ハマス支援を公言、イランが主導する「イスラム圏結束」…今回の戦闘への「黒幕」疑惑残る
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イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスの戦闘で、ハマス支援を公言するイランが外交攻勢に乗り出した。イスラム協力機構(OIC、57か国・地域)の緊急外相会合の開催を提唱するなどイスラム圏の結束を呼びかけた。その裏には、接近していたイスラエルとアラブ諸国を分断する狙いが透けて見える。(テヘラン支局 吉形祐司)
緊急会合の用意
イラン国営通信によると、イランのホセイン・アブドラヒアン外相は9日夜にOICのヒセイン・ブラヒーム・ターハ事務総長と電話会談し、緊急外相会合をイランで開催する用意があることを伝えた。同外相は9~10日、イラク、カタール、クウェート、エジプトなどの各国外相とも電話会談し、イスラム諸国が一致してパレスチナを支持するよう働きかけた。
OICにはパレスチナのほか、イスラム教シーア派大国のイランを脅威と見なすスンニ派アラブ諸国の多くが加盟している。
スンニ派の盟主サウジアラビアは今年3月、イランと国交正常化に合意した一方、米国の仲介でイスラエルに接近しており、イスラエルを敵国と見なすイランは警戒を強めていた。
また、イランは、米国が仲介した2020年の「アブラハム合意」でイスラエルと国交を結んだアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンなどとも関係改善を進めるが、イスラエルが絡む「三角関係」は外交上、難しい課題となっている。
イランのエブラヒム・ライシ大統領は今月1日の演説で、「イスラエルと関係正常化を求める政府は、反動的で後退している」と指摘。イスラエルと国交樹立に動く各国をけん制した。
「黒幕」の疑惑
こうした中、イスラエルとハマスの大規模な戦闘は、イランにとって千載一遇の好機となった。パレスチナ問題を巡っては、シーア派、スンニ派を問わず、中東のイスラム諸国は歴史的にパレスチナ支持で一致してきた。イスラム圏が対イスラエルで結束すれば、イランの思惑通りとなる。
ただ、イスラエルへの攻撃を続けるハマスやガザの武装組織イスラム聖戦、レバノンのシーア派組織ヒズボラなどは長年、イランが支援してきた。イランは今回の戦闘への直接的な関与を否定しているが、「黒幕」との疑惑は残る。イランの外交攻勢が、アラブ諸国のさらなる警戒に結びつく可能性も捨てきれない。