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デジタル庁GCASガイド

4. ガバメントクラウド利用料の最適化(STEP 2〜4)

2026/02/12 公開

4.1 FinOpsのサイクルと特徴

クラウド利用料の改善は月次や四半期サイクルで実施する。

  • ダッシュボード等により、クラウド利用料の内訳や推移からコスト構造を把握し、最適化箇所のあたりをつける。

  • CSPが提供するコスト最適化レコメンデーションサービス等により、改善余地のあるリソースを特定し、最適化を行う。

  • 最適化の実施後は成果を定量的に測定する。

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図4-1 FinOpsのサイクル(クラウド利用料)

4.2 コスト構造の把握(STEP 2)

クラウド利用料の可視化においてはクラウド管理画面で請求金額をいつでも確認できるほか、ダッシュボードなどのツールを利用して一元的に必要な情報を表示することも可能である。可視化における確認のポイントを解説する。

4.2.1 クラウド利用料の可視化

コスト最適化余地のあたりをつけるために、まずはクラウド利用料を環境別に可視化し、大きな割合を占める部分を優先的に確認する。
利用料の大きな割合を占める環境において、クラウド利用料の構造を確認する。(例:本番環境で発生するコストの割合が高い場合、まずは本番環境でのコストを最適化することが効果的となる)

  • 一般的なクラウドのコスト構造では、仮想サーバーとデータベースで利用料の8割を占める。一般的な構造と比較して大きな利用料を占めるサービスがあればコスト最適化の余地があるため、用途や妥当性を確認する。
    (例:一般的な構造と比較してデータ通信費が多い場合、課金対象となる通信の量や頻度を確認し最適化余地を検討する)

  • クラウド利用料の推移を確認し、前年比や前月比で急増した環境・サービスがあれば、増加要因(利用量の一時的な増加、設定変更、障害等)を特定する。

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図4-2 クラウド利用料の構造の確認

クラウド利用料の構造(モダン化後)
クラウド利用に最適化していないシステム(モダン化していないシステム)では仮想サーバーの利用量が多くなる。仮想サーバー自体のクラウド利用料に加え、運用保守にかかるコストも必要であり全体的なコスト高につながる。
モダンなシステムでは仮想サーバーの利用量を削減し、運用負荷の低いマネージドサービス等の利用量が相対的に高くなることで、全体としてコストを最適化することができる。

図は一般的なWebアプリケーションの基本構成をモダン化の度合いごとに3段階に分け、クラウド利用料(年額)を比較したものである。
「1.旧来型の構成(非モダン化構成)」は仮想サーバーのみを用いた極端な単純移行時の構成である。
「3.モダン化構成」への移行によってクラウド利用料の最適化が見込まれるため、ガバメントクラウド利用機関においては段階的に「3.モダン化構成」への移行を目指されたい。

構成の詳細と試算の前提は以下のとおりである。金額はあくまで試算であることに留意されたい。

  • AWSの東京リージョンで構成する本番環境のみを想定する。
  • セキュリティ統制関連機能、CI/CD関連機能、NW関連機能は安価かつ構成間で差異がほとんど出ないため試算対象外とする。
  • 「1.旧来型の構成(非モダン化構成)」は仮想サーバーのみを利用した単純移行の構成である。
  • 「2.部分的モダン化構成」は業務系基盤、DB、管理系基盤をフルマネージドとし、アプリケーションをコンテナ化した構成である。
  • 「3.モダン化構成」は管理系基盤をフルマネージドとし、業務系基盤・DBにサーバレスサービスを用いた構成である。

図4-3 モダン化度合い別のクラウド利用料の比較

4.2.2 コスト可視化のためのツール

クラウド利用料を可視化するツールはCSPから標準提供されるクラウド管理画面のほか、任意でダッシュボードを構築することが考えられる。
また、地方公共団体にはGCASから利用可能な地方公共団体向けGCASコストダッシュボードが提供される。
利用機関・利用方式によってツールの利用方法や利用制約などの留意点が存在するので注意すること。

ツール概要利用機関・利用方式ごとの留意点
国の行政機関、地方公共団体(単独利用方式)地方公共団体(共同利用方式)
クラウド管理画面
  • 各CSPが提供するコンソールサービス
  • 監視サービス等と連携し、環境ごとの状況を閲覧可能
    • AWS - アカウントごと
    • Google Cloud - プロジェクトごと
    • Azure – サブスクリプションごと
    • OCI – テナンシーごと
    • さくらのクラウド – アカウントごと
  • リソース詳細や各種レコメンドサービスを利用可能
  • 環境ごとに含まれる全団体分の情報を管理するサービスであるため、職員への閲覧権限付与は不可
コスト最適化ダッシュボード(任意)
  • 利用者が可視化したいメトリクスに合わせて事業者に構築を依頼し、作成するダッシュボード
  • 実装にあたってはGCASガイド「定量的計測の実装方法」及びこれと合わせてデジタル庁が提供するサンプルIaCファイルを参照
  • クラウド管理画面で取得できないメトリクスを可視化したい場合に構築が必要
  • クラウド管理画面を閲覧できない職員向けに任意で構築
  • 団体ごとに利用するリソースのコストを可視化できるように構築
  • 団体ごとに閲覧可能な範囲を設定し、意図しない情報にアクセスできないよう権限を制御
地方公共団体向けGCASコストダッシュボード
  • 地方公共団体がGCASから利用できるコストダッシュボード
  • アカウント別コスト画面とサービス別コスト画面で、月次コスト推移と利用サービスの割合を確認可能
  • 請求書と連動しており、月次請求のタイミングで情報が反映
  • アカウント別コスト画面とサービス別コスト画面が利用可能
  • サービス別コスト画面ではサービス単位の情報を表示
  • アカウント別コスト画面のみ利用可能であり、サービス別コスト画面は利用不可
  • (アカウント分離のみ)サービス別コスト画面ではサービス単位の情報が表示

共同利用方式の地方公共団体で利用する場合は、「6.1 共同利用方式におけるコスト構造の把握(STEP 2)」も参照すること。

4.3 コスト最適化計画の検討(STEP 3)

職員は事業者と協働してコスト最適化可能なリソースを特定し、即効性のある変更を優先しながら採用するアプローチを検討する。

4.3.1 コスト最適化レコメンデーションサービス

国の行政機関や単独利用方式を採用する地方公共団体など、クラウド管理画面へのアクセスが可能である場合、各CSPのレコメンデーションサービスの利用が有効である。
各サービスはクラウドリソースの利用状況を分析し、ベストプラクティスに照らしてリソース最適化のための推奨事項を提案する。

CSPレコメンデーションサービスサービスの概要
Amazon Web ServiceAWS Trusted AdvisorAWSのベストプラクティスに沿ったコスト最適化の推奨事項の提案
AWS Compute Optimizer 仮想マシンのサイズ適正化やDB最適化等の推奨事項をダッシュボードで集約
推奨事項とコスト削減額の推定を比較してアクションを検討
Google CloudRecommender
Cloud Billing
Recommenderはリソースの使用状況に応じてコスト最適化の推奨事項を提案
収集した情報に基づき、Cloud BillingのFinOpsハブ機能でダッシュボードを生成
Cloud Monitoring仮想マシンのサイズ適正化の推奨事項を提案
Microsoft AzureAzure Advisor
Microsoft Cost Management
Azure Advisorは過剰なリソースの特定などコストに関する推奨事項を提案
Microsoft Cost Managementに情報をとりこんで表示することが可能
Oracle Cloud InfrastructureOCI Cloud Advisor使用率の低いリソース等を特定し、最適なサイズ・設定を提案
さくらのクラウド最適化サジェストリソース使用状況を分析し、それに基づいた最適な利用方法を提案

共同利用方式の地方公共団体で利用する場合は、運用管理補助者にて推奨事項の情報提供が必要となるため「6.2 共同利用方式におけるコスト最適化計画の検討(STEP 3)」も参照すること。

4.3.2 コスト最適化アプローチ例

最終的には、アーキテクチャのモダン化を目指す(マネージドサービスの活用やAPIベースのシステム構成の実現等)ことが抜本的なクラウド利用方法の改善として有効だが、以下ではモダン化までの過渡期を想定し、即効性が高いアプローチ例を中心に示す。
コスト最適化アプローチについては「コスト最適化アプローチガイド」も参照すること。*1
*1「コスト最適化アプローチガイド」は見積り時点での利用を想定した記載内容であるため、現行システムの情報を移行後システムの利用状況に適宜読み替えられたい。

アプローチアプローチ概要
インスタンス最適化
  • CPU・メモリ使用率をモニタリングし、過剰リソースを検知した場合はダウンサイズや削除をする。
  • クラウドでは用途に応じてチューニングされたインスタンスが用意されているため、システム特性に応じたインスタンスを選定する。
  • 新世代のインスタンスに変更することで、同等性能でコスト最適化が見込める場合は移行を検討する。
稼働時間の最適化
  • 常時稼働が不要な開発・検証環境や夜間利用のない業務環境、利用時期が限られるシステムの環境は、スケジュール停止を設定し、稼働時間の圧縮を図る。
  • 稼働ログを分析し、アクセスのない時間帯や休日に稼働しているリソースを特定し、停止または運用の見直しを実施する。
  • バッチ処理や一時利用のジョブは、イベント駆動・スケジュール実行型の構成へ移行することを検討する。
ブロックストレージの最適化
  • ブロックストレージのIO性能や使用量をモニタリングし、過剰リソースを検知した場合はダウンサイズや適切なクラスへの変更を検討する。
不要なログの削除
  • 保存されているログの種別・用途・保存期間を棚卸し、業務上不要なログは削除または出力停止する。
  • 保存が必要なログについても、保存期間短縮や階層ストレージ移行によるコスト最適化を検討する。
補助的ストレージサービスの見直し
  • ログ保存、ファイル共有、エクスポートデータ保管などに利用されているストレージサービスを対象に、アクセス頻度・保存目的に応じたクラス選定やライフサイクルルール設定を行う。
  • 不要なデータやアクセスのないファイルが蓄積している場合は、削除またはアーカイブへの移行を検討する。

なお、共同利用方式を採用する地方公共団体では、同一の環境内に複数の団体のシステムが存在するため、環境ごとのクラウド管理画面を職員が閲覧することは想定しない。
職員とガバメントクラウド運用管理補助者が連携してシステムの状況を把握する必要があるため、「6.2 共同利用方式におけるコスト最適化計画の検討(STEP 3)」も参照すること。

CSPのレコメンデーションサービスや監視サービスを利用してアプローチを検討・適用する手順は「別紙2 クラウド管理画面の活用」で案内している。

4.3.3 長期継続割引の利用

稼働時間の調整が困難な月間稼働率の高い(目安:70%以上)リソースについては、インスタンスの最適化を行った上で、長期継続割引の購入を検討する。
長期継続割引の利用は以下の国の行政機関・地方公共団体に向けたGCASガイド(メンバー専用ページ)を参照すること。
なお、OCIでは長期継続割引が提供されていないため下記のガイドを掲載していない。

国の行政機関向けガイド

  • 国の行政機関における長期継続割引 (リザーブドインスタンス等) の利用について (AWS編)
    [GCASガイド(メンバー専用) > AWS 利用ガイド> 国の行政機関における長期継続割引 (リザーブドインスタンス等) の利用について (AWS編)]
  • 国の行政機関における確約利用割引について (Google Cloud編)
    [GCASガイド(メンバー専用) > Google Cloud 利用ガイド> 国の行政機関における確約利用割引について(Google Cloud編)]
  • 国の行政機関における長期継続割引(リザーブドインスタンス等)の利用について(Azure編)
    [GCASガイド(メンバー専用) > Microsoft Azure 利用ガイド> 国の行政機関における長期継続割引(リザーブドインスタンス等)の利用について(Azure編)]

地方公共団体向けガイド

  • 地方公共団体におけるガバメントクラウドでの長期継続割引の利用について(AWS編)
    [GCASガイド(メンバー専用) > 全般的なガイド> 地方公共団体向けガイドライン > 地方公共団体におけるガバメントクラウドでの長期継続割引の利用について(AWS編)]
  • 地方公共団体におけるガバメントクラウドでの長期継続割引の利用について(Google Cloud編)
    [GCASガイド(メンバー専用) > 全般的なガイド> 地方公共団体向けガイドライン > 地方公共団体におけるガバメントクラウドでの長期継続割引の利用について(Google Cloud編)]
  • 地方公共団体におけるガバメントクラウドでの長期継続割引の利用について(Azure編)
    [GCASガイド(メンバー専用) > 全般的なガイド> 地方公共団体向けガイドライン > 地方公共団体におけるガバメントクラウドでの長期継続割引の利用について(Azure編)]

4.4 コスト最適化計画の実行(STEP 4)

採用するコスト最適化アプローチについて、以下のポイントに留意しつつ本番適用までのスケジュールを立てて改善作業を実施する。
クラウド構成の大幅な見直しを伴う場合は、一時的に作業工数や検証中リソースのコストが増大する可能性があることに注意すること。

  • 改善作業の実施や、発生する作業工数の扱いについては調達仕様書や運用保守契約書に盛り込んで予め取り決めておくことが望ましい。
    • 改善策を実施や、作業量の増大について事前に合意できていない場合、追加費用が発生したり、スケジュール通りに最適化を実施できないおそれがある。
  • 検証のために過度な工数が発生しないように注意する。
    • インスタンスのサイズ変更など、アーキテクチャそのものに影響しない変更は、検証環境での事前適用や手順確認にとどめる。
  • 最適化の実施後、一定期間の運用を経てコスト最適化結果を計測する。