不登校の児童生徒の学びを支える学校が今春、川口市とさいたま市に相次いで開校した。国が全国に設置を進める「学びの多様化学校」(旧不登校特例校)と呼ばれる学校で、埼玉県内では初の開設だ。柔軟な教育課程の下、子供一人一人に寄り添いつつ、個性を伸ばす活動が展開されていくことになるという。(三宅陽子)
学びの多様化学校は文部科学省が指定する学校で、不登校の児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成できる。文科省は全国に300校の設置を目指しており、4月開設分を含め現在84校の設置がある。
川口市で4月に開校したのは、学びの多様化学校と夜間中学を併設した「川口市立芝園学園中学校」。昼間部は、不登校や不登校傾向にある市内在住の生徒らを対象とし、新年度は中学1~3年の計25人が学び始める予定だ。
生徒らが対応しやすいよう、始業時間を遅めに設定したり、一授業の時間を45分(通常50分)とするなど負担軽減も図る。
年間授業時数を2割程度削減することを見込むが、学び直し時間の確保など子供たちの状況に応じた教育が提供されることになる。
一方、さいたま市では、「さいたま市立いろどり学園小学部・中学部」が開校。市内在住で、学校を30日以上欠席している児童生徒らの受け皿を目指す。
キャンパスは市内6カ所に用意されており、登校した子供たちは1つのフロアなどで、学年ごとに対面やオンラインの授業を受ける。調子の悪い時などは、自宅からオンラインでの授業参加も可能だ。
コミュニケーションツールとして、インターネット上の仮想空間(メタバース)も活用。子供らは仮想空間で互いに交流したり、心理の専門職らに心配事を相談したりもできる。
各教科の授業時数は通常の学校の7割程度とするが、独自の取り組みにも力を入れる。その一つが、自分らしく学べる教科「未来工房」の設定だ。子供らは興味・関心のあることに取り組んでその成果を発表したり、ドローンや3Dプリンターなど先端技術を使って探究的な学びを展開したりもできる。
8日には入学式があり、約130人が学びを始める予定。同市教育委員会は「子供一人一人のカラーが発揮される学校になれば」と期待を寄せている。
◇
埼玉県教育委員会によると、令和6年度に不登校とされた県内公立学校の小中高校生は計2万327人。不登校の子供らの学びをどう担保していくかは、喫緊の課題といえる。
不登校の児童生徒の内訳は、小学生が6342人(前年度比384人増)、中学生が1万696人(同137人減)、高校生が3289人(同13人減)。1千人当たりの不登校児童生徒数は、小学生が18・2人(前年度16・9人)、中学生が61・8人(同61・7人)、高校生が31・1人(同31・0人)に上った。
小中学校では、学年が上がるごとに不登校の児童生徒数が増加。高校では、1学年が他学年に比べ、不登校の新規生徒数が多い状況にある。