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刀剣男士が出会った弓兵について/Novel by 風魅

刀剣男士が出会った弓兵について

8,834 character(s)17 mins

刀剣乱舞はスマホ版出てすぐにやったのでおそらくもうすぐ2周年。Fate歴はまだまだ半年。
アーチャーの沼にドボンしてしまった私は非常にやばさを感じている。
アーチャーの過去暗すぎて辛い。

ノリと勢いでシリーズ化する(かも)

表紙はこちらからお借りしました
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不思議な人を見た。


その人を初めに見たのは、とある本丸の前田藤四郎であった。
西暦1600年に起きた関ヶ原の戦い。
その場所にいつも通りの面子、前田藤四郎、乱藤四郎、小夜左文字、薬研藤四郎、信濃藤四郎、そして部隊長の鯰尾藤四郎で探索していた。
大きな歴史改変はまだ発見されていないが、俗に言う『練度上げ』のため、である。
慣れた場所でもあるため、この面子で構成されている『第二部隊』はゆっくりと探索しつつ、遭遇する時間遡行軍を討伐していた。

そんなとき、前田藤四郎がいつもと違う霊力の気配に気づいた。
「どうした?前田」
部隊長の鯰尾は、少し難しい顔をした兄弟に声をかける。
「いつもなら無いはずの変わった気配がした気がしまして」
身内でも丁寧な言葉遣いを崩さない前田は、目線を近くの林に移す。
「……そうか?」
前田の言葉を聞き、他の者も林に意識を寄せる。
「ええ、悪意は感じませんが、背景と同化している中に妙な空気が……」
巧妙に気配を隠している様子だが、神の末端である刀剣男士、この部隊の中でもレベルが少し高い前田藤四郎だからこそ気づけた違和感。
「少し様子を見てきても構いませんか?何もなければ戻ってきます」
「ああ、分かった!」
此処で待っててやるから行ってこい!と部隊長の鯰尾の許可を得て、前田は獣道すらない林を進む。


「あ…………」
人がいた。
そこにいるはずなのに、気配は世界と同化する、男の姿。
本丸にいる、鶴丸国永のような白銀の髪。
大倶利伽羅のような韋の肌。
鋼鉄のような瞳。
見たことのない黒い服を着て、薄汚れた白い外套を首に巻き付けた……

人ならざるヒト___。

男はコチラを一瞥するが、さして興味のなさそうに視線を変えて、空をぼぅっと見る。

「貴方は……」
前田藤四郎は判断しかねた。
今まで様々な人間や異形、怪異の数々を見てきたが、この男の存在はよく分からない。
神霊でも、幽霊でも、ましてや異形でもない。
世界と同化している様子から見て、世界に反するような存在ではない。
むしろ、人間の時間軸から外れた、世界の一部のような感じがして、少しでも目を離せば視えなくなってしまいそうな。

「貴方は、誰ですか」

様々な疑問を抱えつつ、目の前の男に問う。
男はもう一度こちらを見、そして電源を入れた端末のように、さきほどとは打って変わって大きく目を見開き、前田に恭しく片膝をついた。
やっと前田の存在を認識した、と言ったところだろう。
それほどまでに先程の男の様子はおかしかった。
心ここに在らず、といった具合に。

「先程の無礼、お許しを。貴公はどこかの神霊、とお見受けする」
前田を一瞬に神霊と判断した、ということは、やはりこの男は人でないのだろう。
「私はつい先程こちらに来たばかりで、判断能力が鈍っておりました。この場が貴公の所有する場というのであれば、即刻立ち去ります」
神に対し、恭しく頭をたれるその姿は近年稀に見る姿勢だ。
現代2200年においての日本人は、神を敬う姿勢がやや薄れ気味であるため、その男の態度はとても好感が持てる。
「いえ、ここは私の土地という訳では無いのです。私はただの付喪神。ここへは偶然通りがかった程度です」
と、前田は相手に対し説明する。
「貴方はどうしてここに?」
「私……ですか」
男は少し困ったように
「仕事のために」
とだけ答えた。
あまり深くは聞いて欲しくなさそうである。


そうしてすぐにその場から離れた前田だが、関ヶ原にいる間、ずっとその男が気にかかった。
刀剣男士でもない彼が、どうしてあの場にいたのか。
仕事とは、何なのか。


「え?歴史修正主義者でも神霊でも幽霊でもない、時間軸から外れた存在が関ヶ原にいた??ちょ、前田くんその話詳しく!」
審神者である主にもその存在は知らないらしく、前田が特徴などを言っても首を傾げるばかりだ。
「その人は『仕事のため』って言ってたんだよね……『仕事』ってなに?」
「そこは聞きそびれてしまいました。お役に立てず……」
「いやいや前田くんのせいじゃないって!」
主はうーん、と悩みつつ、ノートパソコンを開く。
「さにわちゃんねるで、該当する人物が見かけられてないか探してみるね」
と主は言って、カタカタと忙しなく手を動かす。

それから三日後。
さにわちゃんねるでも、これといった証言を得られないまま、男のことが気になる前田が静かに緑茶を飲んでいると、ダダダッと廊下から誰かが走る音がする。
「よっ!前田藤四郎!!」
「つ、鶴丸さん!?」
常に驚きを求める付喪神、鶴丸国永が急いだ様子で駆け寄ってくる。
なにか緊急の事態が起きたのだろうかと身構えたが、鶴丸は前田の肩に手を置いた。
「厚樫山で『例の男』を見かけたぞ!」
「!?」
大きく目を開いた。
厚樫山と言えば、まだまだ前田が行けそうにもない、高難度の戦場だ。
「彼は何をしていたのですか」
「ん?じっと野原を眺めていたぞ。動くわけでもない、まるで仏像のようだった」
話しかけたが、前田と同じく、一拍間を置いて反応したらしい。
しかし鶴丸が聞いても、その男は『仕事のために』とだけ答えて、仕事の内容は頑なに答えようとしなかった。
「嫌な感じは全くしないんだが、おかしな男だった。まるで……からくり、のような中身のない……」

無機質なヒト。


先日、主が政府に報告したようだが、返答はまだない。
相手にしていないのか、または機密事項なのか、はっきりしない。

「でもあの男、俺たちと同じ、戦うものだろうな」
「戦うもの……ですか」
座布団に座った鶴丸は目の前においてある煎餅に手を出す。
「ああ、あの鍛え上げられた体躯はそう簡単に出来るもんじゃあない。俺たち付喪神は鍛えなくとも力は振るえるが、あの男はよほどの鍛錬を積み重ねてきたのだろうなぁ」
「しかし、あの男のそばに武器らしいものは何も……」
「そうなんだよ……そこが気になる。柔道や空手、合気道……の鍛え方じゃないだろうし」
ぶつぶつと二人で考察を重ねるが、答えなどあるはずもない。
「どの時代で会うか、検討もつかんが、次会ったら徹底的に聞いてやろうではないか!」
と鶴丸は俄然やる気が出たようでそそくさとどこかへ行ってしまった。


そしてまた違う日。
主が大声で前田を呼んだ。
「どうかいたしましたか?」
前田は急いで主の執務室を開ける。
冬場であるため、コタツが設備してある執務室は常に温かい。
『コタツはヤバい』と主は言っていたので、何がやばいのかと初めは思っていた刀剣男士たちであったが、何がヤバいのか理解した瞬間、コタツの虜になってしまった。
『これが近代兵器……コタツ……!?』
とみんな口では大げさに言っているが、本気でコタツから出られない。
閑話休題。
主はコタツにもぐりつつ、前田を手招きした。
「さにわちゃんねるでずっと『例の男』について聞いてたら、他の本丸でもちょくちょく証言出てきたよ!」
「本当ですか!」
前田は主の横から画面をのぞき込む。


Comments

  • sei@万年金欠病
    October 24, 2018
  • reina

    大変面白いです!続きを読みたいです! 刀剣男士の本体見て目を輝かせる弓がいそうだなと思いました。

    February 26, 2018
  • 無限ループ
    February 25, 2018
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