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トラの1番打者の別の顔 子どもたちへの「ギフト」にこめた原点

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大坂尚子
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 プロ野球の試合がない、月曜日の夕方。十数人の中学生がにぎやかに話し合う後ろに、スーツ姿の男性がいた。

 ときおり笑顔を見せながら、興味深そうにやりとりを聞いていた。

 阪神タイガース近本光司だ。

 昨年2月に一般社団法人「LINK UP」を立ち上げ、理事を務める。今年から兵庫県芦屋市教育委員会などと連携して、中学生の自主性を育むプロジェクトを始めた。

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 学校の授業のような決まった型はない。まず、好きなことや気になること、やりたいことを思い浮かべ、それらのワードをつなげていく「マインドマップ」を作る。それを元に、興味がある分野の調査や、会いたい人、その場所に行ってしたいことを考えていく。最終的には、来年1月に活動を通して学んだことや、参加前と比較した自身の変化を発表する。

 4月28日は、その1回目だった。翌日からの名古屋での試合に備えて移動する時間が迫っていたが、ギリギリまで様子を見守った。

 近本は、兵庫・淡路島出身の30歳。中学卒業後は島を出た。兵庫県立社(やしろ)高、関西学院大、大阪ガスで野球を続けた。

 2018年秋のドラフト1位で阪神に入団すると、159安打を放って長嶋茂雄さんが持っていたセ・リーグの新人記録を塗り替えた。21年には最多安打のタイトルを獲得し、盗塁王にも5度輝いた。

 今年、設立から90周年を迎えるタイガースを代表する選手だと、誰もが認める。

 そんな近本には、野球以外にも力を入れていることがある。

 社会貢献活動だ。プロ2年目から、熱心に取り組む。

 始まりは、「近本シート」だった。阪神甲子園球場のレフト外野席の年間予約席を自費で購入した。ふるさとの淡路市在住者を年間240人、毎年招待する。

 21年からは、鹿児島・沖永良部島でオフシーズンを過ごす。春のキャンプ、そしてシーズン開幕に向けたトレーニングを積む。

 縁もゆかりもない離島を選ん…

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この記事を書いた人
大坂尚子
スポーツ部
専門・関心分野
野球、アメフト、フィギュアスケート、陸上
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    福田充
    (日本大学危機管理学部教授)
    2025年8月30日12時47分 投稿
    【視点】

    阪神タイガース・近本選手の社会貢献には、現在の日本社会が直面している重要な課題の要素が含まれている。それは衰弱しつつある地方コミュニティの問題と、未来を支える若者、子どもたちへの支援である。 「近本シート」も故郷、淡路島のコミュニティという

    …続きを読む

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