KDDI不正 巨額の架空取引を許した怠慢
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通信インフラを担うKDDIが、傘下企業の長年にわたる巨額の不正会計を許していた。企業統治の不全は深刻だ。再発防止策を徹底し、信頼回復を急がねばならない。
KDDIは、グループ内で起きたインターネット広告事業に関する不正会計について、第三者委員会の調査報告書を公表した。
広告代理店業務を手掛ける子会社のビッグローブと、その傘下のジー・プランの間などで、遅くとも2018年から架空取引が行われた。売上高の過大計上は2461億円にも上っていたという。2社の社長は引責辞任した。
不正の手口は、「循環取引」という典型的なものだ。
取引は本来、広告主の企業が広告代理店に発注し、代理店は仲介手数料を得て、ネット媒体に広告を掲載することで成り立つ。媒体には広告主から広告料が渡る。
今回の不正は、ジー・プランの社員2人が画策した。売り上げのうち広告主とネット媒体が実在したのは0・3%にすぎず、99・7%が架空の循環取引だったというから驚くほかない。
動機もあきれるほど単純だ。広告事業で発生した赤字を
元手となったKDDIからの融資などの資金を、架空取引を通じて広告代理店21社の間で循環させ、手数料収入を膨らませた。
昨年2月に当時のKDDI社長が、売り上げの激増に不信感を抱き、監査を本格化させて不正が発覚したが、遅きに失した。
社員は外部の代理店から、2年余の間に飲食代などとして約3000万円も受け取っていた。倫理観の欠如が甚だしい。
親会社のKDDIの監督責任は重大である。報告書は、不正が起きた原因として、KDDIグループで全社的にネット広告の知見が不足していたことや、不十分な子会社の管理体制などを挙げた。
報告書は、組織的な不正はなかったと結論づけたが、不正の規模の大きさを踏まえれば、信頼の失墜は免れまい。
KDDIは、不正に関与した関係者の刑事告訴も行うという。全容解明を進める必要がある。
携帯電話事業などを手掛けるKDDIは、公共性の高い企業であり、とりわけ信頼性が求められる。安定した経営も大切だ。
通信業界は音声などの通信収入が伸び悩んでいる。KDDIが事業の多角化で成長を図るには、グループ統治の強化が必須であることを肝に銘じるべきだ。