外交青書2026年版「安定した時代終焉」 中国「重要な隣国」に表現後退
茂木敏充外相は10日の閣議で2026年版の外交青書を報告した。現在の国際情勢を「『ポスト冷戦期』といわれた比較的安定した時代は既に終焉(しゅうえん)を迎えた」と記載した。
「自由で開かれた国際秩序は大きく動揺している」と指摘した。2022年からのロシアのウクライナ侵略や26年2月の米イスラエルによるイランへの攻撃などを念頭に「歴史の大きな変革期」と位置づけた。
中国については「重要な隣国」と記した。25年版青書の「最も重要な二国間関係の一つ」より表現が後退した。
中国は高市早苗首相の25年11月の台湾有事に関連する発言に反発している。青書では「日本に対して一方的な批判や威圧的措置を強めている」と分析した。
薛剣・駐大阪総領事による首相を中傷するX(旧ツイッター)の投稿や在日大使館が国連憲章の「旧敵国条項」に関する発信をしたことを紹介した。「事実と反する中国側の発信や威圧的措置に対しては、毅然と反論・抗議する」と示した。
「正しい事実関係について各国の理解を得ることは極めて重要」と指摘した。外交機会を捉え「日本の立場や考えを説明してきており、国際社会からも理解を得てきている」と強調した。
同時に「戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していくことが一貫した方針である」との見解は維持した。
青書は日本の外交政策や国際情勢への認識を示すもので外務省が毎年公表する。今回は原則として25年1〜12月に起きた出来事を対象にした。
2月からの米・イスラエルのイラン攻撃にも特別に言及した。イランの核兵器開発は「決して許されない」と批判した。
イランが中東ホルムズ海峡や周辺で民間船舶を攻撃したことを踏まえ「行動を非難している」と明記した。「事態の早期沈静化に向けて、必要なあらゆる外交努力を行っていく」と盛り込んだ。
米国による攻撃に対しての法的な評価は避けた。同盟国である米国に配慮する姿勢がにじむ。