何もする気が起きない。
休日だからという理由ではない。普段からそうだ。寝ようと思えば無限に眠れてしまう。
ベネティム・レオプールはそういう性質だ。
(おまけに、頭痛がする)
気圧のせいかもしれない。こういうときは食欲も湧かない。ただ、問題が一点。同室のノルガユが、大声でわめいていることだ。
「速やかに起きろ! ベネティム、余はこれから外出をする。共をせよ!」
「えええ……」
ベネティムは寝具の中で寝返りをうつ。ノルガユの朝から暑苦しさに満ちた顔がある。
「いったいどこへ行かれるおつもりですか?」
「美術館だ。久しぶりにヴェンクマイヤーの絵画を眺めたい」
「私には仕事が山積みですし……陛下におかれましても、今日は様々なご予定があったかと」
当然、嘘だ。しかし今朝のノルガユに聞く耳はない。
「予定は取り消せ。お前にも一刻程度の余裕は作れよう。その時間で絵画を鑑賞し、豊かな精神を養うのだ。お前は心にゆとりがなくていかん。何の趣味もなく、一日寝てばかりではないか」
「寝るのが趣味なんですよ」
「頽廃的である。余の臣下として認められん。ゆくぞ」
「……せめて捷球の試合にしませんか?」
あれならば、勝ち負けが明確でベネティムにも理解できる。一時期はあの試合のダフ行為、ノミ行為で稼ぎの足しにしていたことがあった。予想屋まがいのこともやった。
「余は、今朝は絵画を眺める気分なのだ。いますぐ起きろ」
ノルガユの態度に揺るぎはない。ベネティムはため息をついて、諦めて起床することにする――誰か、身代わりを立てられるかどうか、頭の中で考え始めていた。