ボール支配率「32%」よりも憂慮すべきはボールキープ成功率「36%」【イングランド撃破の日本代表、歓喜の裏の「世界基準」との差】(1)
サッカー日本代表は、敵地ウェンブリーでイングランドを撃破するという歴史的快挙で3月の英国遠征を締めくくった。親善試合とはいえ、世界屈指のタレント軍団からの初勝利は、2か月後に迫るワールドカップでの躍進を強く予感させる。だが、手放しで喜んでばかりはいられない。歓喜の裏には、世界基準との残酷なまでの「差」を示すデータが潜んでいた。このままでは本番で足元をすくわれかねない——。サッカージャーナリスト大住良之が、イングランド戦で突きつけられた「勝ってなお残る課題」を徹底検証する。 ■【現地写真100枚】伊東純也&三笘薫の決勝弾から駆けつけた南野拓実&遠藤航の姿まで!初招集、復活組、主力組も躍動!森保ジャパン「英国遠征」厳選ショット
■パス数「704本」「306本」の意味
ウェンブリー・スタジアムでのイングランドに対する勝利は、本当に素晴らしいものだった。FIFAランキング4位、1966年大会以来60年ぶりのワールドカップ優勝も有力視されているイングランドに対し、アウェーで勝ったという事実は大きい。 三笘薫が決めた決勝ゴールも素晴らしかった。イングランドにパスを回され、押し込まれながらもGK鈴木彩艶が忙しかったわけではなく、チームとしての組織だった守備で相手の攻撃をはね返したのも見事だった。 しかし欲を言えば、もっと均衡の取れた試合にしてほしかった。「イーブン」とは言わなくても、もう少し攻撃の回数を増やし、相手陣でプレーする時間を増やしたい試合だった。 欧州サッカー連盟(UEFA)が公式サイトに掲載しているデータによれば、ボール支配率は「イングランド68%×日本32%」。シュート数は「19本×7本」、枠内シュートは「3本×2本(これはイーブンに近い)」、パス数はイングランド704本(成功626本=成功率89%)、日本306本(成功243本、79%)。CKはイングランド11本×日本1本。前後半とも数分間ずつ数回「日本の時間」と呼べるものもあったが、ほぼ1試合にわたって相手に支配された形だった。
■日本の守備組織の「成功」を示す数値
興味深いのは「シュートブロック」の数である。日本7本のうちブロックされたのは2本だったが、イングランドは19本の58%にもあたる11本もあった。押し込まれながらも日本の守備組織が崩れず、相手がシュートを打つ瞬間に集中していたことを示している。 イングランドのトーマス・トゥヘル監督も試合後認めたように、日本の守備組織は素晴らしかった。イングランドのスピーディーな展開に対し、日本の守備組織が乱れた瞬間はほとんどなかった。ボールに対するプレッシャー、その選手に対するサポート(プレスバック)、カバーなど、10人のフィールドプレーヤーがよどみなく動き続けた結果だった。 もちろん、イングランドは「ベストメンバー」にはほど遠かった。トレーニングでアクシデントがあったためベンチから外れた圧倒的エースのFWハリー・ケインだけでなく、変幻自在のドリブルで攻撃を切り裂くFWブカヨ・サカ、今や世界屈指のプレーメーカーであるMFデクラン・ライスらを欠き、レアル・マドリードでプレーするMFジュード・ベリンガムもプレーしなかった。 しかしそれをいえば、日本もFW南野拓実、MF久保建英、MF遠藤航、DF板倉滉、町田浩樹ら中心選手を故障で欠き、小さからぬ力を失っていた。
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