猫のフン害との闘い 第1回 猫たちの饗宴
僕は持ち家を、15年ほど前に建てた。
不動産屋により、市道から道を引きこむ形で、並びで造成された数区画の土地のひとつを購入して建築した。それらの区画には、時を同じくして、並んで家が建てられた。
この愛しのマイホームの近隣に、10年ほど前から、じわりとノラ猫が増え始めた。ノラ猫が増えると、目につき始めるのがフン害である。特に、周辺の家がコンクリート張りの外構なのに対し、ウチだけ芝生の庭だったため、わが家だけ、重点的に猫のフン害を受けるようになったのだ。
だが、僕も自然のなかに生を受けた者である。ノラ猫のフンを月に1、2度見つけたからといって、顔を真っ赤にして怒るのはどうかしている。ごくたまのフン害ならば、まあ許容範囲のうちと、甘く考えていた。だが、事態は僕が把握していない場所で、徐々に深刻になりつつあった。
それは、猫に対するえさやり行為である。
周辺でもっともノラ猫が住み着いているのは、近所の墓場だった。供え物を食するためにそこにいるのか、住み心地のよい隠れ家になっているのかはわからない。やがて、墓場周辺は、近隣のネコ好きに有名な場所となっていった。
ネコ好きたちは、猫を愛でるためにここを訪れるようになるのだが、もちろん彼らは手ぶらではやってこない。なんらかのエサを持参するのだが、このエサが、ノラ猫たちの栄養状態を向上させていったのだ。
やがて、ノラ猫たちは、猫とは見まがうような立派な体躯を誇るようになり、同時に数をネズミ算的に増やしていった(猫なのに)。そして我が家のフン害は月に数回というレベルではなくなり、毎日、数か所同時に、しかも栄養状態のよい巨大なものが、見受けられるようになる。
猫の生態には詳しくないが、猫にも縄張りがあると思う。普通考えれば、猫のつがいが僕の庭をなわばりにしたとしても、1日2カ所が上限だと思われるのだが、被害は毎日2カ所以上見受けられるようになった。おそらく、僕の住んでいる地区のネコたちは、猫が生きていく適正密度を超えるようになったのではないだろうか。
ご存じの方も多いと思うが、猫のフンは強烈に臭い。毎日、出勤前に、猫のフンを何個も掃除するのは、気が滅入る作業だ。しかも、被害場所の芝生は掃除の時にある程度除去せざるを得ないので、芝生はまだらにハゲていくことになる。
猫が爆発的に増えたのは、えさやりが原因であり、臭いにおいはモトから断たなきゃダメという考え方からすると、このえさやりをやめさせないと、ずっと猫は増え続け、被害がとまることはない。
ちなみに、庭でフンをするノラ猫を蹴り飛ばしたりしたら、即座に動物愛護法に抵触してお縄になる。しかしながら、ノラ猫にえさをやるという行為が違法だという法律はどこにも存在しない。
近所には、えさやり行為について、警察や行政に相談した人もいたようだが、あくまで「指導」として対応するしかなく、劇的な対策はないのが現状だ。だから、このえさやり行為は今も続いている。
そんなわけで、僕の果てしのない猫との闘いがここからはじまったのだ。


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