「時をかける」大林宣彦監督の原点、尾道の生家を文化サロンに再生へ…長女「未来に開かれた場に」

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 映画「時をかける少女」などで知られる広島県尾道市出身の大林宣彦監督(1938~2020年)が18歳まで過ごした生家を、文化サロンに再生する計画が進んでいる。映写機やカメラに囲まれて過ごした映画監督としての「原点」と言える場所で、遺作のロケ地にもなった。2027年度中のオープンを目指す。(福山支局 佐藤行彦)

大林監督の生家の庭に立つ千茱萸さん(左から2人目)ら。文化サロンとしての再生を目指す(3月2日、広島県尾道市で)
大林監督の生家の庭に立つ千茱萸さん(左から2人目)ら。文化サロンとしての再生を目指す(3月2日、広島県尾道市で)

 生家は、「坂の街」を象徴するような市中心部の斜面地に立つ築100年超の木造2階建て。大林家は代々続く医者の家系で、豪商の別荘を大林監督の父母が譲り受けたという。

大林宣彦監督(2017年12月撮影)
大林宣彦監督(2017年12月撮影)

 監督の両親が他界し、約20年前からは空き家になっていた。監督が20年に82歳で死去した後、長女の 千茱萸ちぐみ さん(62)(東京都)が遺品整理の一環で片付けに着手。尾道で映画イベントを企画する団体や空き家再生を手がけるNPO法人のメンバーも加わり、室内の大掃除や庭に生い茂る草木の伐採を行ってきた。

 千茱萸さんは、この家を「父が監督としての感性を育んだ原点」と語る。

 〈ぼくの家には大きな納戸があって(中略)蓄音器とか幻灯機、不思議な時計やオルゴールが入っていて、その納戸の中にもぐり込んで時を過ごすのが、ぼくにとってのいちばんの楽しみでした〉(大林宣彦著「ぼくの映画人生」)

生家でピアノを弾く高校2年生の大林監督=大林千茱萸さん提供
生家でピアノを弾く高校2年生の大林監督=大林千茱萸さん提供

 千茱萸さんによると、かつては治療費の代わりに現物を納める人もおり、生家には手術のお礼として、大林監督の父に贈られた映写機やカメラなどがあった。監督は、幼少期からおもちゃ代わりに使っていたという。

 慶応大医学部を受験したが、試験途中で医者にはならないと決め、退席。映画監督を目指し、18歳で生家を離れて上京した。

遺作では広間で撮影

 離れた後も、監督にとって特別な場所だった。

 CMディレクターから転身後、初めて手がけた商業映画「HOUSE ハウス」(1977年)。女子高校生が家具などに次々と襲われるホラー・ファンタジーが生み出されたヒントは尾道の生家にあった。幼少期からたびたび訪れていた千茱萸さんが、生家の三面鏡や古井戸を思い浮かべ、家にある物が人を襲うという設定を示すと、監督がこれを気に入って取り入れたのだという。

 1980年代に尾道三部作のロケを故郷で行った際には、生家に制作陣を招き、広間で一緒にご飯を食べるなどしていたという。遺作となった「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(2020年)では、この家の広間でチャンバラシーンなどが撮影された。

2018年に生家の広間で撮影に臨む大林監督(左)=(c)2020「海辺の映画館―キネマの玉手箱」製作委員会/PSC
2018年に生家の広間で撮影に臨む大林監督(左)=(c)2020「海辺の映画館―キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

「好きじゃない」と話していたが…

 千茱萸さんは、古里をこよなく愛した父を思い、生家をサロンとして活用しようと決めた。父の映画制作にまつわる資料や、家族ゆかりの品を並べた展示室のほか、バーやカフェを中心とした交流スペースを設ける計画だ。庭の整備は、尾道市出身で05年の愛知万博の景観デザインを担当した戸田芳樹さん(78)が無償で手がける。

 監督は生前、「過去をたたえる記念館は後ろ向きなので好きじゃない」と話していたという。千茱萸さんは「監督が残したものを活用しながら、たくさんの人が憩って語り合う未来に開かれた場になれば、喜んでくれると思う」と話した。

 再生計画に協力する一般社団法人「尾道フィルムラボ」の北村真悟代表理事(49)は「大林監督は『映画のまち』のイメージを作り上げた、尾道になくてはならない人。尾道の文化を次の世代につなぐ活動ができるのはうれしい」と語った。

 老朽化した建物は改修が必要で、5000万円を目標に支援金を募集している。応募方法は「尾道フィルムラボ」のSNSなどで案内している。

 ◆大林宣彦監督= 1960~70年代、米俳優チャールズ・ブロンソンを起用した男性用化粧品「マンダム」のCMなどを制作し、注目を集めた。映画では「転校生」(1982年)、「時をかける少女」(83年)、「さびしんぼう」(85年)の尾道を舞台とした青春映画「尾道三部作」や、アイドルを起用した作品で一世を 風靡ふうび 。晩年は反戦を訴える作品を多く手がけた。

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

使い方
速報ニュースを読む 「映画」の最新記事一覧
注目ニュースランキングをみる
記事に関する報告
7837664 0 映画 2026/04/08 15:00:00 2026/04/08 15:00:00 /media/2026/04/20260408-GYT1I00216-T.jpg?type=thumbnail

主要ニュース

おすすめ特集・連載

読売新聞購読申し込みバナー

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word

mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1