仮想退陣演説
国民の皆さまへ。
本日、私は内閣総理大臣を辞任することを決意いたしました。
まず申し上げたいのは、今日のこの結果は、決して私一人の責任だけで生じたものではないということです。私は就任以来、日本の将来のために必要だと信じる政策を次々に打ち出してまいりました。しかし、残念ながら、党内にも、官僚機構にも、関係各所にも、私の言うことを本気で聞いてくれる人は多くありませんでした。
私は何度も指示を出しました。何度も確認もしました。けれども、上がってくる報告は現実と食い違い、私が聞いていた内容と、後から表に出てくる事実が違うということが、あまりにも多すぎました。私が把握していた話と違う。説明されていた前提と違う。そうしたことが積み重なった結果、政権運営は極めて困難なものになりました。
また、一部で起きた国際情勢、とりわけイラン攻撃に関わる問題について、あたかもすべてが私の責任であるかのような論調が広がりました。しかし、はっきり申し上げます。あの件は、私が引き起こしたものではありません。私にすべての責任を押しつけるような議論は、あまりにも乱暴であり、不公平です。外交・安全保障は、一人の判断だけで動くものではありません。にもかかわらず、結果だけを見て、何でもかんでも私の責任だと決めつける空気が作られました。
私は記者会見や国会でのやり取りについても、厳しい批判を受けてきました。逃げた、説明しない、向き合わない、そう言われました。しかし現実には、あの場は議論の場ではなく、吊し上げの場になっていたのです。何を言っても切り取られ、歪められ、悪意を持って拡散される。毎回、人格そのものを傷つけられるような攻撃が続きました。正直に言えば、私はあまりにも酷いバッシングにさらされ、心身ともに疲れ果てました。
いじめのような状況の中で、冷静な政策議論ができるでしょうか。建設的な議論ではなく、最初から叩くことが目的になっている相手に対し、何度も同じ場に立ち続けることは、並大抵のことではありませんでした。私は強い人間だと思われていたかもしれません。しかし、どれだけ強がっていても、毎日続く攻撃に消耗しない人間はいません。
それでも私は、この国のために必要なことをやろうとしてきました。けれども、足を引っ張る人は多く、支える人は少なかった。責任だけを押しつけられ、情報は正確に上がってこず、発言すれば叩かれ、黙れば逃げたと言われる。その中で、政権を維持し、国益を守ることは、もはや限界に達したと判断いたしました。
私はここで職を辞します。しかし、今日この場で申し上げたいのは、何が起きていたのかを、どうか国民の皆さまに冷静に見ていただきたいということです。総理一人を悪者にして済むほど、この国の問題は単純ではありません。誰が本当に説明を怠り、誰が責任を回避し、誰が政権を内側から動かなくしたのか。そこを見誤ってはならないと思っています。
最後に、私を支えてくださった国民の皆さまには、心から感謝申し上げます。そして、期待に十分応えきれなかったことについては、申し訳なく思っております。ただ同時に、私は言うべきことは言っておきたい。この政権がここまで追い込まれたのは、決して私一人の力不足だけではありません。
以上をもって、私の辞任の挨拶といたします。
最後まで他責満載