子・乙雛きなりは、家庭の金銭事情で学費が払えないため声優養成所の特待生オーディションを受けるも落選。なんと、物語冒頭から声優への道が断たれてしまうのです……! しかし、幸運なことに声優事務所のデスク(内勤でサポートする職員)として働き始めることに。そこで上司や先輩に出会い、マネージャーとして「声優のたまご」を育てていく――というのが本作のストーリーです。
きなりは3人の特待生を担当することになるのですが、これがなかなか癖のある子ばかり。百千月和奏(もちづき・わかな)は背が小さく、ものすごく内気な女子ですが、声が魅力的で周囲から期待されています。一宮姫芽はアスリートのような風貌の女子で、一見するとサバサバしているように見えますが、実は可愛いもの好きの一面も。阿万里十彩(あまり・といろ)は絵にかいたような犬系女子。柴犬のような眉毛がトレードマークです。他にも、部署の上司の井上玉繭(たまま)、先輩マネージャーの殿丸さくら(さくら)など、個性的なキャラクターが多く登場します。
果たして3人の特待生は一人前の声優になれるのか……!? 彼女たちの声優道が声優の夢を諦めたきなりの目線で描かれているので、きなり自身の葛藤も描写されます。声優業界の話や、具体的な養成所のシステムなど、業界の豆知識を楽しみつつ、きなりと声優のたまごたちの成長を見守りたくなるお仕事青春4コマ漫画です!
外せない名作!おすすめのきらら系漫画
続いて、きらら系漫画のなかでも特に外せない名作を3つ紹介します。何を読もうか迷った方は、これらの作品から読んでおけば間違いありません!
ぼっち・ざ・ろっく!
【掲載誌】
まんがタイムきららMAX
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
「ぼっちがロックを始める」まさにタイトルどおりの作品です! 数あるきらら系漫画の中でも異彩を放ち、社会現象まで起こした本作には、単なるバンドものの枠に収まらない圧倒的な個性があるといえるでしょう。
主人公は、極度の対人恐怖症ながらギターの腕は一流の後藤ひとり(ぼっちちゃん)。そんな彼女をバンドへと誘う、明るい太陽のような伊地知虹花。浮世離れした変人ベーシストの山田リョウ。そして眩しい陽キャのオーラを放つ喜多郁代。全く異なる属性の四人が「結束バンド」というバンドを組みます。
本作最大の魅力は「陰キャ」の扱い方! まず、ぼっちちゃんの内面を具現化した過激な視覚表現でギャグとして昇華しています。安定した可愛らしさが売りのきららにおいて、その美学を破壊するほどの「陰キャの醜態」には、毎回思わず笑ってしまいますよ。
しかし、それはギャグとしての描写に留まらないのがポイントです。「ちやほやされたい」という生々しい承認欲求、そして青春への憧れと現実の自分とのギャップへの絶望が、常にぼっちちゃんを取り巻いています。その泥臭い感情が、バンドとしてライブ活動を重ねていく中で、読者の胸を打つ「ロック」な物語を醸成していくのです。まさに爆笑と感動の不協和音、その唯一無二のグルーヴをぜひ体験してください! きらら系に「ゆるふわ」というイメージを持っている方ほど、読んだらハマッてしまうこと間違いなしです。
「ぼっちちゃん」こと後藤ひとりは、ギターを愛する孤独な少女。 家で一人寂しく弾くだけの毎日でしたが、ひょんなことから伊地知虹夏が率いる「結束バンド」に加入することに。 人前での演奏に不慣れな後藤は、立派なバンドマンになれるのか!? 全国のぼっちな少年少女に届ける、いま最高にアツい音楽漫画!!【付録ファイルについて】・「レンタル」には付録ファイルは含まれておりません。・動画、音声、壁紙付録はダウンロードしてお楽しみいただけます。・動画の再生には「DMM Player」が必要です。DMM Playerご利用方法※認証が求められた場合は、DMMアカウントの登録メールアドレスとログインパスワードを入力してください。※ご購入前に動作環境をご確認ください。
けいおん!(全4巻完結)
【掲載誌】
まんがタイムきらら
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
「日常系バンドもの」の原点にして頂点といえるのがまさに本作! 2000年代後半に社会現象を巻き起こした伝説の作品です。『ぼっち・ざ・ろっく!』とは対照的に、バンド漫画でありながら「音楽そのもの」よりも、その周辺にある「ゆるやかな時間」を愛おしむ内容となっています。
廃部寸前の軽音部に初心者の平沢唯が入部するところから物語は始まります。天然キャラの唯と、しっかりものですが恥ずかしがり屋のベース担当・秋山澪、ムードメーカーなドラム担当・田井中律、おっとりしたお嬢様のキーボード担当・琴吹紬。そして後輩として加わる真面目なギター担当・中野梓。彼女たちの関係は、誰かが突出するのではなく、5人でいるときの「お茶とケーキ、たまに練習」という空気感そのものが主役と言えます。この何気ない幸せを描写するところが、空気系の代表作とされる理由です。一コマ一コマがまるで、アルバムをめくるようなテンポで進み、読者はそのリズムに身を任せることで、彼女たちがいる部室に自分もいるかのような没入感を味わえます。
コミカルな描写が続く一方で、作中では確実に季節が廻り、高校生の彼女たちにとっては卒業へのカウントダウンが始まります。この「永遠には続かない放課後」という切なさが作品の行間から滲み出しており、それがまた本作の魅力の一つです!
ご注文はうさぎですか?
【掲載誌】
まんがタイムきららMAX
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
通称「ごちうさ」の愛称でも親しまれる本作は、徹底的に作りこまれた「可愛さ」と、異国情緒漂うファンタジックな世界観が魅力! その二つが融合して醸し出される「ゆるふわな雰囲気」は他の作品とは一線を画しています。
物語は、木組みの街にやってきた天真爛漫な少女・ココアが、下宿先の喫茶店「ラビットハウス」の一人娘・チノと出会うところから始まります。自分をお姉ちゃんとして慕ってほしいココアと、どこか大人びているチノ。そこに、軍人気質で実は乙女なリゼ、甘味処「甘兎庵」の看板娘で天然な千夜、喫茶「フルール・ド・ラパン」で働く庶民派で気品溢れるシャロといった面々が加わります。彼女たちが喫茶店という場での交流を通じて、友人以上の「家族」のような絆を育んでいく過程が、本作のストーリーです。
この作品はともかく絵の美麗さが群を抜いていて、たとえば背景の石畳や、喫茶店の調度品、登場人物の衣装まで、4コマ漫画と思えないほどの情報が詰め込まれており、スクリーントーンの組み合わせも絶妙です。そしてそのすべてが「可愛さ」という美学へつながっていると同時に、ファンタジー世界の「実在感」を醸し出します。これが、読者を異世界の街へと誘う「ファンタジーな日常」を成立させるのです。
コマの中の情報量の多さには先ほど触れましたが、本作はとにかく一コマごとの充足感が高い……! そして、4コマ目で得られるものは笑いというよりも「幸福な余韻」とでもいいたくなるようなものです。それは彼女たちの言葉遊びや勘違いから生まれる優しい笑いが、4コマのリズムに乗って心地よく響くことで得られるのです。
きららファン書店員イチオシ!おすすめのきらら系漫画
この章では、きらら系作品をこよなく愛するDMMブックス書店員が「どうしても読んでほしい!」と自信を持っておすすめするきらら系漫画を熱くプレゼンします!
ゆるキャン△
【掲載誌】
まんがタイムきららフォワード→COMIC FUZ
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
徹底した取材によって描かれる、キャンプ描写のリアリズム。それはキャンプの楽しさだけでなく、冬の空気の「冷たさ」や、「静寂」までをも感じさせる圧倒的な描写力にあります。
物語をけん引するのは、一人で静かに過ごすソロキャンプを愛する志摩リンと、彼女との出会いによってキャンプにハマっていく各務原なでしこ。そして「野外活動サークル」の大垣千明、犬山あおい、マイペースな友人・斉藤恵那たちです。
こちらの作品は4コマ漫画の形式ではなく、ストーリー漫画の形式になっています。それでもこの作品を取り上げたのは、キャラ同士のゆるやかな関係を描くきらら系において、「新しい共同体のありかた」を提示しているからでもあります。登場人物が常に一緒にいるわけではなく、それぞれが別の場所にいながらSNSで実況し合うといった「離れていても繋がっている」という現代的な距離感を描いている表現が見事!
また、とにかく見開きのシーンに圧倒されます。例えば第一巻の第一話を開くと、冒頭で林の中でキャンプをしている見開きがあり、最後に富士山が見えるシーンで再び見開きがあります。それは一話の中で、細かいコマ割りでコミカルなやり取りを詰め込み、見開きで読者の呼吸を深く整える効果があります。この緩急のバランスで、キャラクターたちとともに実際にキャンプ地に足を踏み入れているような没入感を味わえますよ。
一畳間まんきつ暮らし!
【掲載誌】
まんがタイムきらら
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
「寮に住むだけで月給がもらえる」……そんな甘い言葉に誘われ、秋田の田舎から都会の「天宮女学院」へとやってきた森田芽衣子。しかし、彼女を待ち受けていたのは、学生寮という名前の漫画喫茶「ヘッジホッグ」でした! 同姓同名の漫画家と間違われてうっかり入寮してしまった芽衣子は、個性豊かな同級生たちと共に、一畳間の漫喫暮らし&バイト生活をスタートさせることに。
芽衣子と共に働く面々は、とにかく属性が「濃い」のが魅力です。寮長にして学園長の娘の天宮梨絵は、湯水の如く資産を投じる重度の百合オタク。中埜音緒は見た目は小学生ながら、超絶スペックのPCを操る毒舌プロゲーマー。鈴木万里花は登録者150万人を誇る人気配信者。さらに物語が進むと、同ビル内の猫カフェで働く成海、語尾に「ござる」をつける骨董鑑定士の剛田や、万里花に憧れて配信を始めた超人気配信者のガオなど、さらに癖の強いキャラが加わり、一畳間のコミュニティはますますカオスになっていきます!
都会のハイテク機能に驚く芽衣子のピュアな反応や、狭い空間だからこそ密接になる少女たちの距離感。少しワケあり、だけど最高に楽しい「一畳間の日常」がクセになること間違いなしです。2026年4月からはTVアニメ放送も開始しており、こちらも原作とあわせて要チェック!
女子高生 in the まんが喫茶!お嬢様学校へ入学した田舎者の芽衣子。奉仕活動をすれば学費はタダとのことだが…その実態は「まんが喫茶」で住み込みで働くことだった!?漫喫の狭いブースの住み込みも案外悪くない!カワイイJK店員だらけの漫喫を、あなたも満喫してみませんか?【付録ファイルについて】・「レンタル」には付録ファイルは含まれておりません。・動画、音声、壁紙付録はダウンロードしてお楽しみいただけます。・動画の再生には「DMM Player」が必要です。DMM Playerご利用方法※認証が求められた場合は、DMMアカウントの登録メールアドレスとログインパスワードを入力してください。※ご購入前に動作環境をご確認ください。
運命のヤマダダダダダダダダダダ
【掲載誌】
まんがタイムきらら
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
何事かと思う強烈なタイトルで、きらら系作品の中では異彩を放っている本作。高校の入学式を明日に控えた主人公・渡鳥千鶴が、謎の占い師に話しかけられるところから話は始まります。そこで告げられたのは、「運命の相手の苗字が山田」であるということ。
しかし、千鶴のクラスは先生を含めたクラスメイトの苗字が全員「山田」だったのです! この中の一体誰が「運命の山田」なのか!? またなぜか渡鳥は、山田たちから妙にモテます。その気にさせるくせに、好きなのかどうかはわからない。うっかり入部した㊙恋愛研究部の部長・小鳥遊や、中学からの幼馴染のハナなど、個性的なキャラがサポートしながら、渡鳥の運命探しが幕を開けます。
この作品で注目してほしいポイントは、幼馴染のハナ以外には基本まともなツッコミ役がいないこと。シュールでおかしな展開がノンストップでどんどんと突き進んでいく……そんな、ちょっとした怖さにも似た面白さが作品の雰囲気を醸し出しています。特に、気落ちした渡鳥が空から降ってきた「あるもの」を破壊するシーンがあるのですが、これに関しては何の説明もなく、突っ込まれることもなく終了してしまい、読んでいて思わず「そんな展開ありなのか……!?」と奇妙な感動すら覚えます。
単行本1巻が2026年2月に発売されたばかりの新作なので、すぐに展開に追いつけますよ。勢いは随一のハイテンションギャグ百合漫画です!
ゆゆ式
【掲載誌】
まんがタイムきらら
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
「空気系」と侮るなかれ! この作品における「言語感覚」と「シュールな間」は、ちょっと真似できない領域にあります。
物語の主役は、部活動としてインターネットで適当な単語を検索し、そこから雑談を広げる「情報処理部」の面々。ボケとトリッキーな行動で場をかき乱す野々原ゆずこ、ふんわりとした雰囲気でゆずこのノリを増幅させる日向縁(ひなた・ゆかり)、そして2人の暴走を鋭く、かつ愛を持って受け止めるツッコミ役の櫟井唯(いちい・ゆい)。この3人の関係性は、単なる友人を超えて、お互いの思考を理解しきった阿吽の呼吸で成り立っています。
他の作品と比較して本作が決定的に違う点は、その独特なセリフ回しです。例えば「メロリン」「ドンドゥルマ」など、各国のアイスクリームの名称だけでやり取りを成立してしまうような、目の付け所と解釈の仕方、物語の広げ方がたまらない……! 意味があるようでない、哲学的に見えてただの思い付きのような、摩訶不思議な日本語のやり取りが延々と続きます。キャラクターのポーズも独特で、ふとした瞬間に出る奇妙なポーズや、擬音による脱力感溢れる演出が、まさに「ゆゆ式のリズム」としか形容できないシュールな空気感を与えています。
彼女たちの思考の迷走っぷりを追いかけること自体がエンターテイメントになる、言語系シュール萌え4コマ漫画(?)です!
がっこうぐらし!(全12巻完結)
【掲載誌】
まんがタイムきららフォワード
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
「日常」を愛するための、過酷なサバイバル。きらら系の象徴である「可愛い女の子たちの日常」というパッケージを最大限に利用し、読者の情緒をこれでもかと揺さぶってくる、衝撃的なサバイバルホラーです!
物語の舞台は、学校で寝泊まりをする「学園生活部」。天真爛漫でムードメーカーの丈槍由紀(ゆき)、シャベルを片手に戦う用心棒の恵飛須沢胡桃(くるみ)、しっかり者で料理や家計を担う若狭悠里(りーさん)、途中から合流したクールな後輩の直樹美紀(みーくん)。彼女たちは、崩壊した世界の中でも、学園祭や遠足といった「普通の学校生活」を慈しみ、互いを支え合って生きていきます。
本作は4コマ漫画形式でなくストーリー漫画形式ですが、本作独自の表現としては何といっても、主人公であるゆきの「精神的防衛本能」が見せる幻覚といえるでしょう。読者の目には血塗られた廊下や窓が見えていたとしても、ゆきのフィルターを通すと、そこは平和で穏やかな学校のまま。そしてくるみとりーさんは、ゆきの幻覚に合わせることで共同幻想を見ようと試みます。この「幸せな嘘」と「残酷な現実」が同じ作品上で共存するという表現は、他のどの作品にもない生理的な恐怖と、彼女たちの健気さゆえの悲哀を際立たせています……。
絶望的な状況であっても、彼女たちが女の子として可愛い服を着たり、お菓子を囲んで笑い合ったりするシーン。そういった「きらら的安らぎの瞬間」と、その次の瞬間に訪れるかもしれない死の影が絶妙なバランスで共存している、傑作サバイバルホラーです!
球詠
【掲載誌】
まんがタイムきららフォワード
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
きらら系でここまで熱くて骨太な、本格女子野球漫画が読めるとは一体誰が予想していたでしょうか!?
鋭い変化球「魔球」を持つピッチャーの武田詠深(よみ)と、その球を完璧に捕球できるキャッチャーの山崎珠姫(たまき)。中学時代は環境に恵まれず、その腕を活かせなかったよみが、高校でたまきと再会し、廃部寸前の女子野球部で仲間とともに全国を目指していくストーリーです。そのほか、データに詳しい川口芳乃や、最強打者の希、堅実な菫など、部員は一筋縄ではいかない個性派揃い。彼女たちが単なる仲良しなだけではなく、勝利のために切磋琢磨し、互いの実力を認め合う「バッテリー」へと変わっていく姿が、読者の胸を熱くさせます。
本作は、可愛い女の子たちを描くというきらら系の枠組みを使いつつも、その絵には確かなデッサンに裏打ちされた説得力があります。例えばバッティングの際の踏み込み、投球フォーム、そして躍動感。そこには単なる可愛さだけではなく、野球をプレーするために鍛えられた肉体が、きらら系の絵柄と完璧に融合されて描かれています。このリアリティがあるからこそ、一球一球の攻防に緊張感が走り、ガチのスポーツ漫画として興醒めしない熱量を感じることができるのです。
本作は4コマ漫画ではありませんが、その分試合シーンなどでは大ゴマをダイナミックに使った構図で野球の迫力を見せます。臨場感あふれる試合での描写と、部室での賑やかなやり取りの間には見事な緩急があり、彼女たちの野球に懸ける青春に没入できる爽やかな作品です!
はるみねーしょん(全8巻完結)
【掲載誌】
まんがタイムきららキャラット
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
数あるきらら系作品のなかでも、もっとも謎深い(!?)作品の一つが本作ではないでしょうか。
まず、シンプルすぎるデザインで描かれたキャラクターたちに思わず脱力してしまいます。登場人物は、基本的に3人で構成されています。主人公の細野はるみは自称宇宙人。感情が読めない無表情さと、物理法則を無視した奇行で周囲を翻弄していきます。はるみに振り回される役で、メガネをかけている坂本香樹。そして、3人の中で唯一の常識人でありながら、鋭い毒舌とキレのあるツッコミでカオスな状況を裁く高橋ユキ。
本作の特徴は、徹底的に簡略化されたビジュアルや構図にあります。太い主線で描かれるキャラクター、背景もあえて描かない、あるいは記号化する手法。この情報量の少なさが、かえって読者の想像力を刺激し、はるみのシュールなボケを際立たせるのです。また、はるみ特有の表現として、吹き出しによるセリフに加えて書き文字のセリフ(?)が描かれていることがあります。これは果たして口から出ている「セリフ」なのか、側頭部から鳴っている「音」なのか、作中のキャラクターには見えない「電波」なのか、それすらもわからなくなってきます。
そこには明確なストーリーは何もありません。一コマ目で3人のうち誰かが話を振り、何のことはない会話が繰り広げられ、4コマ目でははるみの一言でオチとなることがほとんどです。さらに、絵だけを抜粋して見るとそのパターンはあまりに似通っており、ほとんどコピーといっても差し支えない状態になっています。この肩の力が抜けるようなリズムに心地良い脱力感を与えられるのがクセになる、シュール系コメディです。
キルミーベイベー
【掲載誌】
まんがタイムきららキャラット
【ここに注目!書店員イチオシポイント】
最後に紹介するのは、なんと2008年から連載している長寿連載作品のこちらの作品。きらら作品らしい可愛らしい絵柄と、容赦のないバイオレンスな笑いが同居するハイテンションギャグ4コマ漫画です!
物語の中心は、恐れを知らないおバカな女子高生・折部やすなと、彼女のクラスメイトで実は組織に属する現役殺し屋・ソーニャ。やすなが執拗にちょっかいを出し、身体能力の高いソーニャが反射的に関節技や打撃で応戦するという「どつき漫才」が基本形です。ソーニャは冷徹な仕事人の顔を持つ一方で、幽霊や犬、ゴキブリが極度に苦手という少女らしい弱点もあります。そこに、怪しげな忍法を操る神出鬼没の忍者・呉織あぎりが加わり、日常をカオスに陥れます。
本作は『はるみねーしょん』と同じく、主に背景が徹底してミニマルに描かれています。背景を最小限に抑えた白い画面が、かえってキャラクターの躍動感とギャグのキレを最大限に引き出します。この情報量の少なさがシュールな世界観を醸成し、気付けば本作の中毒性にすっかり魅せられることに……。
4コマの内容としては、基本的に「挑発から処罰まで」。そのシンプルかつ圧倒的なスピード感は、4コマ漫画の振りとオチの王道でありながら、ギャグの瞬発力を極限まで高めた表現と言えるでしょう。
頭を空っぽにして、彼女たちによる「死ぬほど危ない日常」に身を投じる快感。一度ハマると抜け出せない、鋭利なユーモアをぜひ体験してみてください!
終わりに
この記事では、まんがタイムきらら系列の作品を愛してやまないDMMブックス書店員が、きららに興味のある方にぜひとも読んでほしい名作14選をたっぷりご紹介しました! 一口にきらら系といっても、さまざまな個性・魅力を持つ作品があることをおわかりいただけたでしょうか? DMMブックスでは無料試し読みもできるので、この機会にぜひ気になる作品をチェックしてくださいね!
関連記事
きらら系漫画に興味がある方は、ぜひ以下の記事もあわせてチェックしてください!
・祝アニメ化『一畳間まんきつ暮らし!』担当編集・末永さん独自インタビュー|一畳間から広がる物語の魅力とは?
・『ぼっち・ざ・ろっく!』担当編集・瀬古口さん独自インタビュー|大ヒットの裏側に迫る!
・今こそ読みたい!『ぼっち・ざ・ろっく!』の漫画的魅力と楽しみ方