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「濃縮ウランが欲しい」から「関心がない」へ トランプがイランでの濃縮ウラン回収を放棄した背景 #エキスパートトピ

国際政治学者
ホワイトハウスでのトランプ大統領(2026.4.1)写真:代表撮影/ロイター/アフロ

米トランプ大統領は4月1日、イランでの濃縮ウラン回収に関心がないと発言した。それまでトランプは濃縮ウラン回収のための特殊部隊派遣に言及したほか、イランに示した停戦条件でもその引き渡しが焦点の一つだった。

トランプの発言が二転三転するのはもはや日常の風景だが、この問題は戦争の大義にもかかわる。

報道によるとトランプの方針転換の直前に軍が濃縮ウラン回収のための作戦計画を提出していた。その作成はトランプが軍に求めたものだった。

内容の詳細は不明だが、この作戦計画が濃縮ウラン回収をほぼ不可能としていても不思議ではない。

ココがポイント

先週、トランプ氏はCNNの記者に対し、「我々は濃縮を望まないが、濃縮された状態のウランは欲しい」と述べていた。
出典:CNN.co.jp 2026/4/2(木)

(前略)アメリカ軍がトランプ大統領の要請に基づき(中略)イランでの高濃縮ウランの押収計画を大統領に提示したと報じました。
出典:FNNプライムオンライン(フジテレビ系) 2026/4/2(木)

トランプは1日、ロイターに対し、「彼らは今やその能力がないため、核兵器を持つことはない(中略)」と語った。
出典:Forbes JAPAN 2026/4/2(木)

“I don’t see any senior planning military officer (後略)
出典:Al Jazeera 2026/4/3(金)

エキスパートの補足・見解

米軍には核無能化チームと呼ばれる専門部隊があり、冷戦終結後の1994年に旧ソ連カザフスタンから600kgの濃縮ウランを運び出した実績(サファイア計画)もある。

しかしイランでの濃縮ウラン回収を非常に困難とみる専門家は多い。たとえば第一次トランプ政権時代に国防省で務めたジェイソン・キャンベル博士はアルジャズィーラの取材に「そんな計画を立案できる作戦将校を知らない」と語った。

最大の理由は作業中に攻撃される可能性だ。サファイア計画では現地政府の協力があったが、それでも大規模かつ慎重な作業に4週間かかった。

またイランでは核施設がたびたび空爆され、被害を受けているが、これまで放射能漏れは確認されていない。つまり濃縮ウランは相当深い地下施設に保管されている可能性が高く、これも回収作業を難航させるだろう。

さらに米アトランティック・カウンシルのアレックス・プリトス氏はBBCに「主な核施設は内陸部にあり、そこまで輸送機で重機や作業部隊を運ベば対空砲にさらされる」と指摘する。

とすると大規模な地上戦によるイラン制圧ぬきの濃縮ウラン回収は不可能に近い。トランプがイランの核能力を無力化したと強調するのは、それを覆い隠す方便といえる。

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国際政治学者

ベスト エキスパート受賞

2024

博士(国際関係)。横浜市立大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。最新刊に『終わりなき戦争紛争の100年史』(さくら舎)。その他、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。

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