大川原冤罪遺族が提訴、裁判官37人の責任問う 「保釈却下は違法」
逮捕や勾留を認め、保釈請求を退け続けた裁判官37人の判断は違法だ――。機械メーカー「大川原化工機」の冤罪(えんざい)事件で、保釈が認められず被告のまま病死した同社元顧問の遺族がこう主張し、6日に東京地裁に提訴した。身体拘束に関する裁判官の判断が問われる異例の訴訟に、裁判所はどう対応するのか。
「がんが分かってからも保釈の却下が続き、夫は『これでも人間なのかねえ』と、絶望の中で一言つぶやきました。裁判官に、保釈請求を退けた理由を聞きたい」
6日午後の会見で、勾留中に胃がんが判明して亡くなった相嶋静夫さん(当時72)の妻はこう語った。
相嶋さんは2020年、軍事転用可能な機器の不正輸出の疑いで同社社長ら2人とともに逮捕された。東京地裁に計8回、保釈を求めたが、胃がんが判明しても「証拠隠滅のおそれ」を理由に退けられ、21年2月に入院先で死亡した。後に社長ら2人の起訴は取り消された。
遺族らが問題視するのは、裁判所が「沈黙」を貫いていることだ。
東京高裁は昨年5月、一連の捜査が違法だったと認め、都(警視庁)と国(東京地検)に計約1億6600万円の賠償を命じた。警視庁や警察庁、最高検は8月に捜査の検証報告書を公表。警視庁や検察の各幹部が相嶋さんの遺族に謝罪した。一方、裁判所は身体拘束を認めた判断を検証していない。
相嶋さんの長男は会見で、こう指摘した。「裁判所だけ、ミスがあれば検証して次につなげる『PDCAサイクル』が回っていない。私たちが声を上げなかったら同じことが繰り返される」
今回の提訴では、不正輸出の容疑や逃亡や証拠隠滅のおそれもないと認識できたのに、身体拘束を認めた裁判官計37人の判断は違法だとして、約1億7千万円の賠償を国に求めた。
提訴に対し、東京地裁の後藤健所長は「具体的な事件についてのコメントは差し控える」とした。
有罪が確定する前なのに長期間、身体拘束が続く現状は「人質司法」などと批判される。
大川原化工機冤罪事件とは別の原告も、身体拘束の根拠となる刑事訴訟法の規定が違憲だとする訴えを東京地裁に起こしている。被告の国は「適正に刑事裁判を運営して国家刑罰権を行使するための規定であり、違憲ではない」と反論している。
最高裁が示した高いハードル
大川原化工機冤罪に関する検…